iDeCoを運用していく中で価格が下落するのが怖くてつい利益を確定(ファンドを売却)したくなると思います。果たしてその行為は正しいと言えるのでしょうか?本記事では正しい利益確定のポイントについて詳しく解説しています。ぜひ最後までお読みください。
監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- iDeCoはどのタイミングで利益を確定させたらいいのか?
- iDeCoの利益の確定とは保有しているファンドを売却することである
- iDeCoはどのタイミングで利益を確定すべき?
- 投資信託で価格が上昇しても利益確定の必要はない
- 短期間の利益確定よりも長期で続けることが大事
- iDeCoのファンド価格が下がってしまった場合の対処法を年代別に解説
- 20代から50代前半までなら価格が下がっても運用を続けるべきである
- 2022年から受け取り年齢が75歳まで延長されることを考慮するべきである
- 50代以上の方で早めに利益を確定させたい人は投資先を変えてもよい
- 掛金の拠出のみではリスクが大きいことに注意
- iDeCoで運用を始める前に確認しておきたいことを解説
- 投資商品の値下がりはメリットにもデメリットにもなる
- 運用期間が長ければ長いほど資産の変動は大きくなる
- iDeCoの運用で成功するために何をすべきであるか
- 目的は明確にしておくべきである
- 利益確定を習慣にさせておくとよい
- iDeCoの利益確定の方法は2つのやり方がある
- iDeCoの利益確定方法①スイッチング
- iDeCoの利益確定方法②配分変更
- iDeCoの利益確定の前に資産の見直しをしよう
- ①スケジュールを決めて定期的な見直しをしよう
- ②年齢や環境・ライフステージに応じた見直しをしよう
- iDeCoの4つの注意点について確認
- ①iDeCoは原則60歳まで引き出すことができない
- ②iDeCoの投資上限額は決まっている
- ③iDeCoは元本割れするリスクがある
- iDeCoは維持費がかかる
- おすすめの運用商品は世界株インデックス投信
- iDeCoや資産運用に関する悩みはFPに相談すべき理由
- まとめ:iDeCoの利益確定の自分に合ったタイミングを知ろう
iDeCoはどのタイミングで利益を確定させたらいいのか?
こんにちは。マネーキャリア編集部です。
先日、30代の友人から次のような相談を受けました。
「iDeCoで運用している商品がいつ値下がるするのかが心配。iDeCoはどのタイミング利益を確定させたらいいの?」
iDeCoは自分で金融商品を運用して老後のための資産を形成する制度です。
iDeCoで扱える金融商品は、株や債券などを投資対象にしているものがほとんどであるため適切なタイミングで利益を確定させる必要があります。
多くの方は適切なタイミングがわからないかと思いますので、今回の記事ではiDeCoで利益を確定させるタイミングについてお伝えして行きます。
今回の記事のポイントは
- iDeCoはどのタイミングで利益を確定すべき?
- iDeCoの商品価格が下がってしまった場合の対処法を年代別に解説
- iDeCoで運用を始める前に確認しておきたいこと
- iDeCoの利益確定の方法
iDeCoの利益の確定とは保有しているファンドを売却することである
iDeCoは、自分で毎月の掛金を拠出して、金融商品を運用して、60歳以降に受け取る老後資産形成のための制度です。
iDeCoで運用できる金融商品には、投資信託など毎日変動する株式市場に連動して価格が変わるものがあります。
毎日、変動する株式市場のなかで価格が上がり、利益が出ているうちは良いのですが暴落などで大きく値をさげる前に利益を確定したい所です。
iDeCoは原則として60歳まで受け取ることが出来ないので、通常の投資の様に、利益を確定して現金として受け取るということはできません。
iDeCo場合は、運用している金融商品を売却して、他の商品にすることで利益を確定します。
iDeCoはどのタイミングで利益を確定すべき?
変動する価格、一体いつ利益を確定させればよいのでしょうか。
個人の投資信託の取引ですと、購入した価格よりも高い価格で売却をすれば利益が確定できます。
一方、毎月の掛金で継続して金融商品をiDeCoの場合は、どのタイミングで利益を確定すべきでしょうか。
基本的なポイントは以下の2つです。
- 投資信託で価格が上昇しても利益確定の必要はない
- 短期間の利益確定よりも長期で続けることが大事
詳しくお伝えして行きます。
投資信託で価格が上昇しても利益確定の必要はない
短期間の利益確定よりも長期で続けることが大事
iDeCoは、短期間での利益を目指すものではなく、60歳までゆっくりと資産を形成することを目的にしています。
積立投資で、価格が高いときには少量を、安いときにはたくさん購入することで、長期間での利益を平均化されるので、少し価格が上がって利益が出ているからといって慌てて利益を確定する必要はありません。
また、利益が再投資に回される複利効果も得られます。
iDeCoでは、短期間の利益確定よりも長期で続けることが大事です。
iDeCoのファンド価格が下がってしまった場合の対処法を年代別に解説
iDeCoでは、短期間に利益確定よりも長期で続ける事が大切ですが、もしも価格が下がってしまった場合どうすればよいのでしょうか。
60歳で受け取り間近で価格が下がった場合と、40代でまだ受け取りまでの期間がある場合では、対処法がことなります。
iDeCoのファンド価格が下がってしまった場合の対処法について重要なことを見ていきましょう。
- 20代から50代前半までなら価格が下がっても運用を続けるべきである
- 2022年から75歳まで延長されることを考慮するべきである
- 50代以上の方で早めに受け取りたい人は投資先を変えてもよい
- 掛金の拠出のみではリスクが大きいことに注意
20代から50代前半までなら価格が下がっても運用を続けるべきである
常に変動する株式市場、下がるときもあれば上がるときもありますが、数年に渡って下がったままということはありません。
20代から50代前半であれば受け取り開始年齢である60歳まで期間があるので、そのまま運用を続けるべきです。
60歳までの間に価格が回復する可能性は充分あります。
また一定金額で積み立てて購入しているので、価格が下がっている間は安値で購入できるので、その後価格が回復したときに利益も見込めます。
2022年から受け取り年齢が75歳まで延長されることを考慮するべきである
受け取り年齢である60歳が近い場合は、どうすればよいのでしょうか。
現状では60歳から70歳の間に、受け取り期間を決めるようになっています。また、2022年からは、受取開始時期を75歳まで選択できるようになります。
60歳に近い年齢のときに価格が下がってしまった場合は、慌てて利益を確定するのではなく、価格が回復してから受け取るようにすれば大丈夫です。
50代以上の方で早めに利益を確定させたい人は投資先を変えてもよい
掛金の拠出のみではリスクが大きいことに注意
iDeCoの掛金の拠出だけでなく、資産全体でバランスをとることも重要です。
どういった老後生活を送りたいか、それにはどのくらいの金額があればよいのかを考えて、国民年金で安定性の取り、運用益が非課税であるiDeCoでは投資信託を運用する、など資産全体でバランスを取るようにしましょう。
iDeCoで扱っている投資信託は、個別の株式に集中しているものは少なく、ある程度分散してリスクが少なくなっているものが多いのですが、それでもiDeCoのみに集中するのはよくありません。
iDeCoで運用を始める前に確認しておきたいことを解説
次に、iDeCoで運用を始める前に確認しておきたいことを解説していきます。
iDeCoを始める方は、個人での株式投資をしたことがない方だと思います。
iDeCoで運用を始めたのはいいけど、自分の持っている金融商品の価値が下がらないか心配で価格が気になって落ち着かない、ということがないように、あらかじめ知識をつけて備えて起きましょう。
iDeCoで運用を始める前に確認しておきたいことは2つです。
- 投資商品の値下がりはメリットにもデメリットにもなる
- 運用期間と値動きが比例する
投資商品の値下がりはメリットにもデメリットにもなる
運用期間が長ければ長いほど資産の変動は大きくなる
運用期間が長くなれば、購入している金融商品の口数が多くなり、値動きの影響は大きくなります。
投資商品の値が下がった場合、5年よりも15年運用している方が値下がり幅は大きいので、びっくりするかもしれません。
一度の値下がり幅は大きいですが、長期間運用していることで振れ幅は平準化して、安定したリターンを得ることが出来るので、気にせず運用を続ける方が利益は出ます。
iDeCoの運用で成功するために何をすべきであるか
iDeCoを運用する前に知っておくことをお伝えしました。
では、iDeCoの運用で成功するためには何をするべきなのでしょうか。
そのために大事なのは
- 目的は明確にしておくべきである
- 利益確定を習慣にさせておくとよい
それぞれについて詳しくお伝えして行きます。
目的は明確にしておくべきである
iDeCoを運用するときには、目的を明確にすることが重要です。
目的とは、具体的に老後資産がいくら必要か、ということです。
どのような老後生活を送りたいのか、公的年金や厚生年金でいくら貰えるのかによって、iDeCoで準備しなくてはいけない金額は異なります。
公的年金のみで生活費を多く用意したいのであれば、iDeCoの掛金を上限一杯に設定し、リターンの大きい金融商品を運用する必要がありますし、生活費がそこまで必要ないのでああれば元本確保型の預金でも構いません。
また、iDeCoは原則として60歳まで引き出しができないので、月々の掛金によって今の生活が困窮しないように設定することも大切です。
利益確定を習慣にさせておくとよい
iDeCoの利益確定の方法は2つのやり方がある
- 「スイッチング」
- 「配分変更」
iDeCoの利益確定方法①スイッチング
スイッチングとは、購入済みの運用商品を売却して、他の運用商品を購入する手続きのことです。配分変更とは連動していないので、毎月の掛金で購入する商品は変わりません。
スイッチングによって商品を売却購入して崩れたバランスを修正したり、出た利益の分だけ元本確保型の預金へと切り替えることで利益を確定して、資産全体が安定するように調整します。
スイッチングは何回でも、手数料なしで行うことが出来ます。
iDeCoの利益確定方法②配分変更
iDeCoの利益確定の前に資産の見直しをしよう
株式相場があがり利益が出ているからといって利益確定を焦ってはいけません。
大切なのは、iDeCoを運用する目的と資産全体のバランスです。相場によって行動を決めてしまうと、資産運用のことばかりを考えることになって生活がままならなくなってしまいます。
iDeCoの利益確定の前に、資産の見直しを行う必要があります。
その際に気をつけることは
- スケジュールを決めて定期的な見直しをしよう
- 年齢や環境・ライフステージに応じた見直しをしよう
①スケジュールを決めて定期的な見直しをしよう
②年齢や環境・ライフステージに応じた見直しをしよう
iDeCoの4つの注意点について確認
- 原則60歳まで引き出すことができない
- 投資上限額は決まっている
- 元本割れするリスクがある
- 維持費がかかる
①iDeCoは原則60歳まで引き出すことができない
iDeCoは原則として60歳まで引き出すことができないので注意しましょう。
急にお金が必要になり、iDeCoの一部を現金化してそのお金にあてるということはできません。
住宅ローンの頭金や教育資金など、まとまったお金はiDeCoと別に貯蓄する必要があります。
また、月々の掛金を多くしすぎると生活費が足りなくなってしまうので注意しましょう。
掛金の変更は1年に1回可能で、拠出の停止もできます。
②iDeCoの投資上限額は決まっている
iDeCoの投資上限額は決まっています。
iDeCoは勤務先の企業年金の種類や職業によって、掛金の上限額(1万2000円〜6万8000円)が決まっています。
40代から加入して毎月10万円を運用する、ということは出来ません。
早めに加入して少しづつ積み立てることで多くの資産を運用することができます。
③iDeCoは元本割れするリスクがある
iDeCoは維持費がかかる
iDeCoには維持費がかかるので注意しましょう。
iDeCoには、金融機関に毎月支払う口座管理手数料、金融商品を運用している会社に支払う信託報酬がかかります。
口座管理手数料が、運用している資産額と関係なく一定の金額がかかります。ネット銀行など口座管理手数料が低い銀行でiDeCoの口座を開設しましょう。
一方、信託報酬は運用している残高全体に対して一定の率でかかります。金融商品を選ぶ場合が、利率だけではなく信託報酬が低いものを選ぶことも大切です。
おすすめの運用商品は世界株インデックス投信
iDeCoや資産運用に関する悩みはFPに相談すべき理由
まとめ:iDeCoの利益確定の自分に合ったタイミングを知ろう
iDeCoの利益確定についてお伝えしてきましたがいかがだったでしょう。
今回の記事のポイントは
- iDeCoでは価格が下がっても利益確定の必要はない
- iDeCoの利益確定は、スイッチングと配分変更で行う
- iDeCoは年齢やライフプランによって定期的に見直す必要がある