成人年齢が18歳に引き下げられました。今後は18歳や19歳でも親の同意なしで契約できるようになり、未成年者取消権を行使できません。この記事では、改めて「大人として」知っておくべきお金の知識を解説します。ぜひこの記事で基本的なお金の知識を再確認してみてください。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
成人年齢が18歳に引き下げ
民法4条が改正され、2022年4月1日から、成人年齢が従来の20歳から18歳に引き下げられました。法律上の大人(民法における成年者)とは、親の同意を得ずにした約(約束)も自らが責任を持たなければならない人です。
今回の法改正によって、成人となる日は下記の表の通りです。
生年月日 | 成人になる日 | 成人になる年齢 |
---|---|---|
~2002年4月1日 | 20歳の誕生日 | 20歳 |
2002年4月2日~ 2003年4月1日 | 2022年4月1日 | 19歳 |
2003年4月2日~ 2004年4月1日 | 2022年4月1日 | 18歳 |
2004年4月2日~ | 18歳の誕生日 | 18歳 |
クレジットカードやローン、賃貸の契約など、お金に関する契約は少なくありません。そこでこの記事では、改めて大人が知っておくべきお金の知識をおさらいしていきます。
18歳になったら出来るようになること
18歳(成年)になると、親の同意なしで次のようなことが出来るようになります。クレジットカードやローンの基礎知識を確認していきましょう。
- クレジットカードの作成
- ローン(カードローン・マイカーローンなど)を組む
- 携帯電話・賃貸契約ができる
- NISA口座など証券口座の解説ができる(もちろん銀行口座も)
クレジットカードの作成
クレジットカードの使用は大きな変更なのではないでしょうか?
カードがないから、メルカリで買いたいけどコンビニ払いしかできなかった人や、スマホゲームなどでの課金もできなかった、という学生の人も多いのではないでしょうか?
逆に言えば、親はこういったポイントについては家庭内でルールをちゃんと作成して、お子さんに伝える必要があると言えます。
クレジットカードは、クレジットカード会社の審査を経てクレジットカードを発行・貸与してもらい、そのカードをお店(加盟店)で提示することにより後払いができるものです。改めてメリットやデメリットについて確認しておきましょう。
クレジットカードのメリット
後払いができる点も含め、クレジットカードには次のようなメリットがあります。
- 現金を使わず素早く決済ができる
- ATM手数料や振込手数料を節約できる
- 付帯保険によって保険料を節約できることがある
- ポイント還元があるためお得に利用できる
- 実際に代金を支払うタイミングを遅らせられる
- 実際に代金を支払う回数を減らせる
- クレジットカードでしか決済できない場合がある
- つい使い過ぎてしまう場合がある
- 分割払いやリボ払い(定額払い)を利用すると手数料が発生する
- 引き下げの前:18~19歳の学生について、親権者の同意を求める会社が100%
- 引き下げの後:18~19歳の学生について、親権者の同意を求める予定である会社は22.4%
ローンを組む
一般的によく利用されているローンはカードローンや自動車ローン、住宅ローンです。
ローンのメリット
ローンには、「今できないことを今やれる」というメリットがあります。そのわかりやすい例が住宅ローンです。住宅を一括で購入する貯蓄はなくても、ローンを組めれば住宅を持つことができます。
18歳から年金についても払うようになる?
結論から言えば、国民年金の支払いは現行通り20歳からとなっています。
これは、民法4条とは別に国民年金法で定められているためです。将来的には、国民年金法の改正があり18歳から年金を収めないといけないことになる可能性はあると思います。
新成人はお金のトラブルに巻き込まれやすい
残念ながら、新成人はお金のトラブルに巻き込まれやすいという事実があります。そのため、お金や契約に関する知識を十分に身につけておくことが重要です。
お金に関する知識を持とう
お金に関する知識があれば、トラブルを未然に防ぐことができます。例えば、クレジットカードのリボ払いを多用すると返済が厳しくなることや、ローンは借金であり、計画的に利用しなければならないことなどです。
リボ払いやローンの便利さだけでなく、どのような注意点があるのかを把握しておく必要があります。
さらに国民生活センターによれば、18歳や19歳に気をつけてほしい消費者トラブルとして「もうけ話」によるトラブルが挙げられています。
確実かつ簡単に儲けられるものはないと考えておき、自分の大切なお金を守ることが重要です。
契約には責任が伴うことを理解する
民法では、未成年者を保護する意味合いから、約束事(契約)をなかったものにできる大きなハンディキャップ(ハンデ)を設けています。
具体的には、未成年者など制限能力者がその法定代理人(親権者など)の同意を得ずに行った法律行為(契約)は、取り消すことができます。(民法第5条第2項)
この権利を未成年者取消権と呼びますが、当然、2022年4月1日以降に18歳となった成年者はこの権利を行使できません。
成人年齢の引き下げは、18~19歳が親権者の同意を得ず自由に契約を行える反面、逃れられない責任が生じます。
この記事で紹介した内容など、ぜひお金や契約の知識を付けて自分の身を守れるようになりましょう。