PL保険(生産物賠償責任保険)の加入費用は月額いくら?補償範囲も解説のサムネイル画像
▼この記事を読んで欲しい人

  • PL保険の保険料は月額いくらくらいなのか知りたい法人
  • PL保険の内容を知りたい法人
  • PL保険はどこまで補償してもらえるのか知りたい法人

内容をまとめると


  • PL保険の月額保険料は、業種やリスク区分で変わり、売上高や領収金、事故歴によって計算されるので区分などを間違えないようにすることが大切
  • PL保険の補償は、生産物リスクと仕事の結果リスクに対して物や人に被害が出たときに補償するが、リコールやサイバー攻撃など対象外の補償に関しては、別途保険に加入が必要な場合がある
  • PL保険の特約は、生産物自体の損害や見舞金、事故対応費用など、直接物や人の被害に掛かる費用以外のものでも特約をつけることで補償されるので、特約内容の確認も重要
  • 不安な場合はマネーキャリアに相談をして、あなたの会社にピッタリなPL保険内容で加入するのがおすすめ!

\オンラインで相談できる/ 法人保険について

製造業や飲食業、工事業にとってはほぼ必須とも言っても良いPL保険(生産物賠償責任保険)の加入をするためには、月額いくらの費用がかかるのでしょうか。また、PL保険はどのようなときに補償してくれるのでしょうか。補償内容から保険料相場まで解説します。

この記事の目次

目次を閉じる

PL保険(生産物賠償責任保険)とは?

PL保険とは、販売した製品に問題があり、身体や物に被害を与えた時、損害賠償に備えるために必要とされている保険です。


会社側に加入義務はありませんが、PL保険は必須の保険です。


理由は、もし保険に加入していなければ、販売した製品や商品に欠陥があり、使用者の身体に異変がおきたり物的に被害を被った場合、莫大な損害を自費で支払わなければならないからです。


そうなると、被害を受けた方に対して十分な補償ができなくなる場合がでてきます。

それを回避する目的で加入が必要です。


主な業種としては、販売業、製造・加工業、建設業、修理業などです。


商工会議所会員向けに対応したPL団体保険制度などもあります。


この記事では次の事を解説します。

  • PL保険の対象となる事例と必要業種
  • PL保険の補償内容・特約
  • PL保険の加入費用


最後まで読めば、PL保険の補償内容や加入費用がどのくらいかかるかわかります。


万が一の補償として必須な保険なので、ぜひ参考にしてください。

PL保険の対象となる事例と必要業種


ではまず、PL保険の対象となる事例と必要業種を説明します。


PL保険は、製造業や工事業など物を作り出す業種と、実際に売る販売業、物を修理する修理業、物を加工する加工業などが対象となります。


加工業には、飲食店で作った料理も加工にあたるので飲食店も対象になります。


そのように考えると、実に多くの業種が対象になることがわかるので、この保険の必要性を感じることでしょう。


では、一体どのような事例が対象となるのか、具体的に一例をお伝えします。

  • 製造業:使用していた電化製品が突然発火して家事になり家が全焼した場合
  • 販売業:購入した自転車に不具合があり、ハンドルが外れて転んでケガをした場合
  • 修理業:お店に看板が壊れて取り付けたら取り付け方に不備があり、落下して歩行者がケガをした場合
  • 加工業:露天で調理した出した物に細菌が付着して食中毒を出した場合。

2つ目の自転車に不具合があったケースでは、販売業者と製造業者、双方が対象になる可能性があります。


このようにいろいろなケースでモノや人に損害を与える場合があり、損害額は莫大になるケースがあります。

PL保険の補償内容


次に、補償内容を説明します。


補償の対象となるのは、主に次の2つのリスクに分類されます。

種類内容
生産物リスク物を作ったり販売して消費者に渡された後、
その物に欠陥があって偶発的に被害を出してしまったとき
仕事の結果リスク仕事終了後に欠陥が見つかっておきた事故


生産物リスクは、

  • 購入した電子レンジが突然発火して家事を出してしまった。
  • スマホを充電中に漏電がおきて壁が焼け焦げた。
  • 料理店で出した料理を食べた人達が食中毒をおこしてしまった

等の事故リスクになります。


仕事の結果リスクは、

  • 取り付けた看板が落下してケガをさせた。
  • スプリンクラーを設置したあと、水漏れがおきて家のソファーを濡らしてしまった

等です。


補償の対象となる損害は次の通りです。

対象内容
損害賠償金メインの補償。お客様が損害を被った場合に
法律上の損害賠償額を支払わなければならないのでカバーする費用
損害防止費用損害をさらに広げないように防止する必要があるのでその費用
権利保全行使費用事故において損害賠償を受けるときに、手続きに要する費用
緊急措置費用被害者が生命や身体に被害を被ったとき、応急手当に要した費用
協力費用保険会社が事故解決にあたるとき、協力する保険会社へ支払う費用
訴訟費用損害賠償をするときの訴訟費用や弁護士へ支払う費用


損害賠償金は、見舞金や被害者が治療を受けた金額などは該当しません。


権利保全行使費用とは、例えば、建設業で下請け業者の工事の仕方に欠陥があった場合、お客様は直接契約した工事業者に損害賠償をするので支払います。


しかし、元々の原因は下請け業者なので、工事業者が下請け業者に請求をします。その時の手続き費用の事です。


なお、各保険会社によって内容は多少異なるので、詳しくは各保険会社へお問い合わせください。

PL保険に付けられるオプション・特約

PL保険の基本補償のみの場合、適用範囲が狭く補償しきれない部分が出てきます。


そこでオプションとして特約を付加して補償内容を充実することができます。


主な特約を説明しますので、基本だけの場合と比較してみてください。


生産物自体の損害および回収費用補償追加特約

物に欠陥があった場合、基本のプランでは物によって被害を受けた事によっての賠償責任だけなので、物自体は該当になりません。


不良品と分かると回収をしなければならなくなるのでそのような物自体に対して補償をする特約です。


見舞費用補償特約

事故により、見舞金を被害者に支払ったときに補償します。

ただし、保険会社の同意が必要となります。


事故対応費用補償特約

ケガなどをして賠償事故がおきたとき、負担した次の2つの費用を補償します。


  1. 被害者対応費用※1
  2. 示談交渉費用※2

※1 被害者・被保険者の現地までの交通費・宿泊費・連絡に使った通信費・応対するためのホテルや貸し室などの費用・現地以外を連絡場所とした場合の交通費・宿泊費


※2 被保険者が示談交渉するために要した交通費・宿泊費・通信費


食中毒・特定感染症利益補償特約

生産物で食中毒や感染症が生じたときに以下の2つを補償します。


  1. 食中毒や感染症が発生しなかったときに発生したであろう営業利益や経常費
  2. 休業中に利益減少を減らすために支出した費用

PL保険が補償されないのはどんなとき?


PL保険が補償されない場合があります。主に次のような場合ですので覚えておきましょう。


  • 故意、または重大な過失があって製造、販売した場合

あくまで偶然おきた事故によるものを補償する保険なので、重大なミスや故意的なものは該当になりません。


  • 効果効能など、不当な表示をして生産した物

不当表示をしたものについては、元々が間違っている物を販売しているので該当になりません。


  • 製品の不良があったために納期が遅延して損害賠償された場合

製品そのものの不良ではないため、遅延に関する補償はされません。


  • リコールがあった時の回収費用

物の欠陥などがあって、対人、対物の事故による損害賠償請求が該当なのでリコールは該当になりません。


なお、特約としてリコールの回収不要の補償がつけられる場合もあります。

また、リコール保険に別に加入する必要がある場合もあります。


  • 扱う物の危険度が大きすぎる場合

爆発物や放射性物質などは損害の度合いが分からず、保険でカバーしきれないため該当になりません。


  • サイバー攻撃による個人情報の流出

別途サイバー保険の加入が必要です。


  • 仕事終了前の事故

仕事終了後の事故が該当になります。


なお、工事中に誤って物を壊した場合などの作業中におきた事故は、請負業者賠償責任保険など、ほかの保険の対象となるので、別に加入が必要です。

PL法に関連する訴訟事例


PL保険の補償内容が分かったところで、もし保険に加入していなかった場合、損害賠償額が全額被保険者(会社)に掛かってしまいます。


具体的にどのくらいの賠償額になるのでしょうか。


実際におきた訴訟事例を2つご紹介します。

  • 事例1:トラック火災事故
  • 事例2:ひやしきゅうりによる食中毒

この2つの事例を見ると、もしPL保険に加入していなかったら莫大な損害を被ることがわかるでしょう。

事例1:トラック火災事故

2012年7月、山陽自動車道で大型トラックが荷物を積んで走っているときに突然エンジンが破損してエンジンオイルが漏れ出して引火して火事になり、車両と積荷が全焼してしまいました。


東和運送は、原因はいすゞ自動車が製造した車両自体に欠陥があり、それが原因で火災を引き起こしたとして、製造元に1億円の損害賠償を求めました。


製造元のいすゞ自動車側は、そうではなく車両の使い方やオイルに問題があった、または整備や点検に問題があったとして車両そのものの欠陥ではないと主張しました。


一審では整備不良が火災を引き起こしたとして棄却されましたが、二審では一転していすゞ自動車に9,400万円の支払いをするようにとの判決が出、最高裁は二審を支持する形となりました。

事例2:ひやしきゅうりによる食中毒

平成26年7月、静岡市で開催された安倍川花火大会の露天で販売していた冷しキュウリで食中毒がおきました。


露天商の男性と大会に補助金を出資した静岡市に損害賠償が求められました。


静岡地裁では、この露天商の男性に対して1,167万円を支払う判決を出しました。なお、市の方の請求は棄却されました。


この判決理由としては、露天商の男性はキュウリを漬けるために使用したバケツを洗うときに洗剤を使用していなかったとのことです。


水で洗っただけで最後にアルコールスプレーを吹きかけただけという、衛生管理上問題がありました。


結果としてキュウリにO-157が付着して食中毒がおきてしまいました。


嘔吐や下痢といった症状を訴えた人が510人もいたそうです。


市の方では、出店に際して説明会を開いており、衛生面での指導もしていたので、市側に落ち度はないと判断されました。

PL保険の加入費用の相場は?

会社にとって大切な保険だとわかったところで、保険料は月額でどのくらいになるのか、一例を紹介しますので参考にしてください。

保険料は、業種や取り扱う商品によるリスク区分に加えて売上高、領収金、事故歴ごとに計算され変わってきます。

保険料を計算するにあたって、支払い限度額の最低額を身体賠償と財物賠償によって決めておきます。

自己負担額は、身体・財物賠償ともに1事故1,000円とします。(一例)

保険期間は一般的に1年です。

下表は、身体賠償・財物賠償の支払限度額1億円、自己負担額1,000円とした場合です。

業種年間売上高保険料
スーパーマーケット2億円30,050円
大工・内装工事2億円72,740円
家庭用電気機械・器具小売2億円231,770円

上記の通り、同じ補償額でもスーパーマーケットは保険料が安いですが、大工、電気機械小売では保険料が高いと、かなりの差があることがわかります。

ここで重要なのは、リスク区分を間違えると実際に事故が発生して損害賠償責任が生じても保険金の支払いがされないケースがあるということです。

例えば、工事業の場合、どんな工事をするかによって区分が変わるので、保険料算定料率が異なります。

建設工事や土木工事、設備工事などさまざまな分類がされていますので、区分を選ぶときには慎重に選びましょう。

また、同一商品において、製造なのか販売なのかによって大きく算定料率が変わります。

製造の方がリスクは高いです。

例えば、化粧品の場合は、販売に対して製造は10倍以上のリスク区分となります。

海外の製品を輸入して販売する場合は、「製造」の区分になります。それだけ責任が重いと解釈するとよいでしょう。

なお、ここで紹介したのはあくまで一例に過ぎません。

詳細はマネーキャリアで相談をしてみて、見積もりをしてみることをおすすめします。
法人保険の相談をする

PL保険のまとめ


ここまで、PL保険の補償内容や加入費用について説明してきましたが、いかがでしたか?


PL保険は、製造業や工事業、飲食業などの会社では必須の保険と言えます。


万が一事故がおきた場合、対物、対人の補償額の大きさに驚いたかもしれませんね。


PL保険の基本的な最低補償では十分ではない点もありますので、特約を付けるなどで補う必要もあります。


保険料に関しては、業種によって大きく差が出ます。区分を間違わないように加入することが大切です。


なお、専門的な内容になるので、説明を読んだだけでは分からない点も多いと思います。


そんなときは、マネーキャリアを利用してはいかがでしょうか?


マネーキャリアには保険の専門家であるFPが揃っています。法人関係の相談も受けています。


相談は、オンラインで簡単にできますので、会社にいながら気軽に相談できます。


相談は何回でも無料です。困ったときにはぜひ、いつでも相談してみてくださいね!