iDeCoを運用している方でずっとマイナスで不安な方がいると思います。本記事ではiDeCoでずっとマイナスになる原因とその対処法についてまとめました。またiDeCoの金融機関・商品選びのコツや資産配分の方法についても解説しています。ぜひ最後までお読みください。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
- iDeCoでずっとマイナスになる原因を解説【正しい運用方法とは】
- iDeCoでずっとマイナスになる原因は運用方法と手数料にある
- iDeCoでずっとマイナスになる原因①運用方法について解説
- iDeCoには元本確保型商品と投資信託商品の2種類がある
- iDeCoの投資信託のアクティブ運用には注意が必要である
- iDeCoは分散投資をしてリスクを抑えた運用をしよう
- iDeCoの商品で迷ったら世界株インデックス投信がおすすめ
- iDeCoでずっとマイナスになる原因②手数料について解説
- iDeCoにはiDeCo特有の口座管理手数料がかかる
- iDeCoは定期預金だと低金利だから手数料によって元本割れする
- 掛金を拠出しないiDeCo運用指図者も手数料はかかる
- 口座管理手数料が0円の金融機関を選ぼう
- iDeCo積立投資のプラスになる場合とマイナスになる場合について解説
- 積立投資の2つの原則について解説
- プラスになるパターンは「辛抱強さと長い運用期間」が必要
- マイナスになるパターンは「ほったらかし」にすること
- マイナスになった時に積立をやめる・売るのはおすすめできない
- iDeCoの資産を定期的に見直そう【3つのタイミングを解説】
- iDeCoの資産配分が大きく変わったとき
- 年齢やライフステージの変わり目
- iDeCoに拠出する掛金を変更するとき
- iDeCoのリバランスの2つの方法について解説
- iDeCoリバランス①配分変更について解説
- iDeCoリバランス②スイッチングについて解説
- iDeCoに限らず資産全体の見直しをすることが大切である
- iDeCoの商品選びのコツについて解説
- iDeCoの商品を選ぶ前にリスク許容度を考えよう
- 安定重視か収益重視のタイプ別に商品を決めよう
- 資産配分のパターン例①成長重視型
- 資産配分のパターン例②安定運用型
- 資産配分のパターン例③元本重視型
- 資産配分のパターン例④元本確保型
- iDeCoや資産運用に関する悩みはFPに相談すべき理由
- まとめ:iDeCoがずっとマイナスになる原因と対処法
iDeCoでずっとマイナスになる原因を解説【正しい運用方法とは】
こんにちは。マネーキャリア編集部です。
先日、50代の男性会社員から次のような相談を受けました。
iDeCoは公的年金では不足しがちな老後の資金を資産運用で増やそうという私的年金制度。
資産運用がうまく行けば、資金も増えて、老後の生活が潤うようになります。
しかし、資産運用というものは絶対に成功すると決まっているわけではありません。
儲かる場合もあれば、損をする場合もあります。
その両面があるのですが、運の悪い人はずっとマイナスなんて場合も。
それは非常に困ることでしょうから、その原因と正しい運用方法について解説します。
この記事が、iDeCoでずっと損をし続けている人の解決策模索のお手伝いになれば幸いです。
iDeCoでずっとマイナスになる原因は運用方法と手数料にある
iDeCoでずっとマイナスになり続けている場合、その原因は運用方法と手数料にあるといっていいでしょう。
それぞれの原因についてここで詳しく分析してみますから、該当する人は自分に照らし合わせてみて、次の対策へと進んでください。
iDeCoでずっとマイナスになる原因①運用方法について解説
まずiDeCoですっとマイナスになり続ける原因である運用方法についてご説明しましょう。
iDeCoの運用の種類には次のようなものがあります。
- 投資信託
- 信託商品
- 債権
- 株式
- 外貨建て商品
- 保険
- 預貯金
iDeCoには元本確保型商品と投資信託商品の2種類がある
iDeCoの運用の商品の種類について見てみましたが、大きく分けると、元本確保型商品と投資信託商品があります。
元本確保型商品とは?
元本確保型とは、運用で元本よりも資産が減る恐れがないもののこと。
つまり、元本は保証され、あとは増えるだけという商品です。
それは都合がいいなと思われるかもしれませんが、安全な資産運用方法である分、得られる利益は少なめ。
大きなリターンは望めません。
定期預金や保険などがこのタイプに属します。
投資信託商品とは?
どちらを選んでもいい
iDeCoでは、元本保証型商品と投資信託商品のどちらを選ぶのも自由。
両方を併用することもできます。
割合設定も自分で決められます。
この選択の仕方も、結果がずっとプラスになるかマイナスになるかの分かれ目となるでしょう。
iDeCoの投資信託のアクティブ運用には注意が必要である
投資信託には、2種類の運用があります。
インデックス運用とアクティブ運用です。
インデックス運用とは?
iDeCoは分散投資をしてリスクを抑えた運用をしよう
iDeCoでずっとマイナスという事態は何としても防がなければいけませんから、一つの投資方法に固執しないようにすることが大切です。
例えば、投資信託のアクティブン運用だけに集中してしまうと、損失の影響が非常に大きくなる場合もあるでしょう。
後で、その穴埋めもできません。
そこでおすすめするのが分散投資です。
分散投資で投資先を分けると、一つの商品で損をしても、ほかの商品でその損失のカバーができる場合があります。
そうなれば、大損という事態も防ぎやすくなりますね。
これでiDeCoでずっとマイナスという事態も回避しやすくなるでしょう。
iDeCoの商品で迷ったら世界株インデックス投信がおすすめ
iDeCoの運用商品をどれにしたらいいかは大いに迷うところです。
ずっとマイナスでなくても、マイナスが出ることはできるだけ避けたいところ。
その方法の一つとして、世界株インデックス投信というものがあります。
これは全世界の株式に分散投資を行うというもの。
これにより、値動きが安定しやすくなり、大きなリスクを回避できる場合があり、安全な資産運用法となります。
iDeCoでずっとマイナスになる原因②手数料について解説
続いて、iDeCoでずっとマイナスになる原因の手数料について考えてみましょう。
iDeCoにはいろいろな手数料がかかります。
まず、加入時と企業型確定拠出年金からの移換時に手数料がかかりますが、これは初回だけですから、あきらめもつきます。
しかし、口座管理手数料というものを金融機関に毎月支払わなければならず、これがずっとマイナスの原因になることがあるのです。
この点について、詳しく解説しましょう。
iDeCoにはiDeCo特有の口座管理手数料がかかる
iDeCoには口座管理手数料という特有の手数料があります。
口座管理などはたから見ると簡単そうにも思えますが、iDeCoの場合意外に業務が多いので、このような手数料が設けられています。
しかし、これは他ではあまり聞かないこと。
銀行口座でも証券口座でも不要です。
それだけに、iDeCoにだけ口座管理手数料があることに納得できない人がいるかもしれませんが、これはiDeCoのルールなので、口座がある限り毎月支払っていかなければいけません。
iDeCoは定期預金だと低金利だから手数料によって元本割れする
iDeCoに掛金を拠出する場合、その資金の運用先として定期預金を選ぶ場合があります。
定期預金では,投資信託ほどの利益は得られませんが、元本割れしないという点が魅力なので、選ぶ加入者もいます。
しかし、ここにも気になる点が、
日本では定期預金の金利も低く、あまりプラスにはなりません。
そこに口座管理手数料の負担が加わると、本来元本割れしないはずのiDeCoの資金が元本割れになることがあるのです。
それが毎月続くことになると、ずっとマイナスという現象に悩まされることにもなるでしょう。
掛金を拠出しないiDeCo運用指図者も手数料はかかる
口座管理手数料の面倒なところは、掛金を拠出しない運用指図者にも支払い義務があることです。
掛金を拠出しなければ、資金が増えない代わりに減りもしないだろうと思っていると、意外な出費に気が付いて、あとで驚くことにも。
何らかの事情でiDeCoに掛金を拠出しない人もいるでしょうが、口座管理手数料の負担が毎月かかり、ずっとマイナスという事態になることもあるのです。
口座管理手数料が0円の金融機関を選ぼう
ただ、iDeCoの口座管理手数料は金融機関によっても額が違います。
毎月、数百円というところから0円というところまであります。
もし口座管理手数料が400円だとすると、掛金拠出を行わなくても、年間4,800円もの損失を生み、ずっとマイナスということになりますね。
これは大きなデメリットです。
そこで、iDeCoの金融機関を選ぶときは、口座管理手数料が0円のところにするのがおすすめです。
これなら、ずっとマイナスという事態は避けやすくなるでしょう。
iDeCo積立投資のプラスになる場合とマイナスになる場合について解説
iDeCoの積立投資を続けた場合、プラスになることもあればマイナスになることもあります。
どのようなときにプラスになりどのようなときにマイナスになるのかを知ることは非常に重要ですから、そのポイントをご説明しましょう。
積立投資の2つの原則について解説
積立投資には2つの原則があるので、見てみましょう。
- 定額での積立投資の場合、安値で多く買い、高値で少なく買うというパターンにできる
- 積立投資では、前半にマイナスになるのはOKで、後半に値下がりになるとダメージがある
プラスになるパターンは「辛抱強さと長い運用期間」が必要
iDeCoの積立投資でプラスに持っていくのに必要なのは、「辛抱強さと長い運用期間」です。
10年以上という長いスパンで運用していくつもりであれば、勝ちパターンに持っていける可能性は高まります。
その期間に一定以上の利益が獲得できたら、その商品(投資信託など)の一定割合を売却し、元本確保型の商品を購入することで、利益を確定できるでしょう。
マイナスになるパターンは「ほったらかし」にすること
一方、iDeCoの積立投資でマイナスになるパターンは「ほったらかし」です。
「ほったらかし」のどこがいけないのかというと、値が上がっているのに何もせず利益を得るチャンスを逃し、値が下がっているときにぼんやりと眺め続け損失を膨らますことです。
資産運用というのはタイミングを見ることが非常に重要になります。
それが「ほったらかし」では、ずっとマイナスになってもしょうがないでしょう。
マイナスになった時に積立をやめる・売るのはおすすめできない
では、iDeCoの積立投資がマイナスになった時はどうすればいいでしょうか。
何らかの事情により積立ができなくなったときはやむをえませんが、それ以外の場合は、マイナスになっても積立を続けないと損です。
すでに指摘したように、積立(掛金拠出)をしなくても手数料がかかる場合があります。
それでずっとマイナスになってしまうなんてことも。
また、積立を続けると、税金の控除も受けられるのですから、できる限りやめないようにしましょう。
それから、マイナスになった時に商品(株など)を売って、他の安全な商品で運用するのはおすすめできません。
株などはマイナスになっても、あとで持ち返すことが多いです。
マイナスになった時に株を売り、運用先を定期預金などに変えたら、損失分は取り返せません。
iDeCoの積立投資は長期的視点に立つのがよく、株が値下がりしても、また値上がりするまで待つのが正解です。
iDeCoの資産を定期的に見直そう【3つのタイミングを解説】
iDeCoの資産運用する場合、一時的なプラス、マイナスで動揺する必要はありません。
iDeCoは長期にわたって資産運用していくものなので、最終的な結果が大事です。
一時のことで悩みすぎなくても大丈夫です。
ただ、状況によっては定期的に見直しをした方がいいケースもあります。
そのタイミングがどのようなときかご紹介しましょう。
iDeCoの資産配分が大きく変わったとき
ここ最近の大きな出来事にコロナ危機がありました。
このようなことが起きると、価格変動が大きくなり、iDeCoの資産配分のバランスが大きく崩れてしまうことがあります。
当初はこの資産配分で大丈夫と思っていたのに、思わぬ出来事でリスクが膨らんだといったようなケースです。
このようなときは見直しの必要もあるでしょう。
年齢やライフステージの変わり目
iDeCoに加入する年齢、加入後の年齢の推移によっても、リスク許容度は違ってくるでしょうから、その都度資産の見直しをするのもいいです。
次に、結婚、出産、子供の入学、離婚などのライフステージによっても置かれた状況が大きく変化します。
そのようなときも、資産の見直しをするいいタイミングです。
iDeCoに拠出する掛金を変更するとき
人生においては、収入が増えるときも減るときもありますが、その状況に応じてiDeCoの掛金を変更する場合もあるでしょう。
そのようなときには、資産配分を見直す機会とも言えます。
掛金が多くなるか少なくなるかで、運用先の選択の変更を迫られる場合もあります。
iDeCoのリバランスの2つの方法について解説
iDeCoの資産配分が崩れ、リスクが上昇することがあります。
その時のリスク軽減策がリバランスと呼ばれる手法です。
リバランス(rebalance)とは、資産配分の再調整を図ることで、どの商品を選ぶかを見直していきます。。
リバランスをすれば、また効果的な資産運用ができるようになる場合もあり、収益が増えるかもしれません。
ここでは以下の二つのリバランス方法について解説します。
- 配分変更
- スイッチング
iDeCoリバランス①配分変更について解説
iDeCoのリバランスの一つ目は配分変更です。
配分変更では、配分割合が多くなっている運用商品の配分を減らしたり、配分割合が少ない商品の配分を増やしたりします。
具体的には、「投資信託A:50%、投資信託B:30%、投資信託C:20%」となっているものを「投資信託A:30%、投資信託B:40%、投資信託C:30%」などのように変更することです。
iDeCoリバランス②スイッチングについて解説
iDeCoのリバランスの第二はスイッチングです。
これは、運用商品の入れ替えです。
やはり具体例を示すと、「投資信託A:50%、投資信託B:50%」となっているものを「投資信託A:40%、定期預金A:60%」などのように入れ替えることです。
iDeCoに限らず資産全体の見直しをすることが大切である
資産には、リスク資産と無リスク資産があります。
前者は株や投資信託など、後者は現金や預金、個人向け国債などです。
その配分では当初50%:50%というケースもあります。
しかし、株などで儲かれば、この比率が70%:30%くらいになることもあるでしょう。
それはいいことですが、その後に株が値下がりするリスクもありますから、また50%:50%程度に戻しておいた方がいいかもしれません。
これはiDeCoの資産に限らず、所有する資産全体について時々見直しをすることが大切です。
iDeCoの商品選びのコツについて解説
iDeCoでは様々な商品での資産運用が可能ですが、どの商品を選べばいいかは難しいところです。
資産運用と言っても素人にはわかりにくいことも多く、選択商品を決めるのは結構大変。
そこで、ここではiDeCoの商品選びのコツについてポイントを分けて解説しましょう。
iDeCoの商品を選ぶ前にリスク許容度を考えよう
リスク許容度とは、運用商品の値動きの上下変動を受け入れられる範囲のこと。
そのリスク許容度は、運用期間、家計状況、投資への考え方、金融の知識などによっても変わってきます。
したがって、自分にどの程度のリスク許容度があるのかをよく考えたうえで、商品を選ぶようにしてください。
安定重視か収益重視のタイプ別に商品を決めよう
リスク許容度の高低で選ぶべきiDeCo商品にも違いが出てきます。
リスク許容度が低い人は安定重視と行きたいところ。
元本確保型商品や債券などの安定・安全な資産運用先が適しています。
リスク許容度が高い人は収益重視。
株式や外国債券などの運用比率を高め、積極的な投資をしてもいいでしょう。
資産配分のパターン例①成長重視型
リスク許容度に応じた具体的な資産配分の例を見てみましょう。まず成長重視型です。
成長重視型では、リスク資産を多めにし、大きな収益を目指します。
長期投資ができる人、高い資産形成を求めながらも、資産全体の減少は抑えたいという人に向いたタイプです。
資産配分のパターン例②安定運用型
安定運用型では、リスク資産と安全資産をほぼ等分にしながら運用していきます。
これにより、資産全体の大きな変動が抑えられる一方で、一定の収益は得られます。
資産配分のパターン例③元本重視型
元本重視型では、安全資産の割合を大きくします。
例えば、安全資産75%、リスク資産25%といった感じです。
この比率では収益は大きくなりませんが、リスクが最小限になります。
初めて資産運用をする場合は、元本重視型もおすすめのタイプです。
資産配分のパターン例④元本確保型
元本確保型はすべての資産運用を安全資産で行い、リスク資産は利用しません。
これで元本は完全に守られますから、安心でしょう。
どうしても元本割れは嫌だという人や年金受取開始年までの期間が短い人に向いたタイプです。
iDeCoや資産運用に関する悩みはFPに相談すべき理由
まとめ:iDeCoがずっとマイナスになる原因と対処法
ここまで、iDeCoでずっとマイナスになる原因や対処法などについてお伝えしてきました。
iDeCoでずっとマイナスになるのは、運用方法や手数料によるところが大きいです。
そのため、この二つにどう対処していくかがずっとマイナスを避けるポイントになります。
そのほか、次のようなポイントも解説しました。
- iDeCoの積立投資でプラスになるパターンとマイナスになるパターン
- iDeCoの資産配分見直しのタイミング
- iDeCoの資産配分見直しの方法であるリバランスについて
- iDeCoの商品を選ぶコツはどのようなものか