

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
この記事の目次
- 55歳から始めるならiDeCoとNISAどっちが良い?3つの判断基準
- 「何歳まで働くか」と「所得水準」から考える
- 「お金を使うタイミング」から考える
- 「退職金・年金との兼ね合い」から考える
- 55歳からのiDeCoとNISA、どっちにするか迷ったら無料FP相談を活用しよう
- 55歳からのiDeCo・NISAはどんな人におすすめ?
- iDeCoがおすすめの人
- NISAがおすすめの人
- 55歳からのiDeCoとNISAで失敗しないためのポイント
- 生活防衛資金は必ず確保しておく
- 投資リスクを抑えた商品選びをする
- 家計に無理のない範囲で積立額を決める
- 【まとめ】55歳からのiDeCo・NISAはライフプランに合わせて検討を
55歳から始めるならiDeCoとNISAどっちが良い?3つの判断基準
iDeCo | NISA | |
---|---|---|
年齢制限 | 20歳以上65歳未満 | 18歳以上 |
積立期間 | 65歳になるまで | 無期限 |
投資下限額 | 月5,000円 | なし (金融機関による) |
投資上限額 | 年間14万円~80万円ほど 個人の状況によって変動 | 年間360万円 総額1800万円 |
非課税期間 | 65歳になるまで | 無期限 |
税制メリット | 掛け金は全額所得控除 運用益非課税 | 運用益非課税 |
資産の引き出し | 60歳~75歳の間 | いつでも売却可能 |
受け取り時の課税 | 一時金:退職金として 年金:雑所得として | なし |
- 「何歳まで働くか」と「所得水準」から考える
- 「お金を使うタイミング」から考える
- 「退職金・年金との兼ね合い」から考える
「何歳まで働くか」と「所得水準」から考える
まずは、何歳まで働く予定なのか、また所得水準から所得控除がどれくらい受けられるのか考えましょう。
ここでは、年齢制限があるiDeCoの利用条件を中心に解説します。
iDeCoは原則60歳まで加入できます。60歳以上の方は、第2号被保険者(会社員や公務員)または国民年金の任意加入保険者であればiDeCoを利用できます。
つまり、55歳からであれば、最低5年、最長10年間はiDeCoの所得控除の恩恵を受けられる可能性があります。
加入期間に応じて受け取り可能年齢が変わるため、55歳から60歳までの5年間加入した場合には63歳以降に受け取り可能です。65歳まで会社員として働いた場合には、65歳以降に受け取れます。
また、積み立て期間中に得られる所得控除の額を年収600万円の場合でシミュレーションした結果はこちらです。
年収 | 600万円 |
---|---|
月額掛け金 | 2万円 |
年間掛け金 | 24万円 |
所得税減税額 | 2万4000円 |
住民税減税額 | 2万4000円 |
合計減税額 | 4万8000円 |
「お金を使うタイミング」から考える
次に、積み立てたお金をいつ使いたいのか、という判断基準もあります。
iDeCoは流動性が低く、原則60歳まで引き出せませんし、55歳から5年間利用するとしたら63歳になるまで引き出せません。
NISAであれば途中で売却して現金化し、好きな金額だけ取り崩すことが可能です。
どちらも運用益が非課税になる点は共通していますが、資産を使う目的によって適切な選択肢は異なるでしょう。
「退職金・年金との兼ね合い」から考える
前の項でも考えた通り、NISAはいつでも現金化が可能ですが、iDeCoは2種類の受け取り方から選ぶ必要があります。
1つは一時金受け取りと呼ばれる方法で、退職金に加えるような形での受け取りです。2つ目は、年金方式の受け取りです。
2つの受け取り方法について表にまとめました。
受け取り方法 | 一時金受け取り | 年金受け取り |
---|---|---|
概要 | 退職金として受け取り | 年金方式で受け取り |
受け取り時の扱い | 退職所得 | 雑所得 |
適用控除 | 退職所得控除 勤続年数20年以下:40万円×勤続年数 勤続年数20年以上: 800万円+70万円(勤続年数ー20年) | 公的年金等控除 65歳未満:年間60万円 65歳以上:年間110万円 |
特に一時金として受け取る際に注意したいのは、退職金と同時に受け取ると課税額が大きくなる可能性があることです。
さらに、一時金と年金形式を併用して受け取れる場合もあるため、金融機関に確認が必要です。
特にiDeCoにおいては、どのように受け取るか、出口戦略を立てることが重要といえるでしょう。
55歳からのiDeCoとNISA、どっちにするか迷ったら無料FP相談を活用しよう

ここまででiDeCoとNISAの違いについて詳しく解説し、判断基準をお伝えしました。
iDeCoとNISAのうちどちらが自分に合っているのか、どのように積み立てればいいのか迷ったら、無料FP相談を活用して悩みを解決するのはいかがでしょうか。記事の前半でお伝えした3つの判断基準も含めて、総合的なアドバイスが受けられますよ。

55歳からのiDeCo・NISAはどんな人におすすめ?
それぞれおすすめな人の特徴をまとめました。
- iDeCoがおすすめの人
- NISAがおすすめの人
iDeCoがおすすめの人
- 65歳まで働く予定の人
- 高所得者で所得控除の影響が大きい人
- 元本保証型の商品を選びたい人
NISAがおすすめの人
NISAがおすすめの人の特徴には次のようなものがあります。
- 自由にお金を引き出したい人
- 長期的に資産運用したい人
- 所得税・住民税の軽減による恩恵があまりない人
55歳からのiDeCoとNISAで失敗しないためのポイント
- 生活防衛資金は必ず確保しておく
- 投資リスクを抑えた商品選びをする
- 家計に無理のない範囲で積立額を決める
生活防衛資金は必ず確保しておく
まずは生活防衛資金として3か月~半年分の生活費を普通預金に用意しておきましょう。
iDeCoとNISAは基本的に長期運用を目的とした投資で、自由に引き出せるNISAも頻繁な現金化はおすすめできないからです。
投資リスクを抑えた商品選びをする
次のポイントは、投資リスクを抑えた商品選びをすることです。
得にiDeCoの場合、運用できる期間に限りがあるため、万が一大きな下落があった場合に下落を取り戻すための時間が足りなくなる可能性があるからです。
“攻め”より“守り”の資産設計をするのがおすすめで、リスクの大きい個別株などは避けて、インデックス・バランス型の投資信託や、元本保証型の商品を中心に選んでみてください。
家計に無理のない範囲で積立額を決める
最後は、家計の状況に合わせて無理のない範囲で積立額を決めることです。
iDeCoもNISAも「続けること」が重要で、上限額を埋めることよりも、家計に無理のない額を継続して利用しましょう。
【まとめ】55歳からのiDeCo・NISAはライフプランに合わせて検討を

この記事では、55歳から始めるのにiDeCoとNISAで迷ったときの判断基準3つを解説し、iDeCoやNISAに向いている人の特徴をお伝えしました。
長く働く予定の人や高所得者の人にiDeCoが向いており、自由に現金化したい人や長期的に運用したい人にNISAが向いています。
ほかにも、失敗しないためには生活防衛資金を確保することや、リスクを抑えた商品選びをすること、家計を圧迫しない額を積み立てること、といったポイントを抑える必要がありました。
iDeCoとNISAのうちどちらを使うか迷ったり、併用するならどう使うのがお得か聞いてみたいと思ったりしたら、マネーキャリアのFPに相談してみてください。
今の状況に最適な資産運用の方法について、お金のプロの視点からアドバイスが受けられます。
