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▼この記事を読んで欲しい人
  • 公務員の方でiDeCoをやるべきか迷っている方
  • 公務員の方でiDeCoに興味がある方
  • 公務員の方で老後のための資産運用を始めたい方
▼この記事を読んでわかること
  • 公務員の方がiDeCoをやったときのメリット
  • 公務員の方がiDeCoを始める時に注意したいこと
  • 公務員の方がiDeCoを始める際の手順

iDeCo(確定拠出年金)は、老後資金を自分自身で運用し積み立てる私的年金制度です。2017年から公務員も加入でき、年々公務員の加入者は増加しています。そこでこの記事ではiDeCoに興味がある公務員の方に向けて、iDeCoの節税効果やメリットを解説します。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る

この記事の目次

公務員はiDeCoをやらないほうがいいといわれる3つの理由


公務員の方が、iDeCoをやらないほうがいいといわれる理由は3つあります。

  1. 公務員の掛金は拠出上限額が低い
  2. 上限が低いと運用できる商品の種類が限られる
  3. 上限が低いと受けられる税制優遇も少ない

公務員の退職金水準は民間の平均と剥離が大きく恵まれているため、iDeCoの拠出できる掛金の上限額は低くなっています。


また上限が低いと所得控除が少ないので、税負担の軽減効果が少なくなってしまいます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

理由①|公務員の掛け金の拠出上限額には上限があるから

iDeCoは加入者区分によって、掛金の拠出上限額が決められています。

以下の表をみて見ましょう。


加入者区分掛け金の拠出上限額
自営業者等月額6.8万円
(年額81.6万円)
企業型DCのない会社の会社員月額2.3万円
(年額27.6万円)
企業型DCに加入している会社員月額2.0万円
(月額24万円)
DBのみに加入している会社員月額1.2万円
(年額14.4万円)
DBと企業型DCに加入している会社員月額1.2万円
(年額14.4万円)
公務員等月額1.2万円
(年額14.4万円)
専業主婦(夫)など月額2.3万円
(年額27.6万円)


出典:iDeCo公式サイト


公務員が拠出できる掛金は月額1万2,000円まで(年額14万4,000円)となっており、他の区分と比較すると掛金の上限が低くなっていることがわかります。

理由②|原則60歳まで積み立てた資金を引き出すことができない

iDeCoは老後の資産を築くことを目的として国が税制優遇している制度であるため、原則60歳まで資金を引き出すことができません。

iDeCoの加入者が高度障がいになった場合には「障がい給付金」、死亡した場合には「死亡一時金」を受け取れますが、それ以外の理由では資金を引き出すことは不可能です。


iDeCoは生活が苦しくならないように、余裕を持って掛金を拠出するようにするといいでしょう。


また60歳の時点で加入年数が10年に満たない場合、受け取り開始は変わりますので注意が必要です。


60歳時点での加入年数と受け取り開始時期

加入年数受け取り年齢
8年以上10年未満61歳
6年以上8年未満62歳
4年以上6年未満63歳
2年以上4年未満64歳
1カ月以上2年未満65歳


つまり50代でiDeCoに加入した方は、60歳になっても受け取ることはできません。

iDeCoを開始する際は、自分はいつから引き出すことができるのか確認しておきましょう。

理由③|上限が低いと受けられる税制優遇も少ないから

iDeCoの掛金の上限が低いほど、受けられる税制優遇は少なくなります。


iDeCoの税制優遇は、課税所得から掛金を全額控除することで所得税・住民税が軽減されます。

つまり掛金が多いほど所得控除される金額が増えるので課税所得が低くなり、所得税・住民税の負担を軽減できる仕組みです。


公務員の方の掛金が低いことは、iDeCoに加入するうえではデメリットとなり得ます。

しかしiDeCoは、資産を普通預金で預けておくことと比較すると、大きなメリットもあります。

iDeCoは資産運用をしながら、所得控除によって税負担を軽減できるからです。

公務員の方の掛金の上限は低いですが、iDeCoは節税しながら老後の生活を豊かにすることが可能な制度といえます。

公務員がiDeCoに加入すると得られる節税効果を解説


公務員がiDeCoに加入するとどのくらいの節税効果があるのか、具体的に見てみましょう。


  • 例:年収650万円、毎月の掛け金12,000円(年額144,000円)の方の場合

iDeCoありiDeCoなし差額(節税額)
所得税額243,640円223,670円19,970円
住民税額335,570円321,170円14,400円
合計額579,210円544,840円34,370円

※課税所得は年収から給与所得控除、基礎控除、社会保険控除のみを差し引いて計算

※社会保険料は年収の14.22%で計算

※住民税の税率は10%で計算


この例の場合、年額で34,370円の節税効果があります。5年で171,850円、10年で343,700円となり、長期で見るとまとまった金額が節税できます。


ただしiDeCoの節税効果は、収入や家族の人数などの状況によって変わります。

また住宅ローン控除など他の制度を利用している場合は、iDeCoの減税効果が薄れてしまう場合もありますので注意してください。

公務員がiDeCoに加入する3つのメリットを解説!


今は公務員であれば老後は安心という時代ではありません。

公務員であっても、iDeCoを活用して老後資金を自分で備えているという方が増えています。

ではなぜ公務員でもiDeCoに加入しているのでしょうか。

iDeCoに加入するメリットは3つあります。

  1. 拠出した掛け金による運用益は非課税
  2. 所得税・住民税の負担を軽減できる
  3. 資産を受け取る時も所得控除の対象
iDeCoは、税金の優遇を受けながら老後に備えることができます。
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

メリット①|拠出した掛け金による運用益は非課税

通常金融商品(定期預金、保険、投資信託)を購入すると、運用益が出たらその利益に対して課税されます。(源泉分離課税20.315%)

例えば10万円の利益が出たとすると20,315円が課税されますので、実質的な利益は79,685円に減ってしまいます。


しかしiDeCoを活用した場合は、投資信託の売買益や定期預金の利息などが非課税になりますので、利益が減ってしまうということがありません。


iDeCoは老後資金のための投資であるため長期で運用する場合が多いです。


そのため運用益非課税による節税効果は大きくなります。


運用益がすべて年金資産となりますので、通常の金融商品で運用した場合より効率的に老後資金を形成できる可能性があります。

メリット②|所得税・住民税の負担を軽減することができる

iDeCoを活用した場合、どのように所得税・住民税の負担が軽減できるのか見ていきましょう。

iDeCoで支払った掛け金は全額所得控除の対象となり、年末調整や確定申告の際に所得税の課税所得から1年分のiDeCoの掛け金を差し引くことができます。

課税所得は次のように計算します。


課税所得=給与所得(給与所得ー給与所得控除)ー所得控除


所得税・住民税は課税所得に所定の税率をかけて計算します。

iDeCoは所得控除の対象なので課税所得を低くできるため、所得税・住民税の負担を軽減できるのです。


例えば毎月12,000円掛金を支払った場合、144,000円が所得控除から差し引かれます。


つまりiDeCoは掛け金を拠出した年の所得税と、次年度の住民税が軽減されるということです。

メリット③|資産を受け取るときも所得控除の対象

iDeCoで積み立てた資産を受け取るときも所得控除の対象となります。

一括で受け取る場合は「退職所得控除」、分割で受け取る場合は「公的年金控除」が適用されます。

それぞれの控除について具体的に解説します。

一括で受け取る「退職所得控除」

退職所得控除は退職金などのような大きな金額を受け取る時に、税負担を軽減するための控除制度です。
  1. 勤続年数20年以下:40万円ⅹ勤続年数(80万円未満の場合は80万円)
  2. 勤続年数20年以上:800万円+70万円ⅹ(勤続年数-20年)
※出典:国税庁ホームページhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm

分割で受け取る「公的年金控除」
公的年金控除は老齢年金などの国から支給されるものを受け取る時に、年齢や年金額に応じて所得から控除される制度です。

公的年金等の年間収入金額公的年金等控除額
65歳未満130万円以下60万円
65歳未満130万円超 410万円以下収入金額ⅹ25%+27万5千円
65歳未満410万円超 770万円以下収入金額ⅹ15%+68万5千円
65歳未満770万円超
収入金額ⅹ5%+145万5千円
65歳以上330万円以下
110万円
65歳以上330万円超 410万円以下収入金額ⅹ25%+27万5千円
65歳以上410万円超 770万円以下収入金額ⅹ15%+68万5千円
65歳以上770万円超収入金額ⅹ5%+145万5千円


具体的な例を挙げてみましょう。
年齢60歳、iDeCoに30年加入した方が2,000万円受け取る場合です。

一括で受け取る場合は、1,500万円(800万円+70万円ⅹ(30年ー20年)=1,500万円までは非課税になります。

分割で10年かけて受け取る場合は、1年につき77.5万円(200万円ⅹ25%+27.5万円)までは非課税になります。

また一括と分割を併用して受け取ることもできます。
いずれの方法を選んでも、受け取りの際に所得から控除され一定額まで課税されません。

公務員がiDeCo(確定拠出年金)を始めるなら注意すること3選!


公務員の方がiDeCoを始める時、注意点が3つあります。
  1. 年末調整または確定申告を行うこと
  2. 退職や転職をする場合はiDeCoの移管手続きが必要
  3. 育休中は引き落とし方法を変更または一時休止の手続きをすべき
これらの手続きをすることで、iDeCoの税制優遇を受けることができます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

注意①|年末調整または確定申告を行う必要がある

iDeCoは年末調整または確定申告で所得控除を受けられ、所得税や住民税が安くなります。

公務員の方は年末調整の場合が多いと思いますが、以下の手続きが必要です。


  • 勤務先で受け取る「給与所得者の保険証控除申告書」に記入し提出
  • 国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」の原本を提出
まず勤務先から渡される「給与所得者の保険証控除申告書」には、「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」という欄にiDeCoで拠出した金額を記入します。

また「小規模企業共済等掛金払込証明書」は毎年10月から11月ごろに国民年金基金連合から届きますので、大切に保管して必ず原本を提出してください。

もし年末調整に間に合わなかった場合は、確定申告でも税金が戻ってきます。
忘れずに必ず年末調整または確定申告をしましょう。

注意②|退職や転職をする場合、idecoを移管する

公務員の方が退職や転職をする場合は、iDeCoの加入資格や企業の年金制度に応じた移管手続きが必要です。


転職先に企業型確定拠出年金がある場合

転職先の企業型拠出年金(企業型DC)に加入する移管手続きができます。

「個人別資産管理資産移換依頼書」を提出してください。

転職先に企業型確定拠出年金がない場合

企業型DCに加入していた方は、iDeCoへの移管手続きが必要になります。
個人型確定拠出年金を扱う金融機関を1つ選び口座を開設をして、「個人別資産管理資産移換依頼書」を提出してください。

退職や転職をする場合は、必ずiDeCoの移管をするようにしましょう。

注意③|育休を取得している場合の手続きに注意

育休を取得している場合、手続きに注意が必要です。

掛金の拠出方法が事業主払いとなっている方は、育休中は給料が支払われないので、iDeCoの掛金の引き落としができなくなります。


手続きをしておかないと、元金は増えないのに手数料だけを支払うことになります。

育休中もiDeCoを継続する場合は、個人払いに変更して掛け金を拠出するようにしましょう。

しかし個人払いで掛金の拠出を続けても、育児休業手当は収入とみなされないため所得控除による節税効果は得られません。


またiDeCoは掛金の払込を停止することができます。

育休中はiDeCoを中断し、家計が安定したタイミングで再開することもできます。


育休を取得する際は、個人払いに変更または掛金払込停止の手続きを忘れずにしておきましょう。

公務員がiDeCo(確定拠出年金)に加入する手順


iDeCoに加入する手順は公務員の方の場合は、金融機関を決めて金融商品を選び、書類の準備と加入手続きをします。


金融機関を決める際は手数料の低さを重視したいのか、商品選びや金額設定、開設手続きなどを相談できるサポート性を重視するのかで変わります。


iDeCoに加入する手順について注意したいポイントを解説します。

手順①|金融機関と金融商品を選ぶ

金融機関を選ぶ際はネット証券のような手数料重視で選ぶなのか、商品選びや投資のプランなどをこまめに相談できる窓口のある金融機関で選ぶのかがポイントです。


特に投資初心者の場合は、相談できる金融機関を選ぶと、疑問が解決できて安心して始めることができます。


次に重要なのが商品選びです。

公務員の方は掛金が低いので、商品選びは慎重に行いましょう。

金融商品には大きく分けると2種類あります。


リスクの低い元本保証型の商品と、元本割れのリスクはありますが利益の大きい投資信託

です。


また金融商品は金融機関によって取り扱っているものが異なります。


iDeCoは一人1口座と決まっており、複数の金融機関で口座開設することはできません。金融機関を決める時は、商品のラインアップも確認しておくといいでしょう。

手順②|書類の準備と加入手続き

iDeCoの加入手続きと必要な書類の準備について確認しましょう。

  1. 金融機関から入手した「個人型年金加入申出書」に記入をします。また公務員の方は、勤め先に「事業主証明書」の記入を依頼してください。
  2. 次に加入申込書と事業主証明書に記入ができたら、「本人確認書類」と合わせて金融機関に提出します。
  3. 金融機関から国民年金基金連合会へ書類が送られます。
  4. 申出者宛に記録関連運営管理機関から「口座開設のお知らせ」と、国民年金基金連合会から「加入資格確認結果通知」が届きます。

これで加入の手続きは完了です。


その後初回掛金が口座から引き落とされます。基本的に毎月26日の引き落としです。

手順③|納付方法や年金の受け取り方を選ぶ

iDeCoは納付方法や、年金の受け取り方を選べます。


掛金の納付方法は「事業主払込」と「個人払込」があります。

  • 「事業主払込」は、所属する事業所を経由して国民年金基金連合会へ納付される
  • 「個人払込」は、加入者本人の口座から国民年金基金連合会へ納付する方法

iDeCoへ加入の際は、掛金の納付方法をどちらか一つ選択しましょう。


また年金の受け取り方は、「一時金」と「年金」があります。

「一時金」は、積立金全額を一括で受け取る方法です。一方「年金」は、一定の金額を定期的に受け取ることができます。


そして両者を併用して、一部を一時金にして残りを年金で受け取ることもできます。


受け取り方はメリットの所得控除でも解説しておりますが、どちらの方が税制優遇されるのかよく検討してから決めるようにしましょう。

【参考】2024年に公務員のiDeCo拠出金額の上限が月2万円に拡大


2024年12月1日に施行される加入要件の緩和で、公務員のiDeCo拠出金額の上限が月2万円まで拡大されます。


2022年度現在では公務員の掛金の上限は月1.2万円と掛金が低いため、税制優遇される額が低くなるうえに、iDeCoを活用して将来の資産を増やすことが難しくなります。

つまり公務員のiDeCoの上限が拡大される法改正は、老後資金の不安解消に繋がるといえます。


また2022年5月に行われた法改正で、iDeCoは積立金受給期間の拡大と加入年齢の拡充、企業型とiDeCoの同時加入要件の緩和がされました。


まず積立金受給期間については、60歳以降70歳になるまででした。

しかし60歳から75歳まで拡大され、選ぶことが可能です。


次に加入期間ですが、今までは加入要件に60歳になるまでと決まっていましたが、原則65歳になるまで加入できます。


そして企業型とiDeCoの同時加入要件が緩和され、本人の意思があれば2つのルールを満たす範囲ないで企業型DCとiDeCoに同時に加入することが可能です。


  1. 企業年金の有無に応じたiDeCoの限度額以内であること
  2. 企業型DCの会社掛金とiDeCoの掛金の合計が、企業型DCの限度額以内であること


今回の法改正で老後資産の積み増しができて、掛金の所得控除が長く受けられるようになります。

利用の選択種が広がったiDeCoを活用して、豊かな老後資金の形成に役立てましょう。

まとめ|公務員はiDeCo(確定拠出年金)をやらないほうがいいと言われる理由


公務員はiDeCo(確定拠出年金)をやらないほうがいいといわれる理由は3つあります。

  1. 公務員の掛け金は拠出上限額が低い
  2. 上限が低いと運用できる商品の種類が限られる
  3. 上限が低いと受けられる税制優遇も少ない
しかし豊かな老後の生活を支えるには、充分な備えが必要です。

公務員の年金や退職金が減少している分を補うためにも、iDeCoを活用して節税しながら老後資金を積み立てることがおすすめです。
ぜひこの記事を参考に、iDeCoで積み立て投資を始めましょう。

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