
内容をまとめると
- 産休手続きでは、産休取得の意思表示や産前産後休業届の提出、社会保険料の免除申請など自分でやることも多い
- 育休取得には雇用保険の加入や勤務期間などの条件があり、育児休業申出書の提出や育児休業給付金の申請も必要である
- 産後パパ育休など新しい制度もあり、家族全体で育児を支える環境が整いつつある
- 産休手続きで自分でやることやスケジュール管理に不安を感じる方は、全国3,500人以上のFPが在籍し、相談満足度98.6%のマネーキャリアへの相談ががおすすめ

この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 産休手続きで自分でやることはある?
- 産休と育休の違いは?
- 産休とは
- 育休とは
- 産後パパ育休もある
- 産休の手続きで自分でやること一覧と手続き方法
- 会社への報告と産休を取得する意向を伝える
- 産前産後休業届の提出
- 産休中の社会保険料の免除手続き
- 住民税の支払方法の確認
- 出産後にすべき手続き一覧と手続き方法
- 出産後は出産育児一時金の申請
- 出産手当金の申請
- 育児休業の届け出
- 育児休業給付金の申請
- 産後パパ育休を利用する父親がすべき手続き
- 会社に産後パパ育休を取得する意向を伝える
- 勤務先指定の申請書を提出
- 産後パパ育休給付金の申請
- 産休育休手続きの必要書類やスケジュールに迷ったらFPへ相談しよう
- 産休手続きで自分でやることに関するよくある質問
- パートでも産休手続きで自分でやることはありますか?
- 産休手続きを会社がしてくれません。
- まとめ
産休手続きで自分でやることはある?
産休を取得する際、会社が手続きを代行する部分もありますが、自分でやることも少なくありません。
まず、産休を取得する意向を職場に伝え、産前産後休業届(産休申請書)を提出する必要があります。
また、産休中の社会保険料の免除申請も本人が関わる重要な手続きです。
これらの手続きは、出産後の給付金申請や育休の申請に影響するため、早めに取り掛かり、可能な限り事前に準備しておくと安心です。
特に初めて産休を取る場合は、申請書類の書き方や提出先を事前に確認し、不明点は会社の人事担当者に相談しましょう。
産休と育休の違いは?
産休と育休は、どちらも出産や育児に関わる休業制度ですが、以下に違いがあります。
- 対象者
- 取得できる期間
- 目的
ここでは、それぞれの特徴をわかりやすく解説し、さらに近年注目されている産後パパ育休についても紹介します。
産休とは
産休は産前産後休業とも呼ばれ、出産前後に女性労働者が取得できる休暇です。
産前休業は出産予定日の6週間前から取得可能で、妊娠中の体調管理や出産準備のための期間です。
産後休業は出産翌日から8週間が原則で、母体の回復を目的に法律で取得が義務付けられています。
ただし、産後6週間を過ぎて医師の許可があれば、働くことも可能です。
産休中は給与が支払われないことが多いですが、健康保険から出産手当金が支給される制度もあります。
産休は女性のみが対象で、正社員だけでなくパートや契約社員も取得できます。
育休とは
育休は育児休業のことで、子どもの養育を目的に男女問わず取得できる休暇です。
産休終了後の翌日から子どもが1歳になる前日までが基本の取得期間で、保育園に入れないなどの事情があれば最長2歳まで延長可能です。
育休の取得には、同じ会社で一定期間以上働いているなどの条件があります。
育児休業中は会社から給与の支払いはありませんが、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
育児休業給付金は、育児に専念するための休業期間中の収入を一部補うもので、生活の支えになる重要な制度です。
育休は男女ともに取得でき、働きながら子育てを両立しやすくするための制度として広く注目されています。
育児休業の主な取得条件は以下のとおりです。
- 子どもが1歳6ヶ月になるまでに、雇用契約が終了しないことが明確である
- 育児休業開始前の2年間で、賃金支払基礎日数が11日以上の月が12ヶ月以上ある
- 男女を問わず、1歳未満の子どもを育てている労働者
- 正社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員などの有期雇用労働者も条件を満たせば取得可能
- 日雇い労働者は対象外
- 労使協定により、入社1年未満や週の所定労働日数が2日以下の労働者は対象外になる場合がある
産後パパ育休もある
産後パパ育休は、2022年に新設された出生時育児休業という制度で、赤ちゃんの誕生後8週間以内に最大4週間まで分割して取得可能です。
例えば、赤ちゃんが生まれてすぐに2週間休み、数週間後に残りの2週間を取得することもできます。
産後パパ育休は、母親の産後休業とは別に取得でき、父親が育児に参加しやすくするための制度です。
休業中は出生時育児休業給付金が支給されるため、経済的な負担を軽減してくれます。
さらに、労使協定が結ばれていれば、休業期間中でも最大10日間まで働くことが可能です。
ただし、就業できる日数や時間には上限があり、例えば4週間すべて休む場合は就業は10日以内に制限されます。
産後の母親の体調が安定するまでパパがしっかりサポートできるため、育児の負担を分散させる効果が期待されます。
産休の手続きで自分でやること一覧と手続き方法
産休をスムーズに取得するためには、会社への報告から必要書類の提出、社会保険料の免除手続きまで複数のステップがあります。
この章では、自分で行うべき手続きとその具体的な方法についてわかりやすく解説します。
会社への報告と産休を取得する意向を伝える
産休を取得するには、まず妊娠が分かった時点でできるだけ早く会社に報告しましょう。
報告は直属の上司や人事担当者に対して口頭やメールで行い、産休の開始予定日や復帰予定日を伝えます。
早めの報告は、会社側が業務調整や後任の手配を行うために必要です。
また、産休取得の意向をはっきり示すことで、会社の理解やサポートを得やすくなります。
報告後は、会社の規定や申請期限を確認し、必要な書類の準備を進めましょう。
産前産後休業届の提出
産前産後休業届は、産休を正式に申請するための重要な書類です。
多くの会社では専用の申請書が用意されており、出産予定日や休業開始・終了日を正確に記入して提出します。
産前産後休業届は労働基準法に基づくもので、提出することで産休中の法的保護や給付金の申請が可能になります。
提出期限は会社によって異なりますが、産休開始前に余裕をもっての提出が望ましいです。
書類の書き方に不安がある場合は、人事担当者に相談して確認しましょう。
産休中の社会保険料の免除手続き
産休期間中は、健康保険や厚生年金の保険料が免除される制度があります。
免除を受けるには、会社から配布される産前産後休業取得者申出書に必要事項を記入し、会社を通じて年金事務所に提出します。
産休中の社会保険料免除は健康保険と厚生年金保険の両方に適用されるため、この申出書1つで両方の免除申請が可能です。
提出は以下のいずれかの方法で行います。
- 電子申請
- 郵送
- 窓口での受付
手続きを行うと、産休中に保険料を支払わなくても将来の年金額に影響が出ません。
免除期間は産休開始月から終了日の翌月まで適用されるため、早めに手続きを行いましょう。
なお、出産予定日や休業期間に変更があった場合は、変更届の提出が必要です。
住民税の支払方法の確認
産休中も住民税の支払義務は続きますが、給与が減るため支払方法の確認が必要です。
一般的には以下の3つの支払方法があります。
支払方法 | 内容 |
---|---|
特別徴収 | 毎月の給与から住民税を天引きする方法で、 会社が納税を代行する |
一括天引き | 産休前の最後の給与から、 6月以降の住民税をまとめて天引きする方法 |
普通徴収 | 給与が支払われない産休期間中は会社が天引きできないため、 自分で納付書を使って支払う |
特別徴収は、産休前までは毎月の給与から数千円ずつ住民税が天引きされているケースが一般的です。
一括天引きでは、例えば5月に産休に入る場合、6月以降の住民税をまとめて5月の給与から控除されるケースがあります。
普通徴収の場合は、産休中に給与が支払われないため会社が天引きできず、市区町村から送られた納付書を使って、以下の4回に分けてコンビニや金融機関で自分で支払います。
- 6月
- 8月
- 10月
- 翌年1月
産休に入る時期や会社の対応によって、住民税の支払方法が異なります。
事前に人事や経理担当者に確認し、必要に応じて支払いのための費用を確保しておきましょう。
出産後にすべき手続き一覧と手続き方法
出産後は赤ちゃんの誕生を喜びつつも、様々な公的手続きを期限内に行う必要があります。
特に出産費用や休業中の生活を支えるための給付金申請は、忘れずに進めなければなりません。
ここでは、出産後に自分でやるべき主な手続きとその方法について解説します。
出産後は出産育児一時金の申請
出産育児一時金は、出産にかかる経済的負担を軽減するための制度です。
被保険者本人や被扶養者が妊娠85日以上で出産した場合、子ども1人あたり原則50万円が健康保険から支給されます。
申請方法は、以下の3種類です。
申請方法 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
直接支払制度 | 医療機関が健康保険に直接請求し、 出産育児一時金が医療機関に支払われる仕組み | ・出産費用を窓口で立て替える必要がない ・多くの医療機関で利用可能 ・費用が支給額より少ない場合は差額が後日振込まれる。 |
受取代理制度 | 被保険者が請求手続きを行い、 医療機関が出産育児一時金を代理で受け取る制度 | ・小規模な医療機関で利用される ・事前に健康保険組合へ申請が必要 ・出産予定日の2ヶ月前から申請可能。 |
直接申請 (償還払い) | 被保険者が出産費用を一旦全額支払い、 後から健康保険組合に申請して払い戻しを受ける方法 | ・出産後2年以内に申請が必要 |
直接支払制度は多くの医療機関で利用でき、出産費用を窓口で立て替える必要がありません。
費用が支給額より少ない場合は差額が後日振り込まれます。
受取代理制度は小規模な医療機関向けで、事前に健康保険組合へ申請し、医療機関が保険請求を代行します。
直接申請は出産費用を一旦自分で支払い、後から健康保険組合に申請して払い戻しを受ける方法です。
海外出産やクレジットカードのポイント還元を狙う場合に選ばれます。
申請書は原則本人が記入し、双子など複数児の場合は1枚の申請書でまとめて申請できる組合もあります。
出産予定の医療機関で利用可能な申請方法を事前に確認しておきましょう。
出産手当金の申請
出産手当金は、産休中の収入を補うための給付金で、健康保険から支給されます。
勤務先の健康保険に被保険者として加入している女性で対象で、パートやアルバイトの方も条件を満たせば受給できます。
一方、夫などの被保険者の扶養に入っている扶養家族の場合は、支給対象外です。
妊娠4ヶ月(85日)以降に出産し、その間無給または給与が減額されている場合に利用できます。
申請には健康保険出産手当金支給申請書が必要で、被保険者情報だけでなく医師や助産師の証明欄もあるため、退院までに医療機関に記入を依頼しておくとスムーズです。
申請書は会社から渡されることが一般的ですが、協会けんぽのウェブサイトからもダウンロードできます。
産後56日以降にまとめて申請し、一括で受け取るのが一般的です。
出産予定日より遅れて出産した場合、遅れた日数も支給対象になりますが、帝王切開などで早く出産した場合は、出産日を基準に期間が計算し直される場合があります。
育児休業の届け出
育児休業を取得するためには、開始予定日の1ヶ月前までに会社へ申し出ましょう。
その後、育児休業等取得者申出書を会社に提出します。
育児休業等取得者申出書を会社が年金事務所に提出すると、育休中の社会保険料の免除手続きも同時に行われます。
育休は原則として子どもが1歳になる前日まで取得できますが、保育園に入れないなどの理由があれば、最長で2歳まで延長が可能です。
育休を延長する際には、その都度育児休業等取得者申出書の提出が必要です。
育児休業給付金の申請
育児休業中は原則として会社から給与が支払われないため、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
育児休業給付金は、休業開始から180日目までは休業開始前の賃金の67%、181日目以降は50%が支給されます。
支給期間は原則として子どもが1歳の誕生日を迎える前日までですが、延長条件を満たせば最長2歳まで支給されます。
育児休業給付金の申請は、本人の代わりに会社が育休中に行うのが一般的です。
会社から郵送される以下の書類に記入し、期限内に返送しましょう。
- 育児休業基本給付金支給申請書
- 育児休業給付受給資格確認票
ただし、会社によっては自分でハローワークへ申請するよう指示される場合もあるため、事前に確認し、スケジュールに余裕をもって手続きを進めることが大切です。
支給は2ヶ月ごとに行われるため、初回の支給までの生活費は事前に確保しておきましょう。
産後パパ育休を利用する父親がすべき手続き
2022年に導入された出生時育児休業、いわゆる産後パパ育休は、父親が育児に参加しやすくなるよう設計された制度です。
出生時育児休業制度を利用するには、いくつかの手続きを会社とハローワークで行う必要があります。
ここでは、父親が産後パパ育休を取得するためにすべき手続きについて解説します。
会社に産後パパ育休を取得する意向を伝える
産後パパ育休を取得したい場合、まず会社の上司や人事担当者に意向を伝えましょう。
同時に以下の2点を確認します。
- 会社の就業規則で産後パパ育休の取り扱いがどのように定められているか
- 社内の手続きの流れ
勤務先指定の申請書を提出
産後パパ育休の申請には、原則として休業開始予定日の2週間前までに、育児休業申出書など会社所定の書式を提出する必要があります。
会社によっては独自のフォーマットがある場合もあるため、事前に人事担当者に確認が必要です。
申出書には、以下の内容を記載します。
- 労働者の氏名
- 子供の情報
- 休業開始日と終了日
- 分割取得の有無
産後パパ育休給付金の申請
産後パパ育休期間中は、給与が支払われない代わりに出生時育児休業給付金が雇用保険から支給されます。
支給額は休業開始前の賃金の67%で、産後8週間以内に取得できる育児休業に対して支給されます。
例えば月給が40万円の場合は、以下の計算式と支給額です。
項目 | 計算式 | 給与40万円の場合 |
---|---|---|
休業開始時賃金日額 | (月給×6ヶ月)÷180日 | (40万円×6ヶ月)÷180日=13,333円 |
支給額 | 休業開始時賃金日額×支給日数×67% (支給日数は最大28日) | 13,333円×28日×67%=約25万円 |
月給40万円の方の場合、1日あたりの給付額は約13,333円で、最大28日間の休業に対し約25万円が支払われます。
給付金を受給するには、原則として会社がハローワークへ申請手続きを行います。
必要書類は、主に以下のとおりです。
- 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
- 育児休業給付受給資格確認票・出生時育児休業給付金支給申請書
- 賃金台帳や出勤簿
- 母子手帳のコピー
産休育休手続きの必要書類やスケジュールに迷ったらFPへ相談しよう
産休や育休の手続きは、複数の書類提出や期限管理が必要で、初めての方にはわかりにくいことも多いです。
実際に、産前産後休業届や育児休業申出書、社会保険料免除の申請書など、提出先や期限が異なる書類が多く存在します。
また、育児休業給付金や出生時育児休業給付金の申請には、会社やハローワークへの手続きが必要です。
手続き漏れや遅れは給付金の受給に影響を及ぼすため、事前にスケジュールや必要書類の把握は大切です。
このような複雑な手続きをスムーズに進めるためには、専門家のサポートが役立ちます。
ファイナンシャルプランナーに相談すれば、必要書類の準備や提出期限の確認、申請方法のアドバイスを受けられ、安心して産休・育休を迎えられます。
専門家の助言を活用して、漏れなく効率的に手続きを進めましょう。
産休手続きで自分でやることに関するよくある質問
産休の手続きは会社が主に行いますが、従業員自身が準備や申請を進める場面もあります。
ここでは、パート勤務の場合の手続きの有無や、会社が手続きをしてくれない場合の対応について、具体的なポイントをわかりやすく解説します。
パートでも産休手続きで自分でやることはありますか?
パート勤務でも産休に関する手続きは本人が行う部分がありますが、育児休業を取得するかどうかで手続きの内容は異なります。
産休は出産に伴い母体の健康を守るために取得できる休業で、パート勤務でも労働基準法により認められており、取得が可能です。
産前休業は出産予定日の6週間前から開始でき、産後休業は出産翌日から8週間の期間が法律で定められています。
産休を取得する際は、まず会社に産前産後休業取得者申出書を提出し、産休期間中の健康保険料と厚生年金保険料の免除手続きを行います。
出産手当金の申請も本人が書類を準備し会社に提出するのが一般的です。
ただし、勤務時間や雇用形態によっては社会保険の加入条件を満たさず、産休手当や保険料免除の対象外となる場合もあります。
パートでも産休の権利は平等にありますが、手続きの詳細や給付の対象は勤務形態によって異なるため、早めに会社の担当者に確認しましょう。
産休手続きを会社がしてくれません。
会社が産休手続きを行わない場合は、従業員自身で対応する必要があります。
まずは産休取得の意思を文書で会社に伝え、申請書類の提出を求めましょう。
社会保険料の免除や出産手当金の申請は、会社が手続きをしないと受けられないため、放置すると不利益が生じます。
もし会社が対応しない場合は、健康保険組合や年金事務所に相談し、必要な書類を自分で提出するのも1つの方法です。
また、労働基準監督署に相談すれば、会社に対して適切な指導が入るケースもあります。
産休は法律で認められた権利なので、会社の対応が不十分な場合でも諦めずに専門機関に相談し、適切な手続きを進めることが重要です。
自分の権利を守るために積極的に行動しましょう。