・住宅ローンの本審査後に転職したらどうするべき?
・住宅ローンの本審査後に転職した際の対処法がわからない
このような悩みを抱えていませんか?
本審査後の転職で住宅ローン契約が直ちに白紙になることはありません。ただし、融資実行前の転職や収入変動によっては再審査や契約見直しのリスクが生じるため注意が必要です。
この記事では、転職が住宅ローンに与えるリスクや正しい対処法を解説します。さらに、知っておきたい注意点や具体的な事例につおても詳しく紹介します。この記事を最後まで読めば、転職後の住宅ローンに関する不安を解消し、安心して適切な対処ができるようになるでしょう。
井村FP
<住宅ローンへの不安があるならマネーキャリアがおすすめ>
転職後の住宅ローンについて少しでも不安を感じているなら、一人で抱え込まずにマネーキャリアの「無料FP相談」をご利用ください。
相談を担当するのは住宅ローンに詳しいプロのFP(ファイナンシャルプランナー)です。特定の金融機関に属さない中立な立場なので、あなたの状況に合った最適なアドバイスを提供できます。
相談はオンラインで完結するので、自宅にいながらスマホやパソコンで全国どこからでも利用できます。もちろん、相談は何度でも無料です。転職後の住宅ローンについて悩んだら、プロに相談して将来への不安を一緒に解消しましょう。
>>まずはマネーキャリアに無料で相談してみる
この記事の監修者
谷川 昌平
フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
住宅ローンの本審査後に転職してしまったらどうするべき?

住宅ローンの本審査(正式承認)後に転職してしまったら、まず速やかに金融機関に相談することが最重要です。
住宅ローンの審査では勤務先での勤続年数など収入の安定性が重視されており、実際に金融機関の94.5%が審査項目に勤続年数を考慮しています※。
そのため、審査通過後に勤務先が変わると銀行には審査時の前提条件が崩れたと判断され、融資承認が取り消される恐れがあります。決して「黙っていればバレない」と考えてはいけません。
健康保険証の提出など最終手続きで転職は確実に発覚しますし、申告を怠れば契約違反となります。最悪の場合、ローン全額の一括返済を求められる可能性もあり、大変危険です。
適切に対処すれば、融資が継続できる可能性もあります。ここでは、住宅ローンの本審査後に転職してしまったらどうするべきかについて、詳しく解説します。
まずは金融機関(銀行・担当者)に相談する
一刻も早く銀行に連絡しましょう。住宅ローンの正式承認後に転職した場合、借入予定の金融機関(担当者)にその事実を早急に伝えるのが鉄則です。勝手に融資実行の日まで黙っていれば、発覚した時点で銀行の心証を著しく悪くし、取り返しがつかなくなります。そうなる前に担当者へ連絡し、真摯に事情を説明しましょう。
早めに相談すれば、銀行側も対応策を検討する時間が取れます。もし新しい勤務先で収入が増えたり規模の大きな企業に転職したりした場合は、審査上プラスに働く可能性もあるのです。そのようなポジティブな情報も含めて担当者に共有し、融資を継続できる道がないか一緒に模索してもらいましょう。
銀行担当者はプロなので、今後どのような手続きや対応が必要になるか具体的なアドバイスをもらえるはずです。融資実行日まで時間があるなら、その間に追加審査の準備や他の選択肢の検討もできます。自己判断で黙っているのではなく、まずは相談することが何よりも大切です。
井村FP
<ワンポイントアドバイス>
融資実行(物件の決済)日が迫っている場合は、なおさら早い連絡が欠かせません。最悪の場合、融資承認が直前で取り消されてしまい、ローン特約の対象外として手付金が没収されるケースもあります。
そうならないためにも、必要であれば売主や不動産会社とも相談して決済日(引き渡し日)の延期を検討し、銀行には再審査の時間を確保してもらいましょう。報告が遅れるほど打てる手が少なくなります。
井村FP
「転職してしまった後」だけでなく、
転職を予定している段階でも同様です。事前に申し出ておけば、金融機関側も可能な対策を検討でき、後々のトラブルを回避できます。仮に現在の銀行での融資継続が難しいと言われた場合でも、早期に判明すれば次善策の検討に移れます。
ギリギリまで黙っていて融資不可となると、対応の余地がなくなってしまうのです。金融機関側も、早めに正直な報告を受ければ、より柔軟な対応策を検討してくれるでしょう。
転職の内容・時期を正直に伝える
金融機関に対しては、転職した事実を隠さず正直に報告するのが鉄則です。
転職の「内容」と「時期」、つまり
「どんな転職を、いつしたのか」を具体的に伝えてください。
金融機関へ報告する際の一例
- 〇月〇日付で前職を退職し、〇月〇日から新しい会社で勤務を開始した
- 新しい勤務先は△△業界の□□社で、雇用形態は正社員、年収は前職より××万円増えた
退職日や入社日、収入の変動幅などを誤魔化したり、言い渋ったりしてはいけません。最終的な契約手続きの際に健康保険証などで勤務先や入社日の変更は確実に発覚します。また、住宅ローン契約時には氏名・住所・勤務先の変更を届け出る義務を設けている金融機関がほとんどです。怠ると期限の利益喪失(残債一括返済の請求)に至る可能性もあります。
転職を隠し通すことは事実上不可能であり、発覚した時点で融資打ち切りや契約違反と見なされるリスクが高まるだけです。金融機関からの信頼を失わないためにも、聞かれたことには正直に答え、自分からも積極的に伝えてください。
井村FP
<ワンポイントアドバイス>
「転職理由」については、前向きなキャリアアップなのか、やむを得ない事情(倒産・リストラ等)なのかを正直に話しましょう。その背景次第では、金融機関側も一定の理解を示してくれる場合があります。
また、新しい勤務先の安定性についても聞かれたら包み隠さず回答してください。試用期間中であったり契約社員としての採用だったりする場合でも、事実を正確に伝えることが大切です。現時点で伝えにくいネガティブな要素であっても、後から発覚するより初めから開示しておいた方が、金融機関との協議で解決策が見つかる可能性が高まります。
井村FP
新しい仕事への転職によって年収が大幅に下がってしまった場合も、正直に伝えてください。
その場合、現在の返済計画の見直し(借入額の減額や自己資金の追加など)が必要になるかもしれませんが、早めに共有しておけば対策を協議できます。金融機関も臨機応変に対応策を提案してくれるはずです。
必要に応じて追加書類を提出する
転職によって収入や雇用形態に変化が生じた場合、金融機関から追加の書類提出を求められることがあります。審査時に提出した情報との差分を確認し、新たな勤務先での収入状況を把握するためです。
例えば、以下のような書類の提出を求められる場合があります。
- 採用通知書・雇用契約書(転職先での在籍確認ができる書類)
- 勤務先発行の勤続証明書(転職後の勤続期間を確認できる書類)
- 見込収入証明書(転職後の収入見込みが確認できる書類)
- 転職後の給与明細書(転職後に給与が支払われたことが確認できる書類)
- 職歴書(これまでの職歴が確認できる書類)
これらは、転職後の勤務実態や収入見込みを証明するための書類です。特に、転職から1年未満で新職の源泉徴収票が用意できない場合、金融機関はこのような書類に基づいて平均月収から年間の見込所得を算出し、それを審査上の年収として扱います。
そのため、依頼された書類は漏れなく準備し、できるだけ早く提出してください。追加書類の提出が遅れると、その分だけ融資実行も遅れたり、最悪の場合スケジュールに間に合わず契約に支障が出る恐れもあります。
井村FP
<見落としがちなポイント>
提出方法については、担当者の指示に従いましょう。原本が手元にない場合はコピーで対応可能か確認し、会社から取り寄せが必要な書類(勤続証明書など)は早急に依頼します。新しい勤務先にも事情を説明し、必要な証明書類の発行に協力してもらいましょう。不明点は必ず担当者に確認しましょう。
転職後に住宅ローンの手続きを控えているとわかっている場合は、書類を事前に用意しておくことが望ましいです。企業発行の証明書類(勤続証明書など)は、依頼してから発行まで数日〜数週間要することもあるため、早めに人事・総務担当に申し出ておきましょう。
また、提出を求められた書類の中にまだ入手できないものがある場合は、代わりに何を提出すればよいか担当者に確認してください。金融機関も臨機応変に対応策を提案してくれるはずです。
融資実行(引き渡し)前か後かを確認する
住宅ローンの正式承認から実際の融資実行(資金の支払い・物件引き渡し)までには
タイムラグがあります。
一般的な本審査完了から融資実行までの目安
物件や契約条件によっては数ヶ月かかるケースもあります。その間に転職してしまうと、審査時の前提と実態が食い違ってしまい、融資承認が無効になる可能性があります。
そのため、融資実行前に転職が判明した場合は、金融機関による再審査が必要となり、状況によっては融資が白紙撤回されてしまうリスクに直面します。
すぐに銀行に相談して追加審査や融資条件の変更に対応することが不可欠です。それでも融資継続が難しい場合には、売買契約のローン特約による解除(手付金返還)や、他行での借り入れ検討といった選択肢も考えなくてはいけません。
井村FP
<注意すべきポイント>
融資実行後に転職した場合は、基本的にローンはそのまま継続となります。借入金の受け渡しが完了していれば、融資契約は成立済みであり、通常は勤務先が変わったことだけでローンが取消されることはありません。ただし、だからといって金融機関への届け出を怠って良いわけではありません。
ほとんどの金融機関において契約上は勤務先変更の報告義務があり、転職後も速やかに銀行に伝える必要があります。
また、転職によって収入が減少した場合は、将来的に返済が苦しくなる恐れもあります。実際、年収ダウンにより毎月の返済に支障をきたすケースは珍しくなく、そうなる前に早めに対策を検討すべきです。
井村FP
余裕があれば繰上返済を行って月々の返済額を減らす、難しければ返済期間延長によって毎月の負担を軽減するといった方法もあります。それでも返済が厳しい場合は、金融機関に相談して返済計画の見直し(ボーナス払いの減額・停止等)を検討してもらうことも重要です。
このように、融資実行後の転職ではローン契約そのものは継続しますが、収入変動への備えと金融機関への報告を怠らないようにしてください。
どうしても融資が難しい場合の対策を考える
現在の金融機関でどうしても融資が受けられない場合でも、まだ対策は残されています。以下のような選択肢を検討してみましょう。
貯蓄や親族からの資金援助で頭金を増やし、必要なローン額を圧縮します。借入額が少なければ返済負担率も軽くなり、審査に通る可能性が高まります。
夫婦でペアローンを組んだり、親に保証人になってもらったりすることで、世帯収入を合算でき、返済能力が高いと見なされます。
地方銀行や信用金庫など、勤続年数の条件がない金融機関なら審査に通る可能性があります。また、フラット35のように勤続年数要件が比較的緩やかなローンを利用するのも有効です。
銀行では難しくても、不動産担保評価を重視するローン会社(信販系など)なら融資してもらえる場合があります。金利は割高ですが、ひとまず借入れておき、勤続実績が積めた数年後に銀行やフラット35へ借り換えることも考えられます。
ローン特約があれば契約を白紙解除し(自己都合の場合手付金没収)、転職後の収入が安定してから住宅購入に臨むのも一つの手です。
井村FP
<ワンポイントアドバイス>
どの選択肢を取るにせよ、時間との勝負になります。ローン不可が判明した段階で速やかに動くことが大切です。複数の対策を並行して検討し、少しでも可能性を広げましょう。
また、ファイナンシャルプランナーなどに相談し、第三者の視点から最適な打開策をアドバイスしてもらうのも良いでしょう。
井村FP
なお、他の金融機関での審査には新たに数週間を要するため、早めに並行して動き出すほど成約の可能性が高まります。場合によっては不動産会社や売主に事情を説明し、決済日の延長を交渉することも必要です。
融資不可が判明したら、物件引き渡し日までの残り時間を考慮しつつ、一刻も早く行動を開始してください。この時点で不動産会社の担当者にも状況を伝え、一緒に解決策を模索してもらいましょう。
住宅ローン本審査後の転職で困ったら無料FP相談を活用しよう

住宅ローンや転職に関する悩みは、ファイナンシャルプランナー(FP)に無料で相談することができます。第三者の専門家に状況を説明すれば、自分では気付かなかった解決策を提案してもらえたり、今後の資金計画のアドバイスを受けられたりします。
特に、今回のように住宅購入と転職が絡む複雑なケースでは、一人で抱え込まずFPに相談する価値は大きいでしょう。
初回無料相談を実施しているFPも多くあります。オンライン相談できるところなら気軽に利用できます。中立的な立場からアドバイスを受けたい場合は、独立系のFPに相談することで、家計全体を見渡した助言を受けることが可能です。
井村FP
<当編集部のおすすめ度:★★★★★>
なかでも、マネーキャリアがおすすめです。マネーキャリアでは、転職後の新しい年収に基づいて無理のない返済プランを再構築したり、必要に応じて購入時期の見直しも含めたライフプランを作成してくれたりします。
さらに、各金融機関の住宅ローン商品に精通したFPであれば、勤続年数が短い人でも借り入れしやすいローンを一緒に探し出してくれるでしょう。場合によっては金融機関との交渉方法についてもアドバイスしてもらえるため、心強い味方となってくれます。
井村FP
FP相談を利用した人からは「もっと早く相談すればよかった」という声が多く聞かれます。FPなら、あなたの状況に合った返済負担軽減策を提案してくれるでしょう。
専門家に頼ることは恥ずかしいことではありません。無料の力を借りて、将来のマイホーム実現への道筋を立て直していきましょう。マネーキャリアでは、最短30秒で登録が完了するので、気軽に活用してください。
>>最短30秒で予約できる!マネーキャリアで無料相談する
住宅ローン本審査後に転職してしまった場合のよくあるケース・事例を紹介
住宅ローンの本審査通過後から融資実行前に転職してしまうケースは、それほど珍しいことではありません。
しかし、本審査後から融資実行までの間に状況が変わると、ローン契約上さまざまなリスクが発生します。金融機関は申込時に提出された勤務先や収入の情報が融資実行時まで同一であることを前提として審査承認を出しています。そのため「本審査に通ったからもう安心」と思って転職してしまうと、申込内容との不一致により審査結果が無効化されるおそれが高いのです。
金融機関は健康保険証の事業主名や住民票の異動履歴、信用情報のチェックなど複数の仕組みで転職事実を把握できるため、自己申告しなくても後から発覚するケースが増えています。
ここでは、住宅ローン本審査後に転職してしまった場合のよくあるケース・事例について、詳しく紹介します。
審査通過後に転職したが問題なかったケース
住宅ローンの本審査に通過した直後、30代の男性会社員は同じIT業界内で大手企業への転職が決まりました。職種や仕事内容はそれまでと同じエンジニア職であり、年収もほぼ変わらない条件でしたが、住宅ローンの融資が実行される前ということもあり「転職で融資が取り消されたらどうしよう」と大きな不安を抱えていました。
彼はすぐに金融機関に連絡し「転職先は同じ業界で、仕事内容や収入面もほぼ同じですが問題ありませんか」と正直に報告しました。金融機関の担当者は「同じ業種・同職種で年収もほとんど変わらないならば特に問題はないでしょう」と話し、念のために新しい勤務先の雇用契約書の提出を求められました。
すぐに書類を提出し、それ以上特別な手続きは不要で、当初の予定通り融資が無事実行されました。「正直に伝えて良かったです。隠していたらもっとトラブルになったかもしれません」と男性は後日振り返っています。
井村FP
<ポイント>
転職の内容が同業種・同職種であり、収入面で大きな変動がなかったことです。住宅ローンの審査において、金融機関が最も重視するのは安定した収入や返済能力です。同業種・同職種への転職は、収入の安定性が継続される可能性が高いと判断され、融資の実行に悪影響を及ぼさない場合が多くなります。
また、転職を隠さず金融機関に正直に申告した点も重要でした。金融機関は借り手の誠実さを評価します。転職の事実を隠したまま融資が実行される直前に発覚すると、融資取り消しなど大きなトラブルにつながる恐れがあります。
今回のように転職を正確に伝え、追加書類を素早く提出することで金融機関との信頼関係を保つことができました。このように、住宅ローンの本審査後に転職する際には、転職先の業種や収入変動の有無、金融機関への早めの申告が融資実行の鍵となります。転職が決まった場合でも慌てずに誠実に対応しましょう。
再審査になったが融資が実行されたケース
40代女性会社員は住宅ローンの本審査に通過後、以前から希望していた別業種の企業に転職することが決まりました。新しい勤務先では年収が大きくアップしたため、経済的には安心していましたが、転職後間もなく試用期間中というタイミングでの融資実行となったため、住宅ローンが取り消されるのではと心配しました。
そこで、彼女はすぐに金融機関に相談しました。金融機関からは再審査を行う必要があると伝えられ、転職後の雇用契約書や給与明細、内定通知書などの追加書類提出を求められました。
女性はすぐに必要書類を用意し、担当者と密に連絡を取り合いながら再審査を進めた結果、無事に融資実行が認められました。女性は「試用期間中だったので本当にドキドキしたけど、対応がスムーズで助かりました」と話しています。
井村FP
<ポイント>
異業種への転職でも年収アップなど良い条件が揃っていれば、金融機関が再審査を通して返済能力を再評価し、融資を認める場合があるという点です。ただし、転職直後や試用期間中の場合は、収入や雇用の安定性を金融機関にしっかりと証明することが求められます。
再審査となれば当初の審査よりも慎重に審査されるため、転職先での契約条件や年収を裏付ける書類提出が必須です。
ポイントは金融機関との信頼関係を崩さないことです。早期に誠実に相談し、求められた書類を迅速に提出することが重要になります。対応を丁寧に行うことで、再審査になっても問題なく融資が実行される可能性が高まります。
融資が取り消しになったケース
20代男性・営業職のAさんは、住宅ローンの本審査が無事通過した後、より自分に合った働き方を目指して新しい職場への転職を決意しました。しかし、転職先は正社員ではなく契約社員としての採用で、給与水準も以前より大幅に低下する内容でした。
彼自身は新しい職場でのキャリアアップを目指していたため収入減についてあまり深刻に考えていませんでしたが、融資を申し込んだ金融機関に転職の事実を報告したところ、すぐに再審査が始まりました。
審査の結果、金融機関からは「転職後の収入が大幅に低下しており、雇用形態も正社員から契約社員になったため、長期的な返済能力が不十分である」との理由で融資が取り消されました。急遽、親族から資金援助を得て別の金融機関に住宅ローンの申し込みをし直しましたが、再審査に予想以上の時間がかかったため、物件の引き渡しも当初の予定より大幅に遅れてしまいました。
Aさんは「もう少し慎重に転職のタイミングや雇用条件を考えるべきだった」と強く後悔しています。
井村FP
<ポイント>
住宅ローン本審査後であっても融資実行前に転職を行うと、その内容次第では融資が取り消されるリスクがあるということです。収入が大幅に低下した場合や、雇用形態が正社員から契約社員や派遣社員に変わった場合は、金融機関から返済能力に疑問を持たれ、融資承認が取り消される可能性が高まります。
また、融資取り消し後に別の金融機関に再度申し込む場合でも、再審査にはそれなりの時間が必要となります。そのため、物件の売買契約や引き渡しスケジュールにも遅延が生じ、売主との間でトラブルになるケースも少なくありません。
リスクを避けるためには、転職を考える場合には住宅ローン融資の実行が完了するまで待つか、転職内容について事前に金融機関に相談することが重要です。雇用形態や収入条件に変更がある場合は慎重な判断が求められます。
転職を申告せずにトラブルになったケース
30代女性・事務職のBさんは、住宅ローンの本審査を無事に通過した後、予期せず新しい職場への転職が決まりました。転職自体はキャリアアップにもつながるものでしたが、住宅ローンの手続きが進んでいる最中だったため「融資に影響が出たら困る」という理由で金融機関には転職の事実を報告しませんでした。
しかし、融資実行直前に金融機関が勤務先に在籍確認の連絡を入れたことで、転職していたことが発覚しました。金融機関からは「なぜ重大な情報を報告しなかったのか」と強く問い詰められ、虚偽申告と見なされる可能性があると厳しく指摘されました。
さらに、最悪の場合には住宅ローンの契約が解除され、一括返済を求められることもあると告げられました。Bさんは精神的に追い詰められましたが、その後、金融機関から指示された追加書類を提出して再審査を行った結果、最終的に融資自体は実行されました。
しかし、その間の精神的な負担は非常に大きく「最初から正直に報告していればよかった」と強く後悔しました。
井村FP
<ポイント>
本審査通過後に転職を行った場合には、必ず金融機関に正直に申告することが極めて重要だという点です。転職の事実を隠しても、金融機関は融資実行の直前に再度勤務先への在籍確認や提出書類の再確認を行うことが一般的であるため、隠し通すことは困難です。
転職が後から発覚すると金融機関との信頼関係が大きく損なわれ「虚偽申告」と見なされれば、契約違反として一括返済や契約解除などの重大なペナルティが発生する可能性があります。
井村FP
そうしたトラブルの発生により精神的な負担やストレスも大きくなるため、融資実行前の転職には慎重な対応が求められます。
転職が決まった時点で速やかに金融機関へ報告し、誠実に対応することで、結果的にはスムーズに融資が進む場合が多いです。
住宅ローン本審査後に転職してしまった時のリスクと回避策
住宅ローンの本審査承認後に転職しても良いのでしょうか。いつからなら転職しても問題ないのか、不安を抱える方も多いでしょう。
マイホーム購入と転職のタイミングは重要で、本審査後から融資実行までの間に転職してしまうと、融資が取り消されてしまう可能性もあります。
ここでは、住宅ローン本審査後に転職してしまった時のリスクと回避策について、詳しく解説します。
住宅ローン本審査後に転職するリスク
住宅ローン本審査後に転職するリスクについてみていきましょう。
融資取り消し・再審査のリスク
金融機関は審査時の申込内容を前提に返済能力を判断していますが、勤務先や収入といった属性に大きな変更が生じれば、審査通過後であっても融資実行を取り消す可能性があります。
本審査通過後に転職や退職で収入が減少した場合、発覚した時点で融資が実行されないケースも考えられます。転職によって年収が上がる見込みがあったとしても、金融機関は将来の収入見込みを考慮しません。
過去の実績で審査しているため、転職によるプラス要素よりも不確定要素の増加がより重視されます。
契約違反・トラブルのリスク
融資が取り消された場合の契約上のトラブルも深刻です。本審査承認後に買主が自ら転職したケースでは、多くの売買契約で定められている「融資利用特約」が適用されず、購入契約の解除時に違約金の負担を免れない可能性があります。
融資実行が取り消されれば契約解除を余儀なくされ、違約金が発生します。
引き渡しやスケジュール遅延のリスク
予定していた融資実行日に再審査対応や代替ローンの検討が必要となれば、物件の引き渡し日程を延期せざるを得なくなるでしょう。当初計画よりも入居が遅れ、売主や不動産会社との間でスケジュール調整の手間やトラブルが発生する恐れもあります。
精神的なストレス
何より精神的なストレスも無視できません。ローンが予定通り実行されるか分からない状況は、マイホーム取得を目前に控えた借り手に大きな不安を与えます。
最悪の場合、購入自体が白紙になるプレッシャーや、違約金負担への恐れから、引き渡しまで心休まらない日々を過ごすことにもなりかねません。本審査後の転職には極めて大きなリスクが伴います。
井村FP
<注意すべきポイント>
住宅ローン本審査後の転職には融資の取り消しや再審査、契約違反、引き渡しの遅延、精神的負担といった様々なリスクが伴います。これらのリスクを回避するためにも、転職を検討する場合は慎重に行動し、金融機関とのコミュニケーションを欠かさないようにしましょう。
無計画な転職は住宅購入そのものを危険に晒すため、十分注意してください。
リスクを回避するための対応策
次に、リスクを回避するための対応策についてみていきましょう。
転職時期を慎重に検討する
可能であれば住宅ローンの融資実行と物件引き渡しが完了するまで現職に留まるのが賢明です。融資実行後であれば転職しても返済条件が変わることはなく、ローン契約上も問題は生じません。
勤務先都合の解雇など避けられない場合は、早めに不動産会社へ連絡し、融資利用特約の適用など契約上の救済措置を検討してもらいましょう。
金融機関に正直に申告する
やむを得ず本審査後に転職する場合でも、金融機関には正直に申告することが重要です。たとえ、転職を隠して金銭消費貸借契約を結ぶことはできても、健康保険証の確認など最終手続きで必ず発覚します。住宅ローン契約の約款でも金融機関によっては、勤務先変更を伝える必要があるため、速やかに担当者に連絡しましょう。
もし転職予定が決まった段階で早めに金融機関へ相談すれば、審査スケジュールの調整等の対応をしてもらえる場合もあります。
他の金融機関やローン商品も検討しておく
現在の金融機関での融資が難しくなる場合に備え、他の金融機関やローン商品も検討しておくと安心です。例えば、住宅金融支援機構の「フラット35」は勤続年数に関する条件がなく、直近3ヶ月分の給与明細が提出できれば転職直後でも申し込み可能です※。
住宅ローンの審査は複数の金融機関に同時に申し込んでもペナルティはなく、融資に悪影響を及ぼすこともありません。あらかじめ複数社で事前審査を受けておき、いざというときに最適なローンに切り替えられるよう準備しておくとよいでしょう。
専門家に相談する
転職と住宅ローンの問題に直面したら専門家に相談することも大切です。不動産会社の担当者やファイナンシャルプランナーなどに早めに相談すれば、状況に応じた適切な助言を得られます。
プロのサポートによってリスクを減らす具体策を見出せれば、精神的な不安も軽減されるでしょう。ローン返済中の転職は焦らずしっかり計画し、タイミングには細心の注意を払いましょう。
井村FP
<ワンポイントアドバイス>
住宅ローン本審査後に転職を検討する場合は、時期を慎重に考え、金融機関へ正直に状況を伝えることが重要です。また、融資が難しくなる可能性も考え、他の金融機関やローン商品を準備しておくことも大切です。
さらに、専門家へ相談することによって、冷静かつ最善の判断ができます。計画的で慎重な行動を心がけると、住宅ローンと転職を無理なく両立することが可能です。
>>住宅ローンはプロに!FPで無料相談する
住宅ローンを組んだ後の転職はいつから可能?審査のタイミング別に解説
住宅ローンの審査では「安定した収入」が何より重視されます。そのため、審査の前後に転職して勤続年数が短くなると「収入の安定性に欠ける」と判断されて審査に落ちてしまうケースもあります。
転職そのものは自由ですが、住宅ローン審査ではタイミングが重要です。少しの転職タイミングの違いで審査に通らなくなることもあるので注意しましょう。
結論として、安全に転職できるタイミングは住宅ローンの融資実行後です。ここでは、住宅ローンを組んだ後の転職はいつから可能?審査のタイミング別について詳しく解説します。
事前審査前
住宅ローンの事前審査前に転職すること自体は可能ですが、その直後に住宅ローンへ申し込むと審査で不利になる恐れがあります。勤続年数が短いと「
今後も安定した収入が得られるか不透明」とみなされ、金融機関から返済能力を慎重に見られるからです。
多くの金融機関が住宅ローンの利用条件として「同じ勤務先に◯年以上勤務していること」など勤続年数の下限を設けており、転職後1年未満では審査を申し込めないケースもあります。
一方で、勤続年数が短くても申し込める金融機関も存在します。例えば、勤続6ヶ月程度で申込可能なところや、勤続年数を問わない所もあるのです。また、フラット35のような公的ローンでは直近で転職していても転職後の給与証明書を提出すれば利用できる可能性があります。
転職直後に申し込む場合は、通常の書類に加えて転職先で在職や収入を証明する追加書類の提出を求められることもあります。転職後1年未満の場合は現職の収入を証明する書類が揃わないため、転職先での平均月収から年間の見込所得を算出し、それを年収として審査する方法がとられるでしょう。
井村FP
<ワンポイントアドバイス>
仮審査では自己申告ベースで進むこともありますが、本審査では源泉徴収票などの提出書類によって転職は必ず発覚するため、勤続の短さを隠すことはできません。なお、転職によって収入が増えたり安定した企業に移ったりした場合は、例外的に審査で有利に評価される可能性もあります。
あくまで例外であり、一般的には転職直後は不利と考えましょう。住宅ローンと転職を両立させるにはタイミングが重要で、基本的には「住宅ローンを借りてから転職する」という順番が安心です。
直近数年のうちに何度も転職していると、その分審査に不利になります。どうしても転職直後に住宅ローンを利用したいときは、民間より勤続年数の条件が緩やかなフラット35を検討するのも一つの方法です。可能であれば住宅ローン申込前の転職は避け、どうしても転職予定がある場合は申し込み前に金融機関へ相談・申告しておくことをおすすめします。
本審査前
住宅ローンの本審査(正式審査)前後の時期に転職することは、
契約違反につながりかねないため極力避けるべきです。住宅ローンは長期にわたる契約のため、金融機関は申込時点の勤務先や年収をもとに返済能力を判断しています。本審査後にその前提が崩れてしまえば、融資の実行が難しくなるのは避けられません。
本審査を通過して契約手続きまで終えていたとしても、融資実行時に勤務先が審査時と異なれば融資がキャンセルされる可能性が高いです。事前審査(仮審査)が通っていても安心はできません。ローン審査の途中で転職してしまうと、勤続年数や収入など申込内容が変わって審査結果が無効となり、再審査が必要になったり希望額を借りられなくなったりする恐れがあります。
少なくともローン申込から融資実行までは現在の勤務先に留まり、転職の時期を融資実行後まで遅らせるのが無難でしょう。
井村FP
<注意すべきポイント>
本審査後から融資実行までの間にやむを得ず転職してしまった場合は、速やかに借入先の金融機関に相談してください。金融機関は融資実行直前にも勤務先への在籍確認を行うことがあり、その時点で退職や転職が発覚します。転職した事実を隠したまま契約を進めることはできません。
ちなみに、提出書類の健康保険証などから勤続期間は判明するため、転職の事実をごまかすことはできません。また、重要事項の変更を申告しないままだと重大な契約違反となる可能性があります。最悪の場合、融資承認が取り消されて住宅購入の契約が白紙となり、支払った手付金が戻ってこない可能性もあります。
井村FP
こうした事態を避けるため、転職と住宅購入の時期が重なりそうな場合は購入スケジュールを調整し、金融機関にも早めにきちんと相談しておきましょう。
なお、転職だけでなく融資前に退職(無職)してしまったケースも、融資は実行されません。起業やフリーランスへの独立など収入形態が大きく変わる場合も同様です。
融資実行後(引き渡し後)
住宅ローンの融資実行後(物件引き渡し後)であれば、
基本的に転職しても契約が取り消されるようなことはありません。ローン契約締結後は返済が始まるのみで、転職したこと自体で銀行から返済条件を変更されたりすることも原則ありません。
ただし、多くの住宅ローンの約款では、勤務先が変わった場合に速やかに金融機関へ届け出るよう義務付けられています。この義務を怠って金融機関に報告しないままでいると「期限の利益の喪失」とみなされ、残りのローン残高を一括返済しなければならない可能性もあります。
実際には、転職後も滞りなく返済を続けている限りは金融機関に気付かれず何も言われないケースが多いでしょう。しかし、だからといって黙っていて良いわけではありません。トラブルを防ぐためにも、転職した際は速やかに届け出を行いましょう。
井村FP
<注意すべきポイント>
転職によって収入が減って返済が厳しくなりそうな場合は、早めに金融機関へ相談しましょう。転職先でボーナスがなくなった場合はボーナス払い分を減額・停止する、転職によって月収自体が減った場合は返済期間を延長して毎月の返済額を抑える、といった対処法があります。
いずれも返済計画に支障が出る前に相談しておけば、返済条件の変更に応じてもらえる可能性があります。また、転職した年の年末調整(住宅ローン控除)にも注意が必要です。年の途中で転職し新しい勤務先で年末を迎える場合、前職の源泉徴収票を転職先に提出して所得を合算する必要があります。
井村FP
転職後に年末調整をしないままでは住宅ローン控除を受けられない恐れがあるため、転職先が変わった年は忘れずに手続きを行いましょう(年内に再就職せず無職の場合は、自分で確定申告をして手続きを行う必要があります)。
しっかり返済を続けていれば、転職しても住宅ローンが取り上げられることはありません。計画通り返済を続け、完済を目指しましょう。
【まとめ】住宅ローンの本審査後に転職してしまったらどうするべき?
住宅ローンの本審査後から融資実行前に転職してしまった場合は、
できるだけ早く金融機関にその事実を伝えて相談しましょう。本審査通過後でも融資実行前であれば審査結果が無効になる可能性があり、最悪の場合は融資が取り消されてしまいます。条件次第では再審査で融資継続が認められるケースもありますが、黙っていると契約違反となります。
誠実に状況を説明すれば、金融機関も何らかの対応策を提案してくれる可能性があります。融資が白紙になった場合には他行のフラット35など代替案を検討することも視野に入れましょう。
井村FP
住宅ローンや転職について少しでも不安がある方は、
一人で悩まずマネーキャリアの無料相談をぜひ活用してみてください。
マネーキャリアでは経験豊富なファイナンシャルプランナーがオンラインで何度でも無料相談に応じており、住宅ローンと転職のようなデリケートな悩みも親身にアドバイスしてくれます。
転職前後の住宅ローンに関する相談目的で
マネーキャリアを利用する方は増えており、専門家の知見を借りながら不安解消につなげています。予約はLINEから最短30秒なので、ぜひ気軽に活用してください。
転職の理由や新しい勤務先の情報は、包み隠さず伝えることが重要です。
金融機関には転職の報告義務があり、転職したら速やかに金融機関に申告し、指示に従って必要書類を提出することが求められています。