- 生命保険の受取人を契約者本人に設定できるかどうか知りたい人
- 生命保険の加入を検討している独身の人
- 生命保険の受取人を誰に設定したらいいかわからない人
- 保険金を受け取ったときにかかる税金
- 保険金を受け取った年の年末調整のポイント
- 受取人の変更が必要なケース
生命保険を契約する際、保険金の受取人を設定します。その際、契約者本人である自分を設定してもいいのか、気になる人もいるかと思います。この記事では、生命保険の受取人を自分に設定できるか、設定した際の注意点などを解説しています。
この記事の目次
- 生命保険の保険金受取人を契約者本人にできるのはどういうケース?
- 独身の場合は生命保険の受取人を本人以外の誰にしたらいいの?
- 生命保険の保険金受取人が契約者本人・本人以外の場合の税金について
- 生命保険の保険金受取人が契約者本人の場合の税金について
- 贈与税
- 相続税
- 生命保険の保険金受取人は契約者本人にするのと本人以外ではどっちの方が良いの?
- 生命保険の受取人、契約者、被保険者が本人にしてある場合
- 契約者と被保険者が本人、保険金受取人が本人以外の場合
- 契約者は自分、被保険者と保険金受取人が本人以外の場合
- 保険契約者と受取人が異なる場合に気を付けること
- 生命保険の保険金受取人を契約者本人にしたときの年末調整のポイント
- 生命保険の死亡保険金受取人を本人から、または本人に変更することは可能?
- 生命保険の受取人変更が必要となるケースは?
- 生命保険の保険金受取人変更手順の概要
- まとめ:生命保険の死亡保険金受取人を契約者本人にできる?自分で受け取るのは可能?
生命保険の保険金受取人を契約者本人にできるのはどういうケース?
最初に結論ですが、生命保険の保険金受取人を契約者本人にできるのは以下の2つのケースです。
- 契約者と受取人が本人、被保険者が本人以外の場合
- 解約返戻金または養老保険
そもそもですが、被保険者とは保険の対象となっている人です。死亡保険であれば、被保険者が亡くなった際に死亡保険金を受け取れる、ということになります。
一方で、契約者とは保険契約を結んだ人のことで、契約者と被保険者は必ずしも一致している必要はありません。
契約者と被保険者が違う人であれば、被保険者が亡くなった際に契約者が死亡保険金を受け取ることができます。
次に解約返戻金や養老保険についてですが、これらは生命保険に貯蓄目的で加入するケースです。
掛け捨ての生命保険に加入しているケースを除き、生命保険は解約すると解約返戻金として一定額を受け取れます。
養老保険とは、一定期間までの死亡保障と貯蓄性能を合わせた保険です。保険期間が決まっていて、その期間は死亡保障がありますが保険期間を終えると保障が終了し、満期保険金を受け取れます。
これら解約返戻金や満期保険金はこれら受取人を契約者本人に設定できます。
独身の場合は生命保険の受取人を本人以外の誰にしたらいいの?
独身の場合、基本的には二親等以内の血族を受取人にします。具体的には以下の人たちです。
- 親
- 兄弟姉妹
保険金詐欺を防ぐため、生命保険の受取人として設定できる人は制限されています。
基本的には親か兄弟姉妹になりますが、要件を満たせば甥・姪を受取人にしてくれる保険会社もあるようです。
また、法律上は独身ではあるが、事実婚状態で内縁の妻・夫がいる人の場合、要件を満たすと内縁の妻・夫を受取人にできます。
この場合の要件は以下の3点です。
- お互いに戸籍上の配偶者がいないこと
- 保険会社が指定する期間以上の同居期間
- 保険会社が指定する期間以上、生計を共にしている
また、この3点を証明できるものも必要です。
戸籍謄本であったり、住民票などが該当します。
保険会社が上記3つの要件を認めた場合、独身でもパートナーを生命保険の受取人に設定できます。
生命保険の保険金受取人が契約者本人・本人以外の場合の税金について
生命保険の保険金は受け取った際に税金が発生する場合があります。
発生する税金は受取人が契約者本人か、契約者以外の人かによって変わり、以下の3パターンがあります。
- 保険金受取人が契約者本人の場合の税金
- 贈与税
- 相続税
贈与税と相続税は契約者と受取人が違う人のケースです。どちらの税金になるかで税負担が大きく変わるため、注意が必要です。
ここでは上記3つのパターンについて解説していきます。
生命保険の保険金受取人が契約者本人の場合の税金について
生命保険の保険金受取人が契約者本人の場合、所得税が課せられます。
所得税には給与所得や事業取得など10種類あり、それぞれ課税対象となる金額の計算方法が異なります。
基本的には保険金の金額がそのまま課税対象となるのではなく、経費や特別控除額を差し引いた金額が課税対象です。
生命保険の保険金を受け取った際は一時所得として扱われ、以下の計算式で一時所得の金額を計算します。
一時所得の金額=(保険金+配当金-払込保険料総額-特別控除額50万円)×1/2
ただし、保険契約から5年以内に受け取った満期保険金や解約返戻金は一律20.315%が課せられる源泉分離課税となります。
贈与税
贈与税の金額=保険金-基礎控除110万円
相続税
次に、契約者と被保険者が同一人物で、受取人が違う人のケースです。このケースでは保険金に相続税が課せられます。
保険金に相続税が課税されるケースでも控除は発生し、控除額は以下の計算式で求められます。
保険金の控除額=500万円×法定相続人
たとえば、法定相続人が配偶者と子ども1人の合計2人の場合、500万円×3人で1,500万円が控除されます。
また、相続税には基礎控除もあり、以下の計算式で求められます。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人数)
法定相続人が3人であれば、4,800万円が相続税の基礎控除額になります。保険金の金額が控除額よりも多い場合でも、他の相続財産との合計額が4,800万円以下であれば、相続税は課税されません。
さらに、配偶者限定の控除もあり、配偶者が受け取る相続財産は1億6,000万円以下であれば課税されません。
また、1億6,000万円を超える場合であっても法定相続分までであれば、課税されません。
生命保険の保険金受取人は契約者本人にするのと本人以外ではどっちの方が良いの?
生命保険にかかる税額は税金の種類によって異なります。
税金が課せられると手元に残る金額が減ってしまうため、可能であれば税金を少なくできる方法で生命保険を契約したいと考える人もいるでしょう。
ここでは生命保険にかかる税金について、以下の内容を詳しく解説していきます。
- 契約者・被保険者・受取人が全て本人
- 契約者と被保険者が本人、受取人が本人以外
- 契約者は本人、被保険者と受取人が本人以外
- 契約者と受取人が異なる場合の注意点
基本的には相続税、所得税、贈与税の順で税金は少なくなります。
この点を踏まえた上でそれぞれの見出しをご確認していただき、保険金の受取人をどのように設定するかお考えください。
生命保険の受取人、契約者、被保険者が本人にしてある場合
生命保険の受取人・契約者・被保険者が全て本人である場合、所得税が発生します。
このケースが該当する商品は貯蓄型の生命保険や養老保険です。
所得税は受取人、この場合では契約者本人の収入によって変わり、税率は5〜45%の7段階です。収入が多い人ほど税率が高くなります。
所得税は相続税ほど控除額が大きくないため、会社員や個人事業主・フリーランスとして働いている人であれば課税されます。
所得税率は働き方や利用している控除によっても変わりますが、年収1,000万円の会社員であれば20%、年収500万円であれば10%が目安です。
なお、会社員の給与である給与所得に加えて、保険金の一時所得が加算されることで、その年の税率が1段階高くなるケースも十分に考えられます。
契約者と被保険者が本人、保険金受取人が本人以外の場合
契約者と被保険者が本人で受取人が本人以外のケースですが、死亡保険金と満期保険金(解約返戻金)によって扱いが変わるため分けて解説します。
死亡保険金に関しては相続税が発生します。相続税の税率は10%〜55%の7段階です。
相続税として課税される金額は控除額を差し引いてから、相続財産を分けたあとの実際に受け取った金額になります。
たとえば、控除額を差し引いた相続財産が2,000万円で、そこから1/4である500万円を受け取る場合は500万円が相続税の課税対象となります。相続税は相続財産全体に課せられるものではありません。
相続税の税率は受け取った金額が1,000万円以下であれば10%、1,000万円超〜3,000万円以下であれば15%です。
また、相続財産の合計額が控除額以下であれば、相続税は発生しません。
以上のことから、相続税の実質的な課税額は0〜15%が多いと考えられ、所得税よりも低くなりやすいと考えられます。
次に満期保険金と解約返戻金についてですが、契約者本人以外が受け取ると贈与税がかかります。贈与税の税率に関しては次の見出しで解説します。
契約者は自分、被保険者と保険金受取人が本人以外の場合
次に契約者は自分で被保険者と受取人が本人以外のケースです。このケースでは贈与税が発生します。
贈与税は一般税率と特例税率の2種類に分けられます。
特例税率が適用されるケースは、贈与を受けた人が18歳以上で直系尊属から贈与を受けた場合です。直系尊属には父母や祖父母などが該当します。
たとえば、18歳以上の子が親から贈与を受けた場合は特例税率が適用されますが、未成年の子が親から贈与を受けた場合は一般税率です。
どちらも税率は8段階で設定されていて、最低10%、最大55%の税率となっています。
贈与された金額が同じ場合、基礎控除を差し引いた金額が300万円以上であれば、特例控除の方が税率が低いです。
繰り返しますが、贈与税には110万円の基礎控除があり、保険金を含むその年の贈与が110万円以下であれば贈与税は発生しません。
保険契約者と受取人が異なる場合に気を付けること
契約者と受取人が異なる場合に気をつけることをまとめます。
1点目は税負担が重くなる点です。
契約者と被保険者、受取人をそれぞれ違う人に設定すると、死亡保険金には贈与税が課税されます。
贈与税の税率は相続税よりも高く、所得税よりも税率が高くなりやすいため、税負担が重くなりやすいです。
次に、内縁の妻・夫のような法律上は他人である人を受取人にする場合、内縁の妻・夫は法定相続人に含まれないため、生命保険の非課税枠や相続税の基礎控除額には加算されません。
加えて、配偶者または一親等(父母・子)以外の人が相続する場合、相続税は2割増しになります。
2点目は未成年の子どもが受取人のケースです。
受取人を未成年の子どもに設定することは可能ですが、未成年の子どもが死亡保険金を受け取るためには親権者か未成年後見人の同意が必要になります。
そのため、親権者か未成年後見人をあらかじめ決定しておくことが望ましいです。
未成年後見人の選任には親権者の遺言書による指定か家庭裁判所による選任のいずれかが必要で、家庭裁判所による選任の場合、時間がかかる点に注意が必要です。
生命保険の保険金受取人を契約者本人にしたときの年末調整のポイント
年末調整とは会社員や公務員の給与から源泉徴収で天引きされていた1年間の所得税の合計額と本来徴収されるべきその年の所得税の総額を再計算し、過不足を調整する手続きです。
生命保険料控除など、一部の所得控除は年末調整で申告できるため、確定申告をせずに年末調整だけで済む人も多いです。
しかし、保険金を受け取った年は注意する必要があります。
解約返戻金や満期保険金を受け取った年には、給与所得以外の所得税の課税額が20万円を超えた場合、確定申告が必要です。
その年の所得が給与所得と一時所得のみの場合、以下の計算式で70万円を超えない場合は確定申告は不要です。
一時所得の金額=(保険金+配当金-払込保険料総額-特別控除額50万円)×1/2
保険金の他に一時所得に該当する所得は、クイズの賞金や公営ギャンブルの払戻金などが該当します。
確定申告が必要な年にもかかわらず、確定申告を忘れてしまうとペナルティとして余分に税金を納める必要があります。
生命保険の死亡保険金受取人を本人から、または本人に変更することは可能?
- 戸籍上の配偶者
- 父母
- 子ども
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- 孫
- 受取人変更が必要なケース
- 受取人変更手順の概要
生命保険の受取人変更が必要となるケースは?
受取人の変更が必要なケースは以下の2つです。
- 受取人を配偶者に設定していて離婚したとき
- 受取人が亡くなったとき
離婚しても受取人の変更手続きを行わない場合、元配偶者が受取人のままになります。手続きをしないと受取人としての権利は失われないため、元配偶者が保険金を請求できます。
そのため、必要であれば離婚後に変更手続きをしましょう。
次に受取人が亡くなった場合です。 このケースでは受取人がいないことになるため、できるだけ早く受取人を変更する必要があります。
仮に変更手続きをしない場合、受取人の法定相続人が受取人としての立場を相続することになり、保険金の請求ができます。
また、必ずしも受取人の変更が必要なケースではありませんが、結婚したタイミングでも受取人の変更を検討してみてください。
結婚以前は受取人に親を設定している人が多いかと思いますが、受取人を配偶者に変更することができます。
生命保険の保険金受取人変更手順の概要
受取人の変更手続きには手続きが必要です。
詳細は保険会社によって異なり、電話や郵送、訪問、インターネットで手続きを行います。
まずは契約している保険会社のホームページをご確認ください。
また、共通している点として、被保険者の同意が必要です。
まとめ:生命保険の死亡保険金受取人を契約者本人にできる?自分で受け取るのは可能?
生命保険の死亡保険金を契約者本人に設定することは可能です。被保険者が自分以外であれば、死亡保険金を自分で受け取れます。
また、貯蓄型の保険の場合も解約返戻金や満期保険金を契約者本人に設定できます。
ただし、生命保険の保険金を受け取った際には税金が発生することがあるため注意が必要です。
保険金に関連する税金には所得税、相続税、贈与税があり、特に贈与税は税負担が大きいため、契約時にどの税金が発生するか確認しましょう。
<関連サイト>
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