

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る
この記事の目次
- 40歳で住宅ローン35年は現実的?
- 定年後の返済計画を考慮する必要がある
- 計画的な繰り上げ返済をおこなうことが重要
- 【結論】40歳の35年ローンは計画次第で十分実現できる
- 無料FP相談を賢く活用して無理のない返済計画を立てよう!
- 40歳・住宅ローン35年契約の返済額をシミュレーション
- 借入金額4000万円の場合
- 借入金額3000万円の場合
- 借入金額2000万円の場合
- あなたにぴったりの方法は?FPと一緒に最適な返済プランを考えよう
- 老後破綻しないために!40歳で35年ローンを組むときの注意点5つ
- 将来のライフイベントを踏まえて無理なく返済できる金額にする
- 計画的な繰り上げ返済をして完済年齢を早める
- 団信や生命保険で万が一のリスクに備える
- 金利タイプによるリスクを把握する
- 無料FP相談を活用して最適な返済プランを立てる
- 【実際どうだった?】40代で35年ローンを契約した人の体験談
- 住宅ローンを組んだときの年齢・世帯年収を教えてください
- 住宅ローンの借入額を教えてください
- 頭金はいくら用意しましたか?
- 40代で住宅ローン契約を検討している人にアドバイスがあれば教えてください
- 【まとめ】40歳で住宅ローン35年を検討する際は無理のない返済計画を
40歳で住宅ローン35年は現実的?
40歳で住宅ローンを組む方は珍しくありません。「2023年度フラット35利用者調査」によると、住宅ローンを組む平均年齢は44.3歳です。また、注文住宅を購入する方の住宅ローン利用平均年齢は48歳、マンションを購入する方の利用平均年齢は47歳と50歳近くなっています。(※)
近年は定年年齢の引き上げの影響もあり、住宅ローンを組む年齢は遅くなる傾向にあります。したがって、40歳だからといって住宅ローン審査が厳しくなることはないでしょう。
なお、住宅ローンを組む際、多くの金融機関が完済年齢を考慮して審査を行います。住宅ローンが組める年齢の上限は金融機関によって異なりますが、75~80歳までが一般的です。この年齢は完済時の年齢のため、収入に問題がなければ40歳ならば35年ローンの審査が通る可能性は高いでしょう。
定年後の返済計画を考慮する必要がある
40歳で35年の住宅ローンを組んだ場合、完済は75歳です。企業の定年は65歳が一般的のため、定年後も10年間ローンの支払いが残る計算になります。近年は定年後も同じ企業に再雇用されたり、経験や資格を活かして別の会社で働いたりする方も珍しくありません。
しかし、定年後に再就職した場合は現役のときより給与が下がるケースもあります。現役時代の収入を元に返済額を決めた場合、定年後に収入が減ると生活が苦しくなる可能性があります。
また、60代以降になると健康状態に問題が出る方もいるでしょう。団信(団体信用生命保険)に加入していれば、死亡したり特定の疾病を発症したりすると、生命保険で住宅ローンの残額を相殺できます。とはいえ、生命保険が下りる疾病ではないが働くのは難しいケースもあります。
年金収入があればそこから住宅ローンを返済していけますが、年金の額によっては老後の生活が破綻するリスクが高まるでしょう。
計画的な繰り上げ返済をおこなうことが重要
40歳で35年ローンを組む場合、繰り上げ返済が重要です。繰り上げ返済を計画的に行えば老後破綻のリスクを少なくできるだけでなく、将来支払う予定の金利を節約できます。住宅ローンの支払総額を少なくできれば、節約できた分をそのまま老後の生活資金に回せるのもメリットです。
ただし、40代、50代は子どもの教育に最もお金がかかる年代です。繰り上げ返済も計画的に行わないと、資金不足に陥るリスクもあります。
繰り上げ返済は重要ですが、生活に支障が出ないように注意が必要です。繰り上げ返済を計画する際は、これからいつ、どのくらいの出費があるか確認したうえで行う時期を決めましょう。
【結論】40歳の35年ローンは計画次第で十分実現できる
40歳で完済まで35年の住宅ローンを組むには、以下のような条件を満たしていれば可能です。
- 安定した収入がある
- 計画次第で繰り上げ返済が十分に可能
- 年間の返済額が年収の30~40%に収まっている
- 信用情報に傷がない
近年は共働きのご家庭も増えており、収入合算で住宅ローンを組む、ペアローンを利用するなどの選択肢も豊富です。また、住宅ローンを組むまでにまとまった額を「頭金」として貯めておけば、住宅ローンの借入額を抑えられます。
例えば、3,000万円の家を購入する場合、頭金に500万円以上支払えば住宅ローンの審査も通りやすくなるでしょう。
無料FP相談を賢く活用して無理のない返済計画を立てよう!

住宅ローンの借入額を決める際に誰かに相談したい場合は、FPの無料相談窓口の利用がおすすめです。FPは家庭での長期的な資金計画も相談できます。また、万が一に備えて保険を見直したい場合や、教育資金を効率的に貯めていきたい場合の相談も可能です。
住宅ローンの相談は不動産会社や銀行でも行っています。しかし、不動産会社は「物件を売りたい」銀行をはじめとする金融会社は「住宅ローンを利用してほしい」などの気持ちが強いため、意見が偏る場合もあるでしょう。
FPなら、第3者としての立場から客観的な意見を述べてくれます。専門家のアドバイスを聞ければ、心強いはずです。

40歳・住宅ローン35年契約の返済額をシミュレーション
住宅ローンを実際に借入いれする前に、住宅ローンの返済額をシミュレーションしてみるのもおすすめです。現在支払っている家賃とどのくらい差が生じるのか、家計の見直しは必要なのか等、いろいろな事柄がわかります。
この項では、三井住友銀行の「新規借り入れシミュレーション」を利用して、借入額が2,000万円、3,000万円、4,000万円の場合の毎月返済額、年間返済額、総返済額等をを計算します。
なお、頭金なし、ボーナスや繰り上げ返済もなし、元利均等返済、諸費用は割愛は割愛、金利は変動金利の0.925%の場合の計算です。
借入金額4000万円の場合
借入金額が4,000万円の場合の毎月返済額、年間返済額、総返済額、65歳時点での残りの返済額は、以下のとおりです。
総返済額 | 4,683万8,820円 |
---|---|
毎月返済額 | 11万1,521円 |
年間返済額 | 133万8,252円 |
65歳時点での 残り返済額 | 1,992万6,220円 |
毎月の返済額は10万円を超え、65歳の時点でも2,000万円近い返済が残ります。
借入金額3000万円の場合
借入金が3,000万円の場合、毎月返済額、年間返済額、総返済額、65歳時点での残りの返済額は、以下のとおりです。借入額が1,000万円低くなると、月々の返済額も変わってきます。
総返済額 | 3,512万9,220円 |
---|---|
毎月返済額 | 8万3,641円 |
年間返済額 | 100万3,692円 |
65歳時点での 残り返済額 | 1,494万4,620円 |
借入金額2000万円の場合
借入金が2,000万円の場合、毎月返済額、年間返済額、総返済額、65歳時点での残りの返済額は、以下のとおりです。
総返済額 | 2,341万9,200円 |
---|---|
毎月返済額 | 5万5,760円 |
年間返済額 | 66万9,120円 |
65歳時点での 残り返済額 | 996万3,200円 |
借入額が2,000万円ならば、月々の返済額を5万台にまで抑えられます。賃貸物件の家賃よりも低いので差額を繰上げ返済に回してもいいでしょう。65歳時点での残り返済額も1,000万円を切っています。可能ならば繰上げ返済でさらに額を少なくしていくと安心です。
あなたにぴったりの方法は?FPと一緒に最適な返済プランを考えよう

40歳で住宅ローンを組むならば頭金を多めに用意して、借入額を少なくするのが理想です。しかし、ライフプランや子どもの数によってはなかなか難しい場合もあります。
「頭金が小額しか用意できない」「繰上げ返済が希望だが、どうやって貯金を増やしていいかわからない」といった悩みを解決してくれるのがFPです。
個人での家計見直しにはどうしても限度があります。お金の専門家の意見を聞き、住宅ローンの返済計画を立てれば頭金が少なくても借入額が多くても目標を定め、落ち着いて返済に取り組めるでしょう。

老後破綻しないために!40歳で35年ローンを組むときの注意点5つ

40歳で35年の住宅ローンを組む場合、老後の生活も考えておく必要があります。この項では、老後破綻を避けるための注意点として、以下5つのポイントを解説します。
- 将来のライフイベントを踏まえて無理なく返済できる金額にする
- 計画的な繰上げ返済をして完済年齢を早める
- 団信や生命保険で万が一のリスクに備える
- 金利タイプによるリスクを把握する
- 無料FP相談を活用して最適な返済プランを立てる
実践できそうな項目は、ぜひ実践してみてください。
将来のライフイベントを踏まえて無理なく返済できる金額にする
40歳で35年の住宅ローンを組む場合30年後の生活まで考える必要があります。子どもの進学はもちろんのこと、親の介護、自身の退職後の生活まで考えないと老後破綻のリスクが高まります。
統計局が発表した「家計調査報告【家計収支編】平均結果の概要」によると65歳以上の夫婦2人世帯の1ヶ月分の消費支出平均は25万6,521円(※)です。年金による収入がこの金額を下回った場合、貯金を切り崩したり働いて収入を得たりする必要があります。
「老後の2,000万円問題」が一時期話題になりましたが、物価高が進んだ現在は夫婦2人で老後を不自由なく過ごすためには2,500万~3,000万の貯蓄が必要といわれています。
40代は老後の資産を構築し始める時期です。住宅ローンを返済するだけで手いっぱいになってはいけません。貯蓄や資産運用しながら返済できる体制を整える必要があります。
計画的な繰り上げ返済をして完済年齢を早める
繰上げ返済をすれば、返済期間を短縮できるだけでなく総返済額を減らせるメリットがあります。しかし、繰上げ返済にはまとまったお金が必要です。「数万円を数回に分けて振り込んで繰上げ返済する」等の方法は使えません。
繰上げ返済をするには、家計に余裕があり100万円前後の出費があっても問題ない貯蓄も必要です。また、金融機関によっては繰り上げ返済する際に手数料が必要です。そのため、何度も少額で返済するより、まとまった資金ができた段階で一度に繰上げ返済したほうが効果的です。
なお、繰り上げ返済するための資金を確保する方法として退職金があります。しかし、退職金をすべて使うと老後資金が不足する可能性もあるでしょう。退職金を利用する場合、半分は老後の資金に回すなど工夫が必要です。
団信や生命保険で万が一のリスクに備える
住宅ローンを組む際は、債務者に万が一のことがあったときに備えるために団信に加入するのが一般的です。団信に加入できれば、債務者が住宅ローン返済中に亡くなったり、心筋梗塞や脳出血、がんなど特定の疾病を発症したりした場合は、保険金で住宅ローンの残金を相殺できます。
団信に入るには事前に健康診断が必要であり、既往歴によっては加入できません。40歳になれば高血圧や心筋梗塞、がんなどの命に係わる疾病の発症率が上がります。また、うつ病をはじめとする精神病の既往歴がある場合も団信の加入が認められない可能性があります。
団信の加入ができない場合は、がん保険や入院保険、生命保険などで代用してもいいでしょう。また、既往歴があっても加入しやすいワイド団信もあります。
金利タイプによるリスクを把握する
住宅ローンの金利には、大きく分けて「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。変動金利は市場に合せて金利が変わっていくのに対し、固定金利は最初に借入をしたときの金利が返済終了まで変わりません。
利率は変動金利のほうが低めに設定されているため、変動金利を選ぶ方が多いです。しかし、変動金利は社会情勢によって急激に上昇する可能性もあります。固定金利は金利が高めですが、社会情勢によっては変動金利より利率が低くなる可能性もあるでしょう。
35年もの長期ローンを組む場合、返済中に大きく社会情勢が変わる可能性は十分にあります。繰上げ返済をして返済期間を短縮する場合は変動金利のほうがメリットは大きいですが、固定金利のメリットも見逃さないようにしましょう。
無料FP相談を活用して最適な返済プランを立てる
40歳で35年の住宅ローンを組むなら、返済計画も重要です。「35年間コツコツ返していけば大丈夫」等の考え方では、老後破綻するリスクが高まります。
繰上げ返済ができるように家計を見なおしたり、教育資金と老後の資金の両方を構築しつつ返済していくためのマネープランを構築したりするには、FPへの相談がおすすめです。
自分だけでは気づかない点にもアドバイスをもらえるので、心強いことでしょう。特に、子どもの高校や大学への進学と家の購入する時期が近い場合は、破綻しないような計画が重要です。
【実際どうだった?】40代で35年ローンを契約した人の体験談
「40代で35年ローンって本当に組んで大丈夫なの?」とまだ悩んでいませんか?そんなとき、実際にローンを契約した方の口コミは非常に役に立ちます。
今回は以下の項目について調査しました。
- 住宅ローンを組んだときの年齢・世帯年収を教えてください
- 住宅ローンの借入額を教えてください
- 頭金はいくら用意しましたか?
- 40代で住宅ローン契約を検討している人にアドバイスがあれば教えてください
住宅ローンを組んだときの年齢・世帯年収を教えてください
最も多かったのは40歳~43歳の方で、全体の4割強(42.8%)を占めています。その他の年齢層もそれぞれ28.6%となっており、40代前半が中心でありながらも、後半においても一般的な選択肢であることが分かります。
続いて世帯年収についても見ていきましょう。
住宅ローンの借入額を教えてください

頭金はいくら用意しましたか?

40代で住宅ローン契約を検討している人にアドバイスがあれば教えてください
住宅ローンは、その後の人生を大きく左右する決断です。しかし、安易に契約してしまうと、毎月の返済が重荷となり、家計を切り詰めなければいけなくなる可能性もあります。
そこで、ここからは実際に35年の住宅ローンを組んだ3名の方の口コミを紹介します。他の方の経験を参考に、自身のローンについて慎重に検討してみてください。

40代女性
思い切って正解でした

40代男性
老後の返済計画は明確に
40代は、収入も安定している方が多いと思うので、住宅ローンを組むには良いタイミングだと思います。ただ、金融機関からは老後の返済計画について詳しく聞かれます。退職金や年金の予定、もしあれば副業などの収入についても、しっかりと説明できるように準備しておく必要があるかと思います。

40代男性
フルローンでも良かったかなと思います
自分自身、頭金を300万円程用意しましたが、フルローンで組んで、手元に残った資金を運用に回すのもありだったんじゃないかなと思いました。もちろん、運用にはリスクが伴いますが、時間を味方につけてじっくり取り組めば、結果的に得になることもあるんじゃないかと。
【まとめ】40歳で住宅ローン35年を検討する際は無理のない返済計画を

40歳で35年の住宅ローンを組むのは決して無理ではありません。しかし「返済期限までコツコツ返済を続けていく」以外の返済方法を考える必要があります。また、住宅ローン以外にも老後資産の構築や教育費の確保をしなければなりません。
住宅ローンの具体的な返済計画や、繰上げ返済をするタイミングに関して相談したいなら、マネーキャリアの相談窓口の利用が適しています。
専門知識を持った実績豊富な相談員に何度でも無料で相談が可能です。まずは、住宅ローンについて無料で相談してみましょう。

頭金は多ければ多いほど月々の返済金額が減るので、無理のない範囲でできるだけ多く準備しておくと、その後の生活が楽にできると思います。完済する頃には70歳近いのか…と少し迷うこともありましたが、FPさんに相談して問題をクリアにしながら返済計画を立てたので、いつしか不安もやわらぎました。我が家は思い切って正解だったなと思ってます。