共働きでも住宅ローンは夫のみで審査を行うべき?共有名義との比較・メリットも解説のサムネイル画像
近年は、共働き世帯も多くなり住宅ローンを夫のみ名義ではなく、共有名義にする人も多くいます。

ただし、住宅ローンを共有名義にすると離婚時や相続時のトラブルリスクなどもあり、どちらの名義にするかで、悩んでしまうケースも。

そこで本記事では、「住宅ローンを夫のみにする場合と共有名義の違い」「各名義のメリット・デメリット」などを詳しく解説します。

・共有名義で離婚時や相続時のトラブルリスクはあるのか不安
・各名義で住宅ローン控除はどうなるのか知りたい

といった悩みをお持ちの人は、この記事を最後まで読めば住宅ローンの各名義のメリット・デメリットを正しく理解でき、自分たちの合った住宅ローンの契約方法を選ぶことができます。

内容をまとめると

  • 住宅ローンを夫のみにすると、離婚時にトラブルになりづらいのがメリット。一方で借入額が低くなるデメリットもある
  • 夫婦共有名義で住宅ローンを組むと、二人分の住宅ローン控除を受けることができる。ただし、一方の収入がが減ると返済が困難になったり、離婚時にトラブルになることも考えられる
  • 住宅ローンを共有名義にするのがおすすめなケースは購入する住宅のランクを上げたい場合や、二人分の住宅ローン控除を受けたいとき。将来の相続税を抑えたい際も有効
  • 住宅ローンの名義はリスクも考えた上で決めるのが重要なため、無料でFPにアドバイスをもらえる「マネーキャリア」を活用する人が増えている

この記事の目次

住宅ローンを夫のみにする場合(単独名義)と共有名義の違いとは?


マイホームを購入する際、ほとんどの人は住宅ローンを組みますよね。


住宅ローンを組むときには夫のみでローンを組む単独名義と、住宅ローンを2人以上で組む共有名義があります。


本記事では住宅ローンを夫婦で返済していく場合を想定し、「夫のみ」もしくは「夫と妻が2人で組む」場合を解説していきます。


まず、用語の意味をおさえておきましょう。

単独名義共有名義
意味物件に対して所有者が1人だけ
存在する状態のこと
物件の所有者が複数存在する
状態のこと
所有権所有権全てが出資者(本記事では基本的に夫)
にある
夫婦それぞれの負担金額に準じた所有権(共有持分)が
双方に与えらる


以下では、それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。


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住宅ローンを夫のみにする場合のメリットは?


一般的に、住宅ローンを組むときは夫のみで契約するケースが多くなっています。


最初に、住宅ローンを夫のみにする場合のメリット3つを紹介します。

  • 夫のみの住宅ローンのメリット①離婚時にトラブルになりづらい
  • 夫のみの住宅ローンのメリット ②相続時にトラブルになりづらい
  • 夫のみの住宅ローンのメリット ③一方の年収が減少しても返済できる【妻の審査はなし】

離婚時なども想定しながら、メリットを知っておくとトラブルを回避することに繋がります。

夫のみの住宅ローンのメリット①離婚時にトラブルになりづらい

住宅ローンを夫のみにする場合のメリットの一つ目は、離婚するときにトラブルになりづらいことです。


なぜなら、単独名義であれば所有権は出資者(夫)とはっきりしています。


そのため、離婚時に住宅を売却しようと思ったとき、手続きは共有名義よりも簡単になります。


ただし、所有権は夫のものであったとしても、妻に家の権利が全くないわけではありません。


家に限った話ではありませんが、結婚生活の中で築いた財産は全て財産分与の対象になります。


財産分与とは

  • 夫婦が共同生活で一緒に築き上げてきた財産を2分の1ずつ公平に分配すること 
です。


つまり、結婚してから家を建てた場合、その家は夫婦の財産です。


離婚するときには財産を分ける必要があります。


一般的に、単独名義の場合は住宅ローンの契約者が、家に「住み続ける」か「売却」をして、一方には現金を渡すことで解決することになります。


参照:法務省

夫のみの住宅ローンのメリット ②相続時にトラブルになりづらい

住宅ローンを夫のみにする場合のメリットのニつ目は、家を相続するときにトラブルになりづらいことです。


共有名義で住宅ローンを組んだ場合は、万が一夫婦のどちらかが亡くなったとしても、相続人には家の持分が承継されます。 


例えば子供がいない夫婦で、先に妻が亡くなったと仮定した場合、妻の親や兄弟姉妹などが不動産の共有者になります。


一方、夫の単独名義で住宅ローンを組んだ場合は相続はもっと単純です。


つまり、共有名義の場合、家を相続するときには共有持分が細分化されて、共有者が増えていく可能性があります。


相続を繰り返すと、遠い親戚などが共有者になってしまうケースも。


つまり、単独名義の不動産の方が共有持分が細分化されず、相続もスムーズである点がメリットです。

夫のみの住宅ローンのメリット ③一方の年収が減少しても返済できる【妻の審査はなし】

住宅ローンを夫のみにする場合のメリットの三つ目は、一方の年収が減少しても無理なく返済できることです。


夫のみの単独名義の場合は、もし夫の収入が下がったとしても、妻が働けばローンの返済を続けることができます。


そのため、病気や転職等のトラブルにも対応しやすいのがメリット。


一方、共有名義にした場合、一方の年収が減少すると、ローンの支払いそのものが厳しくなってしまう可能性があります。 


なお、住宅ローンの加入時には、基本的に団体信用生命保険(団信)に加入しています。


そのため、万が一住宅ローンの名義人が亡くなったり、高度障害状態になったりした場合はローン返済が免除されます。


この点から考えても、住宅ローンを夫のみにする場合の方が返済にリスクは少ないといえます。


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住宅ローンを夫のみにする場合のデメリットは?

次に、住宅ローンを夫のみにする場合のデメリットを以下の手順で説明します。

  • 夫のみの住宅ローンのデメリット ①借入額が低くなる
  • 夫のみの住宅ローンのデメリット ②共働きでも一人分しか住宅ローン控除を受けられない
  • 夫のみの住宅ローンのデメリット ③一人分しか3,000万円特別控除を受けられない
  • 夫のみの住宅ローンのデメリット ④相続人が亡くなると相続税が高くなる

住宅ローン控除についても解説していきますので、参考にしてみてください。

夫のみの住宅ローンのデメリット ①借入額が低くなる

住宅ローンを夫のみにする場合のデメリットの一つ目は、借入額が低くなることです。


住宅ローンを夫のみにする場合は、ローン審査も夫のみの条件で受けるため、収入によっては借り入れ額も低くなる可能性があります。


借り入れ金額が低いということは、希望している物件が購入できなくなる可能性もあるため、単独名義がデメリットになる場合も。


しかし、夫に十分な収入があったり、夫の収入で買える範囲に欲しい物件があったりした場合は問題ありません。


購入前にどれくらいの金額の物件を希望するか、夫婦で話し合っておくのがポイントです。

夫のみの住宅ローンのデメリット ②共働きでも一人分しか住宅ローン控除を受けられない

住宅ローンを夫のみにする場合のデメリットのニつ目は、共働きでも一人分しか住宅ローン控除を受けられないことです。


住宅ローン控除とは

  • 住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合に年末時点での住宅ローンの残高の0.7%が、入居時から最長13年間にわたって所得税や住民税から控除される制度(※条件によって異なります)
です。


夫婦で住宅ローンを組んでいる場合は、それぞれが住宅ローン控除を受けることができます。


一方、夫のみで住宅ローンを組んでいる場合は、夫のみが住宅ローン控除の対象になります。


妻に収入があった場合でも、夫のみの契約である場合は住宅ローン控除は夫の分しか受けられません


なお、住宅ローン控除を利用しても、自身がおさめた所得税や住民税以上の分が戻ってくることはない点に注意が必要です。  

夫のみの住宅ローンのデメリット ③一人分しか3,000万円特別控除を受けられない

住宅ローンを夫のみにする場合のデメリットの三つ目は、マイホームを売却するときに一人分しか3,000万円特別控除を受けられないことです。


不動産を売却すると、多額の税金がかかるイメージがあるかもしれません。


しかし、自宅を売却する場合は「3,000万円特別控除」の制度があります。


「3,000万円特別控除」とは「不動産の売却益から最高3,000万円まで控除できる特例のこと」です。


つまり、マイホームを売却して得た利益のうち3,000万円までは非課税になるお得な制度です。


ただし、マイホームを売却する際、築年数の経過などから高い金額で売れることは滅多にありません。


そのため、古くなった家は売却価格も低くなる可能性が高いので、特別控除は一人分で十分なケースもあります。

夫のみの住宅ローンのデメリット ④相続人が亡くなると相続税が高くなる

住宅ローンを夫のみにする場合のデメリットの四つ目は、相続人(ここでは夫)がなくなった場合、相続税が高くなることです。


共有名義の場合は、住宅の持分に対して相続税が課税されます。


仮に持分が夫:妻=1:1の場合、その分相続税は安くなります。


夫のみの単独名義の場合は、住宅そのものに課税されます。


相続税は相続額に応じて10%から最大55%まで税金がかかり、相続額が大きいほど課税率も大きくなります。


詳細は下の表をご覧ください。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1000万円以下10%
3000万円以下15%50万円
5000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1700万円
3億円以下45%2700万円
6億円以下50%4200万円
6億円超55%7200万円


参照:国税庁


表から分かる通り、5,000万円以下の物件では税率が20%控除額は200万円です。


しかし、相続税対策として年間110万円の基礎控除を使ったり、相続時精算課税制度を利用したりする方法もあるため、上手に活用しておくべきです。


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住宅ローンを共有名義にするメリットは?

ここまで、住宅ローンを夫のみにする場合のメリット・デメリットを説明してきました。


一方、夫婦共有名義で住宅ローンを組むかどうか迷っている人は、共有名義のメリット・デメリットを知っておくべきです。


この項では、住宅ローンを共有名義にするメリットを以下の手順で説明します。

  • 夫婦で名義を共有するメリット①借入可能額が高くなる
  • 夫婦で名義を共有するメリット ②二人分住宅ローン控除を受けられる
  • 夫婦で名義を共有するメリット ③二人分3,000万円特別控除を受けられる
  • 夫婦で名義を共有するメリット ④一方が亡くなった場合相続税を抑えられる

それぞれ詳しく解説していきます。

夫婦で名義を共有するメリット①借入可能額が高くなる

住宅ローンを共有名義にするメリットの一つ目は、マイホームを購入するときに借入可能額が高くなることです。


夫婦でローンを借り入れすれば、夫婦の収入を合算して借り入れ可能額を計算でき、マイホームの選択肢を広げることが可能になります。


ここで、年収から借り入れ額を算出してみます。


フラット35のホームページよりローンシミュレーションで計算します。


夫のみの単独名義
の場合
妻のみの単独名義
の場合
共有名義の場合
条件年収500万円/35年ローン/
金利1.8%/元利均等
年収350万円/35年ローン/
金利1.8%/元利均等
夫:年収500万円
妻:年収350万円
借入可能金額4,541万円2,725万円7,266万円


二人合わせると借入可能額7,266万円ですので、共有名義にするとマイホームの選択肢は増えることになります。

夫婦で名義を共有するメリット ②二人分住宅ローン控除を受けられる

住宅ローンを共有名義にするメリットのニつ目は、夫と妻二人分の住宅ローン控除を受けられることです。


住宅ローン控除とは、先述した通りマイホームを住宅ローンを利用して購入することで、所得税や住民税がお得になる制度です。


共有名義にした場合、住宅ローン控除を夫・妻の二人分受けられます。


よって、2人の収入に対して適用される上限額も2倍に。


共働きの場合は、共有名義にすることによって所得税の節税も見込めるため、大きなメリットでもあります。


基本的な住宅ローン控除額は、年末の住宅ローン残高の0.7%程度となっています。


以下では、参考までに2024年に物件を購入した場合の借入限度額と期間、合計最大控除額を紹介します。

住宅の種類借入限度額控除期間合計最大控除額
新築住宅買取再販3,000万円〜
5,000万円
13年455万円
(1年間では最大35万円)
既存住宅2,000万円〜
3,000万円
10年210万円
(1年間では21万円)


住宅ローンの控除額は、物件の種類・時期・世帯によっても異なります。


なお、共有名義にした場合でも、妊娠や出産などで妻が将来専業主婦になった場合は、夫しか控除が受けられなくなりますので注意が必要です。


参照:生命保険文化センター

夫婦で名義を共有するメリット ③二人分3,000万円特別控除を受けられる

住宅ローンを共有名義にするメリットの三つ目は、夫と妻二人分の3,000万円特別控除を受けられることです。


3,000万円特別控除とは、「不動産の売却益から最高3,000万円まで控除できる特例のこと」です。


つまり、マイホームを売却して得た利益のうち、3,000万円までは非課税になるお得な制度です。


なお、譲渡所得税は持分によって決まります。よって「3,000万円特別控除の特例」も夫と妻一人ひとりに適用されます


つまり、合計6,000万円の控除を受けられることになりますので、大きなメリットといえます。


参照:国税庁

夫婦で名義を共有するメリット ④一方が亡くなった場合相続税を抑えられる

住宅ローンを共有名義にするメリットの四つ目は、一方が亡くなった場合相続税を抑えられることです。


相続が発生したときは、名義によって以下のように税金を課されます。

  • 単独名義の不動産:家全体の評価額に対して相続税が課される
  • 共有名義の場合:持分割合に応じて相続税が課される


例えば、4,000万円の住宅を購入し、夫が亡くなった際の例を挙げると、以下のようになります。


単独名義の場合
共有名義の場合
 (夫婦が2,000万円ずつ ローンを組んでいたケース)

課税対象金額
4,000万円
単独名義では全額が
相続税の対象に
夫の持分である2分の1 2000万円が課税対象


つまり、一方が亡くなった場合、共有名義は単独名義のときよりも節税が可能です。


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住宅ローンを共有名義にするデメリットは?

次に、住宅ローンを共有名義にするデメリットを以下の手順で説明します。

  • 夫婦で名義を共有するデメリット ①一方の収入がが減ると返済が困難になる
  • 夫婦で名義を共有するデメリット ②離婚時にトラブルになる可能性がある
  • 夫婦で名義を共有するデメリット ③相続時でトラブルになる可能性がある

共有名義を選ぶ際には、メリットだけではなく、デメリットにも目を通しておくことがポイント。


それぞれ詳しく解説します。

夫婦で名義を共有するデメリット ①一方の収入がが減ると返済が困難になる

住宅ローンを共有名義にするデメリットの一つ目は、一方の収入が減ると返済が困難になる可能性が高いことです。


共有名義で住宅ローンを組んだ場合は、当然、夫と妻のどちらにも返済義務があります。


将来的に出産や妊娠などで妻が専業主婦になった場合は、妻の収入の変化でローンの支払いが難しくなるかもしれません。


ここで、「夫が妻のローンを払えば良いのでは?」と思う人もいますよね。


しかし、夫が妻のローンを肩代わりする場合は贈与税がかかることがあります


単純に、夫が妻の分を払えば問題がないというわけではありませんので注意が必要です。


そのため、将来的に妻が仕事を辞める可能性がある場合は、最初から夫の単独名義で住宅ローンを組んだほうが無難と言えます。

夫婦で名義を共有するデメリット ②離婚時にトラブルになる可能性がある

住宅ローンを共有名義にするデメリットのニつ目は、離婚するときにトラブルになる可能性が高いことです。


夫婦が結婚生活の間に取得した不動産は、全て財産分与の対象です。


持分割合にかかわらず、夫婦ともに半分ずつ分けるのが原則です。


単独名義の場合は、不動産を売却して現金化するケースが多いでしょう。


一方、共有名義の不動産は売却するときに名義人全員の同意が必要です。


どちらかが売却を希望した場合でも、どちらかが住み続けたいと希望すれば、勝手に売却することはできません。


また、住宅ローンが残っている場合、離婚しても共有名義の場合はそれぞれが返済を続けなければなりません。


さらに、互いに連帯保証人となっているペアローンの場合は、その責務についても責任を負います。


以上の理由により、離婚する場合は単独名義よりも複雑になりますので注意しておくべきです。

夫婦で名義を共有するデメリット ③相続時でトラブルになる可能性がある

住宅ローンを共有名義にするデメリットの三つ目は、相続するときにトラブルになる可能性が高いことです。


例えば、子どものいない夫婦で夫が亡くなった場合、配偶者のほかにも夫の親や兄弟、甥や姪なども法定相続人となる可能性があります。


さらに相続が繰り返されると、共有持分がより細分化されて共有者が増えてしまうかもしれません。


共有名義人が増えると、不動産の売却が難しくなり、トラブルになる場合も。


また、少し込み入った話になりますが、共有名義人の1人が第三者に「自身の共有持分を売却した」場合は、

  • 第三者から賃料を請求される
  • 共有物分割請求を起こされる

可能性もあります。


一方、単独名義の場合は相続人を1人に指名しておけば持分の細分化を防げるため、相続時のトラブルが起きにくいのがメリットです


以上の理由により、共有名義はトラブルが発生する可能性が高いというデメリットがあります。


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住宅ローンを共有名義にするのがおすすめなケース


ここでは、住宅ローンを共有名義にするのがおすすめなケース3つを解説します。

  • 共有名義がおすすめの場合①購入する住宅のランクを上げたい
  • 共有名義がおすすめの場合②二人分の住宅ローン控除を受けたい
  • 共有名義がおすすめの場合③将来の相続税を抑えたい

共有名義を検討している人は、当てはまっているかを参考にしてみてください。

共有名義がおすすめの場合①購入する住宅のランクを上げたい

住宅ローンを共有名義にするのがおすすめなケースは、購入する住宅のランクを上げたい場合です。

夫婦連名でローンを組めば、夫婦の収入を合算して借り入れ可能額を計算でき、購入できるマイホームの選択肢を広げることが期待できます。

先ほど、フラット35のローンシミュレーションで、年収から借入可能額を算出した例を参考にすると、以下のようになっていました。
  • 夫「年収500万円、35年ローン、金利1.8%、元利均等」:借入可能額4,541万円
  • 妻「年収350万円、35年ローン、金利1.8%、元利均等」:借入可能額2,725万円
  • 上記二人で共有名義にすれば7,266万円までの物件を購入できる
特に都心の新築マンションの価格は年々上がっています

4,541万円では購入できる物件が限られるかもしれませんが、妻がローンを組んだ場合を合算した7,266万円では条件の良い物件も夢ではないといえます。

共有名義がおすすめの場合②二人分の住宅ローン控除を受けたい

住宅ローンを共有名義にするのがおすすめなケースは、二人分の住宅ローン控除を受けたい場合です。


住宅ローン控除は、年末時点でローン残高の0.7%が入居時から最長13年間にわたって所得税や住民税から控除される制度です。


取得する住宅によって要件は異なりますが、一人につき控除額の年間上限額は最大35万円です。(令和4年度税制改正後)


13年間で考えると大きな金額になります


単独名義で住宅ローンを組んだときは、夫しか住宅ローン控除が適用されません。


一方、共有名義では夫と妻のそれぞれが住宅ローン控除を受けられるため、2人合わせると最大70万円の節税につながります。


なお、住宅ローン控除を受ける際は、不動産を購入した翌年に確定申告が必要です。


会社員の場合、2年目以降は会社の年末調整のときに「住宅借入金等控除証明書」「金融機関での残高証明書」を提出することで、自身の確定申告が不要です。


参照:生命保険文化センター

共有名義がおすすめの場合③将来の相続税を抑えたい

住宅ローンを共有名義にするのがおすすめなケースは、将来の相続税を抑えたい場合です。


共有名義の場合、将来の相続するときに、子どもたちにかかる相続税をおさえられる可能性があります。


参考に、5,000万円の不動産を夫が所有しているケースで、「子ども1人・夫が死亡」と仮定し計算をしてみました。


単独名義と共有名義での相続税を比較してみると、以下のようになっています。


単独名義共有名義
(5,000万円の不動産を夫婦2分の1ずつ
共有しているケース)
相続税の対象額5,000万円(相続財産)-4,200万円(基礎控除額)=
800万円
夫の持分割合である2,500万円が相続財産
2,500万円(相続財産) – 4,200万円(基礎控除額) =
0円
妻・子供の
課税対象額
2分の1ずつとなるため
課税対象額:400万円
0円
支払うべき
相続税額
400万円(課税対象額)× 10%(相続税率) =
40万円
0円


以上の理由により、将来の相続税を抑えたい場合は共有名義がおすすめです。


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住宅ローンを夫のみにするのがおすすめなケース


次に、住宅ローンを夫のみにするのがおすすめなケース5つを紹介します。

  • 単独名義がおすすめの場合①妻が仕事を辞める可能性がある
  • 単独名義がおすすめの場合②夫婦のどちらかが正社員ではない
  • 単独名義がおすすめの場合③離婚時のリスクを減らしたい
  • 単独名義がおすすめの場合④一報が亡くなった場合に残るローンのリスクヘッジをしたい
  • 単独名義がおすすめの場合⑤将来の相続トラブルを避けたい

単独名義を検討している人は、参考にしてみてください。


それぞれ詳しく解説していきます。

単独名義がおすすめの場合①妻が仕事を辞める可能性がある

住宅ローンを夫のみにするのがおすすめなケースは、妻が仕事を辞める可能性がある場合です。

夫婦連名で住宅ローンを組んだ場合は借入額を増やすことはできますが、当然返す金額も増えます。

住宅ローンを組むときに、夫1人では返すことが難しい金額を借りるのはおすすめできません。

なぜなら、住宅ローンを組んだ後に妊娠や出産で妻が専業主婦になり、夫のみの収入では返済が難しいというケースが非常に多いです。

なお、繰り返しますが、妻の負担分を夫が代わりに返すと、夫婦間であっても夫から妻への贈与とみなされる可能性もあります。

将来的に妻が仕事を辞める可能性がある場合は、単独名義が無難な選択です。

単独名義がおすすめの場合②夫婦のどちらかが正社員ではない

住宅ローンを夫のみにするのがおすすめなケースは、夫婦のどちらかが正社員ではない場合です。

そもそも妻がアルバイトやパートの場合はペアローンの審査は通りません。

また、契約社員の場合も正社員に比べて安定していないため、審査通過は難しい傾向にあります。

住宅ローンは35年と長期間にわたり返済していかなければなりません。

そのため、仮に審査が通った場合でも、どちらか一方でも収入がなくなった場合は継続的な返済が厳しくなる可能性があります。

現在はさまざまな働き方がありますので一概には言えませんが、夫婦のどちらかが正社員ではない場合は単独名義にしてリスクを減らすことをおすすめします。

単独名義がおすすめの場合③離婚時のリスクを減らしたい

住宅ローンを夫のみにするのがおすすめなケースは、離婚時のリスクを減らしたい場合です。


離婚するときは、多くのケースで不動産が問題になります。


不動産は財産分与の対象となり、マイホームを夫婦でどのように分配するかを決める必要があります。


単独名義の場合は、ローンを契約している方が不動産を引き取ったり、売却したりして、相手方に現金などで精算すれば解決します。


一方、共有名義の場合、複雑な手続きが必要です。


共有名義を解消するときは、金融機関の合意が必要になります。


しかし、ローン返済中の名義人変更は認められないケースがほとんど


仮に名義人変更ができても、二人分の返済額を1人で支払い続けるのは難しい人が多いのが現実です。


また、売却する選択肢もありますが、不動産を担保にする権利である「抵当権」があるため、完済できる金額で売れる状態でなければ売却できません。


もし売却金額がローン残高を下回っている場合、売却後もどちらかがローンを払い続ける必要があります。


以上の理由により、共有名義は離婚時のトラブルのもとになる可能性が高いため、なるべく穏便に離婚したい場合は単独名義をおすすめします。

単独名義がおすすめの場合④一報が亡くなった場合に残るローンのリスクヘッジをしたい

住宅ローンを夫のみにするのがおすすめなケースは、どちらか一方が亡くなった場合に残るローンのリスクヘッジをしたい場合です。

共有名義は夫婦のどちらか片方が亡くなった場合、もう片方のローンが残る可能性が高くなります。

ペアローンの場合、それぞれ団信に加入します。

そのため、ペアローンを組んだ後に、将来妻に収入がない状態で夫が亡くなってしまうと、妻の分のローンが残ることになります。

また、連帯債務の場合は夫婦連名で団信に加入できる保険もありますが、基本は1人加入(ほとんど夫)です。

連帯債務で夫のみ団信に加入していたケースでは、妻が亡くなった際は夫が一人でローン返済をしなければなりません

以上の理由により、夫婦のどちらかが亡くなった場合に残るローンのリスクを考慮すると、単独名義が良いといえます。

単独名義がおすすめの場合⑤将来の相続トラブルを避けたい

住宅ローンを夫のみにするのがおすすめなケースは、将来の相続トラブルを避けたい場合です。

夫婦共有名義の場合は、不動産の共有者が亡くなると、相続人に持分が承継されます。

例えば、子どもがいない夫婦で夫が亡くなると、夫の親や夫の兄弟や甥や姪なども不動産の共有者になります。

意外かもしれませんが「不動産の持分は継承される」ことを覚えておくのがポイント。

上記のように、代を重ねると遠い親族が不動産の権利者になる場合があります。

権利者が増えると、不動産の売却を考えたときにトラブルが起きやすいことが懸念されます。

以上の理由により、将来の相続トラブルを避けたい場合は単独名義が良いといえます。

住宅ローンを夫のみではなく共有名義にする際の注意点


住宅ローンを夫のみではなく共有名義にする際の注意点を3つ紹介します。

  • 返済負担割合によって持分割合を設定する
  • 夫が妻の負担分を代わりに返済すると贈与税の対象となる可能性がある
  • 大きな負担にならない借入額を設定する

それぞれ詳しく解説します。

返済負担割合によって持分割合を設定する

住宅ローンを夫のみではなく共有名義にする際は、返済負担割合によって持分割合を設定します。


例えば、5,000万円の住宅を夫が3,000万円、妻が2,000万円のローンを組んで購入したときの持分割合は、

  • 夫の持分割合:3/5
  • 妻の持分割合:2/5
となります。


このケースでは夫が5分の3、妻が5分の2の割合になるように持分を登記しなければなりません。


返済負担割合とあまりにも離れた持分割合に設定していると、贈与とみなされてしまう可能性もあります。


その場合、贈与税が発生してしまうため、注意が必要です。


なお、詳細は国税庁のホームページも参照してください。

夫が妻の負担分を代わりに返済すると贈与税の対象となる可能性がある

共有名義で住宅を購入した場合、たとえ妻が専業主婦となって収入がなくなっても、妻名義の住宅ローンは妻が返済する必要があります。


なお、夫が妻名義のローンを代わりに返済すると贈与税の対象になり、課税される可能性があります。

※ただし、毎年110万円以下の金銭の贈与は非課税です。


万が一妻の収入が無くなった場合には、「資金の負担割合に応じて持分割合を変え、夫が肩代わりしても贈与税が課されないようにする方法」も。


もしもの際には、一度銀行に相談してみてください。


なお、共有名義から夫の単独名義に借り換える際は、妻の残債に対して贈与税が発生する点にも注意すべきです。

大きな負担にならない借入額を設定する

住宅ローンを夫のみではなく共有名義にする際は、大きな負担にならない借入額を設定するのがポイントです。


これは共有名義に限った話ではありませんが、住宅ローンでは無理のない返済計画を立てることが大切です。


特に共有名義で無理な返済比率を設定すると、万が一のときや離婚時などに返済が難しくなり、家を売却しなければならないケースがあります。


売却した場合でも売却額でローンを返済できなければ、賃貸に住みながら残債を返し続けるという状況も想定されます。


一般的に理想的な返済比率は年収の25%です。


住宅購入では、ローンの他にも修繕費、固定資産税、火災保険などのランニングコストも発生します。


共有名義の住宅ローンを借りる際には、妻が働けなくなったときのことも想定し、毎月の返済額が負担にならないように配慮が必要です。


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住宅ローンの名義で悩んだ際に利用できるサービス

以下では、「住宅ローンの名義を単独名義か共有名義か決められない」と悩み人におすすめのサービスを紹介します。


住宅ローンは、離婚時や相続時の観点からも単独名義にするのが無難ではありますが、共働きの人は節税の観点からも、共有名義にするべきか悩んでしまいますよね。


しかし、共有名義のメリット・デメリットを知っていても、家計の状況によって最適な選択肢はさまざまです。


そこで使うべきなのが、「ファイナンシャルプランナーへの無料相談サービス」を行なっているマネーキャリアです。


マネーキャリアでは、住宅ローンの専門的な知識を持つFPが、家計の状況によって最適なプランを提案してくれます。


また、無理のない範囲での住宅購入予算も提案してくれたり、おすすめの住宅ローンを教えてもらうことも可能。


住宅ローン選びでは、名義と同様に各ローン商品の金利を比較し検討することも重要なポイントです。


銀行員のFPでは自社商品のみの紹介になってしまうため、第三者の立場からアドバイスしてくれるマネーキャリアを活用する人は、年々増えています。

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まとめ:共働きでも住宅ローンは夫のみで審査を行うべき?共有名義との比較・メリットも解説

ここまで、住宅ローンの単独名義・共有名義のメリット・デメリット、おすすめなケースについて紹介してきました。

結論、共働きの場合でも、住宅ローンは夫のみで審査を行った方が無難です。

なぜなら、将来妻が妊娠や出産などで働けなくなるリスクがあり、その場合は返済が難しくなる可能性があるからです。

また、夫が妻の分も返済することは贈与税の対象になる可能性もあり、リスクが高いことも懸念されます。

ただし、「二人分住宅ローン控除を受けられる」「借入可能額が高くなる」など、共有名義がおすすめな場合もあります。

特に現在共働きで生活している人は、単身名義か共有名義かで、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

そこで、無料で何度でもオンラインで住宅ローンに特化したファイナンシャルプランナーへ相談できるマネーキャリアを活用する人も増えています。

無料登録は1分で完了するので、マネーキャリアを使い、家計に合った住宅ローンの名義を選ぶ手伝いをしてもらうのがおすすめ。

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