老後資金の準備としてiDeCoを始めようと考えているものの、運用で得た配当金が非課税になるのか、確定申告は必要なのかなど、iDeCoの配当金についてはわからないことも多いのではないでしょうか?
この記事では、iDeCoで得た配当金は確定申告が必要なのか、税金はどのくらいかかるのかなど、iDeCoの配当金に関する疑問を解消できるよう、詳しく解説していきます。
- これからiDeCoを始めようと考えている方
- iDeCoで運用益が出た場合の税金について知りたい方
はこの記事を読めば、iDeCoの配当金に関する疑問が解消され、安心して資産運用を進めることができます。
内容をまとめると
- iDeCoの配当金は分配金ともよばれるが、預金や積立の利息とは異なるので注意
- iDeCoだと少額の分配金でも再投資に回すことができ、その複利効果により最終的には元本と大きな差が生まれる
- iDeCoの配当金を最大限に活かすために、マネーキャリアの「iDeCoの無料相談窓口」を利用する人が急増している
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
iDeCoの配当金について徹底解説!
まずは、iDeCoの配当金について、
- iDeCoの配当金は分配金ともよばれる
- iDeCoの配当金は預金や積立の利息とは異なるので注意
iDeCoの配当金は分配金ともよばれる
iDeCoの配当金は、一般的には配当金とは呼ばずに「分配金」と呼びます。
株の配当金とは全く別だからです。
株の配当金は、原則として会社の利益から支払われます。
ただし配当は義務ではありません。利益が出ていても将来の成長投資のために全く配当を出さない企業もあります。
会社の利益を「利益剰余金」と呼び、利益が出ない時に配当が出なくなる「無配」や、利益が減った時に配当を減らす「減配」になることもあります。
例外として会社資本の中から出す配当(資本剰余金からの配当)もありますが、一部企業が4~5年前後に1回行うくらいで、ほとんどありません。
配当金は投資家への利益還元そのものと言えるでしょう。
一方で、iDeCoで購入する投資信託の分配金は、運用利益からはもちろん、それ以外からでも出せます。
通称「タコ足配当」とも言いますが、皆さんが購入した投資信託の資金から直接分配することも認められています。
分配金は投資家への利益還元とは言い切れないのです。
分配金≠利益と覚えておきましょう。
iDeCoの配当金は預金や積立の利息とは異なるので注意
iDeCoで購入できる投資信託の中には、年1回~4回程度、定期的に分配金を出すものもあります。
投資初心者が見ると、「毎回安定して分配しているから、率が良い預金金利みたい!」と勘違いしがちです。
分配金は投資信託の方針により簡単に変動する上、元本保証も一切ありません。
預金等の利息とは全く違います。
購入する投資信託にもよりますが、iDeCoで元本保証と言えるものは定期預金以外なく、中には株式と同程度の高リスク商品もあることは覚えておきましょう。
iDeCoの配当金は再投資に回される!再投資のメリットを紹介
iDeCoで購入した投資信託の分配金は、受け取ることはできません。
iDeCoは老後資産形成のための私的年金であり、資産形成のためなら分配金は受け取るより再投資に回した方が良いからです。
分配金再投資のメリットについて、
- 分配金を再投資に回すことで複利効果が得られる
- iDeCoだと少額の分配金でも再投資に回すことができる
- 複利効果により最終的には元本と大きな差が生まれる
配当金を再投資に回すことで複利効果が得られる
複利効果とは、運用で得た収益を再投資することです。
再投資することで、分配金によるリターンが更にリターンを生んで雪だるま式に増えていきます。
複利の反対は単利で、単利は最初の投資元本にのみリターンがつきます。
複利と単利の違いは、実際に計算してみれば実感しやすいです。
年利換算で単利5%の商品と複利5%の商品に100万円投資した場合を比較してみましょう。ただし、商品に対する手数料はないものとします。
1年後
1年後はどちらも同じ結果です。
- 単利:100万円+(100万円×5%)=105万円
- 複利:100万円+(100万円×5%)=105万円
2年後
- 単利:100万円+(100万円×5%)×2=110万円
- 複利:100万円+(100万円×5%)+(100万円+100万円×5%)×5%=110万2500円
3年後
- 単利:115万円
- 複利:115万7625円
iDeCoだと少額の配当金でも再投資に回すことができる
投資信託や株の場合、配当金や分配金を再投資に回そうとしても「最低売買単位」に足りなければ投資できません。
株は銘柄によって100万円以上の資金が必要ですし、投資信託の場合でも100円~1万円は必要です。少額の投資では分配金も100円未満になってしまうため、再投資不可能です。
再投資不可の場合、分配金はただの待機資金になってしまい、買うまでは複利効果を得られません。これが機会損失になってしまいます。
iDeCoの場合は自動的に再投資しますので、最低売買単位は関係ありません。
たとえ数円~数十円の分配金でも再投資し、複利効果を得られます。
複利効果により最終的には元本と大きな差が生まれる
複利効果のメリットは絶大です。
複利の対義語は単利で、単利と比較するとよく分かります。
例えば、単利5%/複利5%のリターンが見込める商品(年利換算、手数料はなし)に100万円投資すると、30年後は以下の通り。
- 単利:250万円
- 複利:432万1942円
iDeCoの配当金についてよくあるQ&Aを紹介!
ここまでiDeCoの配当金や複利効果について解説しました。
ここでは、iDeCoの配当金(分配金)についてよくあるQ&Aを6つ紹介します。
これから投資を始める人に参考になる内容ですので、ぜひご覧ください。
- iDeCoの配当金はいつもらえる?
- 配当金は再投資せずに現金でもらうことはできる?
- iDeCoのファンドには全て配当金がついているの?
- iDeCoの配当金はどうやって計算するの?
- iDeCoの配当金には税金はかかる?
- iDeCoの再投資は配当金のみでしかできない?
iDeCoの配当金はいつもらえる?
iDeCoの配当金は再投資型しかない上に、制度上引き出せすことができません。
そのため、配当金は一切もらえません。
ただし、iDeCoは60歳以降に換金可能で、運用益が出ていれば「元本+複利効果がついた配当金+元本運用利益」をまとめて受け取れます。
ちなみに、通常の投資信託なら配当金を受け取ることもできます。
ただし、支払いタイミングは商品によってバラバラで、
- 年1回分配
- 年2回分配
- 年3~4回分配
- 年6回分配
- 毎月分配
配当金は再投資せずに現金でもらうことはできる?
前述の通り再投資型しかありませんので、現金でもらうことはできません。
これも、通常の投資信託なら現金でもらうことは可能です。
ただし、若い世代は現金でもらうより将来のために投資に回した方が良いでしょう。
配当金受け取り型の投資信託が売られているのは、年金しかもらえない高齢者に一定のニーズがあるからです。
給与所得が見込め、投資金額も大きくない若い世代には、わずかな配当金を受け取るよりも投資に回して将来のリターンを高める方が複利効果が高まります。
iDeCoのファンドには全て配当金がついているの?
iDeCoで購入できる投資信託(ファンド)に配当金があるかどうかは、商品によって異なります。
ただし、配当金の有無はリターンと無関係です。
配当金がついているファンド=良いファンドではありません。
配当金の有無は、投資信託の説明書(目論見書)や運用レポート等を見れば分かります。
iDeCoでもiDeCo以外でも、投資信託を選ぶ際は以下の点を確認して、納得した上で購入しましょう。
- 手数料は高すぎないか(最低でも購入手数料無料、信託報酬1%未満)
- 無理な分配をしていないか(年間分配金÷価格が5%以上は要注意)
- あなたが許容できるリスクの範囲内か(過去の値動きを確認)
iDeCoの配当金はどうやって計算するの?
計算方法は、投資信託によって異なります。
投資信託購入時の説明書(目論見書)の中に「分配方針」が記載されていますので、その方針に従って計算されます。
例としては以下2つです。
- 運用益を問わず、安定した分配を目指すもの
- 原則として利益分の分配にこだわるもの
iDeCoの配当金には税金はかかる?
iDeCoは、運用益が配当金を含めて非課税です。
そのため、税金はかかりません。
通常は、配当や売却益は利子配当所得に分類され、税率が20.315%(所得税15%+復興所得税0.315%+住民税5%)かかります。
仮に年間10万円の配当金を受け取る場合、約8万円しか手元に残らない計算です。
金額が増えれば増えるほど税金も増えますので、iDeCoの非課税メリットは大きいです。
他に配当金に対して税金のかからないものは、つみたてNISAやNISAがあります。
ちなみに、つみたてNISAは年間40万円×20年分、NISAは120万円×3年分(2023年終了)の投資資金から得られた利益が非課税になる制度です。
iDeCoと異なり節税効果はありませんが、いつでも解約できますし、口座開設だけして投資をしなくても手数料はかかりません。
iDeCoの再投資は配当金のみでしかできない?
配当金だけではなく、元本の利益分も自動的に再投資されています。
投資信託の価格が上がれば上がるほど、再投資による複利効果も高まります。
一方、投資信託の価格が下がれば複利効S果はないどころかマイナスです。
長期的に上がる見込みのある投資信託なら問題ありませんが、長期的に右肩下がりになっている投資信託の場合は見直しも必要です。
参考:高配当株に投資するならETF(上場投資信託)もおすすめ
基本的には、配当金は無理に受け取らずに再投資し、複利効果を高めてリターンを増やすのが王道です。
とはいえ、それでは納得できない人もいるでしょう。
「どうしても配当金が欲しい!」
「配当金がないと投資しているメリットを感じられない!」
そんな人は、ETF(上場投資信託)がおすすめです。
ETFは、「複数企業の株式の詰め合わせパック」みたいなものです。
ここでは、ETFについて
- ETFとiDeCo、何が違うの?ETFの特徴を紹介
- ETFのおすすめ商品を紹介!
- 【注意】ETFはiDeCoの対象商品ではない!NISAはOK
ETFとiDeCo、何が違うの?ETFの特徴を紹介
ETFとiDeCoの違いと考えるより、ETFと投資信託の違いと考えた方が分かりやすいです。iDeCoで買える投資商品はほぼ投資信託だからです。
ETFは上場投資信託と呼ばれ、株式市場で取引できる投資信託になります。
ETFの特徴は、以下の通りです。
- 市場で取引されている値段で売買できる
- 投資信託と同様に分散されているので、個別株よりリスクが控えめ
- 配当金を受け取れる
- 最低売買単位分の資金が必要
- 配当金を自動で再投資できない
- 自動積立投資は一部証券会社(SBI証券)以外利用できない
ETFのおすすめ商品を紹介!
ETFで最もおすすめできるのは、米国株ETFです。
米国は世界最大の株式市場で、NYダウ・S&P500・ナスダックなど優秀な指数も整備されています。
必然的に、買う価値のあるETFが多いです。
米国株ETFでおすすめは以下の通り。
- バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)
- バンガードS&P500ETF(VOO)
- バンガード米国高配当株式ETF(VYM)
- S&P500高配当株式ETF(SPYD)
- iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債(HYG):債券
- SPDRゴールド・シェア(1326):金
【注意】ETFはiDeCoの対象商品ではない!NISAはOK
ただし、ETFはiDeCoでは買えません。つみたてNISAでも買えません。
買えるのはNISAまたは通常の証券口座になります。
iDeCoで買えるのは、投資信託・定期預金・保険の3つのみ。
保険と言っても実態は定期預金と大差ないので、実質上、投資信託か定期預金の2択です。
NISAであれば年間120万円まで非課税で運用できますし、ETFの配当金も国内課税分は非課税です。
米国のETFを買う場合、米国課税分の10%は課税されてしまいますので注意しましょう。
まとめ:iDeCoの配当金で複利効果が得られる!
iDeCoの配当金について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
本記事では、
- iDeCoの分配金(配当金)は受け取れるのか
- 配当金の再投資による複利効果
- 配当金がもらえるETF投資