

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 母子家庭が非課税世帯になるデメリット
- 将来もらえる年金が少なくなる
- 収入が増えて手当が打ち切られたときの家計への影響
- ふるさと納税ができない
- もう一人で悩まない!母子家庭のお金の不安は無料FP相談で解決しよう
- 母子家庭が非課税世帯になるメリット
- 0歳~2歳の子どもの保育料が無料になる
- 子どもが18歳までは医療費が無料になる
- 国民健康保険料・国民年金保険料の減免
- 大学・専門学校の給付型奨学金と授業料減免
- そのほか自治体による支援制度
- 無料FP相談でプロと一緒にライフプランを踏まえた資金計画を立てよう
- 母子家庭が非課税世帯になる条件・年収目安を解説
- ひとり親で年収204万円(月収約17万円)以下の場合は非課税になる
- 子どもが2人以上だと非課税の基準額が広がる
- 非課税になるかどうかは源泉徴収票で確認できる
- 【まとめ】非課税世帯のデメリットも踏まえて最適な収入バランスを考えよう
母子家庭が非課税世帯になるデメリット
将来もらえる年金が少なくなる
令和6年度の国民年金保険料は月額16,980円です。令和7年4月からは月額530円値上がりし17,510円になります。年額にすると20万円以上にもなるので家計がぎりぎりの人にとっては支払いが大変ですよね。
非課税世帯は収入が少なく、国民年金保険料を申請すれば支払い免除にはなりますが、 免除された分を後日支払わなければ、当然将来受け取る年金は少なくなります。
免除は4種類です。
- 全額免除
- 4分の3免除
- 半分免除
- 4分の1免除
国民年金保険料の支払いは義務であり母子家庭でも支払わなければなりません。免除は暫定的なもので、所得が一時的に減った場合や失業した場合に、保険料の納付を一時的に免除してもらえる制度です。
一時的に免除を受けた場合、後で支払うことができます。(追納)追納できる期間は、原則として10年以内です。ただし、3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に加算額が上乗せされます。
収入が増えて手当が打ち切られたときの家計への影響
収入が少ないシングルマザーにはさまざまな手当があります。収入が少なく非課税世帯の恩恵を受けている場合、収入が増えると児童扶養手当が受けられなくなる場合があります。
特に子供の年齢が低いことによりメリットを受けている場合は、いずれは手当がなくなることを覚えておきましょう。手当がなくなり生活がどんどん苦しくなることは避けたいですよね。
手当に関してはライフプラン表を作成しながら、手当がなくなっても大丈夫な家計を目指しましょう。
ふるさと納税ができない
ふるさと納税は、寄付した金額から2,000円を差し引いた金額が、所得税や住民税から控除される仕組みです。つまり、実質2,000円の負担で、寄付先の自治体から特産品などの返礼品を受け取ることができます。
しかし、税金を支払っていない場合や2,000円以下の税金しか払っていない場合は、税金からの控除ができません。
返礼品目当てでふるさと納税をしている人が多いと思いますが、税金を支払っていない場合は単に返礼品を買ったことと変わりません。少し割高でも返礼品がほしい場合や応援したい自治体がある場合、ご自身で納得して利用するのは自由です。
もう一人で悩まない!母子家庭のお金の不安は無料FP相談で解決しよう

子供の年齢が上がるにつれ今までよりも多くの時間働けるようになれば、生活が安定するでしょう。やみくもに収入を増やそうとせずにどうしたら税金が有利になるかのをみきわめながら収支のバランスを考えましょう。
収入と所得の違いをご存じですか?
税金は収入より所得で決まる場合があります。収入が増えても所得を減らす方法があります。税金を減らすテクニック的なことはお金の専門家に相談した方がいろいろな情報をもらえるものです。せっかく収入が増えたなら、損をしないようFPなどに相談し、効率的な税対策を行いましょう。

母子家庭が非課税世帯になるメリット

0歳~2歳の子どもの保育料が無料になる
シングルマザーは働いて収入を得るために保育園の利用は必須でしょう。現在の制度では3歳~5歳児は、すべての世帯で無償化されています。0歳~2歳児については住民税非課税世帯のみが無料です。
無償化の対象となるには、保育の必要性を居住している市区町村から認定を受ける必要があります。認定基準は自治体によって異なるため、申し込み前に確認するとよいでしょう。
無償化の対象施設は認可保育園、認定こども園、幼稚園などです。認可外保育施設も、条件を満たせば対象となる場合があります。しかし、無償化の対象となるのは保育料のみで、給食費や教材費などは別途負担となる場合があります。
子どもが18歳までは医療費が無料になる
病院に通院した際に支払うお金は健康保険制度があるので、通常は3割が自己負担です。シングルマザーには、子供が18歳になるまで無料になる制度があります。
「ひとり親家庭等医療費助成制度」はひとり親やその子ども、両親がいない子どもを育てている人が病院で診察を受けた時に、健康保険の自己負担分の一部を居住地の自治体が助成するという制度です。
ひとり親家庭において子供が18歳になってから最初に迎える3月31日までが支給対象です。
国民健康保険料・国民年金保険料の減免
健康保険制度はありがたい制度ではありますが、保険料が発生します。ひとり親家庭の場合、所得が一定額以下であれば、国民健康保険料の減免を受けられる場合があります。具体的な所得や減免される額は、お住まいの市区町村によって異なります。
減免を受けるためには、居住地の市区町村の国民健康保険窓口で申請が必要です。申請には、所得を証明する書類や、減免理由を証明する書類などが必要になります。
減免制度は、すべての人が受けられるわけではありません。減免の要件や手続きは、市区町村によって異なるため、必ずお住まいの市区町村の窓口で確認しましょう。
大学・専門学校の給付型奨学金と授業料減免
高校までの授業料は無償化が進み、比較的負担は少ないですが、大学や専門学校に行く場合はお金がかかります。奨学金を利用すれば進学資金の調達がしやすくなりますが、給付型以外の奨学金は返済の必要がある借り入れであるということを考慮するべきです。
奨学金には給付型と貸与型があります。掻い摘んで説明すると「返済不要なもの」と「返す必要があるもの」です。
出来れば返済不要の給付型を利用したいですよね。ただし、利用するには審査があり、親の収入だけではなく、子供の学力に関しても基準以上でないと審査が通らない場合があります。
そのほか自治体による支援制度
非課税世帯への自治体独自の支援制度はいろいろあります。
一例として
- 国の低所得者向けの給付金に自治体が上乗せして支給
- 水道料金下水道料金の減額
- 予防接種の自己負担額減免
- ガン検診自己負担減免
- 灯油購入費助成金 など
国の制度で支給されているものと、自治体独自の制度があります。住民税非課税でも高齢者しか適用にならない場合もあるので、詳しくはお住いの自治体に確認してください。
無料FP相談でプロと一緒にライフプランを踏まえた資金計画を立てよう

ひとりで子供を育てながら働くシングルマザーは、日頃無事に暮らすことだけで精一杯だったり、将来のことをゆっくり考える余裕がなかったりしますよね。
一方で、子供は確実に大きくなり、教育資金に多額のお金が必要になるかもしれません。子供が無事に育った後も、自分の老後に関する資金調達の心配は絶えません。
将来のことは未知な部分が多いですが、望むライフプランを考えることはできます。「10年後こうなっていたらいいな」「20年後こうなっていたらいいな」と考えるところから始めましょう。
まずは目指すところを決め、目的に対してお金をどう動かしていくかを考えます。将来を考えるうえで、ライフプランの計画は非常に重要な意味を持ちます。
母子家庭が非課税世帯になる条件・年収目安を解説
非課税世帯になると様々な支援がありますが、そもそも非課税世帯とは何でしょうか?
非課税世帯とは収入に対する税金がかからない世帯のことです。収入が基準以下であれば税金を納めなくてもよいのです。
税金には所得税(国税)と住民税(地方税)があり、それぞれ非課税になる基準が異なります。国税はかからなくて、住民税だけが課税される場合もあります。
住民税は居住している市区町村によるので、全国どこでも同じではありません。住民税が非課税の場合は所得税も非課税になるケースが多いです。
住民税は所得割と均等割があります。所得割は所得に応じて課税されます。均等割は所得にかかわらず定額です。均等割は基準の所得以下であれば非課税です。
母子家庭で収入が基準以下だと住民税の所得割・均等割がともに非課税になりますが、実際シングルマザーが非課税世帯になるための具体的な収入の上限はどのくらいでしょうか?
非課税世帯になるかの判断基準は、収入と扶養家族の人数によります。給与をもらっている人は、勤務先から交付される源泉徴収票を見ると税金がかかっているかどうかがわかります。
ひとり親で年収204万円(月収約17万円)以下の場合は非課税になる
ひとり親で均等割・所得割ともに非課税となる条件は、所得金額が135万円以下の場合です(給与所得だけの場合は総収入が2,044,000円未満)。仮にボーナスがなく月収に換算すると約17万円です。
また、婚姻届を提出していなくても、男女が事実上夫婦同様に共同生活をしている場合は事実婚となり、ひとり親の対象外となります。
事実婚に該当するかの判断は、住民票の続柄に「夫(未届)」または「妻(未届)」の記載の有無によって判断します。
子どもが2人以上だと非課税の基準額が広がる
住民税が非課税になる基準額は、扶養家族の数によって変動します。子供は扶養家族にあたるため、子供の人数が増えるほど非課税となる基準額も高くなります。
年収は給与収入だけの場合を想定
子供の数 | 非課税になる年収の目安 |
---|---|
1人 | 204万円 |
2人 | 205万円 |
3人 | 255万円 |
4人 | 305万円 |
収入の基準はそれぞれの市区町村で違うので、正確な金額はお住いの自治体に確認してください。
非課税になるかどうかは源泉徴収票で確認できる
給与所得だけの人は課税か非課税かは勤務先から配布される源泉徴収票を見ればわかります。氏名のすぐ下の源泉徴収税額が0になっていれば税金が0です。
住所氏名の下の欄に、給与と記入されているところを左から「支払金額」「給与所得控除後の金額」「 所得控除の額の合計額 」「源泉徴収税額」とあります。いちばん右の「源泉徴収税額」の欄が0であれば非課税になります。
【まとめ】非課税世帯のデメリットも踏まえて最適な収入バランスを考えよう

シングルマザーが非課税世帯でいることのメリットとデメリットについて考えてきました。国やお住いの市区町村の支援制度は最大限に活用しましょう。
ただ支援制度を活用するだけでは、子供の教育資金や自分の老後資金を準備することは難しいです。今後のライフプランを考え、足りない分は収入を増やしてしっかり稼いでいくことが生活を安定させるためには必要です。
お金について将来困らないためには、きちんとした計画と実行が必要です。専門家であるFPを頼り、定期的に相談して改善を重ねていけば健全な家計が実現する確率が上がるでしょう。
相談先は、専門分野が幅広いマネーキャリアがおすすめ!節税対策・家計管理(整理)・老後資金・教育費などをマルっと相談できます。
