▼この記事を読んで欲しい人
- iDeCoをはじめようとしている人
- iDeCoの積立期間延長について詳しく知りたい人
- iDeCoの法改正について知りたい人
▼この記事を読んでわかること
- iDeCoの法改正の時期やメリット・デメリット
- iDeCoの「加入可能年齢」が変更について
- iDeCoの掛け金積立期間延長の対象となる条件
内容をまとめると
- iDeCoの法改正のポイントは大きく分けて3つ
- iDeCoの積立期間延長で2022年5月以降は65歳まで積立可能になる
- iDeCoの掛け金積立期間延長だけでなく新規加入期間も拡大
- 今の時代年収資産運用や積み立てをしていないと将来お金に困ることになる
- 資産運用や積み立てに関する相談はお金のプロであるFPに相談すべき
- FP相談で迷ったらマネーキャリアがおすすめ
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
この記事の目次
iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の積立期間変更、何歳まで入れる?
こんにちは、マネーキャリア編集部です。
2022年よりiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)のルールが変更となり、利用対象者の幅が拡大されますが、
「 どんな変更内容なのだろうか?」
「今回の制度変更は、どんな人に、どんなメリットがあるのか?」
このような悩みを持つ人は多いでしょう。
「100年人生時代」を迎え「公的年金だけでは不安だ」という人の関心も高くなってきていることから、iDeCoの加入者は2021年7月時点で210万人と、2019年3月の121万人と比較しても急激に増えています(国民年金基金連合会iDeCo公式サイトより)。
2017年の改正で、加入者範囲が公務員や専業主婦・主婦の方まで広がりましたが、
今回の改正では更に加入条件が緩和されます。
この記事では、今回のルール改正点の中から
- 加入可能年齢の拡大
- 企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入条件の緩和
- iDeCoの受け取り開始可能年齢の拡大
について解説します。
この記事を読めば、今回のルール改正のポイントと注意点を知ることができ、
どんなメリットがあるのかがわかります。
今回の変更で iDeCoの加入対象範囲が更に広がる上、利用方法についても選択肢が広がることになります。
60歳以降の働き方が多様になっている中、iDeCoを将来のライフプランにあった格好で上手に利用する際にお役立てていただければ幸いです。
iDeCoの法改正まとめ!積立期間が変わる?
まず、今回のiDeCoの改正に関し、
- 概要
- 法改正の時期
- メリット・デメリット
について解説します。
①iDeCo加入可能年齢の拡大
現在iDeCoの加入可能年齢は20歳以上60歳未満となっています。
これが今回の改正で、年齢基準が緩和され2022年5月以降は20歳以上65歳未満の人が加入できるようになります。
これは60歳を過ぎても働いている人、または働くつもりがある人にとって朗報です。
60歳を過ぎても、掛金の所得控除などの節税メリットを享受しながら、積立・運用を継続できるようになるからです。
また現行のルールでは、50歳を過ぎてiDeCoに新規加入した場合、60歳で年金を受け取ることができず、掛金支払い終了から受け取り開始時期までに空白の期間ができてしまいます。
つまり、その空白期間は掛金の所得控除というメリットを生かせずに口座管理手数料だけを支払いつつ運用を継続するしかなかったわけです。
今回の改正で、60歳を過ぎても受け取り時まで継続加入できるので、その空白期間をなくすことができるようになります。
「50歳を過ぎてから老後資金の準備を本格化させたい」
「そのためにiDeCoを活用したい」
という人にとって大きなメリットのある制度改正になります。
②企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入要件の緩和
2番目の変更点は、企業型確定拠出年金(企業型DCと呼ばれるもの)と iDeCoの同時加入要件が緩和されるというものです。
企業型DCとは、会社が掛け金を拠出し、従業員がプランを選択し運用する制度です。
今まで、企業型DCに加入している従業員がiDeCoに同時加入することはほとんどできませんでした。
それは、企業型DCの会社掛金の上限をiDeCoの拠出限度額分引き下げる労使合意や規約の変更がされていないと、iDeCoとの同時加入が認められていなかったからです。
今回の制度改正でこの要件が緩和され、2022年10月以降iDeCoの同時加入ができるようになります。
それでは同時加入の場合、いくらまでiDeCoとして掛金の拠出が可能なのでしょうか?
それは、以下の2つの要件を満たしたものになります。
- iDeCoの掛金が、定められている限度額以内であること
- 企業型DCの掛金とiDeCoの掛金の合計が、企業型DCの限度額以内であること
まず、iDeCoとして定められている上限金額は、
- 企業型DCのみ導入されている会社の場合:月額2万円
- 企業型DCに加え確定給付企業年金も導入されている会社の場合:月額1.2万円
です。
一方、企業型DCの限度額は
- 企業型DCのみが導入されている会社の場合は5.5万円
- 企業型DCに加え確定給付企業年金も導入されている会社の場合は2.75万円
です。
例えば確定給付年金制度がない会社で、企業型DCの会社掛金が3.5万円の場合、
iDeCoとして2万円の拠出が可能です(企業型DCの上限額が5.5万円のため
5.5万円−3.5万円=2万円)。
当然のことですが、企業型DCの掛け金が5.5万円(確定給付年金がある場合は2.75万円)に達している場合は、iDeCoとしての拠出は出来ません。
拠出限度額に余裕がある場合は、追加でiDeCoでの積立運用を行うことで、更なる節税メリットを受けながら、資産を増やしていくことが可能になります。
企業型DCの加入者は746万人(令和3年3月時点:企業年金連合会調べ)にも達しますが、現時点でiDeCoとの同時加入が認められている事業所はほとんどなく、ほとんどのサラリーマンがiDeCoに加入できない状況です。
今回の改正で、多くのサラリーマンが企業型DCとiDeCoを併用して老後資金の準備を加速化することができるようになります。
尚、マッチング拠出(企業型DCにおいて、会社が出している掛け金に上乗せして加入者本人も掛金を拠出できる制度のこと)のある企業型DC制度に加入している場合も、今回の改正により、自分の掛金を、企業型DCに拠出するか、新たにiDeCoに加入し、iDeCoに拠出するかを選ぶことができるようになります。
③iDeCo受け取り開始可能年齢が拡大
3つ目に、2022年4月より受け取り開始時期が延長されます。
現状は60歳から70歳までに受け取りを開始する必要がありますが、
改正後は受け取り開始年齢の上限が5年間延長されて、最高で75歳での受け取りが可能になります。
今後働き方がますます多様化し、70歳を過ぎても働いて収入を得る人は増えていくと予想されます。
70歳でもお金に余裕があって iDeCoの受け取りが必要ない人にとっては、70歳以降も非課税で運用を継続できるメリットを得ることができるわけです。
ただし70歳以降も非課税での運用は可能ですが、掛金の積立は65歳までしかできません。
したがって、65歳以降は掛金の所得控除を受けることができない上、口座管理手数料だけはしっかりととられることになります。
また、同時期に公的年金の受け取り開始時期も従来の「70歳まで」から「最高75歳まで」に延長となります。
公的年金で65歳以降で受け取り開始年齢を選択することを「年金の繰り下げ受給」といいます。
1ヶ月単位で繰り下げることができ、開始時期を遅らすごとに1ヶ月につき0.7%、1年で8.4%受給額が増えるというメリットがあります(5年の繰り下げでで42%)。
しかしながら、iDeCoの場合は公的年金のように受給額が増えるというメリットはありませんので注意が必要です。
受け取り開始時期は、遅らせればいいというものではありません。
自分の老後のマネープラン全体を考えた上で
受け取り時期を繰り下げるメリット・デメリットを総合的に判断した上で決めるようにしましょう。
iDeCoの「加入可能年齢」が変わり掛け金積立期間も延長!
iDeCoの加入可能年齢が変更となることで、掛金の積立期間も長くなります。
今まで以上に長い期間、掛け金の所得控除のメリットを受けながら、非課税での運用を続けることができるわけです。
これは、老後の働き方が多様化し、今まで以上に長く働きたいという人が増えるだろうことを考えれば、非常にメリットのある制度の変更です。
個人型確定拠出年金は原則60歳まで引き出せない
そもそもiDeCoの積立金は原則60歳まで引き出すことができません。
それは iDeCoは年金制度の一種であり、あくまで老後の資金の備えとするものであるため、老後をむかえる前に中途解約し使ってしまうことを認めていないからです。
従って、一度iDeCoの口座に掛金を入れたら、長期にわたって引き出すことはできなくなります。これが iDeCoの最大の注意点であり、デメリットとも言われています。
若い世代は収入も少なく今の生活に余裕がないというのが一般的です。
運用というものは長期で行う方がメリットがありますので、できるだけ早く始めた方が有利です。
しかしながら、iDeCoの場合は引き出しの年齢制限があるため、資金に余裕のある人以外は年齢の若いうちは最大限利用できない人が多いのも事実。
iDeCoへの掛金の負担があまりに大きくなって今の生活が苦しくなるようでは本末転倒です。
むしろ、収入水準も上がって老後の生活のビジョンがある程度見通せるようになった50代過ぎからiDeCoを本気で活用したいと考える人が多いのではないでしょうか。
ところが今までは「通算加入者等期間」の制限があったため、50代過ぎの年齢層でiDeCoへの加入をためらう方がたくさんいました。
iDeCoは年金受取までに「通算加入者等期間」が必要
「通算加入者等期間」とは
掛金を支払った期間である「加入者期間」と掛金を支払わず年金資産の運用のみを行なった期間である「運用指図者期間」を合計したものです。
- 「通算加入者期間」=「加入者期間」+「運用指図期間」
iDeCoの受け取り開始年齢は60歳から選択可能ですが、60歳で受け取りを開始するには
「通算加入者等期間」が10年以上であることが必要です。
それでは、51歳以降iDeCoに加入し、60歳時点で「通算加入者期間」が10年満たない場合の受取開始は何歳からになるのでしょうか?
この場合、それぞれ受取可能年齢は以下の通りとなります。
60歳時点の通算加入者等期間 | 受け取り開始可能年齢 |
---|---|
8年以上10年未満 | 61歳 |
6年以上8年未満 | 62歳 |
4年以上6年未満 | 63歳 |
2年以上4年未満 | 64歳 |
1年以上2年未満 | 65歳 |
このように50歳を過ぎてiDeCoに加入すると受取開始年齢は61歳以降となり、加入が遅れるほど受取開始年齢も遅れることになります。
「通算加入者等期間」のしばりがあったため、今までは50歳を過ぎてiDeCoに加入した場合、デメリットがありました。
積立可能期間が60歳までであるのに対し、受け取りは61歳以降となることから、積立と受取開始までの間に空白の期間が生じることです。
この空白の期間は、積立ができないことから掛金の所得控除が受けられず、一方で口座管理手数料を支払わなければならなかったのです。
今回、積立が65歳まで可能になったことで、50歳を過ぎてiDeCoを始める人でも空白期間の心配をする必要がなくなりました。
50歳を過ぎてからでも安心してiDeCoを活用できるわけですね。
2022年5月以降は65歳まで積立可能に!
加入可能年齢の拡大により、65歳までの積立が可能になり、積立期間が5年間延長されることになります。
では、5年間の積立期間延長でどの程度のメリットがあるのでしょうか?
仮にiDeCoの掛金上限額である2万円を毎月積み立てた場合、
2万円X12ヶ月X5年=120万円の元本の積み増しが可能となります。
老後資金としての120万円は決して小さいものではありません。
120万円あれば、あなたの趣味や娯楽、家族との旅行や食事など老後の生活を、より豊かなものにしてくれます。
万一の備えとしても安心感が得られますね。
更に、iDeCoには非課税のメリットがあります。
運用実績次第で節税メリットの金額は変わりますが、運用益については非課税となり、
所得控除の節税メリットについては税率20%とすれば
1年で
2万円X12ヶ月X20%=48,0O0円
の節税効果が得られ、
5年で24万円の節税効果となります。
このように、60歳以降も積立を続ける効果は大きいので、60歳以降も継続して働き、資金的にも余裕がある人は継続して積立を行うことをおすすめします。
iDeCoの掛け金積立期間延長の対象となる条件・注意点
ここまで iDeCoの加入可能年齢の拡大について説明してきましたが、
この対象となるのは年齢以外にも条件がありますので注意してください。
iDeCo加入の条件
そもそもiDeCoに加入するには「国民年金被保険者」であることが必要です。
20歳以上60歳未満の日本人はすべて国民年金に加入しているため「国民年金被保険者」となりiDeCoにも加入できます。
それでは60歳を過ぎた場合はどうでしょうか?
国民年金の加入者はそれぞれが属する年金の形態によって3つに分類されます。
- 第1号被保険者:自営業・フリーランス(2号・3号以外)
- 第2号被保険者:民間企業・公務員等サラリーマン
- 第3号被保険者:専業主婦・主夫
2号被保険者であるサラリーマンの多くは厚生年金に入っており、厚生年金に加入していることは国民年金に入っていることにもなるので、「国民年金被保険者」であり、60歳を過ぎても iDeCoへの加入が可能です。
第1号・第3号被保険者であっても加入継続できることがある
それでは厚生年金に加入している人以外の 第1号被保険者(自営業者・フリーランス)、第3号被保険者( 専業主婦・主夫)の人たちはどうでしょうか?
これらの人たちは、原則、60歳以降に国民年金に加入できず、iDeCoに加入できるのは60歳までです。
ただし、「任意加入被保険者」である場合はiDeCoの継続加入が可能となります。
「任意加入」とは、自分の意思で任意に国民年金に加入することを言い、保険料納付済み期間が40年に達していない人が、60歳以降も引き続き保険料を払って加入を継続するケースがこれに当てはまります。
国民年金は日本国民の全員が加入対象者となっており、20歳から60歳の間年金保険料を支払うこととなっています。20歳から60歳までの40年間、420ヶ月分保険料を支払うことによって年金を満額受給できる権利を得ることができますが、未加入期間があると受け取ることのできる年金額は少なくなります。
ところが60歳を過ぎても未納分の保険料を納めれば年金額を満額まで増やすことができる措置があるため、任意で保険料を払うことで国民年金への加入を継続できるわけです。
このようにして60歳以降も国民年金保険に加入し続ければ、自営業やフリーランス、専業主婦や主夫でもiDeCoに継続して加入することができます。
idecoの掛け金積立期間延長だけでなく新規加入期間も拡大
今回の改正では積立期間の延長だけではなくて新規加入期間も拡大されます。
60歳から65歳の人も iDeCoへの新規加入が可能になるのです。
65歳までの期間ではありますが、非課税で資金運用できるようになるので、60歳からでもiDeCoを始めるという選択肢が増えることになります。
ただし、iDeCoの新規加入から受取開始までは最低5年の期間を置く必要があります。
例えば、63歳からiDeCoを始めたとすれば受取開始年齢は68歳以降となるわけです。
このiDeCo開始から受取開始までの期間も、口座管理手数料はかかりますので、運用成果で積立金が増えていかない限り、手数料の残高分は目減りしていくことには注意が必要です。
ideco(イデコ、個人型確定拠出年金)の積立期間まとめ
この記事では2022年からのiDeCoの制度改正についてお伝えしてきました。
最後にポイントをまとめておきましょう。
今回の主な改正点は
- iDeCoの加入可能年齢の60歳未満から65歳未満に拡大される(2022年5月〜)
- 企業型DCとiDeCoの同時加入条件が緩和される(2012年10月〜)
- iDeCoの受け取り開始年齢が70歳までから75歳までに延長される(2022年4月〜)
です。
これらの変更によって
- iDeCoの掛金の所得控除・非課税での運用というメリットを最大65歳まで享受できます。
- 企業型DCを利用している場合でも、追加でiDeCoに加入できる対象者が増えます。
- iDeCoの受け取り時期を自分の老後の資金状況に合わせて最高75歳まで設定できるようになります。
今回の法改正内容はiDeCoの利用者にとっては選択の余地が広がるものです。
60歳を過ぎても働く人たちが増えたことも背景となっています。
今回の変更点をしっかりと理解していただき、ご自分の老後のマネープランを立てる際の参考にしてください。
税優遇メリットのあるiDeCoを上手に活用して、100年人生時代に備えた老後の資産づくりをしていきましょう。
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