建設業は常に多くのリスクと隣り合わせの業界です。一般的に、工事現場では事故や災害が発生しやすく、作業員のケガや第三者への損害など、予期せぬトラブルが起こることが多いのです。
しかし、具体的にどのような保険が建設業に必要なのか、該当の保険がどのように役立つのかについては、建設業者にとって完全に把握するのは難しいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、建設業における保険の基本的な概要から、どのような保険が必要か、さらには保険を選ぶ際のポイントも詳しく解説します
・建設業を運営している経営者として、リスクマネジメントを適切に実施したい
・建設現場で働く作業員やその家族で、現場の安全対策について知りたい
方は本記事を参考にすると、建設業に必要な保険の知識が深まり、適切なリスク管理を行うための具体的な対策が明確になります。
内容をまとめると
- 建設業は、多種多様な業種があり危険も異なるため、適切にリスクに対応する必要がある。
- 各保険会社で建設業向けの保険が提供されているため、会社の規模など自社にあったリスク対策を行うことが必須。
- しかし、加入前に自社にとって必要なリスク対策を知るには専門知識が必要となり、普段忙しいなか、経営陣の独断で保険を過不足なく策定するのは難しい
- そのため、今日では、法人保険のプロに無料で何度でも、リスク対策に関して相談できる「マネーキャリア」を使う建設業者が急増している。
谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
この記事の目次
- 建設業を取り巻くリスク
- ①工事中に第三者を巻き込む事故が発生するリスク
- ②火災などによる資材等の財物損害
- ③引き渡し後のトラブル
- ④従業員の労災リスク
- 建設業に起こった実際の事故事例
- ①周辺施設を巻き込んだ事故
- ②建設工事中の労災事故(死亡事例)
- ③工事目的物の引き渡し後のトラブル
- 建設業におすすめの損害保険
- ①建設工事保険
- ②請負業者賠償責任保険
- ③PL保険(生産物賠償責任保険)
- ④E&O保険
- ⑤労災上乗せ保険
- ⑥取引信用保険
- ⑦建設業総合保険
- 事業規模ごとにおすすめの損害保険
- 中堅〜大企業
- 中小企業〜個人事業主
- 建設業者に最適な保険が「無料で簡単に」わかる方法とは
- 建設業のリスク対策に関する悩みをすぐに解消できる:マネーキャリア(丸紅グループ)
- 法人保険の活用事例集
- 建設業を取り巻くリスクと損害保険のまとめ
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建設業を取り巻くリスク
- 工事中に第三者を巻き込む事故が発生するリスク
- 火災などによる資材等の財物損害
- 引き渡し後のトラブル
- 従業員の労災リスク
①工事中に第三者を巻き込む事故が発生するリスク
1つ目は、工事中に第三者を巻き込む事故が発生するリスクです。具体的に、下記のようなケースが挙げられます。
- 建設工事中に高所から工具を落下させてしまい、歩いていた通行人に当たってケガを負わせてしまった場合
- 工事中に使用していたクレーンが転倒してしまい、近隣の住人にケガをさせてしまった場合
- ビルの塗装をしているときに、通行人にペンキがかかってしまった場合
②火災などによる資材等の財物損害
2つ目は、火災や台風などといった自然災害によって、工事中の建物などに損害が出る場合です。具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 事務所で火災が生じ、建物に損害が発生した場合
- 工事現場で扱う機械や資材が盗難にあったり、破損した場合
③引き渡し後のトラブル
- 電気設備工事中にミスがあり、建物を引き渡した後に電気機器がショートしてしまい、機械が使えなくなったケース。
- 建物の外に取り付けた看板の設置ミスにより看板が落下し、通行人の頭上に当たり、通行人がケガをしてしまったケース。
- 浴室内を改修したが、防水作業が不十分であったことから階下に漏水してしまったケース。
④従業員の労災リスク
工事中は、第三者だけでなく従業員がケガをする労災リスクもあります。
具体的には、以下のようなケースです。
- 足場から足を踏み外してしまい、落下しケガを負った
- 昼食休憩のため足場を降りようとしたときに足場が倒れ、作業員が巻き込まれて負傷した
- 3階建てアパート屋上防水改修作業中、屋上から転落し死亡した
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建設業に起こった実際の事故事例
ここからは、建設業に起こった実際の事故事例をご紹介します。
具体的な事故事例を知ることで、危険な事故を未然に防ぐことができることはもちろん、ご自身が経営する事業のリスク対策の参考になりますので、ぜひ一緒に確認しましょう。
①周辺施設を巻き込んだ事故
まず1つ目は、建設業者が周辺施設を巻き込み高額賠償が発生した事例です。
事故概要
判決
②建設工事中の労災事故(死亡事例)
2つ目の事例は、建設作業中の従業員が労災事故に遭い死亡した事例です。
事故事例
③工事目的物の引き渡し後のトラブル
3つ目は、工事目的物の引き渡し後のトラブル事例です。
事故概要
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建設業におすすめの損害保険
建設業は、大きな機材を使ったり資材を運んだり、多くの人と協力しながら作業を進めていくため、様々な事故が起きやすい業種です。
そのため、建設業におけるリスクに備えるためにも、法人保険に加入しておくことは会社や従業員、自分自身を守るために有効な手段です。
ここでは、建設業に必要な保険を7つご紹介します。
- 建設工事保険
- 請負業者賠償責任保険
- PL保険(生産物賠償責任保険)
- E&O保険
- 労災上乗せ保険
- 取引信用保険
- 建設業総合保険
①建設工事保険
建設工事保険は建物を建設する工事が対象の保険です。
保険の対象になる工事 | 住宅、ビルなど 建物を建設する工事 (新築・増築・改築など) |
---|---|
保険の対象物 | 建築物、現場にある 資材や工具、什器、 仮説事務所など |
- 建物の解体、撤去作業、機械の分解・組み立て作業
- 道路や上下水道、土木構造物の建設
- 船舶や船などに関係する工事
②請負業者賠償責任保険
請負業者賠償責任保険は、請負工事や作業に伴って生じる工事中の事故によって、人にケガを負わせてしまったり、第三者の物を損傷したために賠償責任を負担することで支払う損害賠償金や訴訟費用等を補償する保険です。
保険金の種類 | 内容 |
---|---|
損害賠償金 | 被害者の治療費や慰謝料、 修理費、再調達にかかる費用など |
損害防止費用 | 損害の発生や拡大を 防止した際にかかった費用 |
緊急措置費用 | 被害者に対する応急手当や 緊急処置のために支出した費用 |
権利保全行使費用 | 第三者に損害賠償請求できる場合に、 その権利を保全・行使するために支出した費用 |
訴訟費用 | 訴訟費用や弁護士報酬等の費用 |
協力費用 | 事故やトラブルが起きた時、 解決に協力するために支払った費用 |
この保険の対象となる例は、以下の通りです。
- 足場が崩れ、第三者の自動車にキズをつけてしまった
- ビル建設中にクレーンが倒れ、隣家を破損し工事終了までに遅延が発生したため遅延損害賠償金が発生している
③PL保険(生産物賠償責任保険)
PL保険(生産物賠償責任保険)は、工事業者等が行った「仕事の結果」で他人をケガを負わせたり、他人の物を壊してしまい発生した賠償責任を補償する保険す。
この保険では損害賠償金と訴訟費用が保険金の対象です。
- 塗装作業に際してシンナーを用いて古い塗装を剥がしていたところ、何らかの原因つけてねシンナーへ引火し火災。
- 店舗建物の屋根の防水工事中、養生の不備で降水により雨漏れが発生。建物、設備、什器等が水漏れ損となった。
保険料は、設定した支払限度額や免責金額、どのような工事内容を行うのかなどによって変動します。
高額賠償につながる例も多いためPL保険は、企業の規模に関係なく必要な保険といえます。
PL保険について詳しい内容を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
④E&O保険
E&O保険は、「Errors(過失)&Omissions(怠慢)」の略称で、業務上の過失や怠慢によって顧客に生じた経済的損失を補償する保険です。
請負業者賠償責任保険や生産物賠償責任保険では支払い対象外だった「第三者の身体障害や財物損壊を伴わない経済損害」やその「損害拡大防止費用」を補償します。
例えば、以下のようなケースが挙げられます。
- ショッピングモールの基礎杭の施工が十分に行われておらず、引き渡し後に建物全体に傾きが生じたケース
- 橋梁の設計・施工を請け負い、施工していた途中で設計に籠があると判明。既に施工していた部分を正しい設計を元に再施工したケース
1つ目の事例では、ショッピングモール側から建物の修復費用のほか、営業損害を請求されることがあります。
2つ目は、正しい設計に基づいて再施工を実施することから損害防止費用として支払対象となります。
参考:建設業E&O保険
E&O保険も詳しい内容は、別の記事で解説しています。気になる方はそちらの記事をご覧ください。
⑤労災上乗せ保険
労災上乗せ保険とは、政府の労災保険では足りない補償を補うための保険です。
政府労災保険では、従業員が働けなくなった場合、給料の8割を休業補償として受け取れます。後遺障害が残ったり死亡した場合は、年金か一時金を受け取れます。
政府労災保険には最低限の補償があるとはいえ、万が一従業員が亡くなった場合の慰謝料や逸失利益などの補償はありません。また、事業主や役員は政府労災保険の対象外です。
労災上乗せ保険では、事業主や役員(下請け業者含む)も加入でき、足りない部分の補償に備えることが可能になります。また、保険料は全額損金として計上可能です。
労災上乗せ保険について詳しい内容を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
⑥取引信用保険
取引信用保険とは、取引先の経営不振による倒産や破産等によって売掛債権を回収できなった場合に保険金が支払われる保険です。
取引先につられて自社の資金繰りが悪化し経営に支障が生じないように、この保険金で損失を補填できるので、資金繰り悪化を防げます。
建設業における取引信用保険の補償対象は、建設工事中に発生した事故や工事が終わり引き渡す前に発生した事故です。
取引信用保険の保険料は、保険会社が設定する支払限度額の2~4%が相場です。保険料率は、加入先や取扱保険会社、補償対象とする取引先の数や信用情報などによって決まります。
取引信用保険についても、詳しい内容は別の記事で解説しています。気になる方はそちらの記事をご覧ください。
⑦建設業総合保険
建設業総合保険は、工事・作業中から工事完成物(結果)に発生した損害まで包括的に補償している保険です。つまり、建設業に必要な補償が1つにまとまっている法人保険です。
また、リコールが発生した際の費用を補償したり、財物の損壊等による賠償責任についても補償することも可能です。
経営者にとっては、抜け漏れのないようにリスク対策をしたいところです。
建設業総合保険では、1つの保険でまんべんなく補償が持てるだけでなく、手続きや管理の手間が減らせるのもメリットといえます。
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「自社に最適なリスク対策ができているか不安…」
業態業種問わず、法人保険のプロに無料で何度でも相談ができる「マネーキャリア」
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事業規模ごとにおすすめの損害保険
この記事は、多種多様で事業規模も様々な建設業の方に読んでいただいていると思います。そのため、先述した保険はすべての建設業者にとって必要とは限りません。
ここからは事業規模を大きく2種類に分け、規模別におすすめの損害保険をご紹介します。
- 中堅〜大企業
- 中小企業〜個人事業主
中堅〜大企業
中堅から大企業の建設業を経営されている方は、起こりうるリスクに対して徹底した対策をとる必要があります。
そのため、事業を広く浅く補償する損害保険より、個別リスクに特化した保険を選ぶ方がよいでしょう。
おすすめの損害保険は以下4つです。
- 建設工事保険
- 請負業者賠償責任保険
- PL保険
- 労災上乗せ保険
中小企業〜個人事業主
中小企業から個人事業主の方々は、事業に対するリスク対策を包括的に行うことは重要です。
一方、保険料はできるだけ抑え、事務作業等の手間もできるだけ減らすことも保険選びの条件になるかと思います。
おすすめの損害保険は「建設業総合保険」であり、個人事業主の方も法人保険に加入することは可能です。
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「自社に最適なリスク対策ができているか不安…」
業態業種問わず、法人保険のプロに無料で何度でも相談ができる「マネーキャリア」
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建設業者に最適な保険が「無料で簡単に」わかる方法とは
ここでは、建設業に特化した保険の見直しと最適な保険選びについて詳しく紹介します。
建設現場では、作業員のケガや第三者への損害が頻発するため、保険の見直しは定期的に行う必要があります。例えば、新たな工事プロジェクトが始まる際や、現場の安全対策が強化された場合など、リスクの変動に応じて保険内容を適切に見直すことが求められます。
しかし、保険の見直しをする際には、コストだけでなく、カバー範囲や保険内容の充実度も考慮しなければなりません。たとえば、現場での事故が発生した際に迅速に対応できる保険が必要であり、特に建設業の特性を理解した専門的なサービスを選ぶことが重要です。
そこで、今日では「マネーキャリア」のように「法人保険のプロ」に建設業で発生するリスク対策を相談する会社が急増しています。
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法人保険の活用事例集
建設業を取り巻くリスクと損害保険のまとめ
建設業には、多種多様な業種がありますが、想定されるリスクとして以下が挙げられます。
- 工事中に第三者を巻き込むリスク
- 火災などによる資材等の財物破損リスク
- 工事目的物を引き渡した後のリスク
- 従業員の労災リスク
これらのリスクに備えるために各損害保険会社があらゆる法人保険を提供しているので、自社にとって最適なリスク対策を知り、できるだけ早く万一に備えましょう。
また、保険選びにはコストだけでなく、カバー範囲や保険内容の充実度も重要な要素となります。保険の見直しを行う際には、リスクの変動に対応するための適切な保険内容を選ぶ必要があります。しかし、専門的な知識が必要なため、自己判断だけで最適な保険を選ぶのは難しいです。
そこで、「マネーキャリア」を利用すると、法人保険のプロが無料で何度でも対応してくれるため、安心して保険の見直しや選定ができるので、建設業には必須のパートナーです。
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