

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 親の住宅ローンが払えないときの対処法4選
- 金融機関に返済条件の変更を相談する
- 住宅ローンの借り換えを検討する
- 子が返済を肩代わりする
- 任意売却やリースバックを検討する
- 親の住宅ローンが払えない?そんな時はまずFPに相談を
- 【実際どうだった?】親の住宅ローンが払えず困った人の体験談
- 払えなくなったときどう対処しましたか?
- 対処する中で困ったことはありましたか?
- これから備えておくとよいと思うことは?
- 親の住宅ローンが払えなくなる前に確認しておきたいポイント
- 住宅ローンの残高と完済予定時期を確認する
- 住宅ローンの契約条件を再確認する
- 契約している団信の保障内容を確認する
- 親の住宅ローンを肩代わりする方法と注意点
- 贈与税の基礎控除内で支援する
- 親子間で金銭貸借契約を交わす
- 負担付贈与を活用して子が借り換える
- 親の住宅ローンが払えないというお悩みもマネーキャリアが解決!
- 【まとめ】親の住宅ローンが払えないときは早めの対策が重要
親の住宅ローンが払えないときの対処法4選

親の住宅ローンが払えないときに行える対処方法は、主に以下の4つです。
- 金融機関に返済条件の変更を相談する
- 住宅ローンの借り換えを検討する
- 子が返済を肩代わりする
- 任意売却やリースバックを検討する
金融機関に返済条件の変更を相談する
払えないときには、借り入れしている金融機関に相談すると、返済条件を見直してもらえる場合があります。例えば、返済期間を伸ばす、毎月の返済額を減らす、返済の猶予を設ける、元金据え置きといった対応が可能です。
条件が変更されることで、たとえば月々の返済負担が軽くなり、無理なく返済を続けられるようになるケースもあります。こうした対応が受けられることがあるため、返済が難しくなった場合は、まず金融機関へ相談することが重要です。
住宅ローンの借り換えを検討する
住宅ローンを借り換えて、より金利の低いローンを利用できれば、返済総額や毎月の返済額を抑えることができます。親の住宅ローンが払えない場合は、低金利の住宅ローンに借り換えできないかを検討してみましょう。
ただし、借り換えには手数料や諸費用がかかるため、それらも含めて本当にお得になるかを確認する必要があります。実際に返済額や支払総額をシミュレーションし、総合的に見て負担が軽くなるかどうかを判断しましょう。
子が返済を肩代わりする
親が住宅ローンを払えないというときには、子どもが借金を肩代わりするという方法も取れます。親の借金を引き継ぎ、子供が返済していきます。ローンの契約内容を変更し、子供が連帯責任者や主債務者になれないか、金融機関で確認してみましょう。
親の借金を子供が払うということもできますが、この場合は贈与税が発生します。住宅ローンは千万円単位の借入になる場合が多く、その金額に贈与税が課税されると、数百万円、場合によっては千万円以上も税金を支払わないといけません。
また、契約者以外が返済を行うので、住宅ローンの契約違反になる可能性が高いです。親の代わりにお金を返すときは、先に金融機関で問題ないかを確認してください。
贈与税が発生したり、契約違反になったりする可能性があり、肩代わりしても問題が発生しては大変です。事前に税制度を確認して、ローンに詳しい専門家に相談しておくと良いでしょう。
任意売却やリースバックを検討する
どうしても払えないときには、任意売却で自宅を手放して返済資金を確保する方法や、リースバックによって自宅を売却しつつそのまま住み続ける方法があります。家を手放してもよい場合は任意売却、住み慣れた家に住み続けたい場合はリースバックを検討するとよいでしょう。
一般的には、任意売却のほうが市場価格に近い金額で売却できる傾向があるため、リースバックよりも高値で売れることが多いです。ただし、できるだけ高く売りたいという希望と、住み慣れた家に住み続けたいという希望が親子で食い違うこともあります。どちらの方法を選ぶかは、家族でよく話し合って慎重に決めましょう。
親の住宅ローンが払えない?そんな時はまずFPに相談を

親のローンが払えないとなると、今後どうやって返済資金を工面すればよいか不安に感じる人も多いでしょう。最悪の事態が頭をよぎることもあるかもしれません。ただし、払えなくなった場合にも、返済のための方法はいくつかあります。
任意売却や借金の肩代わりといった手段もありますが、どの方法でも債務が完全に解消されるとは限りません。残ったローンの返済については、引き続き支払いが必要になる可能性があります。
対処が遅れると、せっかくお金を工面しても足りず、完済できないことがあります。早めに対処することが大切です。そんなときは、住宅ローンに詳しい専門家に相談するのがおすすめです。FP(ファイナンシャルプランナー)なら、相談者の状況に応じて的確なアドバイスをしてくれます。

【実際どうだった?】親の住宅ローンが払えず困った人の体験談
実際に親の住宅ローンが払えないので、子どもが肩代わりしたという人にアンケートを取りました。
ここからは、実際に肩代わりした人の声をお伝えします。具体的にどのような困ったことが起きるのか、その事例を確認しつつ、自分の場合の備えとして役立ててください。
払えなくなったときどう対処しましたか?

親が住宅ローンを払えないときの対処としては、以下の回答同じ割合で多い回答となっています。
- 代わりに返済を引き継いだ
- リスケジュールの相談をした
- 親と同居して家計を見直した
払えない住宅ローンについては、子どもが経済的に余裕があれば返済を引き継ぐ方法や、リスケジュールで返済に猶予を持たせる対処法があります。また、親と同居して家計を見直し、返済資金を工面する方法もあるでしょう。
返済額を一時的に軽減したり、借り換えでローンの条件を変更して対処する人もいるようです。
対処する中で困ったことはありましたか?

親の住宅ローンに対処する中では、困ったこととしての回答は以下のような内容になっています。
- 大きな負担がかかった
- 手続きに時間がかかった
- 相談先がわからなかった
- 親との意思疎通がうまくできなかった
- 相続や税金の問題
なかでも「大きな負担がかかった」という意見が40.1%と最も多く寄せられました。親が住宅ローンを払えない場合、金銭的な負担だけでなく、手続きや相続といった面でも子どもに負担がかかります。
返済が滞ると購入した住宅を手放すことにもなりかねないため、早めに返済の目処を立てる必要があります。時間との勝負という側面もあり、子どもへの負担はさらに大きくなります。
これから備えておくとよいと思うことは?

30代女性
余剰金づくりが返済を楽にする

40代男性
現実的な返済計画で将来に備える
これまでは「何とかなる」と思っていましたが、実際にローンの総額や返済スケジュールを具体的に紙に書き出してみると、想像以上に今後の支払い状況が見えてきました。その結果、生活で何にいくら使っているのか、どこに無理があるのかが明確になりました。それに合わせて、月々の支出や貯蓄のバランスを調整し、5年後・10年後を見据えた計画を立て直すことができました。

50代男性
住宅ローン問題は信頼できる相談相手を作る
最初は家族だけでなんとかしようと頑張っていましたが、返済額や今後の生活を考えると、不安がどんどん大きくなっていきました。思い切ってファイナンシャルプランナーに相談したところ、返済方法の選択肢や制度の活用法まで丁寧に教えてもらえました。自分たちだけでは思いつかなかったアドバイスも多く、もっと早く相談すればよかったと実感しています。
親の住宅ローンが払えなくなる前に確認しておきたいポイント

親の住宅ローンが払えないという事態になる前に、以下のポイントを確認して、返済不能になることを避けましょう。
- 住宅ローンの 残高と完済予定時期を確認する
- 住宅ローンの契約条件を再確認する
- 契約している 団信の保障内容を確認する
住宅ローンの残高と完済予定時期を確認する
まずは、親の年収、ローンの残高、そして完済予定日を確認しましょう。これらを把握することで、返済すべき借金の総額や、親の年収で返済が可能かどうかがわかります。
金融機関の契約書や返済明細書、またはローンのシミュレーションを使って借金の金額を明確にしましょう。残債がわかれば、どれだけの資金を用意すべきか確認でき、対処方法も考えやすくなります。また、親の老後まで返済が続くかどうかもあわせてチェックしておきましょう。
住宅ローンの契約条件を再確認する
保証人がいるかどうかや、担保の条件など、住宅ローンの契約内容をしっかり確認しましょう。契約条件によっては、子どもに返済義務が生じたり、借金を含めて相続しなければならない場合もあります。
また、金利のタイプや繰り上げ返済の有無、返済方式もチェックが必要です。これらの返済条件によっては、返済額を軽減できる可能性があります。例えば、返済期間の延長や支払い猶予といった措置が適用できることもあります。万が一に備えて、返済負担を軽くできる契約条件かどうか、あらかじめ確認しておきましょう。
契約している団信の保障内容を確認する
契約している住宅ローンに付帯している団体信用生命保険(団信)の特約内容を必ず確認しておきましょう。団信とは、契約者が死亡または高度障害になった場合に、残りのローン返済が免除される制度です。どのような病気や傷病が保障の対象になるのか、詳しく確認することが重要です。
団信の特約で指定された病気や傷病になった場合にのみ、ローン返済が免除されます。たとえば、がんに対する保障を受けるには、がん特約を団信に付帯させている必要があります。
また、団信には「100%保障」と「50%保障」の種類があります。50%保障の場合、指定された傷病を発症してもローンの半分しか免除されませんので注意しましょう。
親の住宅ローンを肩代わりする方法と注意点
親の住宅ローンを子どもが肩代わりして支払う方法もあります。
肩代わりするときには、以下のポイントに注意しましょう。
- 贈与税の基礎控除内で支援する
- 親子間で金銭貸借契約を交わす
- 負担付贈与を活用して子が借り換える
勝手に肩代わりすると、思わぬ税金が発生することもあります。税務面や契約面での注意点も多いため、計画的に進めることが大切です。
贈与税の基礎控除内で支援する
親の住宅ローンを子どもが支払って負担すると、その支払いが贈与とみなされる可能性が高くなります。贈与と判断されると、贈与税が発生する場合があります。ただし、贈与税には基礎控除があり、年間110万円までは非課税※です。つまり、毎月約9万円までの負担であれば、年間110万円を超えないため、贈与税はかかりません。
しかし、親のローンを毎月負担し続ける場合は「定期贈与」とみなされるリスクもあります。定期贈与と判断されると、毎年110万円以内の贈与であっても贈与税が発生する※可能性があるため注意が必要です。
このようなリスクを避けるためには、贈与契約書を交わしておくことをおすすめします。贈与契約書があれば、あらかじめ決めた金額の贈与であると認められ、年間110万円以内であれば贈与税がかからないことを証明できます。
親子間で金銭貸借契約を交わす
110万円を超える金額を負担する場合は、親子間で「金銭消費貸借契約(貸借契約)」を結ぶ方法があります。親子間でも無利息での貸し借りは可能ですが、無利息だと税務上、贈与とみなされる※リスクがあります。そのため、契約書を交わし、適切に利息を設定することが重要です。
契約書には最低限、以下の内容を記載しましょう。
- 返済期日
- 利息率(無利息は避け、1%程度の利息を設定するのが一般的)
- 契約者の名前
- 契約日
また、返済は銀行振込など、返済の事実を証明できる記録が残る方法で行うことが必要です。これにより、贈与ではなく貸借契約として認められ、税務上の問題を避けやすくなります。
負担付贈与を活用して子が借り換える
親が所有する住宅を、ローン残債を子どもが負担するという条件で贈与する方法があります。 この場合、子どもは親から住宅を引き継ぐ代わりに、新たに住宅ローンを組み直して返済を引き受けます。
贈与税の課税額は「住宅の時価(評価額)からローン残債を差し引いた金額※」で算定されます。 そのため、ローン残債が多ければ多いほど、贈与税の課税額は軽減される可能性があります。
また、この方法は相続時精算課税制度と併用することで、贈与税の負担をさらに軽減できるケースもあります。 住宅の評価額やローン残債の確認、登記手続きなどは専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
※参照:負担付贈与に対する課税|国税庁
親の住宅ローンが払えないというお悩みもマネーキャリアが解決!

親の住宅ローン問題は、利害が複雑に絡みやすく、家族全員が同じ方向を向くのが難しい、非常にデリケートな問題です。
数百万円から数千万円にも及ぶ借金をどうするかという話になれば、子どもとしては「負担したくない」と思う一方で、親は「援助してくれるはず」と期待してしまうこともあります。こうした感情のすれ違いが、家族間のトラブルにつながることもあるため注意が必要です。
このようなデリケートな話こそ、第三者であるファイナンシャルプランナー(FP)のアドバイスが大きく役立ちます。FPであれば、感情に左右されず、客観的かつ現実的な視点でアドバイスしてくれます。
最近ではオンライン相談もできるため、遠方に住む家族との話し合いにも活用しやすく、問題解決に向けた一歩を踏み出しやすくなります。
【まとめ】親の住宅ローンが払えないときは早めの対策が重要
親の住宅ローンが返済困難な状況になったとき、そのまま放置してしまうと、状況はさらに悪化します。返済が滞れば、購入した住宅が競売にかけられる可能性もあり、大切な家を手放さなければならなくなるかもしれません。
大切なのは、早い段階で状況を正確に把握し、借り換えや返済条件の見直し(リスケジュール)などの対処を行うことです。子どもがローンの返済を肩代わりするという選択肢もありますが、多額の資金負担が必要になるため、慎重な検討が欠かせません。
そうした中で、専門家のサポートを受けることが、最悪の事態を避け、子どもへの負担を軽減するためにも重要なポイントとなります。まずは専門家に相談し、早めに対策を講じることで、家族の将来の安心につなげましょう。

親のローンを手伝うことになり、家計への影響が心配でしたが、毎月の支出を見直して、必要のないサブスクを解約したり、外食の回数を少し減らすなど、できるところから始めてみました。最初は小さな節約でも、数ヶ月経つと余剰金としてしっかり形になっていきました。その分を貯蓄や繰り上げ返済に充てることで、返済のプレッシャーがかなり軽減されました。