ideco(イデコ)は年払い?一括払い?月払い?メリットや節税効果を比較のサムネイル画像

内容をまとめると

  • iDeCoは月払いだけでなく、年払いや半月払い(年2回払い)にすることも可能になっており、人によってどちらが最適かは異なる。
  • 年払いや半月払いのメリットは、元本を確保する定期預金や保険などの商品を購入する場合で、手数料を節約することができること。
  • 月払いのメリットは、株や投資信託など値動きのある商品を購入する場合で、平均購入価格を平準化させる効果を期待できること。
  • 年払いや半月払いを選択する場合は、手数料削減のため、掛け金を拠出を12月(半月払いの場合は6月も)に設定する。
  • iDeCoを年払いと月払いどっちにするか迷ったら、マネーキャリアの「iDeCoの無料相談窓口」に相談!手数料を最も削減できる方法がわかります。
監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る

この記事の目次

iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)は年(一括)払い?月払い?

こんにちは。マネーキャリア編集部です。


先日20代男性の友人から、こんな相談がありました。

iDeCoは月払いよりも年払いのほうがお得と聞いたけど、本当?

2018年1月より、個人型確定拠出年金(愛称iDeCo=イデコ)の掛金拠出方法として、月払いだけではなく年単位拠出以下、年払い)も選択できるようになりました。


老後の資産形成のためにiDeCo加入を検討している方が年々増えている一方、その仕組みまできちんと理解できている方は少ない印象があります。


また、年単位拠出の取扱いには詳細なルールがあるため、内容を十分確認した上で利用を検討する必要があります。


そこで今回は、iDeCoの掛金の拠出方法(年払い・月払い)を比較したとき、どんな違いがあるのか徹底解説していきたいと思います。


さらに、

  • デメリットや注意点
  • 金額設定のポイント
  • 年払いがおすすめな人
  • 月払いがおすすめな人
なども合わせてご紹介しますので、ぜひご覧ください。

iDeCoの年払いは手数料を削減できる


そもそも「iDeCo」とは、加入者自身で掛け金を支払い(=拠出)運用する私的年金制度のこと。


掛け金と運用益の合計額をもとに、60歳以降に給付を受けることができます。


掛け金は全額が所得控除となり、

  1. 積立時
  2. 運用時
  3. 受取時
といった3つのプロセスでも税負担を軽減することができます。

iDeCoを一言で表すなら、「老後資金に備えることのできる、節税効果の高い投資型の年金制度」です。

ただし、iDeCoは原則60歳まで解約することができないため、若年層など収支に余裕のない方の加入はおすすめできません。


では、本題の年払い・月払いについて解説していきます。


iDeCoの「月払い」とは、加入時に設定した一定額の掛け金を毎月拠出することです。


掛金額は、最低5,000円から1,000円単位で上限まで自由に設定できます。


対して「年払い」は、前述した「年単位拠出」という制度を利用して行います。


収入が増えるボーナス時期など、余裕のある月を指定してまとめて拠出できるというものです。


12月分から翌年11月分までの掛金(実際の納付月は1月~12月)の拠出期間を1年とし、この1年を加入者が任意に区分します。


この任意に区分した期間を「拠出区分」といいます。


たとえば、

  • 12月~5月
  • 6月~11月
を拠出区分(納付月は6月と12月)とし、年2回掛金を納付すると決めるような形です。


掛金額は、「5,000円×拠出区分の月分」の金額以上・当該拠出限度額以下で、1,000円単位で設定できます。


なお、一か月あたりの掛金額が5,000円以上であれば、毎月の掛金は拠出限度額の範囲内で、その月によって増減させることも可能です。(例:1月は8,000円、2月は1万円など)


注意点として、年払いは拠出月や金額などを「100%自由には設定できない」ルールとなっているため、後述する【iDeCoを年払いするデメリット・注意点】も合わせてご覧ください。

「加入者月別掛金額登録・変更届」を作成

年払いを利用するために必要な手続きについて説明していきます。


年払いを利用する場合は、あらかじめ加入者月別掛金登録・変更届を作成し、提出する必要があります。


加入者月別掛金登録・変更届」とは、事前に拠出の年間計画を設定するための届出書類です。


この書類は、iDeCo公式HPでダウンロードまたは問い合わせ窓口で取り寄せできます。

年払いは手数料を削減できる

年払いの主なメリットとして、手数料を軽減できるという特徴があります。


実は、iDeCoで専用口座を開設すると次の図表の通り各種手数料が発生します。


■表1:iDeCoの手数料

支払い時期支払先金額
①初期費用加入時・移換時国民年金基金連合会2,829円
②国民年金基金連合会
手数料
運営期間中
(掛金を納付する都度)
国民年金基金連合会月額105円
③事務委託手数料運営期間中
(毎月)
事務委託先金融機関
(信託銀行)
月額66円程度
(金融機関により異なる)
④口座管理料運営期間中
(毎月)
運営管理金融機関月額無料~450円程度
(金融機関により異なる)
⑤給付手数料給付時
(給付の都度)
事務委託先金融機関
(信託銀行)
440円

このうち、②国民年金基金連合会手数料は掛金を納付する度にかかるものなので、掛金の納付回数を減らせば手数料負担も軽減できます。


すなわち、年払いのほうが月払いよりも手数料を減額できるということです。

たとえば、月払いの場合

105円×12か月=1,260円

掛金を納付するだけで年間手数料が1,260円もかかります。

一方、年払いなら年1回の納付で105円、年2回の納付で210円と、手数料をぐっと抑えることができます。

iDeCoの掛金は60歳まで長期的に支払い続けていくものなので、手数料を削減することはとても重要なポイントとなります。

ただし、株や投資信託など値動きのある商品を購入する場合、年払いで納付回数を減らしすぎると価格変動リスクを受けやすくなるため注意が必要です。

この価格変動リスクを抑えるためには、定期的に金融商品を購入し続け、購入単価を平準化させる投資方法を用いるのが効果的です。

この投資方法を「ドルコスト平均法」といいます。

ドルコスト平均法を用いて金融商品を購入し続けると、価格が安いときの購入量は多くなり、高いときの購入量は少なくなります。

iDeCoは掛け金の拠出日が翌月26日と決まっているため、有利な相場を狙って購入することはできません。

ドルコスト平均法で平均購入単価を平準化させたいといった方は、月払いが向いているでしょう。

iDeCoの年払いと月払いを比較

iDeCoの年払いと月払いの概要を、次の表を見ながら比較していきましょう。


■表2:iDeCoの年払いと月払いの比較

年払い月払い
納付頻度年1回以上
加入者が任意で選択可能
毎月
最低額「5,000円×拠出区分の月分」
の金額以上
1,000円単位で自由に設定可能
月5,000円以上
1,000円単位で自由に設定可能
拠出限度額加入資格の区分※により異なる
1か月あたりの限度額
×拠出区分の月数
加入資格の区分※により
月1万2,000円~
6万8,000円
使わなかった拠出額の取り扱い次回以降の拠出限度額に
繰り越し可能
繰り越し不可
国民年金基金連合の手数料1回の納付につき105円毎月105円
(年1,260円)

※加入資格の区分=年金の第1号~第3号被保険者の区分のこと


それぞれ詳細に解説していきます。

①掛金額の最低額と限度額

掛金額の最低額は、

  • 年払い:「5,000円×拠出区分の月分」の金額以上
  • 月払い:月5,000円以上
で、それぞれ1,000円単位で自由に設定できることに決まっています。

年払いの最低掛金額「5,000円×拠出区分の月分」の金額以上とは、

5,000円(月間最低金額)×月数


よりも高い金額という意です。

②拠出限度額

掛金の上限は、会社員や公務員、自営業、専業主婦(夫)など加入者の職業等、すなわち加入資格の区分により異なります。


■表3:iDeCoの拠出限度額

第1号被保険者
(自営業者など)
第2号被保険者
(会社員)
第2号被保険者
(公務員・私立学校教員)
第3号被保険者
(専業主婦・夫)
月額6万8,000円【企業年金等に加入】
・企業型確定拠出年金のみ:月額2万円
・企業型確定拠出年金以外に加入:月額1万2,000円
【企業年金等に加入していない】
月額2万3,000円
月額1万2,000円月額2万3,000円

③使わなかった拠出額の取り扱い

使わなかった拠出額」とはどういうことなのか、説明していきます。


これは、実際の掛金額が拠出区分の限度額より少額だったとき、その差額は次回以降の拠出区分の拠出限度額に繰り越すことができるというものです。


たとえば、企業年金等に加入していない会社員の人の場合、ひと月の拠出限度額は2万3,000円と決まっているため、仮に拠出区分を6か月とすると、半年間で13万8,000円まで掛け金を積み立てることができます。

2万3,000円(一か月あたりの拠出限度額)×6か月=13万8,000円


年2回、6月と12月に掛け金を納付すると決めた場合、最初の6月の拠出限度額は上の通り13万8,000円になります。


しかし、もし実際に支払った掛金額が10万円だった場合、上限の13万8,000円との差額である3万8,000円は次の拠出区分に繰り越すことができるのです。

13万8,000円(6月の拠出限度額)-10万円(実際に支払った掛金額)=3万8,000円(差額)

つまり、次の納付月である12月の拠出限度額は、

13万8,000円(6月の拠出限度額)+3万8,000円(差額)=17万6,000円(12月の拠出限度額)

になるということです。


なお、使わなかった拠出額は翌年に繰り越すことはできません。


iDeCoでは、使わなかった拠出額の取り扱いにおいて

  • 年払い:繰り越し可
  • 月払い:繰り越し不可
となっています。

④国民年金基金連合の手数料

■表1:iDeCoの手数料でもご紹介したとおり年払いと月払いでは、国民年金基金連合会に支払う手数料にも大きな差が出てきます。


■表4:国民年金基金連合手数料における年払いと月払いの比較

年払い月払い
1月0円105円
2月0円105円
3月0円105円
4月0円105円
5月0円105円
6月0円105円
7月0円105円
8月0円105円
9月0円105円
10月0円105円
11月0円105円
12月105円105円
合計105円1,260円


このように年単位拠出をまとめて拠出することで、国民年金基金連合会に支払う手数料を最大で年間105円にまで抑えることができます。

iDeCoを年払いするデメリット・注意点


ここまでご覧いただいた方は、


「月払いよりも年払いのほうが圧倒的にお得じゃん!」


と思うかもしれません。


ですが、ここに初心者がハマりやすい落とし穴が潜んでいます。


年払いの主なデメリットは次の2つです。

  1. ドルコスト平均法の効果は低い
  2. 前納することはできない

これらをしっかり把握したうえで、年払いを検討するようにしましょう。

①ドルコスト平均法の効果は低い

前述した「ドルコスト平均法」。


毎月決まった金額を定期的に拠出することで、平均購入価格を抑える効果が期待できる投資手法の1つだとご紹介しました。


「月払い」なら毎月自動的に同じ金額で投資できるため、高いときは少なく、安いときは多く買うといった投資を続けることができます。


ところが「年払い」を利用すると拠出の回数が年1回、年2回と少なくなるため、ドルコスト平均法の効果を得ることができません。


時期によっては大きな損を被るリスクがあるため、値動きのある株や投資信託を購入する場合は月払いをおすすめします。

②前納することはできない

冒頭で、『年払いは拠出月や金額などを「100%自由には設定できない」ルールとなっている』と述べましたが、その理由はここにあります。


年払いは原則、掛金を前納することができず、経過した月の分のみ納付できる仕組みになっています。


つまり、年初に1年分を前払いしておくことはできませんが、1・2・3月分をまとめて3月に支払うことは可能ということです。


また、年末に1年分まとめて支払うこともできます。


これは手数料を削減するという意味では効果的ですが、言い換えれば積み立てを先送りするということ。


もし引き落としがかからなかった納付額は繰り越すことができず、その年の拠出はなかった事になってしまうのです。


毎年いつ引落としになるのかしっかりと確認しておき、引き落とし日までに必ずまとまったお金を準備するようにしましょう。

iDeCoを金額設定するためのポイント

ここまでご紹介した内容をふまえ、金額設定をする時には次のポイントを意識してみましょう。

  • 年払いなら12月に掛金を拠出する
  • 半月払いにしたいときは6月・12月に掛金を拠出する

年払いなら12月を掛金にする

「年払い」を選択したい場合は、限度額がMAXまで積みあがっている「12月」に掛け金を拠出するのが無難です。



半月払いにしたいときは6月・12月

「半月払い(年2回払い)」にしたい場合は、6月・12月など「後半寄り」にするのが堅実的だといえます。


ボーナスなどで拠出額を増額をしたい場合も、半月払いと同様に6月・12月に設定するのが無難です。


注意点として、年の途中にiDeCoに加入した方は「最初の1年目のみ、加入した月から積みあがった分までしか拠出できない」といったルールがあります。


たとえば、

  • 企業年金等に加入していない会社員
  • 1か月あたりの拠出限度額:2万3,000円
  • iDeCoに加入した期月:7月

といった条件で試算してみると、12月に年払いできる金額は

2万3,000円(1か月あたりの拠出限度額)×6(7~12月の6か月分)=13万8,000円

13万8,000円となります。

iDeCoで年払いがおすすめな人・月払いがおすすめな人

ここまで月払いと年払いの特性を理解できたと思うので、次は家計状況を把握し、投資の方向性を決めていきましょう。


iDeCoは老後資金に備えるための制度ではありますが、月々の家計を圧迫するような拠出の仕方を続けていては日々の生活が苦しくなってしまいます。


そのうえで、月払いと年払いのどちらが自分に向いているのか比較検討してみてください。


早速、

  • iDeCoで年払いがおすすめな人
  • iDeCoで月払いがおすすめな人
をご紹介していきたいと思います。

iDeCoで年払いがおすすめな人

iDeCoの年払いがおすすめなのは

  • 手数料を抑えたい人
  • 値動きのない元本確保型中心の人
となります。

ここまでのおさらいにはなりますが、年払いには月払いよりも掛金の納付回数を減らせるため、「納付毎にかかる国民年金基金連合会手数料を軽減できる」というメリットがありました。

ですので、「毎月かかる手数料を抑えたい!」といった方は年払いのほうが向いているといえるでしょう。

また、年払いには「ドルコスト平均法の効果を得にくい」といったデメリットがあるとご紹介してきました。


値動きのない元本確保型を中心に購入したいといった投資の方向性をお持ちであれば、年払いがおすすめできます。


元本確保型」とは、読んで字のごとく積み立てた元本(もとでとなるお金)が確保される商品のことをいい、具体的には「定期預金」や「保険」などが挙げられます。


元本割れのリスクがない反面、低金利では資産を大きく増やせないというデメリットがあります。


「どうしても元本が減るのは嫌だ……」という方であれば、元本確保型の商品だけで手堅く運用してみてはいかがでしょうか。

iDeCoで月払いがおすすめな人

iDeCoの月払いがおすすめなのは

  • 値動きのある商品を購入する人
  • 平均購入単価を平準化させたい人
となります。

元本確保型ではなく「元本変動型」、すなわち株や投資信託など値動きのある商品を積極的に購入したいという方は、月払いのほうが向いています。

さらに、月払いの場合ドルコスト平均法を用いることができるため、平均購入価格を平準化させる効果が期待できます。

ぜひ、年払いと月払いでどちらにしようか迷っている方は、判断のヒントにしていただけると幸いです。

資産運用について迷ったらお金のプロに相談すべき理由

ここまで、iDeCoの拠出方法(年払い・月払い)について詳細に解説してきました。 


とはいえ、

「どんな商品で運用すればいいかわからない…」「年払いと月払いどちらを選べばいいかわからない…」

このような悩みを抱える方は多いでしょう。


結論から言うと、そのようなお悩みをお持ちの方は、お金のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。


FPは、iDeCoに限らず様々な金融商品を比較しながら、相談者の資産状況や家計の状況、投資の方向性などに合わせて最適な提案をすることができます。


特に、マネーキャリアの無料FP相談サービスは、3,000名のFPと提携している日本最大級のFP相談サービスなのでおすすめです。


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まとめ:自分に合った支払方法を選択しよう

いかがでしたでしょうか。


今回は、iDeCoの掛金の拠出方法(年払い・月払い)を比較したとき、どんな違いがあるのかについて解説してきました。


主な違いは、■表2:iDeCoの年払いと月払いの比較にまとめましたのでぜひ改めてご覧いただければと思います。


では、この記事のポイントを見て復習してみましょう。

  • iDeCoの年払いは手数料を削減できる
  • 年払いの主なデメリットは「ドルコスト平均法の効果を得られない」「掛金を前納できない」の2つ
  • 金額設定するためのポイントは「年払いにしたいときは12月」「半月払いにしたいときは6月・12月
  • 年払いが向いている人は「手数料を抑えたい人」「値動きのない元本確保型中心の人
  • 月払いが向いている人は「値動きのある元本変動型中心の人」「平均購入単価を平準化させたい人
  • 資産運用について迷ったら「マネーキャリアの無料FP相談サービス」に相談しよう

iDeCoは原則60歳まで解約することができないため、若年層など収支に余裕のない方が安易に加入することはとてもリスキーです。

さらに、iDeCoの掛金は長期的に支払い続けていくものなので、掛金の拠出方法(支払い方法)の選択はとても重要なポイントになります。

「どっちでもいいや」ではなく、きちんとそれぞれの特性を理解したうえでご自身に合った拠出方法を選ぶようにしましょう。

マネーキャリアでは、他にも読んで頂きたい記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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