

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- つなぎ融資を親から借りるための4つの手順
- 借入金額と目的を明確にする
- 親と借入条件をしっかり話し合う
- 借用書を作成する
- 返済は銀行振り込みでおこなう
- つなぎ融資を親から借りるかで迷ったら無料FP相談を活用しよう!
- つなぎ融資を親から借りる際の注意点
- 贈与ではなく「貸付」であることの証明を残す
- 親の生活資金に支障が出ない範囲で金額を設定する
- 年間110万円以下なら贈与税はかからない
- あなたの家庭にぴったりの方法は?FPと一緒に最適な資金計画を考えよう
- 【実際どうだった?】つなぎ融資を親から借りた人の体験談
- つなぎ融資を親から借りた理由を教えてください
- 親からいくらの資金を借りましたか?
- 親から資金を借りる際に契約書や利息の取り決めはしましたか?
- 実際に親から借りてよかったこと・後悔していることを教えてください
- 【まとめ】つなぎ融資を親から借りる際は贈与税対策を忘れずに
つなぎ融資を親から借りるための4つの手順
住宅ローンが実行されるまでの間、一時的に必要となる資金を調達するための方法をつなぎ融資といいます。銀行などの金融機関から借りる方法もありますが、高金利や手数料などのコストがかかります。そこで検討したいのが、親からの資金援助です。
ただし、贈与とみなされるリスクを避けるために、適切な手続きが重要です。ここでは、親からつなぎ融資を借りる際の以下の4つの手順をご紹介します。
- 借入金額と目的を明確にする
- 親と借入条件をしっかり話し合う
- 借用書を作成する
- 返済は銀行振込でおこなう
正しい方法で手続きをすることで、贈与税のリスクを避けながら、住宅購入をスムーズに進められます。
借入金額と目的を明確にする
親からつなぎ融資を借りる際は、必要な金額と使途を明確にしましょう。住宅購入では、以下のとおり支払いに必要な項目があります。
- 土地代金
- 建築請負契約の着工金
- 中間金(中間支払い)
- 設計費や申請費用
- 各種手数料(登記費用・仲介手数料など)
これらの金額を正確に把握し、住宅ローンが実行されるまでの期間を考慮して、いつまでにいくらの資金が必要になるのかを整理しましょう。
中古住宅の購入では、契約から決済までの期間が短く、住宅ローンの審査が間に合わないケースもあるので注意が必要です。この場合、契約金や手付金、残金決済時の資金など、具体的な金額と支払い時期を明確にしておきましょう。
親と借入条件をしっかり話し合う
親からつなぎ融資を受ける場合、借入条件を明確にして贈与税対策を行いましょう。借入金額・返済期限・返済方法・金利について、親との十分な話し合いが必要です。とくに重要なのは金利設定になります。無利子の貸付は、税務上トラブルになる恐れがあるため、市場金利より低くても、わずかでも利息を設定しておくと安心です。
返済期限についても注意しましょう。理由は以下のとおりです。
- 返済期間を設定する
(期限がない・極端に長いと「返済の意思がない」とみなされる場合がある) - 住宅ローン実施後に返済できる期限にする
(目安は3〜6か月以内が望ましい) - 返済能力に見合った金額を借りる
(明らかに多すぎる金額は、贈与とみなされる可能性がある)
期限が設定されていない、あるいは極端に長い返済期間は、返済する気がないと見なされる可能性があります。住宅ローン実行後、速やかに返済できるよう、3〜6か月程度の明確な期限を設けましょう。
借用書を作成する
親からつなぎ融資を借りる際は、必ず借用書を作成しましょう。贈与と誤解されないためにも、借用書は貸借の事実を証明するうえで不可欠です。
記載すべき内容を見てみましょう。
項目 | 説明 |
---|---|
借入金額 | 借入金額を明記する 改ざん防止のため、漢数字(例: 壱萬円)で記載する |
借入日 | 実際にお金を借りた日付を記載する |
返済期間 | 返済すべき期日を明確に記載する(例: 2025年12月31日) 曖昧な表現(例: 数か月以内)にしない |
返済方法 | 返済手段を具体的に記載する(例: 銀行振込、現金手渡し) 振込の場合は振込先口座情報も記載する |
金利 (利率) | 利息がある場合は年率を記載する(例: 年5%) 利息制限法の上限金利を超えないよう注意する |
遅延損害金 | 返済が遅れた場合の損害金の利率を記載する(例: 年14.6%) 遅延損害金の計算方法も明記する |
借主の情報 | 借主の氏名・住所を記載、署名・押印をおこなう 実印を使用すると証明力が高くなる |
貸主の情報 | 貸主の氏名・住所を記載する |
作成日 | 借用書を作成した日付を記載する |
※参照:借用書とは?見本(雛形)で書き方を解説|無料テンプレート|弁護士法人デイライト法律事務所
とくに金利は重要で、無利息だと贈与と判断されるおそれがあるため、最低でも0.5%程度の利息を設けると安心です。万が一の場合に備えて「連帯保証人」の欄を設けることも検討しましょう。
返済は銀行振り込みでおこなう
親からのつなぎ融資の返済は、必ず銀行振り込みでおこないましょう。現金での手渡しは、後々「本当に返済したのか」という疑いを持たれるリスクがあります。銀行振込は記録が残るため、贈与でなく借入である証明になりやすいです。
振込する際は、以下の点に注意しましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
振込時の記載 | 振込依頼書や通帳の摘要欄に「借入金返済」などと明記する |
元金と利息の区別 | 返済時は元金と利息を分けて振り込む |
振込の目的 | 返済の内訳を明確にするため |
返済後の書類対応 | 「返済受領書」や「借用書返却書」などを 親から受け取ると安心 |
振込依頼書や通帳の摘要欄に「借入金返済」などと明記しておくとよいでしょう。また、借入金の返済と利息の支払いは区別しておこなうことをおすすめします。
元金300万円を返済する際は「借入金300万円返済」、利息は別に「借入金利息○○円」と記載して振り込むと内訳が明確です。返済が完了したら、親から「返済受領書」や「借用書返却書」などの書類を受け取っておくと安心です。
つなぎ融資を親から借りるかで迷ったら無料FP相談を活用しよう!

親からつなぎ融資を借りるべきか、金融機関からの融資にするべきか迷っている方は、ファイナンシャルプランナー(FP)への相談がおすすめです。
住宅購入は人生で最も大きな買い物の一つであり、その資金計画は慎重に立てる必要があります。つなぎ融資については、金利負担や税金問題など考慮すべき点が多いため、専門知識を持つFPのサポートが心強い味方になるでしょう。

つなぎ融資を親から借りる際の注意点

住宅購入時に親からつなぎ融資を受けることは、高金利なローンを回避する有効な手段です。しかし、親子間の資金の貸し借りは以下の点で注意が必要です。
- 贈与ではなく「貸付」であることの証明を残す
- 親の生活資金に支障が出ない範囲で金額を設定する
- 年間110万円以下なら贈与税はかからない
ここでは、親からつなぎ融資を借りる際に注意すべき3つのポイントを解説します。正しい手続きを踏むことで、将来のトラブルを未然に防ぎましょう。
贈与ではなく「貸付」であることの証明を残す
親子間の資金の貸し借りは、贈与扱いを受けるリスクがあります。そのため「借りた」という事実を客観的に証明できる証拠を残すことが非常に重要です。
まず借用書を作ることが必要です。借入金額・借入日・返済期限・返済方法・金利(利率)を借用書に明記し、借主と貸主の署名・押印を忘れないようにしましょう。
金融機関を通じた取引記録も重要な証拠となります。親から借りる際は、現金の手渡しではなく必ず銀行振込でおこない、振込依頼書の摘要欄には「住宅購入のつなぎ融資」などと明記しておくとよいでしょう。
親の生活資金に支障が出ない範囲で金額を設定する
親からつなぎ融資を受ける際、借入金額は親の生活に支障が出ない範囲で設定しましょう。親がすでに定年退職して年金生活を送っている場合は、無理な融資を頼むことで親の老後資金を減らしてしまう恐れがあります。
親の資産状況を考慮せずに高額な融資を受けると、税務署から返済能力を超えた援助と判断され、贈与とみなされる可能性が高くなります。借入金額は、自分の返済能力だけでなく、親の資金状況と照らし合わせて適切な額を設定しましょう。
借入金額を決める際は、住宅ローンの実行時期を明確にし、本当に必要な期間と金額だけを借りる計画を立てるのがポイントです。万が一の場合に備えて、住宅ローンが予定通り実行されなかった場合の対応策も親と話し合っておくことが重要です。
年間110万円以下なら贈与税はかからない
親から借りたお金を将来的に返済不要とする場合、贈与税の基礎控除を活用する方法があります。贈与税には年間110万円までの基礎控除※があるため、以下の状況だと税金はかかりません。
つなぎ融資として300万円借りた場合
- 3年に分けて毎年110万円ずつ贈与扱いに変更する
- 基礎控除は受贈者(贈与を受ける人)ごとに適用される
- 夫婦それぞれが親から贈与を受ければ、年間で最大220万円まで非課税となる
ただし、複数の親族から贈与を受けても、受贈者一人当たりの年間合計額が110万円を超えると課税対象になるので注意が必要です。
大きな金額を非課税で贈与してもらいたい場合は「住宅取得等資金の贈与税の非課税特例」の活用も検討できます。
※参照:贈与税がかかる場合|国税庁
あなたの家庭にぴったりの方法は?FPと一緒に最適な資金計画を考えよう

住宅購入のつなぎ融資を親から借りる場合、家族構成や資金状況・親の経済状況など、さまざまな要素を考慮する必要があります。「借入」と「贈与」のどちらが最適か、どのような手続きを踏むべきかは、それぞれの家庭によって異なるものです。
こうした複雑な判断を適切におこなうには、ファイナンシャルプランナー(FP)へ相談がおすすめです。

【実際どうだった?】つなぎ融資を親から借りた人の体験談
つなぎ融資を親から借りることを検討している方にとって、実際の体験談は非常に参考になります。ここでは、親からつなぎ融資を受けた方々にアンケートを実施し、借入の理由や金額、手続きの方法について詳しく聞いてみました。
質問の内容は以下のとおりです。
- つなぎ融資を親から借りた理由を教えてください
- 親からいくらの資金を借りましたか?
- 親から資金を借りる際に契約書や利息の取り決めはしましたか?
同じような状況で悩んでいる方は、ご自身の状況と照らし合わせながら検討してみてください。
つなぎ融資を親から借りた理由を教えてください
親からいくらの資金を借りましたか?

親からのつなぎ融資で借りた金額が比較的高額に及ぶケースが多いことがわかります。
「200万円以上〜400万円未満」が最も多く40.0%、次いで「400万円以上」が33.4%で、合計で7割以上の人が200万円超を借りている状況です。
自由回答にも300万円・500万円・700万円、さらには3000万円という回答も見られ、つなぎ融資とはいえ規模は決して小さくありません。
親から資金を借りる際に契約書や利息の取り決めはしましたか?

親からのつなぎ融資において約半数(46.7%)が「契約書なし・利息なし」で資金を借りている状況です。
一方で「契約書あり・利息なし」「契約書あり・利息あり」もそれぞれ20.0%ずつ存在し、税務リスクや将来のトラブルを見越して書面を整えている人も一定数いることがわかります。
実際に親から借りてよかったこと・後悔していることを教えてください


30代男性
他社で借りるよりも利息を低く設定できた

30代男性
手続きがスムーズだが親の負担が気になる
手続きが非常にスムーズで、急な支払いにも素早く対応できた点は助かりました。ただその一方で、親に精神的・金銭的な負担をかけてしまったことが、今でも少し気がかりです。

20代女性
夫側の親だったので気まずさもあった
素直に頼れる存在が身近にあったのは本当にありがたかったです。ただし、夫側の親からの借入だったため、遠慮や気まずさを感じる場面もあり、気を使うことが多かったのが正直なところです。
【まとめ】つなぎ融資を親から借りる際は贈与税対策を忘れずに

親からのつなぎ融資は、住宅購入における一時的な資金不足を解決する有効な手段です。しかし、親子間の資金の流れは税務署から「贈与」と判断されるリスクがあるため、適切な対策が欠かせません。
本記事でご紹介した「借入金額と目的の明確化」「きちんとした借入条件の設定」「借用書の作成」「銀行振込による返済」の4つの手順を守ることで、贈与税のリスクを抑えられます。とくに金利設定や返済期限の明確化は「貸付」であることの重要な証拠となります。
つなぎ融資を利用する際の疑問やご家庭に最適な方法がわからない場合は、マネーキャリアの無料FP相談を活用してみましょう。住宅ローンの専門家が税金対策から家計への影響まで幅広くアドバイスしてくれます。親子間のスムーズな資金援助で、夢のマイホーム実現を確実なものにしましょう。

他社から借りる場合に比べて、利息をかなり低く設定できたのが大きなメリットです。金利の負担が軽減されたことで、精神的にも余裕を持って返済に取り組めました。