iDeCoを運用する上での利回りの考え方とは？計算法と資産配分を解説

▼この記事を読んで欲しい人 

• iDeCoの運用利回りの仕組みが知りたい人 
• iDeCoの運用目標の決め方を知りたい人 
• iDeCoの運用商品の決め方を知りたい人 

こんにちは。マネーキャリア編集部です。 

個人による老後のための資産形成は今や当たり前となってきました。そんな資産形成の手段でも多くの人が利用しているiDeCo。

あなたはiDeCoを運用する時の利回りについてしっかり理解していますか？

1％の利回りの違いが20年30年後の受け取り金額に大きく影響してくるのです。 

「利回りってなんで重要視されているの？」 

「利回りはどう計算すればいいの？」 

今回はそんなiDeCoを運用する上で理解しておきたい利回りの重要性や計算方法をメインに解説していきます。

この記事を通して今後の運用商品選びの参考になれば幸いです。 

iDeCoの運用で利回りを考えなければならないのは、インフレやデフレが運用資産に影響してくるからです。

日本では現在デフレの状況が長らく続いています。しかし、いつまでも物価の価値が等しいわけではないですよね。

いずれインフレになった場合、物の価値は上昇しますから、今まで100円で買えたものでさえ150円や200円と現在よりも必要になる資金は多くなります。

iDeCoによる資産運用にも影響はあり、想定していたよりも下回った利回りで運用されるようになれば、本来得られるはずの利益が減ってしまうため損です。

どうせ運用するのであれば、高い利回りを考慮した運用を目指していきたいですよね。

損失を出さないためにもインフレになった場合を考慮した利回りの高さを重視しておかなければなりません。

資産分配が重要なのは分散投資によって全体へのリスクを軽減できるからです。

資産分配とは、ひとつの商品だけに資産を配分するのではなく、商品それぞれの特徴やリスクを理解した上で複数の商品に資産を分けることです。

ひとつの商品だけに偏って資産を運用していれば、その商品が下落した際にかなりのダメージになりますよね。

せっかく貯めてきた資金が取り返しのつかない額まで下落しているということも。

こうした事態を避けるためにも資産は複数の商品に分配しておくのが一般的となっています。

「300万円くらいは将来受け取りたい」

「老後に余裕のある生活を送りたいから500万円くらいかなぁ…」

それぞれ老後のための資金としてiDeCoでこのぐらい貯めておきたいという目標があるかと思います。

そうした目標を達成するためにはどのようなことに注目すればよいのでしょうか。 

iDeCoで理想的な運用目標を達成するためには、 

• 運用利回り
• 毎月の積立額
• 運用年数 
  

の３つの指標が重要です。 

運用利回りは常に一定というわけではないため、当然良い年もあれば悪い年もあります。

運用目標まで運用利回りが何％であればよいかはある程度想定しておきましょう。 

毎月の積立額は運用目標に大きな影響を与えます。毎月コンスタントに上限額近くまで積み立てることができれば、早い段階で運用目標を大きく上回ることも可能でしょう。 

あまり多くの資金を運用に回せない場合は、それだけ運用目標を達成するために時間がかかることになるので、運用年数は多く見積もった方がよいでしょう。 

ここからは毎月１万円を積み立てて、30年運用していく場合を見ていきましょう。 

運用利回りは1％、2％、3％を想定してそれぞれの元本と利回り益の合計を比較してみます。 

単純に30年間で1万円を積み立てるとなると、元本の総額は360万円ですね。

利回りが3％の30年後を見てみると、約580万円と120万円ほど利回り益が上乗せされています。 

こうして見ると運用目標のイメージもつきやすいのではないでしょうか。

もちろん、投資商品を購入しながらの運用になると元本割れのリスクは覚悟しておかなければなりません。

仮に元本が割れてしまった場合に備えて、毎月の積立金額や運用年数の見直しなどは定期的に行うようにしましょう。 

利回りだけでなく、毎月の積立額や運用期間も受け取り金額に違いが出るのがわかりましたね。

ここではさらに運用利回りの違いで将来の資産にどのくらいの差が出るのかを例を用いて解説していきます。

運用利回りの違いが将来受け取る金額に大きく影響してくるのは先ほど解説した通りです。

もう少しこの点について例を用いながら見ていきましょう。 

例えば、月1万円の年間12万円を30年間積み立てる場合。 

運用利回り2％の時

計算には年間積立額と運用期間30年の場合の年金終価係数が必要です。

年金終価係数とは、ある一定の期間で毎年一定の利回りと積立額で複利運用する際に、将来の受取額がいくらになるのかを計算するための指標です。

利回りが2％の場合、年金終価係数は41.3794となります。

12万円（年間積立額）×41.3794（年金終価係数）=約500万円

運用利回りが4％の運用 

利回りが4％の運用期間30年の年金終価係数は58.3283になります。

12万円（年金積立額）×58.3283（年金終価係数）=約700万円 

利回り2％、4％では約200万円の差が生まれていますね。

数％の違いが将来受け取る金額に大きな影響を与えていますので、利回りを重視しなければならないのは当然のことなのです。

将来の受け取り額が大体理解できたでしょうか。

「将来もらえる総額でなく、年間いくらくらいになるのか」について知りたい方もいるでしょう。

もちろん、年間いくら受け取りたいかを設定しておくことで必要になる資産がわかります。

退職してから20年間で年間60万円を受け取りたいといった場合を例に考えます。

利回りの違いは受け取り金額に影響を与えますから、その違いによっても必要になる資産額は変わってきます。

ここでは、年金現価係数という指標を用いることになります。 

年金現価係数とは、一定の利回りで元本を運用しながら、一定金額を毎月受け取りたい場合、現在いくらの元本で運用をすればよいかを求めるための指数です。

運用利回りが1％の時 

年間受け取り額が60万円、利回り1％の場合の年金現価係数は18.2260です。

60万円（年間受け取り額）×18.2260=約1094万円 

運用利回りが3％の時

年間受け取り額が60万円、利回り3％の場合の年金現価係数は15.3238です。

60万円（年間受け取り額）×15.3238　=約920万円 

利回り1％、3％では年間60万円をもらうために必要な資金の差は約175万円ということがわかりますね。

もちろん、年間の受け取り金額をもっと増やしたい場合はこの差がさらに広がることになります。 

「老後資金2000万円問題」は少し前に話題なったニュースです。

老後の20〜30年間で約2000万円が不足するという金融庁の審議会による発表は、多くの人が老後の生活に不安を覚えるものでした。

しかし、実際に2000万円もの資金を現段階から積み立てて貯蓄することが可能なのでしょうか。 

ここからはiDeCoで2000万円を貯めていくための考え方を解説していきます。 

結論から言うと、老後までに2000万円貯めることは不可能ではありません。

そのためには以下のような条件が必要になります。

• 月23,000円の積立 
• 運用期間は30年 
• 年利は5％

この条件で運用していけば、30年後には4749万円と2000万円に届くばかりか倍以上の資産を形成することが可能です。 

仮に年利や運用年数を変更するといくら受け取れるようなるのかは、以下の表を参考にしてみてください。 

毎月23,000円を積み立てていった場合の例です。

2000万円に届いているのは、年利10％で30年間運用した場合のみとなっています。

年利10％はかなりの高利回りですが、2000万円に届くためにはそれなりの期間が必要なことがわかります。

また、一般的に年利5％は現実的な利回りとは言われていますが、それでも30年運用した場合には1876万円と2000万円には届いていません。

ここでの計算は年利を一定にしていますが、高利回りを何十年も継続するというのは現実味に欠けますよね。

年利はもちろん上がったり下がったりを繰り返しています。上記の表以上の運用実績が得られる可能性もあれば、その逆も然りです。

ここでは所得控除を考慮していませんが、所得控除も運用資産に大きな影響を及ぼします。 

年間の所得控除額は年収によっても異なりますが、この所得控除も含めれば2000万円に到達することもあり得ない話ではないのです。 

iDeCoで運用可能な外国株式では国内株式と比べて、高い利回りが期待できます。

日本の低金利は老後の資産形成にも影響してくるわけですね。

外国株式はさまざまな指数が用いられていますが、どの指数も利率は大きく伸びてきています。

例えば、「MSCIコクサイインデックス」という先進国株を対象にした指数では、５年間預けて約15.7%のプラス、10年間では約14.9%といずれも10％を超えています。

上記の表を参考にすれば、30年に満たなくても2000万円に到達できる可能性も見えてきますね。

先ほどもお伝えした通り、投資信託では価格の値下がりによって元本割れするリスクも考慮しなければなりません。

大きな金融危機などが訪れた場合、毎月苦労して積み立ててきた資産がガッツリと減ってしまう可能性も。

運用期間によっては商品の一部を売却して定期預金に移すなど万が一のリスクにも備えるなどの検討が必要です。

毎月23,000円をクリアできれば、30年後に2000万円を貯めることは不可能ではありません。

しかし、毎月23,000円という金額は決して小さくありません。

住宅ローンや家賃、子どもの教育費や生活費など家計が圧迫している家庭では、その負担もさらに重くなるでしょう。

では、どうやって毎月23,000を貯蓄に回していけばよいのか。

そのためには収入を増やす、支出を減らすの2通りの手段しかありません。

現実的に考えれば、支出を減らしていく方が再現性は高いのではないでしょうか。 

• スマホを格安SIMに変更する
• 加入している保険の保険料を減らせないか見直す
• 家賃が安い場所へ引っ越す

など、削れる負担もあります。

収入を増やすことも難しいことではありませんが、それなりに時間がかかりますし、家庭への負担も出てくるでしょう。

仮に職場で昇進などをして給料が上がれば毎月23,000円も現実味が出てくる金額になりますよね。 

まずは身の回りに支出に目を向けて、見直すことから始めてみることをオススメします。 

iDeCoで運用商品を決める場合は資産配分をどのように行うかがポイントです。

ここでは資産配分の方法や運用商品の種類などについて解説します。

元本確保商品は毎月積み立てた金額の総額が減ることのない安定した運用商品です。

定期預金や保険商品などが元本確保商品に該当します。

しかし、利回りはかなり低めの設定なので大きなリターンは期待できません。 

投資信託は投資家から一挙に集めたお金をまとめて運用のプロが株式や債券などへ投資・運用を行います。

運用の結果、利益が出れば投資した金額に応じてその利益が分配される仕組みです。 

投資信託は細かく分類すれば以下の4つに分けることができます。

• 国内株式型
• 国内債券型
• 外国株式型
• 外国債券型

国内、海外と国や地域でも投資信託は分類され、それぞれ特徴や仕組みなどが異なってきます。

株式型の投資信託では文字通り、複数の企業の株式を購入することで運用していきます。

企業の実績などによって株式の値段が上下するため、投資する企業が今後成長していくかが企業選びのキーポイントとなるでしょう。

投資する企業の判断自体は投資のプロが行ってくれるので安心です。

債券型では、国や政府、企業などが投資家から資金を借りるために債券を中心に購入し運用していきます。

債券はいわば投資家からの借金なので、元本と利息を合わせた金額を受け取ることが可能です。

あらかじめ受け取れる利子が設定されているので、満期になればいくら受け取れるかの計算が容易です。

また、満期前に売却することも可能ですので、流動性の高い商品と言えるでしょう。 

iDeCoで投資信託をメインに運用していくのであれば分散投資は必須です。

分散投資をすることで例え1つの商品の価格が下落しても、全体としてのダメージは最小限に抑えられます。

ここでは分散投資の手順や方法などを解説していきます。 

分散投資はどのような手順で行えばよいのでしょうか？

具体的な流れは以下の通りです。

1. 元本確保商品や投資信託をどう分配するかを考える
2. 投資信託の中で種類や配分を考える

元本確保商品と投資信託の配分を考える 

1つの商品だけをメインに資産運用していると、価格下落時の影響はかなり大きなものになります。

そのリスクを避けるために複数の商品に資産を分散しておきましょう。

まず考えたいのは、定期預金などの元本確保商品とリスクを抱えてリターンを狙う投資信託をどう分配していくかです。

ある程度リスクを許容できるのであれば、投資信託の配分を多めに。

リスクが少なく、なるべく安定的に資産形成がしたいのであれば元本確保商品を多めに配分しておくとよいでしょう。 

投資信託の中で種類や配分を考える

それぞれの配分が決まったら、次は投資信託の中での種類や配分を考えます。

投資信託の種類については先ほど紹介した投資信託の4つからどれを運用するかを選択します。

一般的に外国型の方が利回りが高く、人気の高い商品もラインナップされているので外国型を選ぶ人も多いです。

しかし、その分国内型と比べると下落のリスクも少なくないため、リスクをある程度許容できる場合は外国型をメインに配分していくとよいでしょう。

投資信託でのリターンは投資信託そのものの種類だけでなく、運用形態によっても大きく異なります。運用形態には以下の2つがあります。 

• アクティブ型
• インデックス型

アクティブ型は投資の専門家であるファンドマネージャーがさまざまな企業の調査や分析の基で銘柄を選択して運用します。その分運用にかかる手数料は割高になりやすいです。 

インデックス型は日経平均株価やNYダウなどの株価指数と連動するような運用を目指します。

アクティブ型と比べて運用にかかる手数料は少なく、投資の知識がない初心者からプロの投資家まで多くの人がインデックス型を用いた運用を行なっています。

iDeCoでの商品選択は自分自身で行う必要があるので、商品ごとの違いや特徴をしっかり理解してから運用を進めるようにしましょう。

運用について悩んだり、わからないことがある場合はお金のプロに相談してみることも有効な手段のひとつです。 

投資信託の多くはあらかじめ分散投資が行われています。

投資信託の商品のひとつの中にはさまざまな企業がつまっています。

ひとつの袋の中にさまざまな種類のアメが入っている状態と言えば想像もつきやすいのではないでしょうか。

さらに、投資の業界用語には「卵は1つのカゴに盛るな」という格言もあるくらい、分散投資は一般的となっているんですね。

こうして考えてみると、投資信託ひとつ選ぶだけでも立派な分散投資だと言えます。

さらに複数の投資信託に配分していくことで、さらなる分散投資が行われリスクを最小限に抑えることができます。 

「iDeCoについてわかってきたけど、イマイチピンと来ない…」

「もう少し簡単に利回りの計算ができて受け取り金額が把握できたらなぁ…」

そんな方にはiDeCoの運用利回りシミュレーションを活用することをオススメします。

iDeCoの運用利回りシミュレーションでは自身の年齢や年収、希望する掛け金や運用利率から将来受け取れる概算を割り出すことができます。

わざわざ自分で計算式を用いてあれこれと計算しなくてもいいので、手間も時間もかかりません。

入力項目も少ないため、パッと受け取り金額をイメージすることが可能です。 

シミュレーションは以下のサイトを活用してみましょう！

• 楽天証券　iDeCo節税シミュレーション 
• iDeCoシミュレーション 

ここまでiDeCoの運用利回りについて詳細に解説してきました。

とはいえ、

このような悩みを抱える方は多いでしょう。

結論から言うと、そのような方は、お金のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。

FPは、iDeCoだけではなく、様々な金融商品を比較検討しながら、相談者の資産状況や、家計の状況に合わせて最適な提案をすることができます。

特に、マネーキャリア無料FP相談サービスは3,000名のFPと提携している日本最大級のFP相談サービスです。 

マネーキャリアの無料FP相談サービスでは、スマホ一つで保険の悩みやお金に関する悩みをすべて解決できます。 

なぜなら相談の予約はすべてLINE上で完結し、相談もZOOMなどを用いたオンラインの相談が可能だからです(もちろん対面も可能)。 

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iDeCoの運用利回りについてをお伝えしてきました。

自身の目標とする受け取り金額を達成するためにも、運用利回りは見逃せないポイントであることがわかりましたね！

今回のまとめとして…

• iDeCoで運用利回りが重要視されるのはインフレの可能性に備えるため
• 運用利回りだけでなく、毎月の積立金額や運用年数も受け取り額に大きく影響する
• 老後2000万円は毎月23,000円の30年積立、年利が5％でも十分達成できる
• 元本割れリスクを避けるためにも資産分配をして運用を行う
• リスクを避けた安定的な運用なら元本確保商品を運用する
• リスクを許容してリターンを求めるなら投資信託を運用する
• iDeCoの運用利回りシミュレーションを活用すれば資産形成のヒントになる 

老後にどれだけの金額を残しておきたいかは、現在の家庭環境や経済状況によって人それぞれですね。 

また、iDeCoの運用商品は自分自身で選択して運用することになるので、ある程度運用商品については勉強する必要も出てきます。

不明な点や運用に不安があれば、お金のプロを頼るようにしましょう。 

マネーキャリアでは、他にも読んで頂きたい記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。