

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- フリーランスになったらiDeCoはどうなる?4つの変更点を解説
- 掛金の上限額が大幅に増える
- 年金の種別が変わるため「iDeCoの種別変更手続き」が必要になる
- 自分で確定申告をして所得控除を受ける必要がある
- 収入の変化に応じてリスク許容度を見直す
- フリーランスの転身に関するiDeCoのお悩みは無料FP相談で解決しよう!
- 会社員からフリーランスになる際に必要なiDeCoの手続き
- 会社の企業型DCに加入している場合
- 個人でiDeCoに加入している場合
- 無料FP相談を賢く活用して、iDeCoの運用方法を最適化しよう!
- 【実際どうだった?】会社員からフリーランスになった人のiDeCoに関する体験談
- フリーランスになってから、iDeCoの掛金を変更しましたか?
- 具体的な掛金の増減額を教えてください
- iDeCoの節税効果について、どのように感じていますか?
- iDeCoに関して、フリーランスになってから不安や困ったことがあれば教えてください
- 【まとめ】フリーランスになったらiDeCoの手続きも忘れずに行おう
フリーランスになったらiDeCoはどうなる?4つの変更点を解説

フリーランスになると、収入や社会保障の面で大きな変化がありますが、iDeCo(個人型確定拠出年金)の仕組みもいくつか変わる所があります。
ここでは、主に4つのポイントを解説します。
- 掛金の上限額が大幅に増える
- 年金の種別が変わるため「iDeCoの種別変更手続き」が必要になる
- 自分で確定申告をして所得控除を受ける必要がある
- 収入の変化に応じてリスク許容度を見直す
掛金の上限額が大幅に増える
フリーランスになると、掛金の上限額が大きくアップします。会社員のときは月額12,000~23,000円程度まででしたが、フリーランスは月額68,000円(年間816,000円)まで積み立てられます。(※)これは、iDeCoの中でも最も高い区分の掛金額です。会社員時代(厚生年金加入)よりも45,000円も増えるため、老後資金の形成を加速できる可能性があります。
ただし、所得控除の仕組みや、運用益が非課税になるなどの節税メリットは、会社員時代と変わりません。フリーランスは自分で年金を積み立てる重要性がさらに高まるので、可能な範囲で積立額を見直すのが大切です。
年金の種別が変わるため「iDeCoの種別変更手続き」が必要になる
会社員からフリーランスになると、年金制度上の区分が「第2号被保険者(厚生年金)」から「第1号被保険者(国民年金)」に変わります。この変化に伴い、iDeCoの「種別変更手続き」を行わなければなりません。
この手続きを怠ると、掛金の引き落としが停止されるなど、思わぬトラブルが起こる恐れがあります。その結果、将来の年金受給額に影響が出る可能性も考えられます。ですので、転職や独立した直後は忙しくて手続きを後回しにしがちですが、早めの対応が大切です。
税制の知識が豊富なFPは、iDeCoの仕組みや、手続きの内容について詳しく説明してくれます。(※手続き代行はできません)
自分で確定申告をして所得控除を受ける必要がある
会社員は、会社で行う年末調整によってiDeCoの掛金控除が自動的に反映されます。しかし、フリーランスは自分で確定申告をして控除を申請しないといけません。もし申請を忘れると、節税効果がまったく得られなくなってしまうので十分注意が必要です。
また、フリーランスになると「自分の口座」からの引き落としに変わります。引き落とし日に口座残高が不足していると、掛金の拠出が止まる可能性があるため、日頃から口座残高を意識しましょう。特に会社員時代に掛金が給与天引きだった方は、今までとは違うので忘れないように気を付けましょう。
収入の変化に応じてリスク許容度を見直す
フリーランスになると、収入が会社員時代より不安定になることが一般的です。そのため、今までと同じ運用スタンスのままを続けると、生活に無理が出てしまうこともあるかもしれません。収入の変動に合わせて「リスク許容度の見直し」を行うことが非常に大切です。
例えば、以下のように調整しましょう。
- 収入が不安定なとき→運用商品のうち元本確保型(定期預金や保険型プランなど)の比率を高め
- 余裕があるとき→リスク資産の比率を増やす
など、配分変更は収入状況に合わせて調整するのがおすすめです。
また、掛金の拠出は60歳まで引き出せないことも考慮し「将来のための積み立て」と「今の生活資金」のバランスを十分考えましょう。
フリーランスの転身に関するiDeCoのお悩みは無料FP相談で解決しよう!

フリーランスとしての新しいスタートは、iDeCoの手続きや掛金の設定など、分からないことが多くて不安を感じる方も多いでしょう。
そんなとき、無料のFP相談を活用すると、必要な手続きや注意点をスムーズに把握できます(ただし、実際の手続きの代行はできない点には注意しましょう)。
さらに、節税シミュレーションを行うことで、今後どの程度の節税効果が期待できるか具体的にイメージできます。あわせて、収入の変化に応じた掛金調整や、日々の家計バランスとの兼ね合いまで、総合的にアドバイスを受けられるのも大きな魅力です。

会社員からフリーランスになる際に必要なiDeCoの手続き
会社員からフリーランスになったらキャリアだけでなく、社会保障制度との向き合い方も大きく変わるタイミングです。特にiDeCoは、働き方によって限度額や手続きなど異なる点があるため注意が必要です。
今回は、会社員からフリーランスになる方が押さえておくべきiDeCoの手続きについて紹介します。
- 会社の企業型DCに加入している場合
- 個人でiDeCoに加入している場合
会社の企業型DCに加入している場合
会社員時代に企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入していた人は、退職後6ヵ月を超えると現金化(商品の解約)されて運用ができなくなり、現金化された資金は自動的に「国民年金基金連合会」へ移管されてしまいます。(※)これを避けるには、退職後すみやかに企業型DCからiDeCoへの「移換手続き」を行います。
<主な手続きの流れ>
- iDeCo運営管理機関を決める(証券会社、銀行など)
- 口座開設書類を請求・記入
- 企業型DCの情報を準備(移換関連書類含む)
- iDeCo運営管理機関へ書類を提出(金融機関へ直接または郵送)
- 企業型DCの運営管理機関から資産移換の手続き
- 新規iDeCo口座への資産移行が完了
※実際の金融機関や運営管理機関によって細かい部分は異なる場合があるので、全体像として参考にしてください。
加入者資格喪失の手続きが必要になる場合は、転職前の会社に確認しましょう。
必要な書類は以下のようなものがあります。
- iDeCo加入申込書類
- 本人確認書類
- 企業型DCからの移換に関する書類(加入者等運営管理機関変更届出書など)
- 資産移換に関する書類
個人でiDeCoに加入している場合
会社に企業型DCがなく、すでに個人でiDeCoを利用していた方は「引き続き掛金を拠出するための手続き」を行います。これは「種別変更届」などを提出して、フリーランスとしての加入者情報に切り替える作業です。
<主な手続きの流れ>
- 運営管理機関へ必要な書類(加入者被保険者種別変更届など)を請求
- 書類に必要事項を記入し、運営管理機関に提出(金融機関へ直接または郵送)
- 新しい種別での掛金拠出が開始される
- 国民年金被保険者種別変更届(市区町村役所へ)
- 加入者掛金額変更届(または拠出区分変更届)
- 個人払込の口座振替依頼書(金融機関提出)
無料FP相談を賢く活用して、iDeCoの運用方法を最適化しよう!
iDeCoの掛金上限が大幅に増えるフリーランスですが、今まで会社に任せていた分「どの金融機関を選ぶか」や「手続きはどうするか」など、自分で考えることが多くなります。移管先を選ぶににしても、金融機関ごとに手数料やサービス内容が異なるので、単に「どこでもいい」とは言い切れません。
そんなときこそ、無料のFP相談を活用してみましょう。FPに相談すれば、各金融機関の比較や手数料の差、自分のライフスタイルに合った移換先の選び方まで具体的にアドバイスしてもらえます。

【実際どうだった?】会社員からフリーランスになった人のiDeCoに関する体験談
ここでは、会社員(公務員)からフリーランス転身後もiDeCoを継続した人を対象に、以下の4つの質問を調査しました。
- フリーランスになってから、iDeCoの掛金を変更しましたか?
- 具体的な掛金の増減額を教えてください
- iDeCoの節税効果について、どのように感じていますか?
- iDeCoに関して、フリーランスになってから不安や困ったことがあれば教えてください
フリーランスになってから、iDeCoの掛金を変更しましたか?
「はい」答えた方が69.2%と7割近くの方が掛金の見直しを行ったことがわかります。これはフリーランスとしての収入の変化や、今後の生活設計に合わせてiDeCoの掛金を調整する人が多いことを示しています。
この結果から、掛金額の見直しは一般的に行われていることが分かりました。収入が一定ではないことが多いので、家計の変化や事業の状況に応じて掛金を調整しようとする意識が高いようです。
具体的な掛金の増減額を教えてください

iDeCoの節税効果について、どのように感じていますか?

全体の6割以上(61.5%)の方が「節税効果に満足」と回答していることから、フリーランスでもiDeCoが有効な節税手段だと実感している人が多いことが分かります。
一方で「効果を感じづらい」と回答した人は2割以上(22.2%)でした。掛金額や収入の変動などによっては、節税効果を実感しにくいケースもあると考えられます。
ここからは、実際の回答を詳しくみてみましょう。

40代男性
会社員のときよりも控除額が大きくびっくりです

30代女性
まだ節税効果は実感できてませんが、楽しみです
フリーランスに転身して間もないため、まだ実際の節税効果は数字で実感できていません。会社員の頃には給与天引きで完結していたので、そこまで気に留めていませんでしたが、これからは確定申告でどれくらい節税できているのか確認できるのが楽しみです。

40代男性
所得控除による節税効果が大きいです
やはり何といっても所得控除による節税効果が大きいですね。最近は、ネット上に節税シミュレーションツールがあるので、どれくらい節税できるのかがすぐわかって助かります。シミュレーションをしてみると「少し掛金を増やすだけでこんなに税金が減るんだ!」と、自分の家計状況に合わせた調整がしやすくなっていると感じます。
iDeCoに関して、フリーランスになってから不安や困ったことがあれば教えてください

40代男性
引き落としが心配になります
フリーランスになると、会社員時代のように決まった給料日がなくなるので「今月の掛金の引き落とし、大丈夫かな…?」と心配になることも多いです。なので、引き落とし用のお金は別口座にプールして、スマホのリマインダーで引き落とし日を管理し、うっかり忘れを防ぐようにしています。

30代女性
この先も安定して続けられるのかな…?と不安
ありがたいことに、継続案件が増えてきたので、もう少し掛金を増やしてみようかな?とも思っています。でも、会社員とは違って毎月の収入がはっきり読めるわけではなく、この先も安定して続けられるのかな?と不安も常につきまといます。iDeCoは将来の備えとして大事だけど、生活に負担をかけない範囲で無理なく続けたい。そんな気持ちの間で、いつも揺れ動いています。

40代男性
厚生年金から外れたこと
会社を辞めて厚生年金から外れたことで、将来の年金額が大きく減ると実感しています。だからこそ、老後の生活費は自分で備えなきゃ!とiDeCoをはじめ、老後資金の確保に注力するようになりました。正直なところ不安はまだ消えませんが、少しでも安心材料を増やしたい一心で、日々の仕事を前向きに取り組むようになっています。
【まとめ】フリーランスになったらiDeCoの手続きも忘れずに行おう

これまで、フリーランスになった際に必要なiDeCoの変更点やその手続きについて解説してきました。
フリーランスになったら、収入の変化や働き方の自由度が増す一方で、社会保障や年金に対する不安も出てきます。会社員時代とは違って、掛金上限や確定申告、金融機関の手続きなど変わることが盛沢山です。
ですが、忘れてしまうと将来の年金準備が計画通りに進まないリスクがあるので、転身後は必ずiDeCoの手続きも見直すようにしましょう。
一人で問題を解決できないときは、FP相談を利用してみてください。特に「マネーキャリア」に所属するFPは、iDeCoの仕組みや手続きの流れをわかりやすく整理してくれるだけでなく、掛金や移換先の比較、将来設計まで丁寧にサポートしてくれます。
ぜひ一度「マネーキャリア」を活用して、iDeCoをもっと自分に合った形に整えていきましょう!

フリーランスになってから、すべて自分で手続きをすることになり、正直最初は不安でした。実際に確定申告でiDeCo分の所得控除を適用してみると「こんなに税金が減るの⁉︎」とびっくり。会社員のときよりも控除のインパクトを強く感じています。節税の仕組みを自分の手で実感できるのは、フリーランスの面白さでもありますね。