医療費控除で医療費通知を利用したいけれど医療費通知っていつ届くの?医療費通知は共済・けんぽ・国民健康保険などの医療保険者によっていつ届くか・いつからいつまでの医療費が載っているかが異なります!医療費通知を医療費控除で使う場合の注意点も解説中!
監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 医療費通知を医療費控除で利用したいけれどいつ届く?
- 医療費通知がいつ届くかは医療保険者によって異なる
- 医療費通知が届く時期は確定申告の開始あたりが一般的
- 医療費通知が届く時期は1年で2回に分けられることもある
- 医療費通知の医療費データはいつからいつまでのもの?
- 医療費データがいつのものまでかは医療保険者による
- 一般的には発行する前年の10月から12月までが対象
- 多くの方が加入している【協会けんぽ】の場合を解説!
- 協会けんぽの医療費通知が届く時期は1月中旬から2月中旬
- 協会けんぽの医療費通知のデータは前年の9月までのもの
- インターネット上で医療費通知の内容を確認することも出来る
- 医療費通知を医療費控除で利用する際の注意点を解説!
- 医療費通知には払った全ての医療費が記載されるわけではない
- 医療費通知の医療費データが不完全なものであることもある
- 実際の自己負担額と医療費通知の記載額がことなる場合がある
- 必要なデータが載っていない医療費通知は医療費控除に使えない
- 電子的に発行した医療費通知も医療費控除に使えない
- 医療費通知に載っていない医療費の控除は明細書での申告が必要
- 医療費通知が届く場合でも領収書は保管していた方がよい
- 医療費通知が確定申告に間に合わない時はどうする?
- 医療費通知は事前発行することができる場合もある
- 還付申告だけなら医療費通知が届くのを待つのもOK
- 医療費通知をなくしてしまった時は再発行できる?
- 【参考】医療費通知がある場合でも医療費の明細書は必要!
- 【まとめ】医療費通知がいつ届くかは健康保険組合によって異なるのでよく確認しよう!
医療費通知を医療費控除で利用したいけれどいつ届く?
医療費控除の申告をするとき役立つ書類に、医療費通知というものがあります。
医療費通知は病院などで支払った医療費の金額が記載されています。
医療費控除の申告のときに必要な、「医療費控除の明細書」の代わりにもなるとても便利な書類です。
しかし共済・けんぽ・国民健康保険などの医療保険者によって、通知が届く時期や記載される期間が異なるのが難しいところ。
そこでこの記事では
- 医療費通知はいつ届くのか
- 医療費通知の医療費データについて
- 協会けんぽの医療費通知について
- 医療費通知を利用する際の注意点
- 医療費通知が確定申告に間に合わない時の対応の仕方
- 医療費通知をなくしたときは再発行できるのか
医療費通知がいつ届くかは医療保険者によって異なる
医療保険者とは医療保険を提供している組織・団体のことで、私たちの身近なところでは、共済・けんぽ・国民健康保険が挙げられます。
医療保険者や自治体によって届く時期は異なり、地域によっては確定申告の期間が始まった2月半ばに通知が届くことも。
これには保険診療の仕組みが関わっています。
自治体によっては医療機関の受診情報を確認できるのが、最短でも診療月の翌々月、つまり12月分の情報が確認できるのが2月に入ってからというところがあるのです。
自分が加入している保険はいつごろ通知が来るのか、早めに確かめておくことをおすすめします。
医療費通知が届く時期は確定申告の開始あたりが一般的
医療費通知が届く時期は医療保険者によってさまざまですが、一般的には確定申告が開始する時期(2月16日前後)に届きます。
医療費通知が届いたら、そのままの流れで医療費控除の申告で必要な書類を作成・提出できるので、紛失する可能性も低く、とても便利です。
この時覚えておいてほしいのが、医療費控除の対象となる期間はその年の1月1日~12月31日ですが、医療費通知に載っているデータは期間がずれていることがあるということ。
申告前にいつからいつまでのデータなのか、しっかりと確認しましょう。
医療費通知が届く時期は1年で2回に分けられることもある
医療費通知が届く時期は医療保険者ごとに異なり、1年に1回ではなく、1年に2回届くこともあります。
例えば、国民健康保険の保険者である都道府県や市町村によっては、1月1日~11月31日分は翌年2月上旬、12月1日~12月31日分は翌年3月上旬と、2回に分けて届くことがあるのです。
このように分けて通知が来る理由は、病院のデータを役所の職員が見られるようになるのに、1~2か月ほどかかるからです。
また、三井E&S健康保険組合など、自治体以外が医療保険者になっている場合は年に4回(3ヶ月ごと)届くこともあります。
複数回に分けて通知が届く場合は、紛失しないよう大切に保管してくださいね。
医療費通知の医療費データはいつからいつまでのもの?
もともと医療費通知は、自分が使った医療費を確認することで、健康や医療に対する理解を深めることを第一の目的として発送されています。
本来は確定申告のための書類ではないため、医療保険者ごとに対象期間や発送時期が異なるのです。
しかし「医療費控除の明細書」の代わりになるため、確定申告で利用したい人もいるでしょう。
確定申告で利用する際は、期間のズレに気を付けましょう。
ここでは、医療費通知に載っている医療費データの期間について詳しく解説していきます。
医療費データがいつのものまでかは医療保険者による
医療費通知に載っているデータも通知が届く時期と同様、医療保険者によって異なります。
医療費控除の確定申告の対象となる期間は前年の1月1日~12月31日ですが、この期間と医療費通知に載っているデータの期間がずれていることがあるので、注意が必要です。
医療費通知に載っているデータをそのまま申告しないよう、気を付けましょう。
10月1日以降の通知が確定申告の期間内に届かないなどのズレが生じたときは、10月1日以降の医療費は、病院で受け取った領収書をもとに「医療費控除の明細書」に記入して提出します。
臨機応変な対応を心がけてくださいね。
一般的には発行する前年の10月から12月までが対象
一般的に医療費通知には、発行する前年の10月から12月までのデータが載っています。
つまり、令和3年に届く医療通知書に載っている期間は、令和2年1月1日~令和2年10月31日・令和2年11月30日・令和2年12月31日のいずれかになることが多いということです。
病院などで支払った医療費のデータを役所の職員が閲覧できるようになるのに、数ヶ月ほど期間が開いているため、少し中途半端な感じで届いてしまいます。
記載できなかった期間は、追加で1か月ほど遅れて通知が来ることが多いです。
確定申告の期間に間に合わない場合は、記載されていない期間は「医療費控除の明細書」を作成して申告しましょう。
多くの方が加入している【協会けんぽ】の場合を解説!
「協会けんぽ」とは、主に中小企業に勤めている会社員を対象とした健康保険です。
大企業の会社員を主に対象としている組合健保とは保険料率が異なるぐらいで、労使折半であることや給付金の内容は同じです。
経済産業省の中にある中小企業庁の調査によると、中小企業の企業数は全体の99.7%、従業員数は69%と、多くの人が加入していることがわかります。
ここでは、協会けんぽの医療費通知について解説します。
協会けんぽの医療費通知が届く時期は1月中旬から2月中旬
協会けんぽの医療費通知が届く時期は1月中旬から2月中旬、届く回数は年1回です。
会社員には現在勤めている会社に、退職後に任意継続被保険者になった人は自宅に届きます。
協会けんぽの医療費通知には、診察を受けた人の氏名・診察を受けた医療機関名・支払った金額などが一覧表になっています。
記載されている医療費には、自分の分だけでなく、扶養に入っている家族の分も含まれているので、夫婦や子供がいる人は確認しておきましょう。
協会けんぽの医療費通知のデータは前年の9月までのもの
例えば令和3年1月中旬に届いた医療費通知の場合、記載されている医療費のデータは令和元年10月~令和2年9月までのものになります。
令和3年の確定申告に間に合わない令和2年10月~12月分の医療費は、病院や薬局などからの領収書をもとに作成した「医療費控除の明細書」の提出が必要です。
医療費控除の明細書の作成に使った領収書は、提出した後に確認の連絡が来ることを考慮して、5年間保管することが推奨されています。
念のため、領収書は金庫などに保管しておきましょう。
インターネット上で医療費通知の内容を確認することも出来る
通知書を受け取らなくても、インターネット上でも医療費通知の内容を確認できます。
協会けんぽのホームページから「ユーザID」と「パスワード」を取得することで、書類で届く医療費通知と同じ情報を確認できるのです。
このサービスは、原則加入者本人のみが利用でき、加入者が勤務している会社の事業主の方や、扶養されている家族は利用できません。
今手元に医療費通知の書類がなくても、インターネットなら今すぐにでも確認できます。
興味のある方は協会けんぽのホームページを覗いてみてください。
医療費通知を医療費控除で利用する際の注意点を解説!
医療費通知は本来、自分が使った医療費を確認することで、健康や医療に対する理解を深めることを目的としたもの。
確定申告のための作られたものではありません。
そのため、確定申告の際は記入漏れや不要な情報まで提出しないなど、いくつか注意が必要です。
この記事で紹介する注意点は
- 払った全ての医療費が記載されるわけではない
- 医療費データが不完全なことがある
- 実際の自己負担額と医療費通知の記載額が異なる場合がある
- 必要なデータがそろっていないと、医療費控除に使えないことも
- 電子的に発行した医療費通知も医療費控除に使えない
- 必要に応じて明細書で申告する
- 領収書は保管しておく
医療費通知には払った全ての医療費が記載されるわけではない
医療費控除は病院で払った金額だけでなく、ドラッグストアで購入した薬代や通院のための交通費も含まれます。
しかしこのような費用は医療費の3割負担の対象外な上、医療保険者に通知が行くよう病院などで管理されている費用ではありません。
自己管理・自己申告が必要な医療費は医療費通知には記載されないので、注意が必要です。
医療費通知に記載されていない医療費は、「医療費控除の明細書」を作成することで確定申告できます。
医療費通知の医療費データが不完全なものであることもある
医療費通知の医療データがいつからいつまでのものなのかは、医療保険者によって異なります。
中には1月~10月分までしか記載されておらず、11月・12月分は少し遅れて届いたり来年度に持ち越しになったりすることも。
本来、医療費通知は確定申告のための書類ではないので仕方がないのですが、確定申告するときは少々不便です。
このようにデータが不完全な時も、不足している分は「医療費控除の明細書」を作成して申告しましょう。
実際の自己負担額と医療費通知の記載額がことなる場合がある
医療費通知に記載される自己負担額は、医療保険者が作成時点で把握している情報に基づいて記載されています。
そのため、市区町村による医療費助成・減額査定・未収金などが医療費通知に反映されないことがあります。
つまり、自己負担額から助成金の金額が差し引かれずに記載されておらず、確定申告できる医療費が減ることがあるということです。
医療費控除で医療費通知を利用するときは、助成金についてもきちんと把握しておきましょう。
必要なデータが載っていない医療費通知は医療費控除に使えない
医療費通知を医療費控除に使うには、次の6項目を満たしたものでなければなりません。
- 被保険者等の氏名
- いつ療養を受けたのか
- 誰が療養を受けたのか
- 利用した病院や薬局の名称
- 支払った医療費の金額
- 保険者等の名称
電子的に発行した医療費通知も医療費控除に使えない
協会けんぽなど、いくつかの医療保険者ではインターネット上で医療費通知を閲覧できるサービスを提供しています。
また、紙の医療費通知を扱っておらず、すべて電子的に発行している医療保険者もあります。
これらのような電子的に発行した医療費通知は、医療費控除には使えません。
その理由には、本物の医療費通知なのか確認を取りにくいことや、画像を編集して内容を変更されたら見抜くのが難しいことなどが挙げられます。
電子的に発行した医療費通知を医療費控除に使いたいときは、その内容をもとに「医療費控除の明細書」を作成しましょう。
医療費通知に載っていない医療費の控除は明細書での申告が必要
健康保険の医療費3割負担の対象外となっている治療については、医療費通知に反映されないことがあります。
例えば、ワクチンの予防接種、人間ドック・健康診断、日本未承認の抗がん剤を使ったがん治療など、自由診療に該当する医療費です。
もし自由診療の医療費を支払った場合は、「医療費控除の明細書」を作成しましょう。
この医療費控除の明細書を作成するとき使った領収書は、念のため保管しておいてください。
医療費通知が届く場合でも領収書は保管していた方がよい
医療費控除を申告するときは、医療費通知を使う使わないに関わらず、領収書は5年間保管するよう言われています。
その理由は、医療費控除の申告内容が本当に正しいか、役所や税務署から確認の連絡が来ることがあるからです。
場合によっては、領収書を提出しなければならないこともあります。
医療費控除で申告した医療費の領収書はファイルやケースにまとめて、金庫などに保管しておきましょう。
医療費通知が確定申告に間に合わない時はどうする?
医療費通知が届く時期は、確定申告が開始するころ(2月16日前後)が一般的です。
しかし医療保険者によっては12月分だけ翌年3月になってから届いたり、10月~12月分は来年度に持ち越しになったりして、確定申告に間に合わない場合があります。
「医療費控除の明細書」を作成すればよいのですが、いつ受診したか・支払った金額・利用した医療機関名など、細かい情報を記入しなければなりません。
いちいち思い出したり確認したりするのは手間ですよね。
この手間を省くため、医療費通知が届かなかったときの対処法を紹介します。
医療費通知は事前発行することができる場合もある
医療保険者によっては、医療費通知を事前発行できることがあります。
例えば横浜市の場合、令和2年の間に支払った金額のうちの一部は、事前発行できるようになっています。
令和2年1月~10月診療分のデータが欲しい人は令和3年1月4日(月曜日)から1月19日(火曜日)まで、令和2年1月~11月診療分のデータが欲しい人は令和3年1月20日(水曜日)以降に発行してもらえるのです。
事前発行を希望する場合は、自身の医療保険者に問い合わせてみてください。
ただし、本来通知が来るよりも早いタイミングでデータをもらうことになるので、医療機関と医療保険者の手続きの都合上、記載漏れがあるかもしれません。
事前発行してもらった医療費通知の内容に漏れがないか、確定申告する前に確認してくださいね。
還付申告だけなら医療費通知が届くのを待つのもOK
既に払った税金から控除を申告してお金が戻ってくることを、還付と言います。
医療費控除の正体は、所得税からの還付です。
この還付を要求する(=還付申告)ことができるのは、3月15日ではなく、申告可能な日から5年間となっています。
つまり令和元年分の医療費控除は、令和25年12月31日まで申告できるということです。
還付金を急いで手に入れたいなどの理由がない場合は、医療費通知が届くのを待ってから確定申告をしても問題ありません。
医療費通知をなくしてしまった時は再発行できる?
医療保険者によっては、年に2回~4回ほど分けて届く医療費通知。
確定申告まで時間が空くと、失くしてしまうこともあるでしょう。
失くした医療費通知は、再発行できる場合と再発行できない場合があります。
健康保険の場合は再発行できます。
住んでいる地域を管轄している役所に問い合わせてみてください。
共済の場合は原則再発行はできません。
ただし、協会けんぽなどインターネット上での閲覧サービスを提供している医療保険者は、再発行できなくてもデータが連携されているので再発行せずとも申請できることもあります。
自身が加入している医療保険は再発行できるのか、確認してみてください。
【参考】医療費通知がある場合でも医療費の明細書は必要!
医療費通知の書類を持っていても、「医療費控除の明細書」の提出は必要です。
医療費控除の明細書の記入欄に、医療費通知の内容をそのまま書き写せばよいので、すぐに書類を作成する作業は終わります。
医療費控除の明細書を作成に医療費通知の書類を使用するときは、「医療費通知に記載された医療費の額」という欄を記入します。
この医療費通知に記載された医療費の額が正しいことを証明するために、医療費通知を提出しなければなりません。
提出するときは、コピーではなく元本を添付するようにしましょう。
【まとめ】医療費通知がいつ届くかは健康保険組合によって異なるのでよく確認しよう!
この記事では医療費通知がいつ届くのか・いつからいつまでの医療費が載っているのか気になる人に向けて
- いつ通知が届くかは医療保険者によって異なる
- いつからいつまでの医療費が載っているかも医療保険者によって異なる
- 医療費通知は事前発行できることがある
- 医療費通知は再発行できないことがある
- 医療費通知は本来、健康に対する興味や理解を深めてもらうためのもの