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▼この記事を読んで欲しい人
  • 現在公務員で働いている方・公務員を目指している方
  • 就業不能保険の加入を検討している方
  • ケガや病気に対する公務員の福利厚生を知りたい方
  • どんな保険に入るべきか悩んでいる公務員の方
▼この記事を読んでわかること
  • 公務員の多くは就業不能保険に入らなくていいこと
  • 就業不能保険に入ったほうがいい公務員の条件
  • 就業不能保険の加入で気をつけるべき点
  • 病気休暇・病気休職時の手当
  • 公務員におすすめの保険3つ

公務員に就業不能保険は必要ないのは本当でしょうか。公務員は休職時の待遇がいいため、就業不能保険は必要ないです。ただし、とある条件を持った方は加入を考えてもいいでしょう。その条件とは。また公務員に適した保険もあわせて紹介しています。

この記事の目次

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公務員には就業不能保険は必要ない?


就業不能保険とは、病気やケガで仕事ができず収入が減ってしまった方のための保険です。


就業不能保険に入っておけば、入院や在宅療養の間であれば毎月給付金を受け取ることができます。


もしものときに便利な保険ですが、なぜ公務員には必要ないのでしょうか。


これから以下の流れで理由を解説していきます。

  • 結論:公務員の多くは就業不能保険は必要ない
  • 理由①休職しても1年間は給与の80%が支給される
  • 理由②病気休暇を取ることができる
  • 理由③傷病手当金も利用できる
  • 理由④障害基礎年金・障害厚生年金もある

結論:公務員の多くは就業不能保険は必要ない

結論からいうと、公務員には就業不能保険は必要ないといっていいでしょう。


その理由は、公務員には働けなくなったときでも手厚い保障を受けられるため。


会社勤めの方が就労不能になった場合の保障は傷病手当金のみであり、1年半の間に給与の3分の2を受け取るという内容です。


ですが、公務員の場合は期間も給与もさらに優遇されます。


休める期間と給与の流れは以下のとおりです。

期間もらえる給与・保障
病気休暇90日100%
病気休職
(給与あり)
1年80%
病気休職
(傷病手当金)
1年半約66%
病気休職
(給与・保障なし)
半年0%

ご覧の通りに保障が手厚いので、多くの公務員にとって就業不能保険は必要ないのです。


公務員の公的保障と民間保険が必要ない理由について、もう少し詳しく見ていきましょう。

理由①休職しても1年間は給与の80%が支給される

公務員はケガや病気による休職をしても1年間給与の保障がされます。


振り込まれる給与額は、本人の年間平均所得の80%です。


通常よりやや減ってしまうものの、収入がなくなってしまう心配はないので、新たな収入を確保してくれる就業不能保険に加入する必要はありません。


ちなみに給与が80%まで減ると、たとえば毎月30万円の給与を得ている方なら24万円、40万円の方なら32万円へと減少することになります。


それぞれ6万円、8万円のマイナスと考えると結構痛いところですが、大半の方は生活が十分できる金額でしょう。


よって多くの公務員は、民間保険を使って病気やケガへの収入減に備える必要はありません。


ただし、休職中は通勤手当や管理職手当が支給されない点は注意が必要です。

理由②病気休暇を取ることができる

公務員は病気休職を取る前に、病気休暇を取ることができます。


名前が似ているのでややこしいですが、病気休暇は病院の診断書に基づき90日間の休暇を取ることができる制度です。


この間、通常と同じ額の給与が発生します。


つまり、「公務員は病気になったら給料はそのままで3ヶ月休むことができる」ということです。


重大なケガや病気でない限り、3ヶ月あれば大体の治療は終わります。


病気休暇内で完治すれば給料は据え置きなため、就業不能保険のような収入を補てんするタイプの保険は必要ないでしょう。


ただし病気が再発してさらに休暇を取る場合、タイミングによっては病気休暇日数が減るので注意が必要です。


具体的には、1回目の再発時は復職から1ヶ月以内、2回目は復職から1年以内だと病気休暇日数がそのまま引き継がれるため、休暇日が減ってしまいます。

理由③傷病手当金も利用できる

病気休職が1年以上になると給与の80%を受け取れなくなります(詳しくは理由①参照)が、代わりに傷病手当金があてがわれることになります。


傷病手当金は給与の3分の2最大1年半の間受け取ることができる公的制度です。


会社員が取得できるものと同様ですが、公務員は開始する時期が違います。


というのも、会社員の手当期間は4日目の休みから1年半後まで。一方公務員は病気休暇があるため開始時がずれて、455日目(1年3ヶ月後)から1年半の間となります。


公務員、会社員、自営業者を比べると、給与や手当が発生するそれぞれの保障日数は以下のとおりです。

保障日数(日)
公務員948
会社員493
自営業0

このように、公務員はほかの仕事をしている方よりも多くの保障を受けられるので、就業不能保険が必要ないといえます。


ちなみに、公務員の病気休職は3年まで取ることができるのですが、最後の半年は無給となることには留意しておきましょう。

理由④障害基礎年金・障害厚生年金もある

これは公務員に限りませんが、もし病気やケガで障害を持った場合は障害年金をプラスして受け取ることができるのも、就業不能保険が必要ない理由のひとつです。


障害状態になった国民年金加入者は障害基礎年金を、会社で厚生年金に加入している方はさらに障害厚生年金を受け取ることができます。


公務員は厚生年金に加入するため、両方の年金を受け取ることが可能です。


障害の程度は以下の1~3級(障害基礎年金は1~2級まで)に分けられます。

  • 1級…ひとりでは日常生活ができず、活動がベッド周辺に限られる
  • 2級…日常生活が極めて困難で、活動が屋内に限られる
  • 3級…日常生活ではそれほど支障はないものの、労働時には制限がかかる

受け取る年金額は、障害基礎年金は固定、障害厚生年金はそれまで支払った年金の額によって変わります。


2023年現在の障害基礎年金の受取額はつぎのとおりです。(昭和31年4月2日以後生まれの場合)

  • 1級 993,750円 + 子の加算額※
  • 2級 795,000円 + 子の加算額※

※子の加算額=2人までは各228,700円、3人目以降は各76,200円


障害厚生年金は3級でも年596,300円の最低保障が設定されています。


体が不自由になっても公的な保険で保障されますし、障害で仕事をやめる場合は就業不能保険ではまかなえません


これが、就業不能保険は必要ないといわれる理由のひとつです。

公務員でも就業不能保険が必要な人


公務員は保障が充実しているので、多くの場合は就業不能保険は必要ないことがわかりました。


しかしすべての公務員に必要ないわけではありません。


公務員でも就業不能保険に入っておいたほうがいい方は、以下の3パターンです。

  • 生活費がギリギリで給与の80%または3分の2では厳しい人
  • ボーナスがなくなると生活が厳しくなる人
  • 貯蓄がほとんどなく病気の治療費を支払えるか不安な人

詳しく見ていきましょう。

生活費がギリギリで給与の80%または3分の2では厳しい人

現在の収支が0に近い人は就業不能保険に入っておくほうが安心です。


病気休職中も給料がもらえるとはいっても、収入は80%や66%へと減ってしまいます。


それまでギリギリの生活費でやりくりしていた方は、少しでも収入が減ってしまうと生活難に陥る可能性もありますよね。


本当は貯蓄できるくらい余裕を持った生活を維持するべきですが、さまざまな理由で難しい場合もあるでしょう。


さらに病気休職で注意したいのは、通勤手当管理職手当支給されないということです。


普段付いている手当がなくなるので、実際は80%以上減少することも考えられます。


出費が多い方や収入が足りていない方は、本当に自分には就業不能保険が必要ないかを今一度考えてもいいかもしれません。

ボーナスがなくなると生活が厳しくなる人

休職中はボーナスが減る、またはなくなる場合があります。


ボーナスがなくなると生活が厳しくなる人は就業不能保険に入っておいてもよさそうです。


公務員には6月と12月に「期末手当」と「勤勉手当」という2つのボーナスが出ます。

  • 期末手当…日々の勤務に対する報酬
  • 勤勉手当…業務成績による報酬

2種類のボーナスは勤務期間が減るほど金額も減っていき、さらに勤勉手当は算定基準日に勤務していないと支給がありません。※


休職のタイミングによっては、ほとんどボーナスが出ない可能性も出てくるでしょう。


そして休職が2年目以降になると勤務日数が0日になるので、ボーナスはもちろん0です。


ボーナス目当てでローンや買い物をしている方は、休職すると経済的に大きな痛手を負うことになるでしょう。


そのような場合に備えて、不意な事故や病気へのリスクヘッジとして就業不能保険を活用することができます。


※病気休暇の場合、末期手当は満額支給、勤務手当は減額されます。

貯蓄がほとんどなく病気の治療費を支払えるか不安な人

現在貯蓄がない方も、就業不能保険をおすすめします。


なぜなら病気の治療費入院代などの出費をカバーできるからです。


ただし、公務員は通常よりも治療費の保障が手厚いので、多くの人にとっては必要ないかもしれません。


日本では、ひと月の治療費が高くなってしまったときのために高額療養費制度があり、年収約370万円~770万円の方の場合、大体9万円を上回る額は戻ってきます。


さらに公務員への保障として用意されているのが、一部負担金払戻金という制度です。


これにより自己負担金は毎月2万5千円または5万円が最高額となります。


毎月の負担金は大幅に減らせるので、本当に貯蓄がない方か、病院の個室をどうしても使いたい方など以外では就業不能保険は必要ないでしょう。

公務員が就業不能保険に加入する際の注意点



上記の内容に当てはまり、就業不能保険に入ろうか考えている方へ、加入時の注意点があります。


就業不能保険を選ぶ際は以下の保障内容に注目してください。

  • 申し込んでからの支払対象外期間が長すぎないか
  • 精神疾患が保障の対象かどうか
就業不能保険はほかの保険と比べて比較的わかりやすい内容ですが、それでも事前によく確認すべき項目が存在します。

いざというときに利用できない事態にもなりかねないので、こちらをよく読んでから加入しましょう。

申し込んでからの支払対象外期間が長すぎないか

就業不能保険は病気・ケガにより就業不能状態(入院、在宅療養、障害を受けた状態)が一定期間以上つづくと、毎月所定の金額が給付金として受け取れるものです。


この保障が有効かどうかを見極める期間を支払対象外期間といいます。


一般的には支払対象外期間に60~180日間取っている商品が多いのですが、その日数が長すぎないかチェックしておきましょう。


貯蓄に余裕がなく、できるだけ早く受け取りたい方は支払対象外期間の短い商品を選ぶようにしてください。


また、短期の入院や療養向けに2週間程度で一時金がもらえる保障が付いた商品もあるため、目的に合わせた保障を選びましょう。


必要ない保障を付けすぎると保険料が高くなるので、特約(オプション)が豊富な商品でも必要最小限にとどめておくのが賢い保険選びのポイントです。

精神疾患が保障の対象かどうか

就業不能保険のなかには精神疾患が保障されるものとされないものがあります。


教職員を例に挙げると、文部科学省の2021年の調査では公立教職員の精神疾患による休職者は5,897人と過去最多になりました。


このように精神疾患での休職は年々増えているため、そちらの保障もある保険を選ぶほうが安心です。


ちなみに精神疾患に対する保障は制約が厳しくなる傾向にあります。


たとえば、肉体的な理由では入院と在宅療養どちらも支払われますが、精神的な理由では入院のみ、といった具合です。


自分の条件に合っているかどうか、保障内容と支払事由をよく確認してから加入するようにしてください。

公務員に必要な保険は?


多くの公務員には就業不能保険は必要ないことがわかりましたが、それではどのような保険に入るといいのでしょうか。


公務員が入っておくべき保険は以下の3つです。

  • 死亡保険
  • 個人年金保険
  • 学資保険
共済や公的な保障では足りない部分を補うのに保険を使いましょう。

また、保険は家族を守るものでもあります。家庭を築いている方には特に加入しておいたほうがいい保険もあるので、ぜひご覧ください。

死亡保険

被保険者が死亡したときに、遺族への保障として加入する保険です。


世間一般でいわれる「生命保険」はこの死亡保険に当たります。


以下に当てはまる方は特に死亡保険を用意しておいたほうがいいでしょう。

  • 子どもがいる家庭を持っている方
  • パートナーが家事専業の方
  • 貯蓄がなく、死後まもなく発生する葬儀費用や遺品整理費用などで迷惑をかけたくない方
  • 財産の相続を考えている方

死後にかかる費用は、葬儀に約200万円、遺品整理は業者にすべて頼むと10~20万円ほどです。


死亡保険の種類は多岐にわたり、期間が決まった「定期保険」や一生涯の保障が得られる「終身保険」のほか、貯蓄や投資に重きを置いた商品などがあります。


それぞれメリット・デメリットがあるので、ライフプランや利用目的に合わせて選択してください。

個人年金保険

国民年金や厚生年金といった公的年金に上乗せする形で用意できるのが個人年金保険です。


死亡保障なども付随していますが保障部分はわずかなものが多く、老後の資金を貯めておくことに重きを置いている特徴があります。


公務員に必要な理由は以下のとおりです。

  • 60歳の定年後5年間無収入になる
  • 再任用制度やほかの仕事に就いても給料が落ちる
  • 公務員の退職金が減ってきている
  • 公的年金額が減ってきている

退職後の金銭面は以前よりも厳しくなってきています。


もしリタイア後に不安がある方は個人年金保険で準備すると安心です。


ほかにも、個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用する方法もあります。


こちらは節税効果が大きい半面、途中解約できないデメリットもあるので、よく検討してから決めてください。


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学資保険

小さな子どものいる家庭では、学資保険への加入がおすすめです。


預貯金やほかの貯蓄型保険よりも利率や保障が充実しているものが多く、学費はほぼ確実に必要になる資金なので、加入意義が高いといえるでしょう。


福利厚生が整っている公務員には就業不能保険や医療保険はそれほど必要ない、とこれまで説明してきました。


その浮いた分の保険料をどこに注力するかがポイントになってきます。


学資保険であれば元本割れのリスクはなく、長期的な利率のつみ重ねと保険料控除が期待でき、無駄な余剰資金にもなりません。


小学校から大学まで700万円以上はかかる学費のために、学資保険を使ってみてもいいかもしれませんね。


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まとめ:公務員には就業不能保険は必要ない?


公務員には就業不能保険が必要かどうかを解説してきました。


公務員は福利厚生が充実しているので、多くの人には就業不能保険は必要ありません


しかし貯蓄が少ない方や長期休業が不安な方は、保険料も安めですので入っておいてもよさそうです。


公務員は就業不能保険や医療保険が必要ない分、ほかの保険にお金をかけることも考えてみましょう。


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