内容をまとめると
- 役員借入金の債権放棄・債務免除とは、会社への経営者自身や役員からの借入に関して、双方の合意のもと返済を免除してもらうこと。
- 債権放棄・債務免除をすると「債務免除益」が発生するが、繰越欠損金があるケースでは相殺ができる。
- ただし、繰越欠損金を上回ってしまった場合は、上回った分だけ課税対象となるので注意が必要。
- 役員借入金を減らす方法はほかにも「役員報酬の減額」「暦年贈与」「代物返済」などの方法があるが、法人保険を活用して事業リスク対策とともに準備しておく会社が多い。
- 自社の業態業種ごとに最適な法人保険は異なるうえに、経営陣のみで判断するのはリスクがあるので、丸紅グループ運営の「法人向け保険に関して何度でも無料相談できるマネーキャリア」を使い、リスク対策をする会社が増えている。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
役員借入金の債権放棄・債務免除とは
役員借入金の債権放棄・債務免除とは、会社への経営者自身や役員からの借入に関して、双方の合意のもと返済を免除してもらうことを指します。
借入金の返済が解消されると、会社は経営者や役員に対して資金を返済する必要もなくなるので、「債務免除益」が増加します。そのため、会社の赤字をカバーできるのです。
役員借入金の債権放棄・債務免除の方法とは
債権放棄・債務免除の方法としては、会社と役員間で以下3つの準備が必要です。
- 債権放棄通知書:書面上に確定日付を含む内容証明が必要です。
- 取締役会議事録:取締役会で役員からの債務免除・債権放棄の決定を、証拠となるように議事録へ正しく残しておきます。
- 経理処理:借方に「役員借入金の金額」、貸方に「債務免除益」を正しく記載します。
債権放棄通知書に関しては、「民法519条」によって定められており、債権放棄した事実の証明として必要です。上記のように、トラブルを避けるためにも、正しく証拠を残しておかなければなりません。
役員借入金の債権放棄・債務免除で発生した利益を相殺するには
債権放棄・債権免除した役員借入金は、該当の金額分だけ「債務免除益」が発生し、法人税の課税対象になってしまいます。
しかし、債務免除益は、自社の税務上の赤字(繰越欠損金)と相殺ができるのです。ただし、相殺には「繰越欠損金」が存在し、債務免除益が繰越欠損金の範囲内であることが条件となります。(債務免除益が繰越欠損金を上回ると、課税対象となるので注意しましょう。)
一方、借入金ではなく未払給与の場合は、以下の条件があれば収益計上したのちに、申告上で減算し益金不算入が可能です。
- 取締役会での決議
- 未払給与や免除金額の正当な理由があること(事業成績が悪い、など)
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役員借入金の「みなし贈与」とは何か
役員借入金の「みなし贈与」とは、役員から役員借入金を債権放棄・債務免除したのちに、繰越欠損金を上回る利益が出てしまい、利益の出た株式の贈与が行われたとみなされることを指します。
債権放棄・債務免除をしたあとに会社の借入金が減って純資産が増加しますが、繰越欠損金を上回って利益が出た場合には、株式の価値が上がります。 経営者本人が100%株式を所有していれば問題ないものの、役員含め経営者以外に株式を保有していたり、株式の価額が変動したりする場合にはみなし贈与の問題が発生します。
そこで、株式の価値が0円から上がった際に、経営者に万が一のことがあったときには、遺族への贈与がなくても、贈与と同じ効果があれば贈与とみなされ課税されてしまうのです。
そのため、債権放棄・債務免除をするにあたって、免除額はいくらになるのか、贈与税と相続税のいずれが会社にとって有利となるのかをあらかじめ対策しておかなければなりません。
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役員借入金が少ない方がよい?放置すると発生するリスクとは
役員借入金は役員の相続財産となる一方で、会社の資金繰りが悪いケースでは返済できる可能性も低いことからも、役員借入金は少ない方がよいです。
また、経営者自身が数千万ないし億単位で会社に資金を貸し付けている場合には、遺族への相続の問題も発生します。したがって、会社の財務状況が悪くても、遺族は多額の相続税を支払わなければなりません。
役員借入金は時間をかけてでも、放置をせずに少しづつ返済をするのが望ましいです。しかし、利息や返済期限が任意で設定できる分、上記の問題が発生しやすいのです。
そこで、事業リスクに備えるためにも、丸紅グループが運営するマネーキャリアのような無料相談窓口を使い、法人保険の活用であらかじめ対策をしておく企業も多いのです。
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債権放棄・債務免除以外で役員借入金を減らす方法とは
役員報酬の減額
まずは、役員報酬を減額し、減額した分を借入金の返済に充てる方法です。
役員報酬を減額すると、役員の所得税や社会保険料も減らせます。とくに、赤字が出ている会社や繰越欠損金がある会社では、法人税の負担も抑えられるメリットもあります。
逆に、黒字が出ている会社では、損金算入できる額が減異邦人税額が増えてしまうので注意しましょう。また、役員貸付金と相殺する方法もあります。
暦年贈与をする
直系尊属(養父母を含む、自分より前の直系親族)による暦年贈与の制度を利用して、役員借入金を解消することも方法のひとつです。
暦年贈与とは1月1日から12月31日の1年間で贈与額が110万円以下であれば、贈与税がかからない制度です。(※)会社にとっても後継者に対しての返済をすればよいので、経営者に万が一のことがあっても後継者が決まっていれば、返済を急がなくて良いメリットがあります。
また、相続時精算課税制度(被相続者が2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受けられ、「贈与時の価額」と「相続財産の価額」の合計から相続税を算出して相続税を納める制度)の活用によっても、経営者から後継者に贈与ができます。
代物返済をする
役員借入金の返済に、代物弁済をする方法も効果的です。
代物弁済とは会社に現金預金が少ないケースなど、借入金を現金で返せないケースにて、ほかの財産を代わりとして返済することを指します。
たとえば、不動産(自社の事務所)や車などが代物として該当しますが、代物弁済によって貸借対照表上からも役員借入金の負債を解消できるので、経営者個人や役員に対して返済できる現金がないときに使える方法です。
生命保険を使う
生命保険を使って「経営者や役員のリスク対策」と「資産形成(借入金返済の準備)」を進めるのも効果的です。
法人向けの生命保険には、被保険者が死亡したときに受け取れる死亡保険金や、保険期間中のあるタイミング(商品によって異なる)で解約することで受け取れる「解約返戻金があるタイプ」が存在します。
保険料は2019年に国税庁が「損金算入ルール」を改正したものの、一定額を損金算入できるので、帳簿外に解約返戻金を積み立てられ、役員借入金返済に充てられます。
一方、解約返戻金は保険加入したての頃や、保険期間の満期間近では受け取れる解約返戻金も少なくなってしまいます。そのため、マネーキャリアのような法人向け保険の無料相談窓口を活用しつつ、最適な保険に加入する会社も多いのです。
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自社にマッチする事業リスクへの対策が簡単にわかる方法とは
以下では、役員借入金の債権放棄・債務免除以外の解消方法はもちろん、事業リスクへの対策が簡単にわかる方法を紹介します。
役員借入金は返済期限が任意で設定できるので、気付いたときには想像以上に金額が膨らみ、返済目処が立たなくなってしまうケースがよくある科目です。そのため、借入金がある会社では返済が滞りなくできるように「事前の対策」が必須になります。
そこで、生命保険を活用すると毎月の保険料の一定額を損金算入しつつも、経営者の死亡リスクへの対策と、解約返戻金がある保険で借入金返済準備が同時にできるようになるのです。しかし、数ある保険商品のなかから経営陣のみで、最適な保険を判断するのは困難です。
したがって、「無料で何度でも」プロのファイナンシャルプランナーへ相談ができるマネーキャリアを使い、自社の状況を総合的に判断しながら提案を受けることが必須です。
丸紅グループが運営するマネーキャリアには、独自のスコアリングで厳選されたファイナンシャルプランナーのみ在籍しています。役員借入金の相談はもちろん、リスク対策となる法人保険に関する相談も可能です。
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役員借入金の債権放棄・債務免除の方法まとめ
ここまで、役員借入金の債権放棄・債務免除の方法から、債権放棄・債務免除以外で役員借入金を減らす方法まで網羅的に紹介しました。
役員借入金の債権放棄・債務免除には、法人と「経営者および役員自身」の合意のもと、債権放棄通知書の作成や取締役会の決議が必要です。また、役員借入金は返済期限が自由に設定できることからも、金額として大きくなりがちです。
そこで、役員報酬を減額したり、暦年贈与や代物返済をしたりする手法もありますが、金額の大きさとほかの事業リスクへの対策を両立できる「法人保険の活用」が最適です。
しかし、法人保険は自社の業態業種や事業フェーズによっても最適解が異なるので、法人保険に関する相談が無料で何度でも、かつオーダーメイドの提案がもらえるマネーキャリアの利用が必須となるのです。
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