「iDeCoで節税」は嘘?iDeCoの節税効果の仕組みについて徹底解説のサムネイル画像

iDeCoの認知度・問い合わせ数が増えており、iDeCoの節税とはどんな仕組みなのか?「iDeCoの節税効果は嘘」という記事を見たが本当か?などの質問も増えてきました。今回の記事では、「iDeCoの節税効果は税金の先延ばしにすぎない」という論説についてまとめていきます。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

iDeCoで節税は嘘?税金の繰延に過ぎない?

節税効果が高いことで人気のあるiDeCoですが、その節税効果は「嘘」ではないか?という論説があります。


iDeCoの節税効果については、掛金時点の節税効果があるが、受け取り時に納税しないといけないから税金の繰延(先延ばし)にすぎないのではないか、という議論になります。


果たして、本当に節税効果はないのでしょうか。「嘘」は噂で、本当は節税効果があるのでしょうか。


この記事では、iDeCoを初めて知ったという方にも分かるように、iDeCoの節税効果の仕組みや、節税効果の嘘と言われる理由、iDeCoの本当の節税効果とは何なのかについて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

iDeCoにおける税制優遇(節税)メリット3つとは


iDeCoに加入することで、得られるメリットは3つあります。


iDeCoでは拠出時、運用時、受け取り時において節税効果が得られるのです。


iDeCoで得られる節税メリットは以下の3つになります。

  • 掛金は全額所得控除
  • 運用益は非課税 
  • 受け取りの際、税制優遇(今回のメインテーマ)

 それぞれどのような節税効果があるのかを、詳しく見ていきましょう。

iDeCoの節税効果は魅力的ですが、個人の状況によって最適な活用方法は異なります。


将来の生活設計や、ほかの投資との兼ね合いを考慮し、適切な拠出額や運用方法を選択することが重要です。


専門家のアドバイスを受けることで、より効果的なiDeCoの運用が可能になります。

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掛け金は全額所得控除となるから所得税と住民税を少なくできる

まずは所得税と住民税を少なくできるということに関してみていきましょう。


所得控除には、支払った金額の一定の金額までしか、差し引くことのできないもの(生命保険料控除、医療費控除)と、全額を差し引くことができるものがあります。


iDeCoの掛金は、「小規模企業共済掛金控除」 という所得控除の1つに該当するので、所得から全額差し引くことができるのです。


そんなiDeCoに加入すれば、一体どのくらい所得税や住民税の負担が軽減されるのでしょう。


その前に、日本の所得税について知っておきましょう。

日本は所得が多い人ほど税率が上がる、累進課税制度を採用しています。


以下の表を参考にしてください。

課税所得所得税住民税
195万以下5%10%
195万超~330万以下10%
10%
330万超~695万以下20%10%
695万超~900万以下23%10%
900万超~1,800万以下33%10%
1,800万超~4,000万以下40%10%
4,000万超~45%10%

(参考:りそな銀行


ではiDeCoに加入した際の課税所得ごとに、年間の税金負担軽減額を見てみましょう。

  • 企業年金のない会社員の年間拠出額27万6,000円(月間拠出限度額23,000×12)
  • 自営業者の年間拠出額81万6,000円(月間拠出限度額68,000×12)

上記の条件で、年間の税金負担軽減額を以下にまとめました

所得税+住民税年間掛掛金27万6,000円の軽減額年間掛金81万6,000円の軽減額
15%4万1,000円12万2,405万5,200円
20%     5万5,200円16万3,200円
30%8万2,800円24万4,800円
33%9万1,080円26万9,280円
43%11万8,680円35万880円
50%13万8,000円40万8,000円
55%15万1,800円44万8,800円

(参考:りそな銀行

表からも分かるように、課税所得が多い人ほど、所得控除のメリットがあります。

そして、課税所得が同じであっても、掛け金が多いほど節税効果も大きくなります。


表は1年間の税金の負担軽減額です。

これが10年、20年となれば、その大きさはかなりのものとなるでしょう。

利息・配当・売却益などの運用益は非課税で再投資


次に運用時のメリットです。

通常、株式投資や不動産投資、投資信託などの資産運用で発生した運用益(利息・配当・売却益)には、税率20.315%の税金がかかります。
しかし、iDeCoで発生した運用益には税金が非課税で再投資されます。

※ 税金が非課税になって受け取れるわけではなく、非課税で再投資されるだけです。勘違いしやすいポイントなので要注意です。

iDeCoを年金・一時金として受け取る際に控除がある

今回の論説のテーマですが、こちらがポイントになります。
こちらはiDeCoという制度で決まっている節税効果ではなく、一般的な控除(医療費控除やふるさと納税の寄付金控除、保険料控除などはご存知の方もいらっしゃるかと思います。)のお話です。

所得控除の中に「退職金控除」というものがあります。
会社から勤労の御礼としての「退職金」に加えて、iDeCoの一時金についてもこちらの控除に含めることができるため、税控除メリットがあるのです。
※年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となる点には注意してください。

退職金控除についての説明

退職金控除について(国税庁

退職金控除について(国税庁)
退職金控除の計算はやや複雑ではあるのですが、45年程度勤続年数がある場合、最大2500万円程度まで控除される計算になるため、非常に大きな節税効果となっております。

転職などを繰り返していて、退職金がない方などには活用すべき控除の制度の1つです。

iDeCoには、さまざまな税制優遇がありますが、少し複雑です。

理解すべきポイントが多く、誤った選択をすると、期待した効果が得られないリスクがあります。


しかし、適切に活用すれば、大きな節税効果が得られます。


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iDeCo掛け金拠出時の節税について解説


iDeCoへの拠出金は全てが所得控除となります。そのため、所得税と住民税の軽減ができます。

以下の期間での節税額をどれくらいになるのかを検証
  • 1年間の控除額
  • 30年間の控除総額
条件は以下とします。
課税所得税率
(所得税+住民税)
年間拠出限度額
(企業年金のない会社員)
300万円20%27万6,000円
では実際、どのくらいの節税が可能なのかを検証してみましょう。 

課税所得が300万の場合の課税される税率20%の5万5200円が控除対象に

課税所得300万円で、企業年金のない会社員の条件を以下にまとめました。
課税所得税率
(所得税+住民税)
年間拠出額
(企業年金のない会社員)
300万円20%
(10%+10%)
27万6,000円
(月間拠出限度額23,000×12)

年間拠出額は27万6,000円で、税率は20%なので、

27,6000×20%=55,200

となり、年間5万5,200円の節約となります。

1年から30年運用を続けた場合の控除総額を解説

前述のとおり、掛け金の所得控除額のみで、1年間で5万5,200円の節約ができることがわかりました。

では、30年運用を続けた場合の控除総額はいくらになるのかを見ていきましょう。

年率3%で30年間運用を続けた場合
30年間積み立てた金額828万円
(年間拠出額276,000×30)
年利3%の運用利益485万815円
節税額(通常発生する税金)98万5443円
(485万815円×20.315%)


30年間の運用益にかかる税金は98万5443円でした。この金額が節税できることになります。

ということで、この条件で30年間運用した場合の控除総額は

30年間の所得控除額

55,200円×30=1,656,000円

そこに運用での控除額を足すと

165万6000円+98万5443円=264万1443円 

なんと264万1,443円もの控除を得ることができました。


iDeCoは60歳まで解約できませんが、解約せずに積み立てていった場合の節税メリットは大きなことがおわかりでしょう。

iDeCoの節税効果は、長期的に見ると非常に大きいことが、わかっていただけたと思います。


しかし、個人の状況によって最適な運用方法は異なります。


年齢や収入、ライフプランに合わせた最適なiDeCo活用法を知りたい方は、専門家に相談するのがおすすめです。

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iDeCo運用時の節税効果について解説


前述にもありましたが、通常の資産運用で発生した利益(運用益)には約20%の税金がかかります。


例えば、運用資産を受け取る際に運用益が100万円あったとします。

100万円×20%=20万円

発生した利益100万円のうち20万円を税金として支払わないといけません。


しかし、iDeCoにおいて運用益は全額非課税となりますので、100万円全額を受け取れるということになります。


よって、20万円の節税となります。

運用時における税金の影響も大きく、魅力的です。


しかし、個人の状況によっては必ずしもiDeCoが最適とは限りません。


自身の生活設計や将来の目標に合わせた最適な運用方法を見つけるには、専門家のアドバイスが効果的です。

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受け取り時の節税効果について解説


続いて、iDeCoの受け取り時の節税効果についてです。


受け取り方によって対象の控除が変わってきます。

  • 少額づつ受け取る
  • まとめて受け取る
  • 退職金があるなら受け取り方に注意

上記3点について解説します。

iDeCoの受け取り方は、退職金の有無や個人の状況によって最適な方法が異なります。


正しい選択をしないと、せっかくの節税効果を活かしきれない可能性があります。


専門家のアドバイスを受けることで、あなたに最適な受け取り方が分かります。

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年金として受け取る場合は公的年金控除の対象になる

年金として、少額づつ受け取る場合は※雑所得として、公的年金控除の対象となります。


65歳以上で無収入ならば、年間110万円までは非課税となります。

よって、拠出時の節税効果がなくなるわけではありません。 


※雑所得…所得税法で定められた各種所得のいずれにも該当しない所得

一時金として受け取る場合は退職所得控除の対象になる

一時金として、まとめて受け取る場合は退職所得となります。 

なのでこの場合は、退職所得控除の対象になります。 


退職所得控除額は勤続年数によって変わります


iDeCoで積み立てた金額が退職所得控除額よりも少ない場合は、積み立てた金額と利益はそのまま受け取れます。 


毎年の積み立て時、そして運用時の節税効果に加えて、受け取り時にも節税効果が得られるためiDecoはとても得をすることがわかります。 

会社からの退職金がある場合は注意が必要

受け取り方に注意が必要な場合があります。 

それは、退職金が出る場合です。

退職所得控除が適用されるのは、退職所得の合計(同じ年に受け取った合計額)に対してです。

なので、一時金と退職金を同じ年に受け取ると、その合計額に対して退職所得控除が適用されることになってしまいます。

この場合、加入年数もしくは勤続年数のどちらかに応じた退職所得控除を利用するしかありません。 
つまり、一時金と退職金の合計が、退職所得控除額よりも多くなれば、課税される退職所得 が発生してしまうので、iDeCoの節税効果を十分に発揮することができないということです。

「退職金が出る場合でも、節税効果を大きくする方法」 

  • 一時金と、退職金を別の年に受け取る 

一時金には、加入年数に応じた退職所得控除を利用し、別の年には、勤続年数に応じた退職所得控除を、退職金に利用するという方法です。

受け取るのは別々の年の方が節税効果が大きくなることを理解したうえで、退職金の額、退職所得控除の額などを比べ、受取方法をしっかりと検討することをおすすめします。 

受け取り方を誤ると、せっかくの節税効果が損なわれてしまう可能性があります。


適切な受け取り方を理解しておくことで、大きな節税効果を得られる可能性があります。


iDeCoの受け取り方に不安がある方は、一度専門家のアドバイスを受けてみることをおすすめします。

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iDeCoは節税はできるというのは嘘であると言われる理由を解説


ここまでiDeCoの節税効果について解説してきました。

iDeCoの節税効果に魅力を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、その節税効果は嘘であると言われているのです。
  • 拠出時の節税効果の嘘
  • 運用時の節税効果の嘘
  • 何十年先にもiDeCoの退職所得控除は存在するのか
それぞれに嘘と言われる理由がありますので、一緒に見ていきましょう。

拠出時の節税効果の嘘とは?

まずは拠出時の節税効果の噓と言われる理由です。 

「税負担の調整」

iDeCoというのは現在から将来に「お金を受け取るタイミング」を、先延ばしにしているものです。
受け取るお金を先延ばしにするということは、将来に受け取るお金の税負担が増えます。

だったら現在の税負担を減らさないと、つじつまが合わなくなるのではないか?ということで税負担を減らしてもらえる。

ということで、これは「税負担の調整」であって、節税効果と言うのはちょっと違うのでは?という理由です。

運用益が非課税という嘘とは?

確定拠出年金では資産を受け取る際、自分で拠出した投資元本も運用益も含め、全てが課税対象となります。

拠出金は控除されるが、利益を含んだ資産に対して課税が行われるということは、含み益にも税金が、かかっていることになります

表面上は非課税ですが、二重で税金を取る必要はないと免除されているだけのことです。

と考えると、運用益が非課税というのも少し違うのでは?という理由です。

退職所得控除は節税になるが30年後もいまと同じとは限らない

iDeCoを一時金として受け取る際の退職所得控除は、大きな節税になることはわかりました。

しかし、ここで疑問が生じます。

はたして、iDeCoの受給額は30年後もいまと変わらずに、退職所得控除を受けられるのだろうか。という疑問です。

いまと変わらず、退職所得控除を受けられる保証はないということです。 

抱えている不安を事前に解消した上で運用をはじめることで、以降は都度不安を抱えずに済みます。


とくに、iDeCoのような長期的な制度においては、運用開始前のプラン設計がなにより大切です。


国家資格を持つ専門家が、あなたの状況に合わせた適切なプランをご提案します。

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iDeCoの節税の嘘の正体とは?3つの節税効果を解説


これまで、iDeCoの節税効果のメリット、そして、その節税メリットは嘘と言われる理由を解説してきました。

iDeCoに加入する意味はあるのでしょうか。
iDeCoによる、本当の節税効果とは何なのでしょう。

iDeCoによる嘘と言われる節税効果の正体とは 
  1. 受け取り時の控除による節税 
  2. 受け取り時の税率低減効果 
  3. 課税繰り延べによる時間価値 
 1受け取り時による控除

運用益が大きくなれば、受け取り時に控除される金額は、もちろん大きくなります。 
そうなれば、節税といえるのではないでしょうか。 

2受け取り時の税率軽減

課税所得が多いほど税率は高くなります。
iDeCoでは掛金額の分、課税所得を少なくできるので、税率が低くなります。 
 

3課税繰り延べ

課税が繰延べになることで余裕が生まれる時間効果 

  • 節税効果の正体は退職所得控除
実は最終受け取り時に退職所得控除を使えることが、iDeCoの節税効果の正体です。

課税は繰り延べにできるが、受け取り時には課税対象となります。
しかし、退職所得控除があるので課税は免れるのです。

運用益も総合課税の対象になるが、それも退職所得控除でカバーできるので税金はかからない。ということになります。


さて、ここでiDeCoの本来の目的を考えましょう。


そうです、「老後の備え」です。


iDeCoは資産を守る仕組みとして、非常に優れています。
iDeCoに拠出したお金は、
  • 自己破産しても、差し押さえの対象にならない
  • 生活保護受給資格の判断から除外される
などの優秀な点があります。 

こういった点に価値を感じられるなら、iDeCoへの加入を検討したほうが良いのではないでしょうか。 

本来の目的である老後の備えを考慮すると、iDeCoは多くの人にとって有益な選択肢となります。


また、上記のようにiDeCoには節税以外においても優秀な点があります。


少しでも気になる点があれば、専門家に相談するのも一つの選択肢です。

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iDeCoに関する不安はマネーキャリアの無料相談サービスで解決

iDeCoの節税効果について、わかったような気もするけど、もっと詳しく知りたいという方もいらっしゃるかと思います。

 
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まとめ:「iDeCoの節税の嘘」について解説

いかがでしたか、これまでiDeCoの節税効果について解説してきました。

節税と呼べるようなメリットはありますが、実際は節税ではない。

なので
節税効果は嘘ではないが節税と呼ぶのは正しくない
このように解釈してみてはいかがでしょう。

この記事でわかったことをまとめまとめる
  • iDeCoにおける節税のメリットは「掛け金は全額所得控除となるので所得税と住民税を少なくできること、利息・配当・売却益などの運用益は非課税であること、iDeCoを年金・一時金として受け取る際に控除があること」
  • iDeCoは課税所得が300万の場合、課税される税率20%なので、控除対象額は5万5200円になる 年金として受け取る際は公的年金控除の対象になり、一時金として受け取る際は退職所得控除の対象になる
  • iDeCoは節税は嘘であると言われる理由3つを解説 
  • iDeCoの節税の嘘の正体と本当の3つの節税効果についての解説 
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