▼この記事を読んでほしい人
- 外貨建て保険(ドル建て保険)に加入を検討している方
- 外貨建て保険(ドル建て保険)に加入済みの方
- 外貨建て保険(ドル建て保険)の満期金の税金について疑問を持っている方
- 外貨建て保険(ドル建て保険)の確定申告にお悩みの方
内容をまとめると
- 基本的には円建て保険と変わりない
- 税金の種類は保険料負担者と受取人により変化する
- 確定申告が必要なのは、一時金での受け取りでは控除額の50万円以上利益があった場合、年金での受け取りは利益が20万以上あった場合
- 外貨建て保険にも相続税の非課税枠はある
- 解約時は為替リスクと解約控除や基準日に注意する
- 外貨建て保険で悩んだらマネーキャリアで無料相談がおすすめ!
外貨建て保険は円以外の外貨を使って保険料の一部を運用する保険の一種です。満期保険金の受け取り時に税金が発生するのか、確定申告が必要となるのか気になりますよね。この記事では、外貨建て保険の満期受け取りや為替差益の税金・確定申告等について解説します!
この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
>> 井村 那奈の詳細な経歴を見る
この記事の目次
- 外貨建て保険|満期保険金受け取り時にかかる税金
- 受け取り方法(一時金・年金)によって分類が異なる
- 満期金を一時金として受け取る場合
- 満期金を年金として受け取る場合
- 5年以内の解約は源泉分離課税の対象となる場合もあるので注意
- 外貨建て保険でかかる税金の種類一覧
- 死亡保険金を一時金として受け取る場合
- 死亡保険金を年金として受け取る場合
- 相続税には非課税枠がある
- 外貨建て保険の確定申告や為替差益は円換算で行う
- 確定申告・税金計算で使用するレートと基準日
- 外貨建て保険を満期前に解約する時の解約返戻金の税金はどうなる?
- 中途解約時は為替リスクに注意!
- 新たな保険に入りにくくなっている可能性も
- まとめ:外貨建て保険に関するお悩み相談はマネーキャリアへ!
外貨建て保険|満期保険金受け取り時にかかる税金
外貨建て保険(ドル建て保険)に加入したものの、満期時の対応方法まで詳しくお聞きになっているでしょうか?
みなさんご存知の通り、日本の銀行では金利が低く利息がつかないことで外貨建て保険、特にドル建て保険を貯金代わりに契約されている方も多いと思います。
加入する際はメリットデメリットを聞いた上で加入されたと思いますが、満期保険金を受け取る時の話は聞きましたか?
外貨建て保険(ドル建て保険)は保険営業や銀行窓口でも販売されていますが、しっかりとお金を受け取る時の出口の話をしてくれる人は少ないと思います。
お金を預ける時を入口、受け取る時を出口と言いますが、出口のことも理解して「こんなはずじゃなかった」と、ならないようにしましょう。
外貨建て保険(ドル建て保険)と言っても保険は保険ですので、円建ての積立型保険と同じように税が課されます。
保険でややこしいと思われるのは保険料を誰が払ったのか、満期保険金を誰が受け取るのか、保険期間が何年だったのかで税金の種類が変わることです。
この記事では外貨出て保険の税金の解説や注意など解説しますので、是非最後までご覧ください。
受け取り方法(一時金・年金)によって分類が異なる
外貨建て保険(ドル建て保険)の満期保険金には一般的に受け取り方を一括で受け取る一時金タイプ、分割で受け取る年金タイプと選べるようになっています。
その受け取り方により課せられる税金も種類が変わります。
保険料の負担者と満期保険金の受取人が同一人物の場合は、一時金タイプだと一時所得に分類され課税されます。年金タイプだと雑所得に分類され課税されます。
また保険料の負担者と満期保険金の受取人が異なる場合は、贈与税が課されますので注意が必要です。
それでは詳しく解説していきましょう。
満期金を一時金として受け取る場合
満期保険金を一時金で受け取る際には、前述したとおり一時所得として課税対象となります。
一時金の課税所得は、受け取る満期保険金以外に一時所得がないと場合だと下記のように計算されます。
(満期保険金額-払込保険料-一時所得の特別控除50万円)÷2=一時所得金額
具体例を上げると満期保険金額が600万円、払込保険料が500万円の場合
(600万-500万-50万)÷2=25万
この計算で出てきた25万円が一時所得としてその年の給与などの所得と合算されて税金が計算されます。
つまり控除の50万円を超えた場合は確定申告が必要になります。
満期保険金がある保険に複数加入されている方は受け取る時期やタイミングを考えないと思わぬ高額な税額になりえます。
受け取った満期保険金のみに課税されるわけでなく、その年の収入や他の一時金と合算で計算がされるということを覚えておきましょう。
満期金を年金として受け取る場合
年金タイプの場合は公的年金以外の雑所得として扱われ、下記のように計算されます。
その年の受け取り年金額-必要経費(その年の年金額に対する金額)=雑所得の金額
具体例を上げると、満期保険金を10年間の年金として受け取る金額が年間65万円、払込保険料が500万円の場合
必要経費の計算は簡単にすると払込保険料÷受け取り年数なので、今回は50万円となります。
65万-50万=10万
雑所得の金額は10万円となります。
この10万円がその他の所得と合算されて税金額が計算されます。一時金と同じように合算で計算されるので覚えておきましょう。
この雑所得の金額が20万円を超える場合には確定申告が必要になりますので、今回の例では確定申告は必要ありません。
また年金タイプには保険会社や商品によって死ぬまで受け取れる終身年金や受け取り年数が決まっている確定年金、保障期間付終身年金などの種類があります。
必要経費の計算方法はその種類によっても若干異なります。
5年以内の解約は源泉分離課税の対象となる場合もあるので注意
一般的な外貨建て保険(ドル建て保険)の税制について解説してきましたが、例外的な扱いのものも存在します。
保険期間が5年以下の契約や、保険期間は5年を超えるが契約日から5年以内に解約したなど一定条件を満たした保険契約の場合は金融類似商品として扱われます。
金融類似商品の場合は受け取り金額と払込保険料との差益に対して20.315%の、源泉分離課税となります。
源泉分離課税の場合は勝手に計算されていますので確定申告は必要ありません。
外貨建て保険でかかる税金の種類一覧
外貨建て保険(ドル建て保険)にかかる税金は円建て保険の場合と同様の扱いになります。
一時金の場合
- 相続税
- 所得税(一時所得)
- 住民税
- 贈与税
年金の場合
- 所得税(雑所得)
- 住民税
今までも述べてきたように、保険料負担者がだれなのか、満期保険金の受取人はだれなのかで対象となる税金は変わります。
また、相続や贈与などにより得た生命保険契約は支払事由が発生した場合に相続税や贈与税が課税されます。
年金受取時には相続税や贈与税の対象となった金額の非課税部分と所得税の課税がされる部分とが分けられ、課税部分には所得税と住民税の対象となります。
死亡保険金を一時金として受け取る場合
続いて満期保険金ではなく死亡保険金を一時金として受け取る場合を見てみましょう。外貨建て保険でも円建て保険と変わりありません。
保険料負担者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|---|
A | A | B | 相続税 |
A | B | A | 所得税(一時所得)+住民税 |
A | B | C | 贈与税 |
死亡保険金を年金として受け取る場合
一時金でなく年金で受け取る場合では下記のようになります。
保険料負担者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|---|
A | A | B | 相続税と所得税(雑所得)+住民税 |
A | B | A | 所得税(雑所得)+住民税 |
A | B | C | 贈与税と所得税(雑所得)+住民税 |
このようになります。年金での受け取りの場合は支払い事由、つまり被保険者の死亡時と実際に年金を受け取る時と2回に分けて考えられます。
赤字で記載しているものは支払い事由発生時の税金で、黒字は年金受け取り時の税金です。
相続税には非課税枠がある
実際に相続が発生した時にも気になるのが税金ですね。相続税には非課税枠が設けられており、非課税枠の範囲であれば相続税は発生しません。
相続税の非課税枠は以下のように計算されます。
3000万円+法定相続人の数×600万円=死亡保険金の非課税枠
また外貨建て保険(ドル建て保険)だけに関わらず生命保険にも非課税枠が設けられており、以下のように計算されます。
500万×法定相続人の人数=非課税枠
生命保険の非課税枠を超えた分が相続税の課税対象となります。 また養子の場合は法定相続人に含めることができる人数に上限がありますので、注意が必要です。
外貨建て保険の確定申告や為替差益は円換算で行う
外貨建て保険(ドル建て保険)は外貨で保険料の払い込みを行い、外貨で運用されており、受け取り時も基本的には外貨で受け取りを行います。
実際に加入されている多くの方は、円で払い込みをしていると思っていますが、実際には保険会社の方で両替され外貨で払い込みがされています。
最近では受け取り時に外貨のまま受け取るのか、円に両替をして受け取るのか、選択できます。
もしくは加入時に円受け取りの特約を付けておくなど、選択できるようになってきましたが、基本は外貨と思っておいてください。
その際に確定申告などする場合はどのように計算するかですが、税法に定められた換算レートを使用して、円換算して計算をします。
円で受け取った場合は、実際に受け取った金額で計算します。
この換算レートも少し分かりにくい部分がありますので、解説していきます。
確定申告・税金計算で使用するレートと基準日
外貨建て保険(ドル建て保険)には換算レートが3つあります。
- TTM(金融機関で外貨を取引する際に基準となるレート。仲値のこと)
- TTB(外貨を円に戻すときのレート)
- TTS(円を外貨にするときのレート)
このレートは保険会社などの金融機関毎に多少違いがありますが、そこまで大きな差はありません。
ここまで理解する必要性は高くないかもしれませんが、受け取る保険金の種類や税金によって使用されるレートが違います。
受け取り金 | 税金の種類 | 換算レート | 基準日 |
---|---|---|---|
解約返戻金 | 源泉分離課税 | TTB | 請求書受付日 |
解約返戻金 | 所得税 | TTM | 請求書受付日 |
満期保険金 | 贈与税 | TTB | 満期日 |
満期保険金 | 所得税 | TTM | 満期日 |
死亡保険金 | 相続税、贈与税 | TTB | 死亡日 |
死亡保険金 | 所得税 | TTM | 死亡日 |
外貨建て保険を満期前に解約する時の解約返戻金の税金はどうなる?
満期前に途中解約した場合の税金も満期保険金と同じように一時金で受け取る際は一時所得として、年金の場合は雑所得として課税がされます。
計算方法も同じように解約して受け取る解約返戻金額と払込保険料の差額の金額が課税対象となります。
当然ながら利益が発生した時のみですので、解約したから必ず課税されるということはないのでご安心ください。
ただし、保険会社にもよりますが契約してから10年以内の解約に関しては解約控除が発生することもあります。
解約控除とは分かりやすく言えば解約手数料で、契約期間が短ければ短いほど高額になり、また10年を超えると解約控除は0円になることも。
中途解約時は為替リスクに注意!
途中解約する際には為替リスクがあることも十分理解しておく必要があります。
前述した通り、外貨建て保険(ドル建て保険)は外貨で払込、外貨で運用し、外貨で返ってくるのが基本になっています。解約時に円安に進んでいるのか、円高に進んでいるのか注意が必要です。
どうしても金銭的な理由で解約しないといけないという場合以外は解約するタイミングが非常に重要になってきます。
円安に進んだから今解約すると払った資金が増加して返ってくると思っても、基準日のタイムロスや解約控除など含めて計算する必要があります。
保険での運用は「投機」のような短期的な為替差益を狙うことを目的としているわけではなく外貨を長期保有することによる「継続的な金利収入」を積み上げていくことで資産をじっくりと育てていく要素が強い運用方法です。
新たな保険に入りにくくなっている可能性も
また途中解約してしまう場合の注意点として、新たな保険の加入が難しい可能性もあります。
一般的に年齢が上がれば健康状態も悪くなり、持病の可能性も。
生命保険は基本的に健康な方が加入できる可能性が高いものなので、持病がある場合は加入できない場合や保険料の割増などの特別条件がつく場合もあります。
外貨建て保険(ドル建て保険)だけでなく保険を解約する際は、新たに保険に入れる健康状態なのか、年齢があがった分保険料も高くなることなども考えて上で進めてください。
まとめ:外貨建て保険に関するお悩み相談はマネーキャリアへ!
ここまで外貨建て保険(ドル建て保険)の税金について解説をしてきましたが、まとめると以下になります。
- 課税種類は円建て保険と変わりない
- しかし外貨建てであることによって為替によって利益大きくなる可能性も
- 税金の種類は保険料負担者と受取人により変化する
- 確定申告が必要なのは、一時金での受け取りでは控除額の50万円以上利益があった場合、年金での受け取りは利益が20万以上あった場合
- 外貨建て保険にも相続税の非課税枠はある
- 解約時は為替リスクと解約控除や基準日に注意する
ややこしい部分はプロに相談すれば分かりやすく、ご自身に落とし込んで説明してもらえます。
マネーキャリアではお金のプロが無料で何度でも相談にのらせていただきます。
確定申告が必要か分からない、解約しても大丈夫か、など些細な疑問や不安でも相談できますので是非活用してみてください。