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20代でiDeCoに加入するのは早すぎる?デメリットしかないの?iDeCoに20代の早いうちから加入するのは実はおすすめです。20代からiDeCoに加入するメリットや加入率、iDeCoの掛金の範囲や平均、ポートフォリオも解説!20代におすすめの資産運用も紹介。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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20代からiDeCoを始めるのは早すぎる?メリットはある?

こんにちは。マネーキャリア編集部です。

この記事をご覧の方は20代の方が多いと思いますが、老後資金の準備はしているでしょうか?

「まだ何もしていない」「老後資金について考えてはいる」という方、様々いらっしゃると思います。

今回は「20代でiDeCoを始めるのはどうなのか?」というテーマで解説します。

20代の方はもちろん、他の年代の方でも「iDeCoって結局何なの?」「老後資金を貯める方法を探している」という方は必見です。

この記事を読めば、iDeCoのメリット・デメリット、加入方法、つみたてNISAとの違いが分かります。

ぜひ最後までご覧ください。

20代でiDeCoを始めるメリットについて徹底解説!

20代でiDeCoを始めるメリットを3つ、解説します。

  • 掛金・運用益・受取時に、それぞれ税制優遇の措置がある
  • 運用期間が長い分、積み立てる金額は多くなる
  • 複利効果も運用期間が長ければ長いほど高くなる 

掛金・運用益・受取時に、それぞれ税制優遇の措置がある

iDeCoでは、掛金・運用益・受取時に以下の通り税制上のメリットがあります。

  • 掛金は全額、所得控除
  • 運用益:非課税
  • 受取時:一定の金額まで税負担が軽減
30年間、総額500万円を掛金として払い、800万円の運用益が出た例で説明します。

掛金は全額、所得控除に

掛金が所得控除となります。

例の場合では、500万円は所得控除になり、住民税・所得税が安くなります。

所得税率10%、住民税率10%であれば、500万円×20%=100万円が減税に。

運用益は非課税
例で言うと、800万円が非課税になります。

通常、運用益には20%の税金がかかります。

800万円×20%=160万円かかる計算ですが、iDeCoでは、160万円分が節税になります。

受取時は一定の金額まで税負担が軽減

iDeCoで運用した資産を受け取る際、税金が軽減されます。
公的年金等控除や退職所得控除で、税制優遇が受けられるのです。

運用期間が長い分、積み立てる金額は多くなる

iDeCoで資産を運用していくにあたり、運用期間を長く取れる20代は、非常に有利です。


iDeCoはもともと、長期で運用することが推奨されているためです。


一般的に投資では、長期で運用した場合、短期の場合と比べて収益の振れ幅が小さくなります。

短期的には下落していても、長期的に見れば上昇傾向であることは、頻繁にあります。


iDeCoの公式サイトでも言われている通り、長期的な投資は20代だからこそ取り組みやすいと言えます。

複利効果も運用期間が長ければ長いほど高くなる

iDeCoでは、複利の効果が期待できます。


20代と早いうちからiDeCoに加入しておけば、複利の恩恵を長い間受けられることになります。


複利とは、利子にさらなる利子がつくことです。

複利とは逆の意味で、単利という言葉も存在します。

単利とは、元本のみに利子が付くことです。


例えば、100万円を元本として金利2%で運用を開始します。

1年後には、利子がついて102万円になります。

ここで、複利がはたらくと、さらに1年後は104万円ではなく104万400円に。


利子の2万円に、さらに利息として400円がつきました。これが複利です。


20代からiDeCoを開始すると、この複利の効果が雪だるま式に大きくなります。

20代でiDeCoを始める注意点やデメリットも紹介

20代でiDeCoを始めるメリットを解説しましたが、注意点やデメリットも以下の通り解説します。

  • iDeCoは60歳まで引き出すことができない
  • 特に貯蓄の少ない20代のうちだと負担になる可能性が高い
  • 掛金を変更(増額・減額)できるのは年に1回まで 

iDeCoは60歳まで引き出すことができない

iDeCoは、60歳まで資金が拘束されてしまいます。

年金制度の一環なので、安易に引き出せてしまっては意味がないためです。


例えば「子どもの教育資金として、まとまった金額が必要だ」と思っても、iDeCoに回していた資金をあてることはできません。


逆に言えば、簡単に引き出せないからこそ、老後資金が守られるとも言えます。


資金が引き出せないことを考慮に入れて、iDeCoへ加入しましょう。

特に貯蓄の少ない20代のうちだと負担になる可能性が高い

iDeCoの毎月の掛金が、負担になってしまうことがあります。


20代は給与が他の年代に比べて少なめ。


それに伴い、貯蓄もあまりできていない傾向があります。


あまり余裕がないうちにiDeCoに加入したり、掛金額を高めに設定したりすると、家計の負担となってしまうことも。


収支を把握して、無理な加入や掛金の設定は避けましょう。

掛金を変更(増額・減額)できるのは年に1回まで

iDeCoは掛金額の変更ができますが、年に1回までです。


家計への負担や、将来の受取金額を考えて設定しましょう。


掛金額の変更は、ご自身のiDeCoの運営や管理をしている機関で手続きを行ってください。

まず知っておきたいiDeCoの基本情報を解説!

iDeCoのメリット・デメリットを解説しましたが、そもそもiDeCoとは何なのか?
概要を以下の通り解説します。

  • iDeCoは個人型確定拠出年金とよばれる年金制度のこと
  • iDeCoの対象商品は投資信託・定期預金・保険の3つ 

iDeCoは個人型確定拠出年金とよばれる年金制度のこと

iDeCoは、個人型確定拠出年金の通称で、自分で老後資金を準備する年金制度のことです。


自分で毎月掛け金を拠出して、自分で運用します。


年金受取額は、運用成績によって変わります。

iDeCoの対象商品は投資信託・定期預金・保険の3つ

iDeCoの対象商品には、投資信託・定期預金・保険の3つがあります。


投資信託は元本割れの可能性があります。

投資である以上、元本は保証されません。

その分、投資信託は利益に期待が持てます。


定期預金・保険は、元本が保証されています。

しかし、金利は銀行の普通預金とほとんど変わらず、利益が大きくなることもありません。


iDeCoを始めるなら、多少のリスクを冒しても投資信託を選ぶことをおすすめします。


ただ銀行に預けているだけでは得られない利回りで、運用できる可能性があります。


投資信託と一口に言っても、その中で長期で見れば元本割れしやすい商品・しにくい商品があります。


商品を見極めて運用すれば、大きな利益になり得ます。

マネーキャリアの記事を参考に、どの商品を選ぶべきか、考えてみましょう。

そもそもiDeCoって何歳から何歳まで加入できるの?

iDeCoの加入年齢はいくつなのか?
以下の通り解説します。

  • 現在は20歳から59歳までの人ならiDeCoに加入できる
  • 2022年法改正により加入年齢範囲が64歳までになる! 

現在は20歳から59歳までの人ならiDeCoに加入できる

iDeCoは20歳から59歳までの人が加入できます。

一部、加入できない方はいますが、基本的に受取が開始される60歳までの人が加入できます。

2022年法改正により加入年齢範囲が64歳までになる!

2022年5月からの法改正で、加入できる年齢が64歳までになります。


改正により、掛金の運用期間が長くなります。


長期的な投資がしやすくなり、リスクが小さくなる点は大きなメリット。


また、加入をためらっている50代の方も、iDeCoをに加入しやすくなると言えます。


加入年齢が引き上げられた分、掛金の所得控除が受けられる金額も増えることになります。

20代からのiDeCoの加入率を解説!

20代からのiDeCoの加入率はどれくらいなのか、解説します。

  • iDeCoの20代の加入者は2020年で約90000人いる
  • 20代の加入者は4年間で約12倍にも増加している 

iDeCoの20代の加入者は2020年で約90000人いる

企業年金連合会の調査によると、iDeCoの20代の加入者は2020年で89,309人。


20代の人口はおよそ1250万人なので、およそ0.7%が加入していることになります。

20代の加入者は4年間で約12倍にも増加している

「加入者は20代のうちの0.7%」と言うと少なく思えます。


しかし、2016年と比較すると、加入者は12.6倍の増加。


他の世代の伸びは約6倍なので、20代の加入者数は非常に増えていると言えます。


増加の背景には、老後資金2,000万円問題、生涯未婚率が2040年で4割になる予測が話題になったことが挙げられます。

iDeCoの掛金の範囲は?20代だと掛金の平均はいくら?

iDeCoの加入者はどれくらい掛金をかけているのか?
以下の通り解説します。

  • iDeCoは月々5000円を最低金額として始められる
  • iDeCoの掛金の上限は個人の属性(職業)で異なる
  • iDeCoの掛金の平均も職業で変わる!20代でもいろいろ 

iDeCoは月々5,000円を最低金額として始められる

iDeCoの掛金は、月5,000円から拠出限度額の間で、自由に決められます。


平均的な掛金は、16,222円になっていますが、職業や年齢によって掛金の平均は大きく異なります。



iDeCoの掛金の上限は個人の属性(職業)で異なる

iDeCoの掛金の上限は、以下の通り職業によって違います。

  • 自営業者:6.8万円
  • 専業主婦、企業年金等がない会社員:2.3万円
  • 企業年金等がなく、企業型確定拠出年金に加入している会社員:2万円
  • 公務員、勤務際に企業年金等がある会社員:1.2万円
上限金額の中で、無理のない範囲で設定しましょう。

iDeCoの掛金の平均も職業で変わる!20代でもいろいろ

国民年金基金連合会によると、職業別の掛金の平均額は以下の通りです。

  • 自営業者:27,202円
  • 専業主婦:14,989円
  • 企業年金等がない会社員:16,072円
  • 企業年金等がある会社員、企業型確定拠出年金に加入している会社員:10,676円
  • 公務員:10,907円
自営業者は、iDeCoの上限額が高く、厚生年金がないため、掛金が高い傾向にあります。

掛金の平均額は、職業ごとに大きく異なっています。

20代でiDeCoを始める場合のポートフォリオを解説!

20代でiDeCoを始める場合、資産配分はどのように組めばいいのでしょうか?

ポートフォリオについて、以下の通り解説します。

  • ポートフォリオは分散投資を目的とする資産配分のこと
  • 分散投資により、資産の大きな値下がりを回避する効果がある
  • 投資信託を選ぶならポートフォリオを考えることが大切
  • 20代でのおすすめは株式中心のポートフォリオ
  • 【注意】ポートフォリオは定期的にリバランスしよう 

ポートフォリオは分散投資を目的とする資産配分のこと

ポートフォリオとは、金融商品の組み合わせを意味します。


分散投資をするうえでは、どのような割合で、どのような商品を購入するかを考えることを「ポートフォリオを組む」と言います。

分散投資により、資産の大きな値下がりを回避する効果がある

分散投資は、1つの商品が下落しても、他の商品にも投資していることで、資産の値下がりを防ぐことができます。


分散投資の王道で言うと、株式と債券を取り入れる方法が挙げられます。


株式と債券は逆の値動きをするためです。


国内や外国という区分で分散投資することも、方法の一つです。

投資信託を選ぶならポートフォリオを考えることが大切

投資信託では、ポートフォリオを考えることは非常に重要です。


投資信託は、元本が確保されていません。


資産を減らさないよう、ポートフォリオをよく考えることで、元本割れを避けられます。


自身の年齢や状況に応じて、ポートフォリオを組みましょう。

20代でのおすすめは株式中心のポートフォリオ

20代は株式を中心としてポートフォリオを組むことをおすすめします。


株式は大きな利益が期待できます。

その反面、短期で見ると元本割れの危険も高め。


しかし、長期的な運用ができる20代であれば、安定したリターンを得られる可能性が大いにあります。


その中でも、外国株式は為替リスクもありますが、長期的な運用であれば、収益が見込めます。


国内と外国の株式を多めに持ち、債券は抑えめにした、積極的な運用がおすすめです。

【注意】ポートフォリオは定期的にリバランスしよう

ポートフォリオは、時々リバランスすることをおすすめします。


リバランスとは、資産を再配分することです。


例えば、外国株式が当初の比率より多くなった分、売却する。

国内債券の比率が減少した分、購入する。


市場の変化によって、資産の比率も変化します。  

一度ポートフォリオを組んだら、それで終わりではありません。


リバランスすることでリスクが高くなりすぎること、リターンが見込めない事態を防ぎましょう。

iDeCoの開始手続きや金融機関を選ぶポイントを紹介!

iDeCoの開始手続きや金融機関を選ぶポイントを、以下の通り解説します。

  • ①iDeCoの口座を開設する金融機関を決める
  • ②申し込み書類を取り寄せて必要事項を記入する
  • ③口座のある金融機関に申し込み書類を返送する
  • ④手続き完了の案内が届いたら引き落とし開始 

①iDeCoの口座を開設する金融機関を決める

iDeCoの講座開設をする金融機関を決めましょう。


商品の品揃え、窓口やコールセンターの対応、ウェブサイトの充実度。

決める時の基準は様々ですが、手数料の安さで決めることをおすすめします。


手数料が高いと、せっかく運用がうまくいっても、利益が減ってしまいます。

手数料の中には、毎月かかってくるものもあります。


できるだけ手数料を抑えて、利益を最大限受け取れるように金融機関を選びましょう!

②申し込み書類を取り寄せて必要事項を記入する

金融機関から申し込み書を取り寄せて、必要事項を記入します。


厚生年金の加入者は、勤務先に「事業主の証明書」へ記入してもらう箇所があります。

③口座のある金融機関に申し込み書類を返送する

申し込み書の記入を終えたら、金融機関に返送しましょう。

④手続き完了の案内が届いたら引き落とし開始

申し込んだ金融機関から、手続きが完了した通知が来ます。

申し込み書の提出から1~2か月ほどかかります。


口座開設のお知らせや、パスワードが送られてくるので確認しましょう。


いよいよ引き落としが開始されます。

参考:20代でiDeCoの他におすすめの資産運用を紹介!

iDeCoの他にも、資産運用を行う方法があるので、以下の通り解説します。

  • 投資信託ならつみたてNISAがおすすめ理由を解説
  • つみたてNISAとiDeCoを徹底比較! 

投資信託ならつみたてNISAがおすすめ!理由を解説

投資信託をするなら、つみたてNISAの利用をおすすめします。


理由は以下の通りです。

  • 運用益が非課税
  • 運用期間が最大20年
  • 金融商品があらかじめ厳選されている
運用益が非課税なうえ、期間が20年もあるのは節税的に大きなメリットです。

投資に慣れていない人にとっては、商品が厳選されているのも嬉しいポイント。

つみたてNISAでは、金融庁が投資対象を選んでいます。

商品選びで大きく失敗することがないので、投資が初めての人にとっては安心できます。

つみたてNISAとiDeCoを徹底比較!

つみたてNISAとiDeCoを比較してみました。

iDeCoつみたてNISA
年間投資額14.4~81.6万円40万円
非課税期間60歳まで20年
途中で引き出し60歳まで不可いつでも可能
手数料かかるかからない

つみたてNISAでは、年間投資額が40万円までとiDeCoより上限が低め。


ただ、iDeCoの上限額は職業によります。


年間の掛金額が40万円以下で良ければ、つみたてNISAで充分かもしれません。


非課税期間は、つみたてNISAは20年。

20代の方であれば、60歳まで非課税期間がもたない可能性はあります。


つみたてNISAのメリットとしては、途中で引き出すことが可能な点。

iDeCo最大のデメリットである資金の拘束が気がかりだった方は、つみたてNISAが向いていると言えます。


もう一点のメリットである手数料がかからない点も、iDeCoのデメリットをカバーしています。


状況や立場によって、iDeCo・つみたてNISAのどちらを選ぶのが良いか、変わってきます。


ぜひ、上記の比較表やマネーキャリアの記事を参考に、どちらが向いているか考えてみてください。

まとめ:早い20代のうちからiDeCoに加入するのはおすすめ

今回は、20代のiDeCo加入について以下の通り解説しました。

  • 20代からiDeCoへ加入するのはメリット多数!
  • 20代は運用期間が長い分、積み立てられる金額が多くなる
  • 運用期間の分、複利効果が高くなる
  • 最大のデメリットは、資金が拘束される点
  • 貯蓄が少ないと、家計の負担に
  • iDeCoの加入者は増加傾向
  • 20代は積極的な運用が可能

いかがだったでしょうか?


「20代のうちから老後資金について考えるなんて、気が早いのでは?」と思った方がいるかもしれません。


確かに、20代にとっては、まだ先のこと過ぎて想像ができないかもしれません。


老後資金に回すお金があるなら、他のことに使いたい気持ちもあると思います。


しかし、若いうちから老後の準備を始めておけば、積極的な資産運用ができます。

利益が大きくなる可能性もアップします。


自分の楽しみや若いうちの経験に使うお金も、将来のためのお金も、どちらも重要です。


一番考えるべきは「何にいくら使うか」のバランスではないでしょうか。


今回の記事が、老後資金について考えるきっかけになれば幸いです。


マネーキャリアでは、他にも年金や投資に関する情報を配信しているので、ぜひご覧ください。