この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 母子家庭が非課税世帯になるデメリット
- 将来もらえる年金が少なくなる
- 収入が増えて手当が打ち切られたときの家計への影響
- ふるさと納税ができない
- もう一人で悩まない!母子家庭のお金の不安は無料FP相談で解決しよう
- 母子家庭が非課税世帯になるメリット
- 0歳~2歳の子どもの保育料が無料になる
- 子どもが18歳までは医療費が無料になる
- 国民健康保険料・国民年金保険料の減免
- 大学・専門学校の給付型奨学金と授業料減免
- そのほか自治体による支援制度
- 母子家庭の非課税世帯の資金計画でよくある失敗例とは?現役FPに聞いてみた【座談会】
- 支援制度・給付金情報を直前まで整理しきれていないケース
- 長期的なライフプランを立てられていないケース
- 無料FP相談でプロと一緒にライフプランを踏まえた資金計画を立てよう
- 母子家庭が非課税世帯になる条件・年収目安を解説
- ひとり親で年収204万円(月収約17万円)以下の場合は非課税になる
- 子どもが2人以上だと非課税の基準額が広がる
- 非課税になるかどうかは源泉徴収票で確認できる
- 【まとめ】非課税世帯のデメリットも踏まえて最適な収入バランスを考えよう
母子家庭が非課税世帯になるデメリット

将来もらえる年金が少なくなる
令和6年度の国民年金保険料は月額16,980円ですが、令和7年4月から月額17,510円に引き上げられます。
年間では20万円を超える負担となるため、収入の少ない世帯には重い支出です。
非課税世帯は申請により保険料の免除を受けられますが、未納付分は将来の年金額に反映されます。
免除制度には以下の4種類があります。
- 全額免除
- 4分の3免除
- 半分免除
- 4分の1免除
免除は所得減少や失業など一時的な事情に対応する制度であり、母子家庭を含むすべての加入者に納付義務があります。
免除を受けた保険料は10年以内であれば追納が可能ですが、3年度目以降は当時の保険料に加算額が上乗せされるため注意が必要です。
収入が増えて手当が打ち切られたときの家計への影響
シングルマザーには収入に応じた各種手当が用意されていますが、収入増加に伴い児童扶養手当などの支給が停止される可能性があることを理解しておく必要があります。
子どもが幼い時期に受けられる優遇措置も、成長とともに段階的に終了していきます。
将来的に手当が減少または終了した際、家計が圧迫されて生活水準が下がる事態は避けたいものです。
そのためライフプラン表を活用して収支を可視化し、公的支援に依存しすぎない家計構造を計画的に築いていくことが重要です。
手当終了後も安定した生活を維持できるよう、早い段階から準備を進めましょう。
ふるさと納税ができない
ふるさと納税では、寄付額から2,000円を引いた分が所得税や住民税から控除されるため、実質負担2,000円で返礼品を得られる制度となっています。
ただし、納税額がゼロか2,000円未満の方は控除を受けられず、通常の買い物と同様の扱いになります。
返礼品の受け取りを目的とする方が多い中、税控除の対象外であれば市価より高い買い物をしていることと変わりません。
それでも特定の自治体を応援したい、あるいは商品そのものに魅力を感じるなら、納得の上で利用するのは各自の判断です。
もう一人で悩まない!母子家庭のお金の不安は無料FP相談で解決しよう
子供の年齢が上がるにつれ今までよりも多くの時間働けるようになれば、生活が安定するでしょう。やみくもに収入を増やそうとせずにどうしたら税金が有利になるかのをみきわめながら収支のバランスを考えましょう。
収入と所得の違いをご存じですか?
税金は収入より所得で決まる場合があります。収入が増えても所得を減らす方法があります。税金を減らすテクニック的なことはお金の専門家に相談した方がいろいろな情報をもらえるものです。せっかく収入が増えたなら、損をしないようFPなどに相談し、効率的な税対策を行いましょう。
母子家庭が非課税世帯になるメリット
0歳~2歳の子どもの保育料が無料になる
シングルマザーは働いて収入を得るために保育園の利用は必須でしょう。現在の制度では3歳~5歳児は、すべての世帯で無償化されています。0歳~2歳児については住民税非課税世帯のみが無料です。
無償化の対象となるには、保育の必要性を居住している市区町村から認定を受ける必要があります。認定基準は自治体によって異なるため、申し込み前に確認するとよいでしょう。
無償化の対象施設は認可保育園、認定こども園、幼稚園などです。認可外保育施設も、条件を満たせば対象となる場合があります。しかし、無償化の対象となるのは保育料のみで、給食費や教材費などは別途負担となる場合があります。
子どもが18歳までは医療費が無料になる
病院に通院した際に支払うお金は健康保険制度があるので、通常は3割が自己負担です。シングルマザーには、子供が18歳になるまで無料になる制度があります。
「ひとり親家庭等医療費助成制度」はひとり親やその子ども、両親がいない子どもを育てている人が病院で診察を受けた時に、健康保険の自己負担分の一部を居住地の自治体が助成するという制度です。
ひとり親家庭において子供が18歳になってから最初に迎える3月31日までが支給対象です。
国民健康保険料・国民年金保険料の減免
健康保険制度はありがたい制度ではありますが、保険料が発生します。ひとり親家庭の場合、所得が一定額以下であれば、国民健康保険料の減免を受けられる場合があります。具体的な所得や減免される額は、お住まいの市区町村によって異なります。
減免を受けるためには、居住地の市区町村の国民健康保険窓口で申請が必要です。申請には、所得を証明する書類や、減免理由を証明する書類などが必要になります。
減免制度は、すべての人が受けられるわけではありません。減免の要件や手続きは、市区町村によって異なるため、必ずお住まいの市区町村の窓口で確認しましょう。
大学・専門学校の給付型奨学金と授業料減免
高校までの授業料は無償化が進み、比較的負担は少ないですが、大学や専門学校に行く場合はお金がかかります。奨学金を利用すれば進学資金の調達がしやすくなりますが、給付型以外の奨学金は返済の必要がある借り入れであるということを考慮するべきです。
奨学金には給付型と貸与型があります。掻い摘んで説明すると「返済不要なもの」と「返す必要があるもの」です。
出来れば返済不要の給付型を利用したいですよね。ただし、利用するには審査があり、親の収入だけではなく、子供の学力に関しても基準以上でないと審査が通らない場合があります。
そのほか自治体による支援制度
非課税世帯への自治体独自の支援制度はいろいろあります。
一例として
- 国の低所得者向けの給付金に自治体が上乗せして支給
- 水道料金下水道料金の減額
- 予防接種の自己負担額減免
- ガン検診自己負担減免
- 灯油購入費助成金 など
国の制度で支給されているものと、自治体独自の制度があります。住民税非課税でも高齢者しか適用にならない場合もあるので、詳しくはお住いの自治体に確認してください。
母子家庭の非課税世帯の資金計画でよくある失敗例とは?現役FPに聞いてみた【座談会】
母子家庭で非課税世帯の方は、日々の生活費のやりくりで精一杯になり、将来の資金計画まで手が回らないケースも少なくありません。
実は、「制度を知らなかった」「考える時間がなかった」という理由で、本来受けられる支援を活用できず、家計が厳しくなるパターンも多いのです。
今回は、ファイナンシャルプランナー(FP)の加藤さんと奥山さんに、母子家庭の資金計画で特に多い失敗例とその背景について伺いました。

支援制度・給付金情報を直前まで整理しきれていないケース
——まずは、支援制度に関する失敗例から教えてください。
加藤FP:よくあるのが、児童扶養手当や就学援助制度などの支援制度の情報を、実際にお金が必要になる“直前”まで把握していなかったケースですね。給付開始まで時間がかかる制度もあるので、申請が遅れて支援を受けられなかった方もいます。
奥山FP:そうですね。実際、進学費用が足りずに焦ってカードローンを使ってしまったというご相談もありました。本来であれば支援制度を活用できたはずのケースでした。
加藤FP:支援制度は「申請しなければ受けられない」ものが多いので、早い段階で情報を整理しておくことが大事です。自治体によって内容や対象要件が異なるので、自分が住んでいる地域の制度を早めに調べておくことが重要ですね。
奥山FP:制度を整理しておけば、「どの時期に、どんな支援を受けられるか」が明確になり、余計な借入を防げます。支援の“使い逃し”が後の家計に大きく響くんです。
加藤FP:特に非課税世帯は支援対象になりやすいので、情報の先取りが大事ですね。
長期的なライフプランを立てられていないケース
——もう一つの失敗例、ライフプランに関してはどうでしょうか。
奥山FP:短期的な生活費のやりくりで精一杯で、5年後・10年後といった長期的な計画を立てられていないケースは本当に多いです。その結果、教育費や住宅関連の支出が重なったときに「こんなにお金がかかるとは思わなかった」と慌てることになります。
加藤FP:中学・高校・大学進学のタイミングは大きな出費が集中しますが、事前に見通しを立てていなかったために、家計が一気に苦しくなる方も多いです。
奥山FP:ライフプランを立てておけば、いつ・何に・いくら必要になるかが事前にわかるので、支援制度の活用や貯蓄の配分を前倒しで考えることができます。実際、計画を立てていた方ほど焦らず対応できていますね。
加藤FP:母子家庭の場合、収入が限られる分、突発的な支出の影響が大きいです。だからこそ、ライフプランは“我慢のため”ではなく、“安心をつくるため”の仕組みなんです。
奥山FP:長期的な視点を持つだけで、数年後の安心感は全く違ってきますよ。
無料FP相談でプロと一緒にライフプランを踏まえた資金計画を立てよう
ひとりで子供を育てながら働くシングルマザーは、日頃無事に暮らすことだけで精一杯だったり、将来のことをゆっくり考える余裕がなかったりしますよね。
一方で、子供は確実に大きくなり、教育資金に多額のお金が必要になるかもしれません。子供が無事に育った後も、自分の老後に関する資金調達の心配は絶えません。
将来のことは未知な部分が多いですが、望むライフプランを考えることはできます。「10年後こうなっていたらいいな」「20年後こうなっていたらいいな」と考えるところから始めましょう。
まずは目指すところを決め、目的に対してお金をどう動かしていくかを考えます。将来を考えるうえで、ライフプランの計画は非常に重要な意味を持ちます。
母子家庭が非課税世帯になる条件・年収目安を解説
非課税世帯になると様々な支援がありますが、そもそも非課税世帯とは何でしょうか?
非課税世帯とは収入に対する税金がかからない世帯のことです。収入が基準以下であれば税金を納めなくてもよいのです。
税金には所得税(国税)と住民税(地方税)があり、それぞれ非課税になる基準が異なります。国税はかからなくて、住民税だけが課税される場合もあります。
住民税は居住している市区町村によるので、全国どこでも同じではありません。住民税が非課税の場合は所得税も非課税になるケースが多いです。
住民税は所得割と均等割があります。所得割は所得に応じて課税されます。均等割は所得にかかわらず定額です。均等割は基準の所得以下であれば非課税です。
母子家庭で収入が基準以下だと住民税の所得割・均等割がともに非課税になりますが、実際シングルマザーが非課税世帯になるための具体的な収入の上限はどのくらいでしょうか?
非課税世帯になるかの判断基準は、収入と扶養家族の人数によります。給与をもらっている人は、勤務先から交付される源泉徴収票を見ると税金がかかっているかどうかがわかります。
ひとり親で年収204万円(月収約17万円)以下の場合は非課税になる
ひとり親で均等割・所得割ともに非課税となる条件は、所得金額が135万円以下の場合です(給与所得だけの場合は総収入が2,044,000円未満)。仮にボーナスがなく月収に換算すると約17万円です。
また、婚姻届を提出していなくても、男女が事実上夫婦同様に共同生活をしている場合は事実婚となり、ひとり親の対象外となります。
事実婚に該当するかの判断は、住民票の続柄に「夫(未届)」または「妻(未届)」の記載の有無によって判断します。
子どもが2人以上だと非課税の基準額が広がる
住民税が非課税になる基準額は、扶養家族の数によって変動します。子供は扶養家族にあたるため、子供の人数が増えるほど非課税となる基準額も高くなります。
年収は給与収入だけの場合を想定
| 子供の数 | 非課税になる年収の目安 |
|---|---|
| 1人 | 204万円 |
| 2人 | 205万円 |
| 3人 | 255万円 |
| 4人 | 305万円 |
収入の基準はそれぞれの市区町村で違うので、正確な金額はお住いの自治体に確認してください。
非課税になるかどうかは源泉徴収票で確認できる
給与所得だけの人は課税か非課税かは勤務先から配布される源泉徴収票を見ればわかります。氏名のすぐ下の源泉徴収税額が0になっていれば税金が0です。
住所氏名の下の欄に、給与と記入されているところを左から「支払金額」「給与所得控除後の金額」「 所得控除の額の合計額 」「源泉徴収税額」とあります。いちばん右の「源泉徴収税額」の欄が0であれば非課税になります。
【まとめ】非課税世帯のデメリットも踏まえて最適な収入バランスを考えよう
シングルマザーが非課税世帯でいることのメリットとデメリットについて考えてきました。国やお住いの市区町村の支援制度は最大限に活用しましょう。
ただ支援制度を活用するだけでは、子供の教育資金や自分の老後資金を準備することは難しいです。今後のライフプランを考え、足りない分は収入を増やしてしっかり稼いでいくことが生活を安定させるためには必要です。
お金について将来困らないためには、きちんとした計画と実行が必要です。専門家であるFPを頼り、定期的に相談して改善を重ねていけば健全な家計が実現する確率が上がるでしょう。
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