

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 35年ローンを20年で返済するのは可能?シミュレーションで確認しよう
- 35年ローンと20年ローンの月々の返済額・総利息を比較
- 35年ローンの10年目に1200万円を繰上げ返済した場合
- 35年ローンを20年で返済するならFPと一緒に早期返済プランを考えよう!
- 35年ローンを20年で返済するための具体的な方法
- 繰り上げ返済を積極的におこなう
- 毎月の返済額を増額する
- ボーナス払いを併用する
- 我が家にぴったりの方法は?無料FP相談で最適な返済プランを立てよう
- 35年ローンを20年で返済する際に注意したいポイント
- 予期せぬ支出に備えて緊急予備資金を確保しておく
- 繰り上げ返済の手数料を確認する
- 住宅ローン控除期間とのバランスも考慮する
- 家計に無理のない返済計画を立てる
- 【まとめ】35年ローンを20年で返済するには慎重な計画が必要!困ったらFPに相談を
35年ローンを20年で返済するのは可能?シミュレーションで確認しよう
「35年ローンを20年で返済することはできるのか?」と疑問に感じる方も多いでしょう。結論から言えば、決して不可能ではありません。
ただし、毎月の返済額が増えるため、無理のない範囲で家計を見直し、計画的に資金を確保していくことが必要です。特に、繰上げ返済を上手に活用すると、利息を大きく削減しながら早期完済を目指すこともできます。
そのためには、収支バランスやライフプランを踏まえた現実的な返済戦略を立てることが重要です。無理をすれば生活に支障が出る可能性もあるため、長期的な視点で検討しましょう。
ここでは、実際に「35年ローンを20年で返済」した場合の毎月の返済額、総支払利息、繰上げ返済の効果などを具体的な数字でシミュレーションしてご紹介します。将来を見据えた住宅ローンの計画を立てたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
35年ローンと20年ローンの月々の返済額・総利息を比較
35年ローンと20年ローンでは、月々の支払額や最終的な利息に大きな違いが生じます。ここでは、借入金額3,000万円・金利固定1.5%・元利均等返済・ボーナス返済なしの条件で、35年返済と20年返済を比較したシミュレーション結果を比較しました。返済計画の参考にご覧ください。
〈35年ローンと20年ローンの月々の返済額・総利息を比較〉
35年返済 | 20年返済 | |
---|---|---|
月々の返済額 | 約9万円 | 約14万円 |
総返済額 | 約3,857万円 | 約3,474万円 |
総利息 | 約857万円 | 約474万円 |
利息の差 | — | 約384万円の節約 |
※参照:住宅ローンのこだわり返済額シミュレーション|E-LOAN
35年ローンは、毎月の返済額を抑えたい方にとって魅力的な選択肢です。実際、3,000万円を金利1.5%・元利均等返済で借りた場合、月々の支払いは約91,855円に収まります。ただし、返済期間が長いため、総利息は約857万円と高額になるため、負担が大きくなるでしょう。
一方、同じ条件で20年ローンを組むと、月々の返済額は約144,764円に増加します。負担は増えるものの、完済までの総利息は約474万円に抑えられ、およそ384万円の利息が節約可能です。この差額は決して小さくなく、長期的に見て家計に大きな恩恵をもたらします。
35年ローンの10年目に1200万円を繰上げ返済した場合
35年ローンを組んだものの、できるだけ早く完済したいと考える方も多いでしょう。
ここでは、35年ローンの10年目に1,200万円を繰上げ返済した場合のシミュレーションを紹介します(借入金額3,000万円、金利固定1.5%、元利均等返済、ボーナス返済なし)。
できるだけ早く完済したいと考える方は、ぜひ参考にしてみてください。
〈繰上げ返済で返済期間を短縮した場合の効果〉
繰上げ返済前 (残り25年) | 繰上げ返済後 (残り10年10ヶ月) | |
---|---|---|
毎月の返済額 | 約91,855円 | 約91,855円 |
残りの返済元本 | 約2,296万円 | 約1,100万円 (繰上げ後) |
残りの総利息 | 約459万円 | 約92万円 |
節約できた利息額 | — | 約367万円 |
残りの返済期間 | 25年 | 10年10ヶ月 |
※参照:住宅ローン 一部繰上返済シミュレーション|三井住友銀行
35年ローンを選択した場合でも、途中で計画的に繰上げ返済を行えば、返済期間を大幅に短縮することが可能です。たとえば、10年間にわたり毎月10万円ずつ貯金し、合計1,200万円を繰上げ返済に充てたとしましょう。
このタイミングでの繰上げ返済により、残りの返済期間は本来の25年から約10年10ヶ月に圧縮され「20年での完済」という目標に近づきます。
35年ローンを20年で返済するならFPと一緒に早期返済プランを考えよう!

35年ローンを実質20年で完済するためには、しっかりとした資金計画と将来を見据えた返済プランが欠かせません。
しかし、住宅ローンの仕組みや繰上げ返済のタイミング、家計の見直しまでを自分だけで判断するのは容易ではありません。
そのようなときに頼りになるのが、FP(ファイナンシャルプランナー)です。FPは家計やローンに関する知識を持つお金の専門家として、第三者の視点で的確なアドバイスを提供してくれます。
返済期間を短縮する場合のメリット・デメリットを整理しながら、無理のない返済ペースを見極める手助けをしてくれるでしょう。

35年ローンを20年で返済するための具体的な方法

ローンを35年で組んだものの「できるだけ早く完済して老後の負担を減らしたい」と考える方は少なくありません。
そこで重要となるのが、計画的にローンの返済方法を見直すことです。ここでは、35年ローンを20年で返済するために実践できる方法として「繰り上げ返済の活用」「月々の返済額の増額」「ボーナス払いの併用」の3つのポイントについて解説します。
- 繰り上げ返済を積極的におこなう
- 毎月の返済額を増額する
- ボーナス払いを併用する
繰り上げ返済を積極的におこなう
住宅ローンを短期間で完済するために、最も有効な手段のひとつが「繰り上げ返済」です。繰り上げ返済には大きく分けて2種類の方法があります。1つ目は「期間短縮型」、2つ目は「返済額軽減型」です。
1つ目の「期間短縮型」は返済期間を短くし、完済時期を早めることができるのが特徴です。この方法は、返済期間を縮めることでトータルの返済額を抑えるため、長期的な家計の安定にもつながります。そのため、利息の削減効果が高く、完済までの年数を減らしたい人に適しています。
一方、2つ目の「返済額軽減型」は月々の返済負担を軽減するための方法です。この方法は、家計にゆとりを持たせたいときに向いています。ただし「返済額軽減型」は完済時期が変わらないため、ローンを早く終わらせたい場合にはあまり効果的ではありません。
毎月の返済額を増額する
住宅ローンを早期に完済したいと考えるなら、毎月の返済額を増やすという方法も効果的です。
たとえば、収入にある程度余裕がある家庭や、子どもがまだ小さく教育費がかからない時期などには、この手段が有効といえるでしょう。月々の元本返済額が増えることで、結果的に利息の総額も削減され、完済までの期間を短縮できます。
増額返済の手続き自体はそれほど複雑ではありません。金融機関によって異なりますが、一般的にはネットバンキングや店舗窓口を通じて申し込みが可能です。ただし、手数料が発生するケースや、増額ができるタイミングが限定されている場合もあるため、事前の確認が必要です。
ボーナス払いを併用する
住宅ローンの返済を早めたいとき、ボーナス払いを取り入れる方法も一つの選択肢です。ボーナス払いとは、年に1〜2回の賞与支給時に、通常の毎月返済とは別にまとまった額を返済する仕組みです。この追加返済により、元本の減少が早まり、利息負担を軽減する効果が期待できます。
特に、定期的に安定したボーナスが支給される会社に勤めている人にとっては、有効な手段となります。まとまった資金を効率よくローン返済に充てられるため、家計のバランスを崩さずに負担を軽減できる点もメリットといえるでしょう。
ただし、ボーナス払いにはいくつかの注意点があります。リスクは、ボーナスが必ずしも将来も安定して支給されるとは限らない点です。景気や企業業績の影響で支給額が減少したり、支給自体が見送られる可能性も否定できません。その場合、想定どおりに返済できなくなる恐れがあるため、生活費や緊急時の資金に影響を及ぼすこともあります。
我が家にぴったりの方法は?無料FP相談で最適な返済プランを立てよう

住宅ローンの返済を早めたいと思っても「どの方法が自分に合っているのか分からない」「今の家計で増額返済しても大丈夫?」など、不安や疑問がつきものです。
そのようなときは、家計やライフプランに詳しいFPに相談するのがおすすめです。専門家にアドバイスをもらうことで、自分に合った無理のない返済方法を見つけやすくなります。
FPは、家族構成や収入、支出、将来の教育費や老後資金までを総合的に見て、最適な返済プランを一緒に考えてくれます。自己判断で繰り上げ返済や返済額の増額を進めるよりも、第三者の視点を取り入れることで、より安心して行動に移せるはずです。

35年ローンを20年で返済する際に注意したいポイント

- 予期せぬ支出に備えて緊急予備資金を確保しておく
- 繰り上げ返済の手数料を確認する
- 住宅ローン控除期間とのバランスも考慮する
- 家計に無理のない返済計画を立てる
予期せぬ支出に備えて緊急予備資金を確保しておく
ローンを繰り上げ返済して早期完済を目指す場合、手元にある資金を返済に回したくなるかもしれません。しかし、急な病気やけが、車の故障、家電の買い替え、または予想外の収入減など、家計に影響を与える出来事はいつ起きるかわかりません。そのため、万が一の出費に対応できるよう、緊急予備資金をきちんと確保しておくことがとても大切です。
一般的に、緊急予備資金としては「最低でも生活費の3~6ヶ月分」を目安に準備しておくと安心です。たとえば、毎月の生活費が25万円であれば、75万円から150万円ほどを現金やすぐに引き出せる口座に確保しておくのが理想的です。
このお金は、あくまでも緊急時のみに使うことを前提にし、繰り上げ返済などには充てないようにしましょう。
繰り上げ返済の手数料を確認する
繰り上げ返済は、住宅ローンの負担を減らし、早期完済を目指すうえで有効な手段ですが、実行する際には「手数料」の存在を忘れてはいけません。せっかく返済を前倒ししても、余分なコストがかかってしまっては本末転倒です。昔は、繰り上げ返済を行うごとに数千円から数万円の手数料が必要な金融機関も少なくありませんでした。
しかし、ネットバンキングの普及に伴い、多くの銀行が手数料を無料または大幅に引き下げています。ネット銀行では、繰り上げ返済を何度行っても手数料がかからないケースもあり、利用者にとって非常にメリットがあります。
一方で、店舗での手続きや電話申請を選んだ場合には、手数料が発生することもあるため注意が必要です。
住宅ローン控除期間とのバランスも考慮する
住宅ローンを早期に返済したいと考える際に、見落としがちなのが「住宅ローン控除」の期間とのバランスです。
住宅ローン控除とは、住宅を購入した際に一定期間、所得税や住民税から控除を受けられる制度で、返済の負担を軽減する大きな効果があります。この控除は通常、10年または一定の条件下で13年間適用されるため、完済時期と控除期間が重なるかどうかが節税効果に影響します。
この制度を活用するうえで重要なのが、返済計画とのバランスです。たとえば35年ローンを組み、住宅ローン控除の恩恵を受けている場合、あまりに早く完済してしまうと、控除の適用期間が短縮されるリスクがあります。
結果として節税メリットが減り、支払総額が逆に増える可能性もあります。そのため、繰り上げ返済や返済額の増加を検討する際には、控除期間を意識した計画が欠かせません。
家計に無理のない返済計画を立てる
35年ローンを20年で返済したいと考える場合、月々の返済額が増える可能性があるため、家計に過度な負担がかからないかを十分に検討することが不可欠です。
特に、今の収入だけを基準に無理な返済スケジュールを立ててしまうと、将来的に支出が増えた際に資金繰りが厳しくなるおそれがあります。
たとえば、子どもの進学に伴う教育費、住宅のメンテナンス費用、老後資金など、将来にはさまざまな出費が想定されます。
今後のライフイベントを見据えた上で、収支のバランスが崩れないよう慎重に判断する必要があります。目先の早期完済だけを目標にすると、かえって生活が苦しくなってしまうこともあるため注意が必要です。
【まとめ】35年ローンを20年で返済するには慎重な計画が必要!困ったらFPに相談を
35年ローンを20年で完済することは可能ですが、その実現には綿密な返済計画と安定した資金管理が不可欠です。繰上げ返済などを活用して完済時期を早めると、総利息を大幅に減らすことができます。
その反面、資金計画に無理があると途中で家計が苦しくなり、生活に支障が出るリスクも伴います。そのため教育費や老後資金といった将来の支出を見越しながら、バランスの取れた返済戦略を立てることが大切です。
そこで、ご自身だけで判断するのではなく、信頼できる専門家に相談するのが賢明です。なかでも「マネーキャリア」は、住宅ローンや家計管理、将来設計まで幅広いテーマに対応できる総合相談サービスです。マネーキャリアでは、担当者全員がFPの資格を保有しており、多角的な視点から、個々の家庭に合ったアドバイスを提供してくれます。
ライフプランに沿った詳細なシミュレーションや、最適な繰上げ返済のタイミングなども無料で何度でも相談可能。資金面に不安がある方や、返済期間を短縮したいと考えている方は、一度マネーキャリアに相談してみましょう。
