
- 結論、先進医療特約は、利用頻度の低さから特約はいらないといわれることも多いです。
しかし、先進医療の技術料は高額になるケースも多いため、実際の給付条件や特約の内容を理解したうえで判断することが大切です。

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
医療保険の先進医療特約とは?
先進医療とは厚生労働省が認めた高度な医療技術を指し、先進医療に対して医療保険やがん保険に付帯することができる特約のことを「先進医療特約」といいます。
厚生労働省によると、先進医療は令和7年5月1日現在で76種類認められており、自由診療との費用負担の比較は以下の表の通りです。
先進医療 | 自由診療 | |
---|---|---|
先進医療に係る費用 | 全額自己負担 | 全額自己負担 |
通常の治療と 共通する部分の費用 | 保険適用 | 全額自己負担 |
また、先進医療特約では厚生労働省の認可を受けた先進医療の技術料が保障され、保障の上限は、1回あたり1,000万円まで、通算2,000万円までが一般的です。
先進医療と認定される医療技術や医療機関は随時見直しが行われているので、保険の加入時に認定されていなくても、治療を受けた時点で認定されていれば特約の対象となります。
先進医療特約がいらないと言われる理由は?デメリットを解説
先進医療特約がいらないと言われる理由には以下の2つが挙げられます。
- 先進医療を利用する確率は非常に低い
- 先進医療を利用できる病院は限られている
これらは先進医療特約のデメリットともいえる部分です。
どのようなデメリットがあるのか理解したうえで、特約を付帯するか検討しましょう。
先進医療を利用する確率は非常に低い
先進医療特約がいらないと言われる理由の1つとして、先進医療を利用する確率は非常に低い点が挙げられます。
2017年から2021年の5年間における先進医療の患者数は以下の通りです。
患者数 | |
---|---|
2017年 | 32,984人 |
2018年 | 28,539人 |
2019年 | 39,178人 |
2020年 | 5,459人 |
2021年 | 5,843人 |
2019年から2020年にかけて患者数が減少しているのは、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」が先進医療から外れたことが大きいと考えらえます。
このように、先進医療の対象となる医療技術の見直しの結果によっては、大きく患者数が変化するため、現状では先進医療を受ける確率は低いと言えるでしょう。
先進医療を利用できる病院は限られている
先進医療を利用できる病院が限られているという点も、先進医療特約がいらないと言われる理由の1つです。
先進医療は、厚生労働大臣が認めた特定の医療機関でのみ実施が可能なため、住んでいる地域によっては受けたい先進医療に対応している病院がない場合もあります。
遠方の病院で治療を受ける場合、先進医療の技術料は特約でカバーできても、交通費や宿泊費、家族の滞在費などは自己負担です。
このように、実際に先進医療を利用するには、地理的な制約や追加の費用負担が発生する可能性があるため、先進医療特約の必要性が低いと考える人もいます。
先進医療特約の必要性とは?メリットを解説
一方で、先進医療特約は以下の点から必要と考える人も少なくありません。
- 先進医療の自己負担額は高額
- 先進医療特約の保険料は安価
これらは先進医療特約のメリットと言えます。
デメリットだけでなく、メリットも理解したうえで、自分に先進医療特約が必要なのか検討していきましょう。
先進医療の自己負担額は高額
先進医療の自己負担額は高額になる傾向がある点が、先進医療特約が必要と考える理由の1つです。
先進医療では、入院料や診察料などは保険適用ですが、先進医療の技術料は自己負担となります。
治療の内容によっては数万円の技術料で済む場合もありますが、がんの放射線治療の一種である陽子線治療や重粒子線治療は数百万円単位での費用がかかります。
この費用を全額自己負担で賄うのは簡単なことではありません。
少しでも自己負担分を減らすために、先進医療特約は有効な選択肢の1つと言えます。
先進医療特約の保険料は安価
先進医療特約が必要と考える理由の1つは、先進医療特約の保険料が安価という点が挙げられます。
先進医療特約の保険料は、多くの保険会社で月々100円~数百円程度に設定しています。
わずかな月々の保険料で、数百万円に達する可能性がある先進医療の技術料を保障できるため、ある程度の費用対効果が期待できるでしょう。
保険料が安い理由としては、先進医療を受ける人の割合が少なく、保険金支払いの発生頻度が低い点が考えられます。
医療保険に先進医療特約を利用する際の注意点3つ
医療保険に先進医療特約を利用する際に、注意するポイントは以下の3つです。
- がん保険ではなく医療保険に先進医療特約を付ける
- 上限金額と支払われ方に注目
- 更新型か終身型かを確認する
安心して保障が受けられる特約を選ぶためにも、これらの3つのポイントに注意して特約を付帯するようにしましょう。
がん保険ではなく医療保険に先進医療特約を付ける
先進医療特約を付帯する保険は、がん保険ではなく医療保険に付帯しましょう。
医療保険は公的保険制度の対象になる病気のほとんどが、保障の対象になっています。それに対して、がん保険は保障対象はがんに限られています。
先進医療特約をがん保険に付帯した場合、がんの治療で先進医療を受ける時にしか先進医療特約を使うことが出来ないのです。
治療の選択肢を増やす目的で先進医療特約を付けるのであれば、医療保険につけた方が良いでしょう。
また、基本的に一つの保険会社で先進医療特約は重複してつけられません。もし複数の契約に先進医療特約をつけている場合、重複して支払われません。保険料が無駄になってしまうので、加入時にどの契約に付帯するのが良いのか、確認しましょう。
上限金額と支払われ方に注目
先進医療特約には支払い額の上限が定められています。
- 1回あたり1,000万円まで
- 通算2,000万円まで
というのが一般的です。超えることはよっぽど無いと思いますが、自分の先進医療特約がどのようになっているかは確認しておきましょう。
給付金の支払われ方も注意が必要です。先進医療特約の給付金の支払われ方には
- 一度立て替えて医療機関へ支払う
- 振り込まれた給付金を医療機関へ支払う
- 保険会社から医療機関へ直接支払い
こちらの3種類があります。
給付金請求は、領収書を付けて保険会社へ給付金を請求するのが一般的です。そのため、医療機関への支払いを立て替える必要があります。大きな金額の時は、なかなか厳しいでしょう。
医療機関からの請求書を付けて保険会社へ請求する方法もあります。この場合、立て替える必要はありませんが、被保険者の銀行口座に振り込まれたお金を医療機関へ支払うというひと手間があります。
まだ数は少ないですが、保険会社から医療機関へ支払いをしてくれる方法もあります。立て替える必要も振り込む手間も無くてとても便利です。病気の治療で大変な時は、気をわずらわせることは少ない方が良いですね。
給付金がどのように支払われるのかも確認して選びましょう。
更新型か終身型かを確認する
先進医療特約には更新型と終身型があります。
それぞれの違いはこちらです。
- 更新型:定期的に保険料や保障内容が変わる。最後は保障が切れることが多い。
- 終身型:一生涯保障が続く。
更新型は定期的に更新時期が訪れ、その際に保険料や保障内容が変わります。基本的に、年齢を重ねるにつれて保障内容は下がり、保険料は上がる傾向があります。
また、更新型は更新を続け、最後は年齢とともに保障が切れることが多いです。保障内容や更新時期をしっかり確認しましょう。
終身型は加入時の保障が、一生涯続きます。稀に、主契約の医療保険は終身保障なのに、特約だけ80歳で切れてしまうというものもあります。確認しておきましょう。
先進医療特約についてお悩みならマネーキャリアに相談するのがおすすめ
先進医療特約についてお悩みであれば、専門家であるFPへ相談をしましょう。
FPに相談することで、今後のライフプランや過去の病歴をもとに、一人一人にあった最適な保険プランのアドバイスをうけることができます。
数ある専門家への相談サービスの中でも、マネーキャリアへの相談がおすすめです。
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先進医療特約はいらないかどうか【まとめ】
先進医療特約とは、厚生労働省が認めた先進医療に対して、医療保険やがん保険に付帯することができる特約です。
先進医療がいらないと言われる理由は以下の通りです。
- 先進医療を利用する確率は非常に低い
- 先進医療を利用できる病院は限られている
一方で、以下の理由から先進医療が必要と考える人も少なくありません。
- 先進医療の自己負担額は高額
- 先進医療特約の保険料は安価
これらの理由を理解し、自分に当てはめて、先進医療特約が自分に必要なのかどうかを慎重に検討していきましょう。