

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- iDeCoと退職金の受け取りをずらす5年ルールとは?
- iDeCoでは退職所得控除の5年ルールが使える
- 2026年1月以降は「10年ルール」に変更される
- 退職金を先に受け取る場合は19年ルールに注意
- iDeCoの受け取り方法・タイミングで迷ったら無料FP相談を活用しよう!
- iDeCoと退職金の受け取りを5年ずらすことによる節税効果は?
- 退職金とiDeCoを同時に一時金として受け取る場合
- 60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を一時金で受け取る場合
- あなたにぴったりの方法は?FPと一緒に最適な出口戦略を見つけよう
- iDeCoの受け取り方・タイミングを見直す際のポイント
- 一時金・年金形式のどちらが有利かシミュレーションをする
- 自分のライフプラン・資金計画と照らし合わせる
- 無料FP相談でプロのアドバイスを受ける
- 【まとめ】iDeCoの5年ルール(10年ルール)を理解して最適な出口戦略を考えよう
iDeCoと退職金の受け取りをずらす5年ルールとは?
はじめに、iDeCoと退職金の受け取りをずらす5年ルールの概要や2026年1月から適用される「10年ルール」への変更点等を解説します。
iDeCoは公的年金を補う「個人型確定拠出年金」です。国民年金基金連合会が主となって運営しており、年金や一時金など複数の受け取り方があります。
また、退職金と併せて受け取る場合は、5年ルールを知っておくと高い節税効果があるので、ぜひ概要を理解しておきましょう。
iDeCoでは退職所得控除の5年ルールが使える
退職所得控除の5年ルールとは、職場の退職金とiDeCoの一時金を5年以上の期間を空けて受け取ると、それぞれに退職控除を適用できる節税方法です。
iDeCoは、以下のような3つの受け取り方があります。
- 一時金:積み立てしてきた資産を一括で受け取る方法
- 年金:5~20年かけて受け取る有期年金や終生年金の形で資産を分割で受け取る
- 年金と一時金の併用:積み立ててきた資産の一部を一時金、残りを年金の形で受け取る
どの受け取り方を選ぶかは利用者の自由ですが、受け取り方によって税金の計算方法が異なります。
5年ルールが適応されるのは、一時金として積み立ててきた資金を受け取る場合です。一時金として資金を受け取る場合「退職所得」に該当します。iDeCoの退職所得は、以下のような「退職控除」が受けられます。
- 加入年数20年以下の場合:40万円×加入年数
- 加入年数20年超の場合:800万円+70万円×(加入年数-20年)※
2026年1月以降は「10年ルール」に変更される
2026年1月以降に退職所得を受け取る方から「5年ルール」が「10年ルール」に変更されるので、注意が必要です。現在、iDeCoを一時金の形で受け取る場合、職場から支給される退職金のを受け取るときから5年以上時間をあければ、両方に退職所得控除を適応できます。
しかし、2026年1月より受け取り間隔が5年から10年以上に変更されます。例えば、65歳でiDeCoで積み立ててきた資金を一時金の形で受け取りたいなら、55歳で会社からの退職金を受け取る必要があります。
一時金の形でiDeCoで積み立ててきた資金を受け取りたい場合、退職金を受け取る時期や額により一層の注意が必要です。
退職金を先に受け取る場合は19年ルールに注意
iDeCoの資金を一時金の形で受け取る場合は「19年ルール」にも注意が必要です。19年ルールとは、会社からの退職金を先に受け取り、iDeCoで積み立ててきた資金を後に受け取ると、19年間は「退職所得を重複して受け取った」とみなされることです。
つまり、退職金を65歳で受け取り、iDeCoで積み立ててきた資金を75歳で受け取った場合でも、両方に退職所得控除を使えません。
したがって、会社からの退職金で退職控除を使い切ってしまう場合は、iDeCoで積み立てた資金を60歳で受け取り、定年を延長して70歳で会社からの退職金を得る形にしないと、減税効果が得られなくなります。
iDeCoの受け取り方法・タイミングで迷ったら無料FP相談を活用しよう!

iDeCoの一時金受け取りに関する「5年ルール」が「10年ルール」に改定されたときは、大きな話題になりました。iDeCoを利用して年金を受け取るためには、10年以上の加入期間が必要です。「資金を積み立てているうちに、ルールが変わったらどうしよう」と悩む方もいるでしょう。
iDeCoの受け取り方は複数あります。会社からの退職金の有無や額、仕事をリタイアしようと考えている年齢によって節税効果の高い受け取り方は異なるため、悩んでいる場合は、FPに相談してアドバイスを受けるのが効果的です。
FPは個人の資金計画、資産運用、投資、保険、税金等の相談ができるお金のプロです。iDeCoの受け取り方法はもちろんのこと、タイミングや節税方法まで適切なアドバイスを行ってくれます。

iDeCoと退職金の受け取りを5年ずらすことによる節税効果は?
ここでは、2026年1月まで活用できるiDeCoと退職金の受け取りを5年ずらすことによる節税効果を、以下の2つの例を挙げて紹介します。
- 退職金とiDeCoを同時に一時金として受け取る場合
- 60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を一時金で受け取る場合
退職金とiDeCoを同時に一時金として受け取る場合
勤続年数30年、退職一時金1,800万円、iDeCo(拠出15年)が500万円の場合、退職金とiDeCoを同時に受け取る場合にかかる税金の計算方法は、以下のとおりです。
- 退職所得控除:800万円+(30年-20年)×70万円=1,500万円
勤続年数が30年なので、退職所得控除は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で算出します。
退職一時金とiDeCoを足すと2,300万円のため、(2300万円-1500万円)×1/2=400万円となり、退職所得控除から外れた400万円に対して税金がかかります。
所得税の計算式は400万円×20%-42万7,500円=37万2,500円です。なお、税率と控除される金額は課税額によって変わるため、計算前に国税庁のwebサイト※を確認してください。
60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を一時金で受け取る場合
60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で会社から退職一時金を受け取る場合は、以下のようになります。
- 会社からの退職一時金の退職所得控除:800万円+(30年-20年)×70万円=1,500万円
こちらは、変わりません。
- iDeCoの退職所得控除:40万円×15=600万円
拠出が15年なので「40万円×加入年数」で控除額が計算できます。
5年ずらすことで、iDeCoの課税額は0円になりました。会社からの退職一時金の課税額は、(1,800万円ー1,500万)×1/2=150万円です。
150万円の所得税は、150万×5%=7万5,000円なので、同時に受け取った場合に比べて29万7,500円の節税になります。
あなたにぴったりの方法は?FPと一緒に最適な出口戦略を見つけよう
会社からまとまった額の退職金を受け取れる場合、iDeCoの受け取り方は一時金以外のほうが節税できる可能性もあります。退職時にまとまった額を受け取れれば、家をリフォームしたり住宅ローンを一括で返済したりできるなど、さまざまなメリットがあります。
しかし、所得が増えれば「所得税」や「住民税」も増加するので注意が必要です。「年金の形で細く長くお金を受け取ったほうが、結果的に節税になった」と後悔しないよう、事前のシミュレーションが重要です。
iDeCoの受け取り方に悩んでいる場合は、FPに相談できればライフプラン等から最適な方法をアドバイスしてもらえます。ぜひ、積極的に利用してみましょう。

iDeCoの受け取り方・タイミングを見直す際のポイント

ここでは、iDeCoの受け取り方・タイミングを見直す際のポイントとして以下の3点を解説します。
- 一時金・年金形式のどちらが有利かシミュレーションをする
- 自分のライフプラン・資金計画と照らし合わせる
- 無料FP相談でプロのアドバイスを受ける
一時金・年金形式のどちらが有利かシミュレーションをする
iDeCoは一時金だけでなく年金で受け取る場合も「所得税」がかかります。年金は雑所得に分類され「収入金額-公的年金等控除額」で計算できます。控除額は、国税庁のwebサイト※から確認できるので、チェックしてみましょう。
なお、iDeCoの年金と厚生年金、国民年金は合算して計算されます。職種や現役時代の年収によっては、厚生年金が受給額が多い場合もあるので注意が必要です。また、65歳までに年金受給を開始すると、控除額が65歳を超える場合より少なくなります。
年金定期便等で自分が受給できる年金の額がわかったら、一時金と年金形式どちらが有利かシミュレーションを行ってみましょう。
自分のライフプラン・資金計画と照らし合わせる
老後、どのタイミングでどのくらいの資金が必要になるか明確にすれば、受け取り方を決める際の参考になります。例えば、子どもが結婚する際や家を建てる際にまとまった額を援助してあげたい場合や、シニア向けの住宅や施設に引っ越したい場合などは、数百万単位でお金が必要になるケースもあるでしょう。
また、高齢になると健康リスクも高まります。健康に生活できているときの費用は年金だけで十分だったとしても、入院したり介護が必要になったりしたら不足する恐れもあるでしょう。
まとまった額を手元に残しつつ、年金等で継続的な収入を得られるようにすれば理想です。「多分何とかなる」と楽観視せず、FPに相談できる無料窓口も利用して現実的な計画を立てましょう。
無料FP相談でプロのアドバイスを受ける
FPは、個人の資金計画、資産運用、投資、保険、税金等、幅広いお金の相談ができます。iDeCoの場合は、受け取り方はもちろんのこと月々の積立額や、他の私的年金との違いなども相談できます。
iDeCoはメリットも多いですが、10年以上加入しないと受け取り資格を得られない、企業の確定拠出型年金を利用している場合は加入できない等の注意点があります。
また、iDeCoは投資商品でもあるので元本割れのリスクもあり、万人に向いている年金とは言えません。自分はiDeCoの利用が向いているのか、他の手段で老後の資金を構築したほうがメリットが大きいのか悩んでいるといった場合も、FPに相談してみましょう。
ライフプランや年収、職業、貯蓄額などを総合的に判断して最適な方法をアドバイスしてくれます。
【まとめ】iDeCoの5年ルール(10年ルール)を理解して最適な出口戦略を考えよう
iDeCoの5年ルールが利用できるのは、2025年12月までです。また、iDeCoのルールは今後も変更される可能性があるため、常に最新の情報を確認することをおすすめします。iDeCoは長期間かけて資金を構築していくタイプの年金です。年収や職種、働き方によって適している方と不向きな方がいます。
したがって、iDeCoを利用する場合は常に最新情報をチェックし、受け取り方を考える必要があります。また、iDeCoの利用を検討している方は、他の私的年金との比較も大切です。
マネーキャリアに相談すれば、iDeCoの受け取り方はもちろんのこと、iDeCoとほかの私的年金との比較、相談者にとって最適なかけ金の額などもアドバイスを受けられます。
自由度の高い年金だからこそ、マネーキャリアの無料相談を活用し、資金計画をしっかりと立てて老後の資金を構築していきましょう。
