
- 結論、iDeCoと退職金の受け取りを5年ずらすとそれぞれで控除を活用できるため節税になります。しかし、ルール変更や受取順序などに注意が必要です。
この記事がおすすめな人
- iDeCoの5年ルール・10年ルールについて知りたい人
- iDeCoと退職金の受け取りを5年ずらすことによる節税効果を知りたい人
- DeCoの受取方法と税金について詳しく知りたい人

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
>> 井村 那奈の詳細な経歴を見る
この記事の目次
- iDeCoの一時金と退職金の受取をずらす「5年ルール・10年ルール」とは?
- iDeCoの受け取り方法・タイミングで迷ったら無料FP相談を活用しよう!
- iDeCoと退職金の受け取りを5年ずらすことによる節税効果は?
- 退職金とiDeCoを同時に一時金として受け取る場合
- iDeCoの一時金と退職金の受取の間隔を5年以上空ける場合
- iDeCoの受取方法は3つ!それぞれ税金が異なる
- iDeCoの一時金と退職金の受給タイミングをずらす際の注意点
- 5年ルールが10年ルールに延長される時期に注意する
- 一時金と退職金の受取順序に注意する
- iDeCoの受給可能年齢・受取申請期限に注意する
- iDeCoの5年ルールの適用にはタイミングが大切【まとめ】
iDeCoの一時金と退職金の受取をずらす「5年ルール・10年ルール」とは?
iDeCoの一時金と会社の退職金、両方の税負担を抑える仕組みが「5年ルール」「10年ルール」です。
iDeCoの一時金は税制上「退職所得」扱いとなり、会社の退職金と受け取りのタイミングが近いと、税の優遇措置である退職所得控除が調整されます。
2025年12月末までは、どちらかの受け取りから5年以上空けることで、それぞれで控除を満額利用できる「5年ルール」が適用されます。
しかし、2026年1月1日以降に受け取る分からは、この期間が10年以上に延長される「10年ルール」へ変更となるのです。
例えば、iDeCoの一時金を60歳で受け取った場合、会社の退職金を70歳以降に受け取らなければ、控除額が減ってしまう可能性があります。
この制度変更は手取り額に大きく影響するため、ご自身の退職プランに合わせた計画的な受給が一層重要になります。
iDeCoの受け取り方法・タイミングで迷ったら無料FP相談を活用しよう!

iDeCoの節税効果を高めるには「5年ルール」と2026年1月から施行される「10年ルール」をうまく利用する必要があります。
しかし、ご自身にとって最もメリットがある受け取り方の判断を個人で行うのは困難であり、お金の専門家(FP)へ相談するのがおすすめです。
FPに相談することで、退職金の有無・金額などに合わせて、iDeCoの5年ルールや今後施行される10年ルールをふまえて最適な受け取り方をアドバイスしてくれます。
また、老後資金の取り崩しプランのシミュレーション作成も可能です。
FPへの相談サービスは数多くありますが、その中でも無料で相談できるマネーキャリアのFP相談がおすすめです。

iDeCoと退職金の受け取りを5年ずらすことによる節税効果は?
ここでは、iDeCoと退職金の受け取りを5年ずらすことによる節税効果を、2つの例で比較して紹介します。
- 退職金とiDeCoを同時に一時金として受け取る場合
- 60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を一時金で受け取る場合
退職金とiDeCoを同時に一時金として受け取る場合
勤続年数30年、退職一時金1,800万円、iDeCo(拠出15年)が500万円の場合、退職金とiDeCoを同時に受け取る場合にかかる税金の計算方法は、以下のとおりです。
- 退職所得控除:800万円+(30年-20年)×70万円=1,500万円
勤続年数が30年なので、退職所得控除は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で算出します。
退職一時金とiDeCoを合計すると2,300万円となり、控除額1,500万円を差し引いた800万円の1/2である400万円が課税対象となります。
所得税の計算式は400万円×20%-42万7,500円=37万2,500円です。なお、税率と控除される金額は課税額によって変わるため、計算前に国税庁のwebサイト※を確認してください。
iDeCoの一時金と退職金の受取の間隔を5年以上空ける場合
iDeCoの一時金と退職金の受取の間隔を5年以上空けることで、大幅な節税効果を得ることができます。
60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で会社から退職一時金を受け取る場合の計算例を見てみましょう。
- 会社からの退職一時金の退職所得控除:800万円+(30年-20年)×70万円=1,500万円
こちらは、同時受け取りの場合と変わりません。
一方、iDeCoの退職所得控除は、拠出が15年なので以下の計算になります。
- iDeCoの退職所得控除:40万円×15=600万円
拠出が15年なので「40万円×加入年数」で控除額が計算できます。
5年間隔を空けることで、iDeCoの課税額は0円になり、会社からの退職一時金の課税額は(1,800万円-1,500万円)×1/2=150万円となります。
150万円に対する所得税は150万円×5%=7万5,000円となり、同時受け取りの場合と比べて29万7,500円の節税効果を得ることができます。
iDeCoの受取方法は3つ!それぞれ税金が異なる
iDeCoの受取方法は「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」の3種類から選べ、以下の表のように税金の区分や控除が異なります。
受取方法 | 税金の区分 | 適用される控除 |
---|---|---|
一時金 | 退職所得 | 退職所得控除 |
年金 | 公的年金等に係る雑所得 | 公的年金等控除 |
一時金と年金の併用 | 上記2つの組み合わせ | 上記2つの組み合わせ |
※参照:iDeCo(イデコ)のメリット|iDeCo公式サイト
表の通り、一時金は「退職所得」として扱われ、加入年数に応じた退職所得控除を使えるため、税負担を抑えられる可能性があります。
一方で年金として受け取る場合は「公的年金等に係る雑所得」に分類され、他の公的年金収入と合算して課税される仕組みです。
会社の退職金の有無や他の年金収入などを踏まえ、どの受け取り方がご自身にとって最適かを選択することが重要です。
iDeCoの一時金と退職金の受給タイミングをずらす際の注意点
iDeCoの一時金と退職金の受給タイミングをずらす際の注意点は以下の3つがあります。
- 5年ルールが10年ルールに延長される時期に注意する
- 一時金と退職金の受取順序に注意する
- iDeCoの受給可能年齢・受取申請期限に注意する
節税メリットを最大限活用するためにも、1つずつ理解しておきましょう。
5年ルールが10年ルールに延長される時期に注意する
iDeCoと退職金の受け取りに関する5年ルールは、2026年1月1日から「10年ルール」へ変更されるため、受け取り計画に注意が必要です。
2025年12月末までは、iDeCoか会社の退職金のどちらかを先に受け取ってから5年以上空ければ、それぞれで退職所得控除を最大限活用できます。
しかし制度改正後は、この空けるべき期間が10年以上に延長されるのです。
例えば60歳でiDeCoの一時金を受け取った場合、70歳以降に会社の退職金を受け取らないと、控除額が減ってしまう可能性があります。
この変更は将来の手取り額に影響するため、ご自身の退職時期やライフプランを踏まえて慎重に検討しましょう。
一時金と退職金の受取順序に注意する
iDeCoと会社の退職金は、どちらを先に受け取るかによって適用される税金のルールが異なるため、受給の順序に注意が必要です。
会社の退職金を先に受け取る場合、以前の「14年ルール」が改正され、現在は「19年ルール」という控除の調整が入る仕組みです。
一方でiDeCoを先に受け取った場合は、5年(2026年以降は10年)以内に会社の退職金を受け取ると控除額が調整されます。
これらのルールの違いを以下の表にまとめました。
受け取る順序 | 適用される主なルール | 概要 |
---|---|---|
会社の退職金→iDeCo | 19年ルール (旧14年ルール) | 期間が19年以内だと、勤続・加入期間の 重複分が控除計算から除外 |
iDeCo→会社の退職金 | 5年ルール (2026年から10年ルール) | 期間が5年(10年)以内だと、 控除額が調整される |
このように受取順序により適用される年数や計算方法が異なるため、ご自身の退職プランに合わせて順序を検討することが大切です。
iDeCoの受給可能年齢・受取申請期限に注意する
iDeCoは、原則60歳から75歳になるまでの間に受け取りを開始する必要があり、受け取りを申請しないまま75歳を迎えると、一括で受け取る一時金として扱われます。
また、iDeCoを先に受け取り5年以上空ける節税策を実践するには、会社の退職を65歳以降にする必要がある点を理解しておくべきです。
また、iDeCoを先に受け取り5年以上空ける節税策を実践するには、会社の退職を65歳以降にする必要があります。
2026年からは、iDeCoを先に受け取る場合の期間が10年に延長されるため、この計画はさらに長期化する見込みとなります。
ご自身の会社の退職金制度や定年年齢を確認し、iDeCoの受給開始年齢と申請期限をふまえた計画を立てることが重要です。
iDeCoの5年ルールの適用にはタイミングが大切【まとめ】
この記事ではiDeCoの5年ルール・10年ルールについてや、節税効果、iDeCoの受取方法について解説してきました。
iDeCoの5年ルールが利用できるのは、2025年12月までであり、2026年1月からは10年ルールに変更されます。
退職金とiDeCoの受け取る順番やタイミング、受け取り方法によっても節税効果に違いが出るため、ご自身に最適な受け取りプランを立てることが重要です。
また、タイミングによっては退職の時期をずらす必要も出てくるため、ライフプランへの影響も考慮する必要があります。
しかし、ご自身で最適なiDeCoの受け取り方法やタイミングを見極めるのは困難なため、専門家(FP)に相談するのがおすすめです。
マネーキャリアでは、iDeCoの専門家(FP)が節税シミュレーションを通して、最適な受け取り方法やタイミングをアドバイスいたします。
無料で納得がいくまで何度でも相談できますので、一度お気軽にご相談ください!
