

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 親子共有名義の5つのデメリットを解説
- 親が早く亡くなると子の負担が増える
- 親の退職後の返済リスクがある
- 相続トラブルに発展する可能性がある
- 親が認知症になると不動産の売却ができなくなる場合がある
- 固定資産税の費用負担が必要になる
- 親子共有名義や住宅購入のお悩みは無料FP相談で解決しよう!
- 【実際どうだった?】親子共有名義に関する体験談
- 親子共有名義で住宅を購入した理由を教えてください
- 親子共有名義にして「良かったこと」はありますか?
- 親子共有名義にして「困ったこと」「後悔していること」があれば教えてください
- これから親子共有名義を検討する人に伝えたいアドバイスがあれば教えてください
- あなたにぴったりの方法は?FPと一緒に最適な住宅購入プランを立てよう
- 親子共有名義で後悔しないための対策5つ
- 持分割合と出資額を正しく一致させる
- 子のライフプランの変化も想定しておく
- 将来の相続や共有名義の解消方法まで考えておく
- 住宅ローン控除や税制優遇の条件を正しく理解する
- 「親子共有名義」以外の選択肢と比較検討する
- 【まとめ】親子共有名義はデメリットを正しく把握して検討しよう
親子共有名義の5つのデメリットを解説
親子共有名義とは、親子で住宅購入資金を負担しあって住宅を購入する方法です。自己資金ですべてをまかなう方法のほか、ペアローンやリレーローンを組む方法があります。
親子共有名義は、自己負担を減らせたりローンの借入額を増やせたりするメリットがある一方、以下のようなデメリットもあります。
- 親が早く亡くなると子の負担が増える
- 親の退職後の返済リスクがある
- 相続トラブルに発展する可能性がある
- 親が認知症になると不動産の売却ができなくなる場合がある
- 固定資産税の費用負担が必要になる
ここでは住宅ローンを利用して親子共有名義で住宅を購入した場合のデメリットを5つ、解説します。
親が早く亡くなると子の負担が増える
親子共有名義で住宅を購入する方法の一つに「リレーローン」があります。リレーローンとは、最初に親が債務者となり、一定の年数が過ぎたら子どもがローンを引き継ぐ方式です。
リレーローンを利用すれば、親が高齢であっても長期間のローンを組めます。例えば親が50歳・子どもが25歳の場合、35年のローンを組んで親が65歳まで住宅ローンを返済し、子どもが40歳からローンを返済するなどの支払い方も可能です。親の経済力に余裕がある場合は、親がある程度まとまった額を返済して子どもの経済的な負担を軽くもできるでしょう。
しかし、何らかの理由で親が早くに亡くなってしまった場合、子どもの返済額が増えるデメリットがあります。上記の例で説明すると65歳まで親がローンの支払いをする予定が、55歳で亡くなってしまった場合、子どもが30歳からローンの支払いをしなければなりません。
ローンの返済額によっては、経済的な負担が重くなって生活に支障が出る可能性も出てきます。
親の退職後の返済リスクがある
親が退職後も返済を続ける計画を立ててしまうと、返済が行き詰まるリスクが高まります。近年は、65歳以降も同じ会社に再就職したり、別の会社に就職したりして働き続ける方が増えました。
しかし、現役で働いていた頃より給与が下がる事例も多く、家計を見直さずに退職前と同じ生活を続けていると住宅ローンの支払いに回すお金が無くなる恐れもあります。
リレーローンを組んだ時点の親の年齢や借入期間にもよりますが、親が65歳以上でも返済を続ける選択をした場合、収入と支出のバランスを早くから見直す等の対策が重要です。
相続トラブルに発展する可能性がある
親子共有名義で住宅を購入して親が亡くなった場合、自動的に共有名義の子が住宅を相続できるとは限りません。例えば、父親と息子が共有名義で住宅を購入して父親が亡くなった場合、父親の配偶者、息子の兄弟にも相続権があります。
他の相続人が不動産の相続を放棄して息子がスムーズに住宅を相続できれば問題ありません。しかし、他の相続人が相続権を主張したり、相続を放棄する代わりに金銭を請求してきたりすれば、相続トラブルに発展する可能性もあります。
親が認知症になると不動産の売却ができなくなる場合がある
親が認知症になった場合、家が共有名義だと売却ができなくなる場合があります。不動産を売却する場合、名義人全員の同意が必要です。しかし、認知症を発症した場合は「判断力がない」とみなされる可能性があります。成年後見人をはじめとする法律で認められた代理人以外、書類にハンコをついても無効になります。
また、住居の建て替えや全面リフォームをする場合も、名義人に認知症の方がいる場合は「同意を得られる状態ではない」と判断される可能性があるので注意が必要です。
このほか、病院を受診して「認知症」と診断されると、認知症患者本人の預金もおろせなくなるケースもあります。例えば、住宅の部分リフォームをしたいので親名義の貯金を使いたいと考えていても、手を付けられない可能性もあります。
固定資産税の費用負担が必要になる
住宅を親子共有名義で購入した場合、固定資産税は名義人全員の負担となります。負担する金額は持分割合によって決まり、例えば持分割合が1:1の場合は半額を負担します。
また、共有名義人が固定資産税を支払えなくなった場合、親と子、どちらかが全額負担しなければなりません。例えば、親が定年を迎えて収入が減って固定資産税の支払いにまで手が回らなくなった場合、子どもの経済的な負担が大きくなるケースもあるでしょう。
親子共有名義や住宅購入のお悩みは無料FP相談で解決しよう!

二世帯住宅を建築する場合など、親子共有名義で住宅を購入したほうがメリットが大きなケースもあります。しかし、リレーローンを組むと単独名義のローンや夫婦でペアローンを組んだ場合にはない問題が出てくる可能性もあるでしょう。
「親子共有名義で住宅を共有していいか迷っている」場合は、マネーキャリアを利用してFPに相談してみるのがおすすめです。
FPは個人の資産計画を立てたり、家計の見直しをしたりといったお金のプロです。親子共有名義での住宅購入はもちろんのこと、資金計画や返済プランといった幅広い相談ができます。
例えば「親子共有名義で住宅を購入すると決めたが、ローンの返済に行き詰まらないように、相続や贈与を含めた総合的な相談をしたい」といった場合にもおすすめです。

【実際どうだった?】親子共有名義に関する体験談
ここでは、実際に親子共有名義で家を購入した方の体験談や良かったこと、困ったことなどを紹介します。親子共有名義で家を購入する理由はさまざまです。いろいろな意見を見れば、検討の参考になるでしょう。
良かったことはもちろんのこと、困ったことや後悔していることを知れば、多角的な面から判断ができるようになります。
親子共有名義で住宅を購入した理由を教えてください
親子共有名義にして「良かったこと」はありますか?

親子共有名義にして「困ったこと」「後悔していること」があれば教えてください

これから親子共有名義を検討する人に伝えたいアドバイスがあれば教えてください
ここでは、実際に親子共有名義で住宅を購入した人から、親子共有名義での住宅購入を検討している人へのアドバイスを紹介します。良かった点はもちろんのこと、困った経験をしたからこそできるアドバイスもあります。
ぜひ、参考にしてください。

50代女性
親子仲が良好なことが重要

30代男性
可能ならば単独名義がおすすめ
審査は比較的通りやすいと思いますが、どちらかがローンや税金を払えなくなると、もう一方に全額請求がくる恐れもあります。金銭トラブルが起きれば、親子関係がうまくいかなくなる恐れもあるため、自分はおすすめできません。

40代女性
相続対策に有効な場合もある
兄弟がいないひとりっ子ならば、相続税を軽減する対策のひとつとして共有名義を検討してもいいと思います。ただし、贈与税には注意が必要です。
あなたにぴったりの方法は?FPと一緒に最適な住宅購入プランを立てよう

単独名義と親子共有名義、どちらで住宅購入をするか迷ったら、FPに無料相談できる窓口を利用して相談しましょう。不動産会社やハウスメーカーでも相談窓口はありますが、中立的な第三者の意見は重要です。
特に、親子共有名義を前向きに検討している場合は、いざというときに備えた資産形成や相続に関する対策も必要です。親子関係を最後まで良好に保つためにも、できる対策はすべて立てておけば安心できます。

親子共有名義で後悔しないための対策5つ

親子共有名義で住宅を購入し、スムーズに返済をしていくためには以下の5つの対策を行っていくと効果的です。
親子共有名義での住宅購入を検討している方は、参考にしてください。
- 持分割合と出資額を正しく一致させる
- 子のライフプランの変化も想定しておく
- 将来の相続や共有名義の解消方法まで考えておく
- 住宅ローン控除や税制優遇の条件を正しく理解する
- 「親子共有名義」以外の選択肢と比較検討する
持分割合と出資額を正しく一致させる
親子共有名義で住宅を購入する場合、持分割合と出資額を一致させましょう。例えば、土地・建物合わせて5,000万円の物件を親が2,000万円、子どもが3,000万円出して購入した場合、持ち分割合は親が5分の2,子どもが5分の3になります。
一般的に親の持ち分割合を低くしたり、子どもが土地の購入額を多く負担したりしたほうが、節税効果があります。しかし子どもに負担をかけたくないと、親が4,000万円を負担して子どもが1,000万円の負担だったのに、持分割合が親が1、子どもが4だと「贈与」とみなされて贈与税がかかる可能性があるので注意してください。
子のライフプランの変化も想定しておく
リレーローンやペアローンを利用する場合、子どもが20代前半で社会人経験が浅くても審査にスムーズに通りやすい傾向があります。子どもが独身で社会人5年未満というような場合、子のライフプランの変化を想定しておきましょう。
例えば、勤務している会社によっては転勤の可能性があります。スキルアップのために転職するケースも現在は珍しくありません。また、結婚や出産などがあれば家計も大きく変化します。ライフプランの変化を想定せずに住宅ローンの返済額を計画してしまうと、他のまとまった出費に対応できない恐れもあります。
なお、子どもがすでに結婚して子どもがいる場合でも、子どもの進学等でまとまった費用が必要です。その時期に備えて貯蓄を増やすなど対策を立てましょう。
将来の相続や共有名義の解消方法まで考えておく
ライフプランの変化や地価の変動によって、共有名義にしておくとデメリットが大きくなる場合もあります。そのような事態に備えて共有名義の解消方法を考えておきましょう。
親子の共有名義を解消する代表的な方法は、不動産を売却して得た利益を持分割合に応じて分ける方法です。親が年を取って施設に入所する場合や、子がライフプランの変化によって住居を移転したい場合は、この方法が有効です。
また、相続が発生した際のトラブルを避けるために、親の持分割合を子どもが買い取って単独名義にしたり、親の持分を子どもに生前贈与する方法もあります。なお、この場合は贈与税や不動産取得税が発生する可能性があるため、税理士に相談しておくと節税も可能です。
住宅ローン控除や税制優遇の条件を正しく理解する
住宅ローンを利用して住宅ローンを購入すると「住宅ローン控除」が利用できます。しかし、住宅ローン控除は自分たちが居住する住宅を購入した場合のみに利用が可能です。したがって「子ども(親)は土地の購入だけに資金を出した」場合、住宅ローン控除は利用できません。必ず、土地・建物合わせた資金を出しましょう。
また、債務者が住宅ローンを利用して購入した家に住んでいない場合も、控除を利用できません。例えば、家を購入した後で親や子が転勤になった場合などが該当します。ただし、「転居は一時的なもので、数年後には購入した家に住む」と認められる場合もあります。
住宅ローン控除だけでなく、税制優遇の条件も正しく理解したうえで共同名義での購入を検討しましょう。
「親子共有名義」以外の選択肢と比較検討する
親子共有名義以外でも、親と子が共有して家を購入する方法はあります。一例を挙げると、親がまとまった額を生前贈与して子どもが単独名義で住宅を購入する方法です。住宅購入の資金を親が子に援助する場合、「住宅取得等資金贈与の非課税制度」が、令和8年12月31日まで利用できます。
親の年齢や用意できる自己資金の額によっては、リレーローンやペアローンを組むよりデメリットが少ないケースもあるでしょう。
また、親が単独名義で家を購入して将来生前贈与したり生前相続させたりする方法もあります。住宅ローンが残った家を子どもに相続させるのは「負担付贈与」と呼ばれ、額によっては節税になります。
どの方法が最適なのかは税理士等にも相談して検討してみましょう。
【まとめ】親子共有名義はデメリットを正しく把握して検討しよう

親子共有名義はメリットだけでなくデメリットもあります。近年は住宅価格高騰により、住宅ローンを夫婦だけでなく親子で組むケースも珍しくなくなりました。しかし、同年代のペアローンよりも、親子でのリレーローンは親が早くに亡くなったり、認知症になったりするリスクがあります。
マネーキャリアに相談し、親子共有名義以外におすすめの方法はあるのか、親子共有名義を住宅を購入した場合、どのような対策を取っておけば安心できるのか確認しておきましょう。そうすれば、いざというときでも安心です。

親子関係が良好である事が共同名義でうまくいく条件だと思います。子どもと親の関係がうまくいかない傾向があるなら辞めておいたほうがいいでしょう。無理をするとマイホームが将来の重荷になるかもしれません。