2022年もお金にまつわるさまざまなニュースが発表されていましたが、2023年から変わる制度があります。今回の記事では、2023年から変わる4つのお金のニュースについて紹介します。身近なニュースから資産形成のニュースもありますので、是非最後までご覧ください。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
2023年から変わる、お金のニュース4選
2022年は物価上昇や電気代の高騰など、さまざまなお金に関するニュースが発表されました。
特に物価上昇や電気代の高騰については、すべての国民に影響があるニュースだったのではないでしょうか。
2023年も私たちが生活していく際に影響を与えるようなお金のニュースが多く発表されていますので、次の章から4つ紹介します。
将来のための資産形成にも大きく関わるお金のニュースなので、一つずつチェックしていきましょう。
中小企業の60時間超え割増賃金が引上げ
1つ目のお金に関するニュースは、中小企業の月間60時間を超える時間外労働時の割増賃金率が引き上げられることです。
月間60時間を超える時間外労働時の割増賃金率は、大企業については2010年に25%から50%に引き上げられましたが、中小企業については実行されませんでした。
しかし、今回の法改正で2023年4月から中小企業についても割増賃金率が適用され、時間外労働が多い社員については単純に多くのお金をもらえるようになります。
働き方を変えずに今までよりも多くのお金がもらえるようになる法改正なので、中小企業に勤務している人にとっては大きなニュースと言えるでしょう。
今回の法改正で割増賃金率が50%になる中小企業は以下の通りです。
資本金の額または出資の総額 | 常時使用する労働者数 | |
---|---|---|
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
すべての中小企業が該当するわけではないので注意が必要ですが、毎月60時間以上の残業をしている人にとってはこれまでよりも多くのお金をもらえる嬉しいニュースと言えます。
給与デジタル払いが解禁へ
2つ目のお金に関するニュースは、給与のデジタル払いが解禁されることです。
給与の支払いは原則現金払いであることが労働基準法で定められており、銀行口座と証券口座への振込しかできません。
しかし、2023年4月から労働基準法の改正が行われ、楽天ペイなどの送金サービスが使える資金移動業者の口座にも給与の支払いができるようになります。
この給与のデジタル払いが実現されることで、企業側には振込手数料の削減と給与支払いの幅を広げることで人材確保のしやすさなどのメリットが生まれます。
ただし、デジタル払いをするためには従業員本人の同意が必要なので、もし同意が得られなかった場合にはこれまでの給与支払いと両方の運用が必要になるため、事務作業が増える点には注意が必要です。
従業員側は、デジタルマネーが直接送金されるため、給与の支払いがあるたびにお金を移動させる手間がなくなります。
企業と従業員双方にメリットがあるシステムなので、2023年のお金のニュースの一つとして覚えておきましょう。
消費税「インボイス制度」の開始
3つ目のお金に関するニュースは、インボイス制度の開始です。
インボイス制度とは、2023年10月から導入される消費税の仕入額控除のシステムで、フリーランスや個人事業主にとっても影響があると言えるお金のニュースです。
インボイス制度の「インボイス」とは、正確な消費税額が記載されている公式な請求書のことを指しています。
インボイスを発行できる登録事業者になるためには、2023年3月31日までに税務署に申請書を出して登録番号の通知を受ける必要があります。
今までは仕入額控除という仕組みにより、売上にかかる消費税から、仕入れ時に発生した消費税の額を差し引くことができ、その分利益となっていました。
しかし、納税が免除されていた売上1,000万円以下の事業者については、取引先からインボイスの導入を求められた場合は、要求に応じないと仕事をもらえなくなる可能性もあります。
インボイス制度を導入すると、単純に書類の発行の事務作業が増えることと、差し引かれていた分の消費税も支払う必要があるため、納税額が増えることになるのは大きなデメリットと言えるでしょう。
この大きなデメリットに対して政府は、これまで納税が免除されていた事業者がインボイスを発行する登録事業者になる場合には、納税額を2割にする特例を設ける予定です。
これまで通りの売り上げが見込めなくなってしまうこのインボイス制度の開始は、ご自身のお金の事情に直結するニュースと言えます。
現行NISAの終了、2024年から新NISAへ
4つ目のお金に関するニュースは、現行NISAが2023年で終了し、2024年から新NISAになることです。
NISAとは、株式や投資信託などの運用益が非課税になる制度で、今の制度には3つの制度がありますが、まずジュニアNISAは2023年12月をもって終了します。
一般NISAとつみたてNISAについては、2024年から新しい制度として投資枠の増額、非課税期間の恒久化などが行われる予定です。
一般NISAとつみたてNISAについて、まずは今の制度について見てみましょう。
一般NISA | つみたてNISA | |
---|---|---|
非課税期間 | 5年 | 20年 |
年間非課税枠 | 120万円 | 40万円 |
投資可能商品 | 上場株式・ETF・公募株式投信・REITなど | 長期積立かつ分散投資に適した投資信託 |
2024年以降には以下のように恒久化されます。
成長投資枠 | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
非課税期間 | 無期限 | 無期限 |
年間非課税枠 | 240万円 | 120万円 |
投資可能商品 | 上場株式・投資信託等 | 長期積立かつ分散投資に適した投資信託 |
この2つの表を見比べるだけでも、資産形成のしやすさが大きく変わることがわかるのではないでしょうか。
これまで年間非課税枠のみで投資をしてきた人で、まだお金に余裕がある人にとっては今回の制度改正は嬉しいニュースと言えます。
これまでのNISA制度を活用していた人もそうではない人にとっても、資産形成を加速する制度になることは間違いないので、お金に関するニュースの中でも絶対に覚えておきたい制度の改正ですね。
まとめ
今回は、2023年から変わるお金のニュースについて紹介しました。
お金に関するニュースは、生活にも影響を与える可能性が高いです。
最新の情報やニュースをキャッチして、自分に影響があるのか、影響があるとすればどのような対策をするべきなのかを考えることが大切なので、特にお金に関わるニュースにはアンテナを高く張っておきましょう。