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つみたてNISAやiDeCoって最近よく聞くけど、違いは何?自分はどちらをやった方がいいの?という方に、二つの制度の明確な違いと、それぞれのメリットとデメリット、どのような人におすすめなのかを解説します。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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つみたてNISAとiDeCoの概要

NISAとかiDeCoって最近よく目にするけど、あれって何?
老後資金を貯めたいけど、どちらを始めたらいいの?

このような疑問を持つ方は、多くいらっしゃると思います。


まずはじめに必ず押さえておいて欲しいのは、つみたてNISAとiDeCoは制度として目的が異なるということです。


つみたてNISAは、長期の積立・分散投資を通じた資産形成を後押しするために創設された税制優遇制度である一方、iDeCoは自分で拠出した掛金を運用し、その運用益を公的年金にプラスして受け取ることが出来る制度です。

つまり、つみたてNISAは、老後資金だけではなく、様々な目的のために資産を運用するための制度であるのに対し、iDeCoはあくまでも老後資金を準備するための制度だということです。

また、ふたつの制度は共通して税制優遇が受けられますが、それぞれ人によってはメリットがあまり無いこともある点にも注意が必要です。


以下では、それぞれのメリットデメリットをまとめています。 

つみたてNISAのメリット・デメリット



つみたてNISAとは、少額投資を推進するための非課税制度です。投資商品ではなく「制度」です。

(ニーサとは:Nippon Individual Savings Account の略)

つみたてNISAのメリット

・資産の運用益が非課税


つみたてNISAでは、毎年40万円を上限として投資信託ができます。金融商品を購入した年から20年間は分配金や売却益が課税されません。
 

・いつでも資産を引き出せる 


購入した投資信託は、自分の好きなタイミングで売却できます。


つみたてNISAのデメリット

・損益に対しては税制上の優遇が受けられない 


保有している金融商品が値下がりした後に売却すると、損失が出てしまうことがあります。
NISA口座で出た損益は、他の口座で保有している金融商品によって得た利益との相殺(損益通算)ができません。 

iDeCoのメリット・デメリット


iDeCoとは、個人型の確定拠出年金の制度です。アメリカの401k制度を参考に作られ、2016年にiDeCoという愛称がつけられて広まっていきました。

iDeCoのメリット

・拠出額は全額所得控除の対象になる 


所得税や住民税は、年収から各種控除を差し引いた課税所得から算出されます。

iDeCoに拠出した掛金は、全額所得控除とすることが出来るため、課税所得を減らすことができ、支払う税金が軽くなります。


・運用益が非課税

 

つみたてNISAと同様に、iDeCoにおいても運用益は60歳まで全額非課税となります。

 

・受け取り時に税制優遇がある 


iDeCoは、原則60歳から老齢給付金として一時金(一括)か年金(分割)、又は二つの併用の形で受け取ることができます。

いずれの方法であっても、各種控除の対象となり、一定額まで税金がかかりません。 

iDeCoのデメリット

・60歳になるまで引き出せない 


iDeCoは、あくまでも私的年金制度のひとつであるため、積み立てた資金を60歳までに別の目的で使用することはできません。

ただし、金融商品の種類や配分を変更することは可能なので、定期的に見直しを行なって利益を確保することが大切です。 


・人によって拠出限度が異なる


iDeCoには拠出限度額があり、個々人がどのような年金制度に加入しているかによって変わります。 

自分にはつみたてNISA?iDeCo?どっちがおすすめ?

以上の特徴より、つみたてNISAが良い人、iDeCoが良い人、をまとめてみました。

iDeCoとつみたてNISAのおすすめ比較

iDeCoとつみたてNISAのおすすめ比較

つみたてNISAがおすすめな人

・60歳までに資金が必要な人 


60歳までに老後資金以外でまとまった資金が必要な人は、つみたてNISAで準備しておくことがおすすめです。


・主婦/主夫など、自身の収入が少ない人 


自身の収入がそこまで多くない人は、iDeCoを利用しても拠出額の所得控除のメリットがそこまで大きくありません。

iDeCoにかかる毎年の手数料や受け取り時の税金を考慮すると、つみたてNISAを利用する方がメリットが大きいことがあります。 

iDeCoがおすすめな人

・余裕のある老後資金が準備したい人  

 

正しく運用することで、同じ額を単純な貯蓄に回すよりもずっと多くの資金を老後資金として準備することができます。

 

・一定以上の収入がある人 


特に一定以上の収入がある人は、拠出時の所得控除によって減税できる額が大きくなります。 

正しく資産形成するためにはFP相談を活用しよう

つみたてNISAとiDeCoは併用が可能です。二つを併用することで、長期的かつローリスクな資産運用を実現できます。

しかし、今まで投資をしたことが無い人にとって、自分で金融商品を選んで運用していくことは難しいでしょう。

そんなときはお金のプロであるFPに相談することがおすすめです。 

まとめ

この記事では、つみたてNISAとiDeCoの基本的な違いをお伝えしていきました。要点をまとめると以下の通りです。


  • つみたてNISAは長期にわたる資産運用を税制優遇により後押しする制度で、積み立てた資金は様々な用途に使用出来る
  •  iDeCoは私的年金制度のひとつで、拠出時、運用時、受け取り時にそれぞれ税制優遇を受けられる。 
  • つみたてNISAは60歳までにまとまった資金が必要な人や、収入が多くない人におすすめ。iDeCoは、現在ある程度の収入があり、余裕のある老後資金が準備したい人におすすめ。 二つの制度は併用可能
  • FPに相談して正しく運用することで、余裕のある資産形成が可能。 


老後の資金を準備するには、つみたてNISAやiDeCoなどの制度をフル活用しましょう。