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iDeCoを運用していく中で価格が下落するのが怖くてつい利益を確定(株を売却)したくなると思います。果たしてその行為は正しいと言えるのでしょうか?本記事では正しい利益確定のポイントについて詳しく解説しています。ぜひ最後までお読みください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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iDeCoはどのタイミングで利益を確定させたらいいのか?

こんにちは。マネーキャリア編集部です。


先日、30代の友人から次のような相談を受けました。


「iDeCoで運用している商品がいつ値下がるするのかが心配。iDeCoはどのタイミング利益を確定させたらいいの?」


iDeCoは自分で金融商品を運用して老後のための資産を形成する制度です。


iDeCoで扱える金融商品は、株式のように価値が変動する物があるので、適切なタイミングで利益を確定させる必要があります。


多くの方は適切なタイミングがわからないかと思いますので、今回の記事ではiDeCoで利益を確定させるタイミングについてお伝えして行きます。


今回の記事のポイントは

  • iDeCoはどのタイミングで利益を確定すべき?
  • iDeCoの商品株価が下がってしまった場合の対処法を年代別に解説
  • iDeCoで運用を始める前に確認しておきたいこと
  • iDeCoの利益確定の方法
についてお伝えして行きます。

最後まで読むことで、iDeCoの利益の確定を適切に行え、安全に老後資産を蓄える事ができます。

iDeCoの利益の確定とは保有している株を売却することである

iDeCoは、自分で毎月の掛金を拠出して、金融商品を運用して、60歳以降に受け取る老後資産形成のための制度です。


iDeCoで運用できる金融商品には、投資信託など毎日変動する株式市場に連動して価格が変わるものがあります。


毎日、変動する株式市場、株価が高く利益が出ているうちは良いのですが、暴落などで大きく値をさげる前に利益を確定したい所です。


iDeCoは原則として60歳まで受け取ることが出来ないので、通常の投資の用に、利益を現金化して確定する、ということはできません。


iDeCo場合は、運用している金融商品を売却して、他の商品にすることで利益を確定します。

iDeCoはどのタイミングで利益を確定すべき?

変動する株価、一体いつ利益を確定させればよいのでしょうか。


通常の株の取引ですと、購入した価格よりも高い価格で現金化をすれば利益が確定できます。


一方、毎月の掛金で継続して金融商品をiDeCoの場合は、どのタイミングで利益を確定すべきでしょうか。


基本的なポイントは以下の2つです。

  • 投資信託で株価が上昇しても利益確定の必要はない
  • 短期間の利益確定よりも長期で続けることが大事

詳しくお伝えして行きます。

投資信託で株価が上昇しても利益確定の必要はない

iDeCoの投資信託で株価が上昇しても利益確定の必要はありません。

iDeCoでは、毎月一定の額を投資する、積立投資になります。

積立投資の場合は、株価が高いときには少ししか購入できないので、高値でたくさん買って損をする高値づかみの失敗を避けることができます

また、株価が低いときには多く購入できるので、長期で見た場合に、平均化されるので損をすることは少ないです。

短期間の利益確定よりも長期で続けることが大事

iDeCoは、短期間での利益を目指すものではなく、60歳までゆっくりと資産を形成することを目的にしています。


積立投資で、株価が高いときには少量を、安いときにはたくさん購入することで、長期間での利益を平均化されるので、少し株価が上がって利益が出ているからといって慌てて利益を確定する必要はありません。


また、利益が再投資に回される複利効果も得られます。


iDeCoでは、短期間の利益確定よりも長期で続けることが大事です。

iDeCoの商品株価が下がってしまった場合の対処法を年代別に解説

iDeCoでは、短期間に利益確定よりも長期で続ける事が大切ですが、もしも株価が下がってしまった場合どうすればよいのでしょうか。


60歳で受け取り間近で株価が下がった場合と、40代でまだ受け取りまでの期間がある場合では、対処法がことなります。


iDeCoの商品株価が下がってしまった場合の対処法について重要なことを見ていきましょう。

  • 20代から50代前半までなら株価が下がっても運用を続けるべきである
  • 2022年から75歳まで延長されることを考慮するべきである
  • 50代以上の方で早めに受け取りたい人は投資先を変えてもよい
  • 掛金の拠出のみではリスクが大きいことに注意
それぞれについて詳しく見ていきます。

20代から50代前半までなら株価が下がっても運用を続けるべきである

常に変動する株式市場、下がるときもあれば上がるときもありますが、数年に渡って下がったままということはありません。


20代から50代前半であれば受け取り開始年齢である60歳まで期間があるので、そのまま運用を続けるべきです。


60歳までの間に株価が回復する可能性は充分あります。


また一定金額で積み立てて購入しているので、株価が下がっている間は安値で購入できるので、株価が回復したときに利益も見込めます。

2022年から75歳まで延長されることを考慮するべきである

受け取り年齢である60歳が近い場合は、どうすればよいのでしょうか。


現状では60歳から70歳の間に、受け取り期間を決めるようになっています。また、2022年からは、受取開始時期を75歳まで選択できるようになります。


60歳に近い年齢のときに株価が下がってしまった場合は、慌てて利益を確定するのではなく、株価が回復してから受け取るようにすれば大丈夫です。

50代以上の方で早めに受け取りたい人は投資先を変えてもよい

50代以上の方でなるべく早く年金を受け取りたいという方は、株式ではなく、定期預金や債券中心の投資信託など変動の少ない投資商品に変えれば大丈夫です。

iDeCoは保有している金融商品を売って他の金融商品を購入することができます。

早めに年金を受け取りたい方は、株価が下がる前に、元本確保型の定期預金にするか、株式に比べて変動の少ない債券中心の投資信託に変更して利益を確定しましょう。

掛金の拠出のみではリスクが大きいことに注意

iDeCoの掛金の拠出だけでなく、資産全体でバランスをとることも重要です。


どういった老後生活を送りたいか、それにはどのくらいの金額があればよいのかを考えて、国民年金で安定性の取り、運用益が非課税であるiDeCoでは投資信託を運用する、など資産全体でバランスを取るようにしましょう。


iDeCoで扱っている投資信託は、個別の株式に集中しているものは少なく、ある程度分散してリスクが少なくなっているものが多いのですが、それでもiDeCoのみに集中するのはよくありません。

iDeCoで運用を始める前に確認しておきたいことを解説

次に、iDeCoで運用を始める前に確認しておきたいことを解説していきます。


iDeCoを始める方は、個人での株式投資をしたことがない方だと思います。


iDeCoで運用を始めたのはいいけど、自分の持っている金融商品の価値が下がらないか心配で株価が気になって落ち着かない、ということがないように、あらかじめ知識をつけて備えて起きましょう。


iDeCoで運用を始める前に確認しておきたいことは2つです。

  • 投資商品の値下がりはメリットにもデメリットにもなる
  • 運用期間と値動きが比例する

投資商品の値下がりはメリットにもデメリットにもなる

投資商品の値下がりはメリットにもデメリットにもなります

投資商品値下がりは、自分の資産が減ってしまうのでデメリットと思われがちですが必ずしもそうとは限りません。

iDeCoは毎月決まった額の投資商品を購入するので、値下がりした時は、高値のときに比べて多く購入できるメリットがあります。多く購入した分だけ、株価が回復場合に多くの利益を得ることができます。

それを知っておくことで、少々の値下がりでは動じなくなります。

運用期間と値動きが比例する

運用期間が長くなれば、購入している金融商品の口数が多くなり、値動きの影響は大きくなります


投資商品の値が下がった場合、5年よりも15年運用している方が値下がり幅は大きいので、びっくりするかもしれません。


一度の値下がり幅は大きいですが、長期間運用していることで振れ幅は平準化して、安定したリターンを得ることが出来るので、気にせず運用を続ける方が利益は出ます。

iDeCoの運用で成功するために何をすべきであるか

iDeCoを運用する前に知っておくことをお伝えしました。


では、iDeCoの運用で成功するためには何をするべきなのでしょうか。


そのために大事なのは

  • 目的は明確にしておくべきである
  • 利益確定を習慣にさせておくとよい
です。


それぞれについて詳しくお伝えして行きます。

目的は明確にしておくべきである

iDeCoを運用するときには、目的を明確にすることが重要です。


目的とは、具体的に老後資産がいくら必要か、ということです。


どのような老後生活を送りたいのか、公的年金や厚生年金でいくら貰えるのかによって、iDeCoで準備しなくてはいけない金額は異なります


公的年金のみで生活費を多く用意したいのであれば、iDeCoの掛金を上限一杯に設定し、リターンの大きい金融商品を運用する必要がありますし、生活費がそこまで必要ないのでああれば元本確保型の預金でも構いません。


また、iDeCoは原則として60歳まで引き出しができないので、月々の掛金によって今の生活が困窮しないように設定することも大切です。

利益確定を習慣にさせておくとよい

iDeCoの運用を続けていく上では、ほったらかしにするのではなく、定期的に資産配分を見直し、利益確定をすることが必要です。

運用を続けていくと、資産のバランスが崩れていきます、また年齢によってリスク許容度も変わるので、ライフプランに合わせた修正も必要です。

運用通知が来たタイミングや年度の変わり目など、自分で決めたタイミングで資産配分を確認し、修正するようにしましょう。

iDeCoの利益確定の方法は2つのやり方がある

iDeCoの運用と利益確定のタイミングについては分かったかと思います。

では、実際にiDeCoの利益確定の方法についてお伝えしていきます。

通常の株式投資ですと、充分な利益が出た場合には、売却して現金にするのですが、iDeCoの場合は60歳まで受け取りが出来ません。

iDeCoの利益確定の方法は
  • 「スイッチング」
  • 「配分変更
で行います。

iDeCoの利益確定方法①スイッチング

スイッチングとは、購入済みの運用商品を売却して、他の運用商品を購入する手続きのことです。配分変更とは連動していないので、毎月の掛金で購入する商品は変わりません。


スイッチングによって商品を売却購入して崩れたバランスを修正したり、出た利益の分だけ元本確保型の預金へと切り替えることで利益を確定して、資産全体が安定するように調整します。


スイッチングは何回でも、手数料なしで行うことが出来ます。

iDeCoの利益確定方法②配分変更

配分変更とは、毎月の掛金で購入する商品や配分を変更する手続きのことです。既に購入済みの資産の割合はそのままで、これから購入する商品のみを変更します。

リスクやリターンの大きい株式中心の投資信託から元本確保型の預金への変更など、年齢やライフプランによって運用方針の変更を行います。

スイッチングと配分変更の両方を行うことで、iDeCo全体のバランス調整を行うことができます。

iDeCoの利益確定の前に資産の見直しをしよう

株式相場があがり利益が出ているからといって利益確定を焦ってはいけません。


大切なのは、iDeCoを運用する目的と資産全体のバランスです。相場によって行動を決めてしまうと、資産運用のことばかりを考えることになって生活がままならなくなってしまいます。


iDeCoの利益確定の前に、資産の見直しを行う必要があります。


その際に気をつけることは

  1. スケジュールを決めて定期的な見直しをしよう
  2. 年齢や環境・ライフステージに応じた見直しをしよう
です。

①スケジュールを決めて定期的な見直しをしよう

「運用状況のお知らせ」など資産状況を知らせる通知が送られてくるタイミングや年度の切り替わりなど、スケジュールを決めて定期的に資産配分の見直しをしましょう

何をしまいまま放置しておくと資産配分が変動してしまい、全体に占める株式の割合が多くなり暴落時のリスクが高くなってしまったり、債券中心になりリターンが少なくなってしまったりします。

毎週や毎月のようなリバランスは必要ありませんが、最低でも年に一度は、見直しを行って適切なバランスに修正する習慣をつけましょう。

②年齢や環境・ライフステージに応じた見直しをしよう

見直しの際は、年齢や環境・ライフステージに応じた資産配分にすることが大切です。

例えば、受け取り開始年齢である60歳までの運用期間が20年以上ある30代は、株式型投資信託を中心に運用するなど、ある程度リスクをとった運用をして大きなリターンを目指すことも可能です。

一方、50代の場合は、リスクを抑え債券型投資信託を運用したり定期預金にして安定した資産配分に切り替えます。

単純に資産だけを見るのではなく、自分の置かれた環境や目的を元にバランスを調整する必要があります。

iDeCoの4つの注意点について確認

iDeCoは、自分で毎月の掛金や購入する金融商品を決めて運用します。

上手に運用して資産を大きく増やすことも可能ですが、何も考えずに運用すると、資産が減ることもあります。

iDeCoで注意すべきポイントは4つあり
  • 原則60歳まで引き出すことができない
  • 投資上限額は決まっている
  • 元本割れするリスクがある
  • 維持費がかかる
です。

それぞれについて詳しくお伝えして行きます。

①iDeCoは原則60歳まで引き出すことができない

iDeCoは原則として60歳まで引き出すことができないので注意しましょう。


急にお金が必要になり、iDeCoの一部を現金化してそのお金にあてるということはできません。


住宅ローンの頭金や教育資金など、まとまったお金はiDeCoと別に貯蓄する必要があります。


また、月々の掛金を多くしすぎると生活費が足りなくなってしまうので注意しましょう。


掛金の変更は1年に1回可能で、拠出の停止もできます。

②iDeCoの投資上限額は決まっている

iDeCoの投資上限額は決まっています


iDeCoは勤務先の企業年金の種類や職業によって、掛金の上限額(1万2000円〜6万8000円)が決まっています。


40代から加入して毎月10万円を運用する、ということは出来ません。


早めに加入して少しづつ積み立てることで多くの資産を運用することができます

③iDeCoは元本割れするリスクがある

iDeCoで扱うことのできる金融商品には元本割れのリスクがあります

iDeCoで扱うことのできる投資信託は、リターンが望めるかわりに元本割れのリスクがあります。

元本割れのリスクを避けたい場合は、元本保証型の定期預金や保険で運用すると良いでしょう。

ただし、元本保証型の定期預金であっても、維持費がかかってしまうので、ある程度リスクをとっても投資信託で資産運用することをおすすめします。

iDeCoは維持費がかかる

iDeCoには維持費がかかるので注意しましょう。


iDeCoには、金融機関に毎月支払う口座管理手数料、金融商品を運用している会社に支払う信託報酬がかかります


口座管理手数料が、運用している資産額と関係なく一定の金額がかかります。ネット銀行など口座管理手数料が低い銀行でiDeCoの口座を開設しましょう


一方、信託報酬は運用している残高全体に対して一定の率でかかります。金融商品を選ぶ場合が、利率だけではなく信託報酬が低いものを選ぶことも大切です。

おすすめの運用商品は世界株インデックス投信

iDeCoでどの金融商品を運用すれば良いのかわからない方におすすめなのは、世界株インデックス投信です。

インデックス投信とは、特定の指数(例えば日経平均や東証株価指数など)に値動きが連動する投資信託です。

インデックス投信は、個別株と違い、指数と連動する市場そのものに投資することになるので、リスクも分散されます

世界株に投資するインデックス投信は、先進国や新興国を含めた世界中の株価の動きを表す指数に連動するもので、その1本に投資すれば、世界中の株式に投資したような成果が期待できます。

iDeCoや資産運用に関する悩みはFPに相談すべき理由

準備中

まとめ:iDeCoの利益確定の自分に合ったタイミングを知ろう

iDeCoの利益確定についてお伝えしてきましたがいかがだったでしょう。


今回の記事のポイントは

  • iDeCoでは株価が下がっても利益確定の必要はない
  • iDeCoの利益確定は、スイッチングと配分変更で行う
  • iDeCoは年齢やライフプランによって定期的に見直す必要がある
でした。

iDeCoは受け取り可能な60歳まで長期で運用するので、細かい利益確定はそこまで必要ありません

ですが、そのまま放置しておくと資産のバランスがいびつになってしまうので、年に最低1回は見直す必要があります。

見直す際は、資産だけを見るのではなく、自分の年齢やライフプランに合わせて調整することが重要になってきます。

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