

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- ワイド団信の4つのデメリットとは?
- 保険料の負担が大きい
- 保障範囲が限定される
- 既往歴により加入できないケースも
- 取扱金融機関が限られている
- ワイド団信のデメリットが不安な人はまずFPに相談してみよう
- 【実際どうだった?】ワイド団信に加入した人の体験談
- ワイド団信の加入を決めた理由は?
- 保険料の負担についてどう思いますか?
- ワイド団信に加入してよかったと思いますか?
- 【ワイド団信はデメリットだらけ?】それでも団信に加入すべき3つの理由
- 家族の住まいや将来を守るため
- 健康不安に対する保障を増やすため
- 自身で保障を用意するより確実なため
- ワイド団信に加入できない・加入したくない場合の代替策3つ
- 団信への加入が任意の住宅ローンを選ぶ
- 配偶者名義で住宅ローンを契約する
- FPに相談して他の商品と比較検討する
- ワイド団信に加入するかどうかマネーキャリアと一緒に考えよう
- 【まとめ】ワイド団信のデメリットを理解し自分に合った住宅ローンを選ぼう
ワイド団信の4つのデメリットとは?
ワイド団信は、持病や過去の病歴がある方でも住宅ローンを組みやすくする仕組みとして注目されています。一方で、デメリットも存在します。加入しやすさの裏には、経済的な負担や制度上の制限が潜んでおり、内容を十分に理解しないまま選択すると後悔につながる可能性もあるでしょう。
こちらでは、ワイド団信を検討するうえで知っておきたいデメリットについて解説します。
- 保険料の負担が大きい
- 保障範囲が限定される
- 既往歴により加入できないケースも
- 取扱金融機関が限られている
保険料の負担が大きい
ワイド団信を利用する際に大きなネックとなるのが、保険料の上乗せによる金利負担です。一般的な団信では追加費用が発生しないケースが多いのに対し、ワイド団信では金利が年0.3%程度加算される場合※があります。
たとえば4,500万円を35年返済で借り入れる場合、金利0.3%の差は数百万円規模に膨らむケースも珍しくありません。月々の返済額に換算すると、数千円から一万円近い差が生じることもあり、長期的に家計に負担を与えます。
保障範囲が限定される
ワイド団信を利用するうえで見逃せないのが、保障の内容が非常に限定的な点です。
通常の団信では、死亡や高度障害に加えて「がん団信」や「三大疾病保障付き」など、より幅広いリスクに対応できるオプションを選べるケースがあります。
一方で、ワイド団信は基本的に「死亡」と「高度障害」に限定されたシンプルな内容にとどまるのが一般的です。持病や既往歴がある人でも加入しやすいように設計されている分、保障範囲が狭く設定されています。
既往歴により加入できないケースも
ワイド団信は、健康状態に不安がある人でも加入しやすいが、誰でも必ず契約できるわけではありません。ワイド団信も生命保険の一種である以上、金融機関や保険会社が設ける基準を満たす必要があります。
たとえば、従来の団信では糖尿病や高脂血症といった生活習慣病を抱えていると、加入が難しい場合がありますが、ワイド団信であれば加入できるケースもあります※1。しかし、合併症を発症していたり、重度に進行していたりすると引き受けを断られる可能性が高まる※2ため注意が必要です。
※1参照:ワイド団信|百五銀行
取扱金融機関が限られている
健康に不安がある方でも住宅ローンを組みやすくするワイド団信ですが、すべての金融機関で取り扱っているわけではありません。
住宅ローンを検討する際には、事前に候補の金融機関がワイド団信に対応しているか確認する必要があります。もし対応していなければ、たとえ金利やサービス内容が魅力的でも、その金融機関では利用できません。
健康面に不安がある方にとって、ワイド団信の有無は住宅ローン選びの重要なポイントです。
ワイド団信のデメリットが不安な人はまずFPに相談してみよう

ワイド団信は、住宅ローンを組む際の大きな助けとなります。しかし、保険料の負担増や保障範囲の限定性など、デメリットの注意が必要です。そのため、自分に必要かどうかを冷静に判断する必要があります。
そんなとき役立つのがFPへの相談です。FPは住宅ローンや保険の専門知識を持ち、加入の可否だけでなく「どのようにリスクを補えば安心できるか」といった多角的な視点からアドバイスをしてくれます。団信そのものの重要性や代替策についても整理してくれるため、客観的に判断する助けとなるでしょう。

【実際どうだった?】ワイド団信に加入した人の体験談
ここでは、実際にワイド団信へ加入した自営業の方の体験談を紹介します。
住宅ローンを組む際、健康状態や収入の安定性に不安を抱える人にとって、ワイド団信は心強い選択肢です。しかし同時に、保険料の負担が気になる方も少なくありません。
実際の加入理由や費用に対する印象、さらに加入後の満足度を知ることで、自身の判断に役立てることができるでしょう。
※2025年08月27日~2025年08月31日時点での当編集部独自調査による
※審査や借入額は個人によって異なるためご了承ください
ワイド団信の加入を決めた理由は?

アンケート回答者に、ワイド団信の加入を決めた理由について伺ったところ、多かったのは「住宅ローン審査を確実に通したいから」で31.2%を占めました。住宅購入は人生の大きな転機であり、ローン審査に落ちると計画が根本から崩れてしまうため、この結果は自然な傾向といえるでしょう。
次いで「健康上の不安があるため」と「通常団信に落ちたから」がいずれも25.0%となり、持病や体調面での懸念が加入の後押しとなっていることが分かります。
保険料の負担についてどう思いますか?

保険料の負担について伺ったところ、多かったのは「納得できる/妥当」との回答で35.7%でした。これは、リスクを踏まえて金利上乗せを受け入れている人が一定数いることを示しています。
次いで「負担が重いが仕方ない」と回答した人が28.6%で、コストの高さを感じつつも他に選択肢がない状況を反映していると考えられます。また「不満・高すぎる」とした人も21.4%おり、経済的な負担を問題視する層もいることが分かりました。
ワイド団信に加入してよかったと思いますか?

アンケート回答者に、ワイド団信に加入してよかったか聞いたところ「まあそう思う」と回答した人が最も多く41.7%を占めました。次いで「とてもそう思う」と答えた人が33.3%おり、肯定的な意見が全体の7割以上を占める結果となりました。
一方で「あまりそう思わない」が16.7%で「まったくそう思わない」が8.3%と、否定的な見解も一定数見受けられます。結果的に、経済的な負担や満足度には個人差が大きいことが分かりました。

20代男性
夢のマイホームが手に入ってうれしい
自分は以前通常の団信に落ちてしまい、一時はマイホームを諦めるしかないかと考えていた時期もありました。

30代男性
持病があっても住宅ローンが組めた
健康診断での再検査が多く、持病もあったため、通常の団信での住宅ローン審査は難しいと諦めかけていました。

30代女性
保障があることで不安が減った
住宅ローンを組むにあたり、金利上昇よりも「保障がある安心感」を優先したいと考えていました。ワイド団信に加入してからは、万が一の時に家族に借金を残す不安がなくなり、精神的にとても落ち着いて生活できるようになりました。

40代男性
保証が手厚いから、加入してよかった
持病があり、通常の団信に加入できなかったため、ワイド団信しか選択肢がありませんでした。

30代女性
FPとの相談がこの良い選択に繋がった
借入額が大きかったため、ワイド団信への加入を決めるにあたり、FPに相談することで、保障内容や家族への影響について深く理解できました。
【ワイド団信はデメリットだらけ?】それでも団信に加入すべき3つの理由

ワイド団信は金利上乗せなどのデメリットがあるため、「本当に必要?」と疑問に思う方もいるかもしれません。たしかに負担は増えますが、それでも加入すべき明確な理由があります。
特に健康面に不安がある方にとって、ワイド団信は住宅購入の道を開いてくれる重要な手段です。メリットとデメリットを正しく理解した上で、加入を検討する必要があるでしょう。
ここでは、ワイド団信に加入する価値がある3つの理由を解説します。
- 家族の住まいや将来を守るため
- 健康不安に対する保障を増やすため
- 自身で保障を用意するより確実なため
家族の住まいや将来を守るため
住宅ローンは高額な借入のため、万一の際に遺族に多額の借金が残るリスクがあります。返済が滞れば、生活だけでなく将来の計画にも大きな影響が出るでしょう。こうした事態を防ぐため、団信は重要な役割を担います。
ワイド団信には、通常の団信にはない金利上乗せなどのデメリットがあります。しかし、加入することで住宅ローンの残債が相続人に引き継がれるリスクをほぼゼロにできる点は大きなメリットです。
保険料の負担は発生しますが、家族の住まいや生活基盤を守れると考えれば、安心感は計り知れません。
健康不安に対する保障を増やすため
一般的な団信は、健康状態が厳しく審査されるため、持病などがあると加入を断られ、住宅ローンを組めない方もいます。
しかし、ワイド団信は健康面に不安があっても、一定の条件を満たせば加入できる可能性があり、有効な選択肢です。保険料は割高ですが、健康に不安がある方ほど利用価値は高いと言えるでしょう。
「健康状態を理由にローンを諦めたくない」と悩んでいる方にとって、住宅購入を可能にする制度です。
自身で保障を用意するより確実なため
団信の特徴は、住宅ローンの残債と直接連動している点です。
団信は生命保険などと異なり、契約者に万一のことがあった際、保険金はローンに直接充当され、自動的に完済されます。家族が複雑な手続きをする必要がないため、スムーズに債務が解消されるのは大きな利点でしょう。
また、住宅ローンと一体化しているため、多くの場合は追加保険料が不要です。自ら保険を準備する場合と比べ、保険料の管理や見直しが不要となり、家計管理がシンプルになるのもメリットです。
ワイド団信に加入できない・加入したくない場合の代替策3つ

ワイド団信は、審査に通らない場合や保険料負担が重い場合など、さまざまな理由から「加入したくない」と考えるケースもあります。
一方で、団信を利用しない場合には、万一のときに家族へ返済の重荷を残してしまうリスクがあるため注意が必要です。ワイド団信を選ばないからこそ、他の選択肢や補完策をきちんと検討しておく必要があります。
こちらでは、ワイド団信を利用しない場合に考えられる代替策について解説します。
- 団信への加入が任意の住宅ローンを選ぶ
- 配偶者名義で住宅ローンを契約する
- FPに相談して他の商品と比較検討する
団信への加入が任意の住宅ローンを選ぶ
民間の住宅ローンでは、団信への加入が原則必須となっています。
しかし、フラット35に関しては団信の加入が任意であるため、健康上の理由で団信に入れない人でも利用できる点が大きな特徴※です。この特徴は持病や既往歴で諦めていた方にとって、住宅購入を可能にする選択肢となります。
フラット35は、団信に加入しない分、保険料負担がなくなるため、毎月の返済額を抑えられるメリットもあります。団信の審査に不安がある人にとっては、魅力的な制度です。
配偶者名義で住宅ローンを契約する
ワイド団信の代替策として、健康な配偶者を住宅ローンの主債務者にする方法があります。配偶者は通常の団信に加入できるため、ワイド団信の金利上乗せや保険料負担といったコストを避けられる点が大きなメリットです。
しかし、この方法は誰でも利用できるわけではありません。配偶者が借主になるには、金融機関の審査基準を満たす収入や勤務形態が求められます。安定した年収がなければ融資は難しく、健康面だけでなく経済的な要件もクリアする必要があるため注意が必要です。
FPに相談して他の商品と比較検討する
団信やワイド団信の審査基準は、金融機関によって大きく異なります。ある銀行でワイド団信でないと通らない場合でも、別の銀行では通常の団信で契約できることもあるでしょう。1つの審査結果で諦めると、他の選択肢を逃す可能性があります。
こうした状況を避けるには、複数の金融機関を比較検討することが重要です。しかし、ローン金利や保障内容などを自力で調べるのは時間と労力がかかります。
特に健康面に不安がある方にとって、どの金融機関なら利用できるかを見極めるだけでも大きな負担となります。
ワイド団信に加入するかどうかマネーキャリアと一緒に考えよう

ワイド団信は、金利上乗せや保障範囲の限定といったデメリットもあります。そのため、返済負担や保障内容が理由で加入を迷う方も少なくありません。
もし1人で不安を抱えているなら、一度FPをはじめとした住宅ローンの専門家に相談することをおすすめします。
マネーキャリアなら、住宅ローンを専門とするFPが、利用者の収入やライフプランに合わせて最適な方法を提案してくれるでしょう。ワイド団信の要否だけでなく、他のローンや保障との組み合わせも検討できるため、長期的に安心できる計画を立てられます。
【まとめ】ワイド団信のデメリットを理解し自分に合った住宅ローンを選ぼう
健康に不安がある方でも住宅ローンを組みやすくするワイド団信ですが、金利の上乗せや保障範囲が限定されるなどの課題があります。さらに、病歴によっては加入できなかったり、取り扱い金融機関が限られたりする点にも注意が必要です。
しかし、万が一の際に家族を守る団信は軽視できません。そのため、ワイド団信が合わないと感じても、フラット35のように団信加入が任意のローンや、健康な配偶者名義で借り入れる方法も選択肢に加えましょう。
このように、自身の状況や将来の計画に合わせて、最適な方法を判断することが大切です。

住宅ローン返済中に契約者が死亡または高度障害によって働けなくなった場合、残りの住宅ローンの返済が免除される保険制度です。これにより、遺族はローンの返済義務から解放され、住まいを失うリスクを回避できます。
ただし、健康状態によっては加入できない場合もあるため注意が必要です。