

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 生命保険料控除と個人年金保険料控除はどっちが得?基本を確認しよう
- 一般生命保険料控除と個人年金保険料控除の違い
- あなたにぴったりの保険は?無料FP相談で最適な保障バランスを見つけよう
- 生命保険料控除の計算方法
- 生命保険料控除の新制度と旧制度の違い
- 生命保険料控除額の計算式
- 個人年金保険料控除を含めた生命保険料控除額のシミュレーション
- 生命保険料控除についてよくある質問
- 確定申告は必要ですか?
- 新制度・旧制度の両方の保険に加入している場合はどうなりますか?
- 夫婦で別々に加入している場合、それぞれ控除を受けられますか?
- 会社員が生命保険料控除を受けるにはどんな手続きが必要?
- 【まとめ】生命保険料控除を賢く活用するためにバランスのいい保険選びをしよう
生命保険料控除と個人年金保険料控除はどっちが得?基本を確認しよう
結論、控除額の上限はどちらも同じですが、実質的なお得さは受けたい保障や保険加入目的によって異なります。
なお、最大限に控除を活用したい場合は、一般生命保険・個人年金保険の両方に加入して、それぞれの控除枠を使い切ることです。
ただし、保険料の負担が増えるため、必要でない場合は無理に加入するのはおすすめしません。
ますは、どちらの保険が自分に合っているかを判断するために、一般生命保険料と個人年金保険料の違いを詳しく見ていきましょう。
一般生命保険料控除と個人年金保険料控除の違い
項目 | 一般生命保険 | 個人年金保険 |
---|---|---|
対象となる保険 | 死亡保険、終身保険、養老保険など | 個人年金保険、個人型確定拠出年金など |
主な目的 | 死亡保障、貯蓄 | 老後の年金受取 |
所得税の控除上限 | 4万円 | 4万円 |
住民税の控除上限 | 2.8万円 | 2.8万円 |
受取時の税金 | 一時金:一時所得 年金:雑所得 | 雑所得(公的年金等控除あり) |
一般生命保険料控除は、死亡時の保障や貯蓄を目的とした保険が対象となります。
一方、個人年金保険料控除は、60歳以降の年金受け取りを目的とした保険が対象です。
控除額の上限は両者とも同じですが、保険の目的や受け取り方によってどちらが得かが変わります。
また、両方の保険に加入し控除を併用することも可能です。
あなたにぴったりの保険は?無料FP相談で最適な保障バランスを見つけよう

保険を活用した節税対策を検討している場合は、無料FP相談の活用がおすすめです。
保険選びは自分や家族のライフプランに合わせて慎重に行う必要がありますが、税制面も考慮した最適な保険プランを考えるには、専門的な知識が求められます。
そこで役立つのが、お金・保険の専門家(FP)への相談です。
FPは、あなたの家族構成、収入、将来の目標などを踏まえて、必要な保障内容と税金の節約方法をアドバイスしてくれるので悩んでいる方はぜひ一度活用してみましょう。

生命保険料控除の計算方法
税金を節約するために有効な仕組みが生命保険にかかる控除制度です。控除がどのように計算されるか、改正前の制度との違いなど、理解しにくいポイントもあるでしょう。ここでは、新旧制度を比較した際の違いを中心に、仕組みと算出方法を整理して解説します。
実際のケースをもとにしたシミュレーションを紹介するので、自身の保険料でどれくらい控除を受けられるか具体的にイメージできます。算出方法をしっかり理解して、確定申告・年末調整で漏れなく申告できるようにしましょう。
生命保険料控除の新制度と旧制度の違い
新制度では、控除の種類は3つに増えました。これにより、医療保険やがん保険などが新たに独立して扱われるようになりました。旧制度ではまとめて控除されていた医療・がん保険も別枠となり、控除額が大きくなる可能性があります。
区分 | 新制度(2012年〜)
所得税/住民税 | 旧制度(〜2011年) 所得税/住民税 |
---|---|---|
一般生命保険料 | 4万円/2万8千円 | 5万円/3万5千円 |
個人年金保険料 | 4万円/2万8千円 | 5万円/3万5千円 |
介護医療保険料 | 4万円/2万8千円 | なし (一般生命に該当する) |
合計控除上限額 | 12万円/7万円 | 10万円/7万円 |
生命保険料控除額の計算式
生命保険に対する控除額の算出方法は、支払保険料に応じた段階制で、3つの控除すべてに共通して適用されます。新制度における控除額の算出方法をチェックしておきましょう。
▪️新制度における所得税の控除計算
年間保険料 | 控除額の算出方法 |
---|---|
2万円以下 | 全額控除 |
2万円超4万円以下 | 保険料の50%+1万円 |
4万円超8万円以下 | 保険料の25%+2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
▪️新制度における住民税の控除計算
年間保険料 | 控除額の算出方法 |
---|---|
1.2万円以下 | 全額控除 |
1.2万円超3.2万以下 | 保険料の50%+6,000円 |
3.2万円超5.6万円以下 | 保険料の25%+1万4,000円 |
5.6万円超 | 一律2万8,000円 |
個人年金保険料控除を含めた生命保険料控除額のシミュレーション
実際に控除(生命保険・個人年金)がどれくらい受けられるのか、具体的なケースでシミュレーションしてみましょう。新契約だけに該当する場合の例を紹介します。
【前提条件】
- 一般生命保険:年間保険料 6万円
- 個人年金保険:年間保険料 9万円
- 介護医療保険:年間保険料 5万円
区分 | 所得税控除額 | 住民税控除額 |
---|---|---|
一般生命 | 3万5,000円 | 2万6,500円 |
個人年金 | 上限の4万円 | 上限の2万8,000円 |
介護医療 | 3万2,500円 | 2万6,500円 |
控除額の合計 | 10万7,500円 | 8万1,000円 (※上限は7万円) |
このケースは、所得税では3つの控除を合算して10万7,500円の控除が適用されます。住民税は本来なら8万1,000円ですが、受けられる控除は上限額である7万円です。
2つ合計17万7,500円が所得から控除されます。税率が10%と仮定すると、約1万7,750円の税金軽減効果があります。
生命保険料控除についてよくある質問
生命保険料控除に関するよくある質問について解説します。
解説する質問は以下のとおりです。
- 確定申告は必要ですか?
- 新制度・旧制度の両方の保険に加入している場合はどうなりますか?
- 夫婦で別々に加入している場合、それぞれ控除を受けられますか?
- 会社員が生命保険料控除を受けるにはどんな手続きが必要?
これらの知識を持っておくことで、より効果的に税制メリットを活用できる可能性があるのでぜひご覧ください。
確定申告は必要ですか?
生命保険料控除を受けるために確定申告が必要かどうかは、あなたの就業形態によって異なります。
会社員や公務員など給与所得者の場合、通常は年末調整で生命保険料控除の申請が可能です。
勤務先から配布される「保険料控除申告書」に必要事項と保険会社から送られてくる「控除証明書」を添付して提出するだけです。
一方、自営業者や年末調整を受けていない方、または年末調整後に新たに保険に加入した場合は、確定申告が必要になります。
新制度・旧制度の両方の保険に加入している場合はどうなりますか?
両制度にまたがって保険契約があると、控除面で有利になる方法を選べる仕組みになっています。具体的には「新制度のみで計算」「旧制度のみで計算」「新旧併用で計算」の3つの方法から、控除の適用額が最も高くなる方法を選択できます。
一般生命保険の控除に関しては、旧制度では最大5万円まで控除が可能で、新制度と比較すると有利な設定です。しかし、複数の保険に加入している場合は、新制度や併用の方が有利なケースもあります。
夫婦で別々に加入している場合、それぞれ控除を受けられますか?
夫婦が別々に生命保険に加入し、自分の契約の保険料を支払っている場合、夫婦それぞれが保険料の控除対象となります。生命保険料控除は「保険料を支払った人」が受けられる制度のため、夫は夫の、妻は妻の支払った保険料について控除申告が可能です。
この仕組みを活用すれば、夫婦合わせて最大で所得税240,000円、住民税140,000円の控除枠を活用できる計算です。税率にもよりますが、世帯としての節税効果は大きくなります。
会社員が生命保険料控除を受けるにはどんな手続きが必要?
会社員が生命保険料控除を受けるには、年末調整で必要書類の提出が必要です。具体的には「給与所得者の保険料控除申告書」と「生命保険料控除証明書」の2種類の書類を勤務先に提出します。
年末調整の時期(多くの企業では10月〜12月)になると、勤務先から保険料控除申告書が配布されます。申告書に記載する項目は以下のとおりです。
- 保険会社の名称
- 保険の種類
- 契約年月日
- 支払った保険料の金額
記入の際には、保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書に記載されている情報を参照します。
【まとめ】生命保険料控除を賢く活用するためにバランスのいい保険選びをしよう

ここまで、生命保険料控除と年金保険料控除の違いについて詳しく解説しました。
生命保険料控除と個人年金保険料控除は、どちらも控除上限額は同じであり、税金の控除という観点では優劣はありません。
重要なのは、あなたのライフステージや保障ニーズに合った保険を選ぶことです。
若いファミリー世帯なら死亡保障を重視した一般生命保険、中高年や独身の方なら老後資金準備のための個人年金保険が適しているかもしれません。
また、最大限の税制メリットを得るためには、一般生命保険、介護医療保険、個人年金保険の3種類すべてに加入して、それぞれの控除枠を活用することが効果的です。
ただし、必要のない保険に加入することは避け、あくまでも保障内容を優先した上で税制メリットを考えるべきです。
保障内容と税制メリットのバランスについてお困りの方はぜひマネーキャリアの無料相談窓口にご相談ください!
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保険と税金の両面から賢い選択をするためのサポートを受けてみてはいかがでしょうか。
