内容をまとめると
- 法人保険の支払い保険料は、全額損金算入できるものもあれば全額資産計上しなければならないものまで、幅広い保険商品がある。
- 被保険者が死亡したり、契約者が保険を解約したときに受け取る配当金や給付金は、雑損失・雑収入として益金算入する。
- 契約者の名義を変更する場合、被保険者の保険の種類を変更する場合の経理処理は、雑収入・雑損失として益金算入または損金算入する必要がある。
- 経理処理方法によって自社保険を見直す場合、「丸紅グループが運営するマネーキャリア」のような無料相談窓口を使って、保険を再検討する人も多い。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
法人生命保険の支払い保険料の経理処理とは?
定期保険の場合(養老保険除く)
最高解約返戻率 | 資産計上期間 | 資産計上額 | 取り崩し期間※1 |
---|---|---|---|
50%以下 | 全額損金算入 | 全額損金算入 | 全額損金算入 |
50超‐70%※2 | 保険期間の当初40%の期間 | 支払保険料×40% (支払保険料×60%は損金算入) | 保険期間の75%相当経過後、 保険期間終了日までの期間で 均等に取り崩して損金算入 |
70超‐85% | 保険期間の当初40%の期間 | 支払保険料×60% (支払保険料×40%は損金算入) | 保険期間の75%相当経過後、 保険期間終了日までの期間で 均等に取り崩して損金算入 |
85%超 | ①保険期間の開始 | 保険期間開始日から 10年経過日までは、 保険料×最高解約返戻率×90%を資産計上 11年目以降は、 支払保険料×最高解約返戻率×70%を 資産計上 (残りの割合は損金として算入) | 解約返戻金が最高金額に なったあと、保険期間終了日 までの期間で均等に取り崩し |
養老保険の場合
以下の場合、支払い保険料の2分の1を損金算入できます。
- 被保険者:役員・従業員全員、もしくは合理的理由で被保険者が限られている
- 死亡保険金の受取人:被保険者の遺族
- 生存保険金の受取人:法人
以下の場合、福利厚生扱いではなく給与扱いになるため、損金算入ができません。
- 合理的な理由がなく特定の使用人のみを被保険者としている
- 役員もしくは使用人の全部または大部分が同族関係者である
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第三分野(医療保険・がん保険等)の場合
前期払いの場合
終身タイプ短期払いの場合
- 「年間保険料×保険料払込期間÷保険期間」を損金算入する
- 「支払保険料ー損金算入額」を資産計上する
- 116歳になるまで「年間保険料×保険料払込期間÷保険期間」を支払保険料として算入する
- 前払保険料を取り崩す
被保険者1人あたりの年払保険料が合計30万円以下の場合
法人生命保険で受け取れる「各種金銭」の経理処理とは?
被保険者が死亡したり、契約者が保険を解約したりしたときに受け取る配当金は、雑損失・雑収入として益金算入する必要があります。
定期保険の場合(養老保険除く)
死亡保険金受取時の経理処理
- 死亡保険金の額を確認する
- いままで資産計上した前払保険料と配当積立金を取り崩す※1
- 死亡保険金と「前払い保険料と配当積立金を取り崩した金額」の差額を雑収入として益金算入する※2
解約返戻金受取時の経理処理
- 解約返戻金の額を確認する
- いままで資産計上した前払保険料と配当積立金を取り崩す※1
- 前払保険料よりも解約返戻金が少ない場合には差額を雑損失として損金算入
- 前払保険料よりも解約返戻金が多い場合には差額を雑収入として益金算入
※2 益金算入は、二重課税などを防ぐために、法人税上の益金として計上されず、企業会計上の収益として計上することです。
養老保険の場合
- 満期保険金を法人が受け取る
- 保険料積立金を取り崩し、保険料積立金と満期保険金の差額を雑収入として益金算入
第三分野(医療保険・がん保険等)の場合
- 入院給付金や手術給付金などの給付金を受け取る
- 受け取った給付金の額は雑収入として益金算入
法人生命保険の変更時の経理処理とは?
定期保険の場合(養老保険は除く)
種類が異なる払済終身保険に変更した場合の経理処理
- 変更時の解約返戻金相当額を確認する
- いままで資産計上した前払保険料を上回るときは差額を雑収入として益金算入※2
- 解約返戻金相当額が前払保険料を下回るときは差額を雑損失として損金算入
同じ種類の払済終身保険に変更した場合の経理処理
退職時の名義変更をした場合の経理処理
- 役員の退職時に、法人契約の生命保険を本人名義に変更し、退職金を支給する
- 解約返戻金と現金支給分の合計額を退職金として損金算入
- 前払保険料と配当金積立金を取り崩し※1、退職所得に係る源泉徴収税額を預り金として負債計上
- 差額は雑収入または雑損失として益金算入※2または損金算入
養老保険の場合
第三分野(医療保険・がん保険等)の場合
退職時に名義変更する場合の経理処理
- 【変更前】契約者:法人、被保険者:役員
- 【変更後】契約者:役員、被保険者:役員
- 解約返戻金と現金支給額の合計額を退職金として損金算入
- 保険料を資産計上をしていた場合、前払保険料を取り崩す
- 退職所得にかかる源泉徴収税額がある場合、預り金として負債計上し、差額は雑収入または雑損失として益金または損金算入
複雑化した法人向け生命保険の経理処理
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法人保険の活用事例集
法人生命保険別の経理処理方法まとめ
ここまで、法人生命保険別の「支払保険料」「配当金」「変更時」の経理処理方法を、「定期保険」「第三分野(医療保険・がん保険等)」「養老保険」別にご紹介しました。
法人保険の支払い保険料は全額損金算入できるものもあれば、全額資産計上しなければならいものまで、幅広い保険商品があります。
被保険者が死亡したり、契約者が保険を解約したりしたときに受け取る配当金は、雑損失・雑収入として益金算入します。また、契約者の名義を変更する場合、被保険者の保険の種類を変更する場合の経理処理は、雑収入・雑損失として益金算入もしくは損金算入する必要があります。
節税目的で解約返戻金の多い法人向け生命保険に加入しても、以前より損金算入できる割合が減っており、なおかつ保険金受取時や解約返戻金受取時には課税対象です。法人生命保険の損金算入を利用した課税繰り越しに実質的な節税効果はないため、保険の見直しは定期的にしなければなりません。
そこで、自社にとっての法人保険の有効な使い方や、法人保険を自社で採用する場合の効率的な課税の繰越方法について、マネーキャリアのようにいつでも「無料で何度でも」相談ができるサービスを有効活用することで、自社に適切な保険の選び方がわかり、自社の事業リスクをカバーできます。
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