法人生命保険の経理処理方法とは?法人保険別に解説のサムネイル画像
法人生命保険を採用する企業も多いですが、2019年の税制改正により経理処理方法が大幅に変更されました。以前は一部損金や全額損金算入でき、なおかつ解約返戻金率が90%を超えるといった「節税対策ができる法人保険」がありましたが、現在では節税効果があるとは言えません。

今日の法人保険は、役員退職金の支払いに関連した決算問題や、事業相続の後継ぎ、従業員の福利厚生として法人保険が活用されることも多く、事業リスク対策として法人保険が多く採用されます。事業リスクに対策として保険を採用した場合にも、可能な限り保険法人税を抑えたいのが経営者の本音です。

しかし、自社にて法人保険を活用する場合、税制改正後の法人保険はどのように経理処理をするのか、複雑な仕組みに戸惑う方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、法人生命保険を「保険料支払時」「配当金・給付金受け取り時」「保険変更時」のフェーズごとに、経理処理方法を解説します。

・「保険料支払時」「配当金・給付金受け取り時」「保険変更時」の経理処理方法を総合的に知りたい
・法人保険の経理処理方法によっては、事業リスク対策に対して保険加入コストが見合わない場合があるので、自社の保険を見直したい

方は本記事を参考にすると、法人生命保険の場合別の経理処理方法がわかるほか、自社にマッチする保険を見直す方法もわかります。

内容をまとめると

  • 法人保険の支払い保険料は、全額損金計上できるものもあれば全額資産計上しなければならないものまで、幅広い保険商品がある。
  • 被保険者が死亡したり、契約者が保険を解約したときに受け取る配当金や給付金は、雑損失・雑収入として益金算入する。
  • 契約者の名義を変更する場合、被保険者の保険の種類を変更する場合の経理処理は、雑収入・雑損失として益金算入または損金算入する必要がある。  
  • 経理処理方法によって自社保険を見直す場合、マネーキャリアのような無料の相談窓口を使って、保険を再検討する人も多い。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

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法人生命保険の支払い保険料の経理処理とは?

まず、法人保険は「第一分野(定期保険や養老保険)」「第二分野(損害保険)」「第三分野(がん保険など)」に分類されます。(第二分野の経理処理に関してはこちら

なかでもここでは、複雑化しがちな経理処理として、税制改正も実施された「人の生命や病気・ケガに関わる法人向け生命保険」の保険料の経理処理方法を、「定期保険(養老保険除く)」「養老保険」「第三分野(医療保険・がん保険等)」に分けて解説します。

法人生命保険の支払い保険料は、保険の加入金額・種類によって、損金算入割合が異なるため、自社の保険はどれくらい損金算入できるのか、経費処理方法を確認する必要があります。

定期保険の場合(養老保険除く)

▼定期保険の支払い保険料の経理処理方法
(左右にスクロールできます)
最高解約返戻率資産計上期間資産計上額取り崩し期間※1
50%以下全額損金算入全額損金算入全額損金算入
50超‐70%※2保険期間の当初40%の期間支払保険料×40%
(支払保険料×60%は損金算入)
保険期間の75%相当経過後、
保険期間終了日までの期間で
均等に取り崩して損金算入
70超‐85%保険期間の当初40%の期間支払保険料×60%
(支払保険料×40%は損金算入)
保険期間の75%相当経過後、
保険期間終了日までの期間で
均等に取り崩して損金算入
85%超

①保険期間の開始
日から最高解約返戻額を
迎える期間の終了日まで

②1の期間経過後、年換算保険料に
対する解約払戻金の増加割合が
0.7を超える期間があれば、
その期間の終わりまで

保険期間開始日から
10年経過日までは、
保険料×最高解約返戻率×90%を資産計上

11年目以降は、
支払保険料×最高解約返戻率×70%を
資産計上 (残りの割合は損金として算入)
解約返戻金が最高金額に
なったあと、保険期間終了日
までの期間で均等に取り崩し
※1 取り崩しとは、残りの保険契約期間の年数に応じて、均等に分けることを指す
※2 解約返戻率が50%超~70%以下で、なおかつ被保険者1人当たりの年換算保険料合計額が30万円以下の場合は、保険料の全額を損金へ算入可能。

※参考:「第3節 保険料等 9-3-5の2」国税庁

養老保険の場合

以下の場合、支払い保険料の2分の1を損金算入できます。


  • 被保険者:役員・従業員全員、もしくは合理的理由で被保険者が限られている
  • 死亡保険金の受取人:被保険者の遺族
  • 生存保険金の受取人:法人


以下の場合、福利厚生扱いではなく給与扱いになるため、損金算入ができません。


  • 合理的な理由がなく特定の使用人のみを被保険者としている
  • 役員もしくは使用人の全部または大部分が同族関係者である


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第三分野(医療保険・がん保険等)の場合

前期払いの場合

解約返戻金があり、全期払いの場合は、定期保険の経理処理と同じです。

終身タイプ短期払いの場合

▼保険料払込期間中の支払保険料
  1. 「年間保険料×保険料払込期間÷保険期間」を損金算入する
  2. 「支払保険料ー損金算入額」を資産計上する
※終身タイプの第三分野保険の保険期間は「116歳-契約年齢」で計算します。

▼保険料払込期間終了後
  1. 116歳になるまで「年間保険料×保険料払込期間÷保険期間」を支払保険料として算入する
  2. 前払保険料を取り崩す
※取り崩しとは、残りの保険契約期間の年数に応じて、均等に分けることを指します。

被保険者1人あたりの年払保険料が合計30万円以下の場合

法人を通して契約している保険全てを通算し、被保険者1人あたりの年払保険料が合計30万円以下の場合は、支払保険料を全額損金算入できます。

法人生命保険で受け取れる「各種金銭」の経理処理とは?


ここでは、法人生命保険における「各種金銭」の経理処理方法を、「定期保険(養老保険除く)」「養老保険」「第三分野(医療保険・がん保険等)」に分けて解説します。 

受け取れる金銭としては配当金、第三分野の場合は給付金が挙げられます。


被保険者が死亡したり、契約者が保険を解約したりしたときに受け取る配当金は、雑損失・雑収入として益金算入する必要があります。

定期保険の場合(養老保険除く)

死亡保険金受取時の経理処理

  1. 死亡保険金の額を確認する
  2. いままで資産計上した前払保険料と配当積立金を取り崩す※1
  3. 死亡保険金と「前払い保険料と配当積立金を取り崩した金額」の差額を雑収入として益金算入する※2

解約返戻金受取時の経理処理

  1. 解約返戻金の額を確認する
  2. いままで資産計上した前払保険料と配当積立金を取り崩す※1
  3. 前払保険料よりも解約返戻金が少ない場合には差額を雑損失として損金算入
  4. 前払保険料よりも解約返戻金が多い場合には差額を雑収入として益金算入

※1 取り崩しとは、残りの保険契約期間の年数に応じて、均等に分けることを指します。

※2 益金算入は、二重課税などを防ぐために、法人税上の益金として計上されず、企業会計上の収益として計上することです。

養老保険の場合

死亡保険金を受け取った場合の経理処理

  1. 死亡保険金を役員・従業員の遺族が受け取る
  2. 法人が積み立てていた保険料積立金を雑損失として損金算入

満期保険金を受け取った場合の経理処理

  1. 満期保険金を法人が受け取る
  2. 保険料積立金を取り崩し、保険料積立金と満期保険金の差額を雑収入として益金算入

第三分野(医療保険・がん保険等)の場合

  1. 入院給付金や手術給付金などの給付金を受け取る
  2. 受け取った給付金の額は雑収入として益金算入

法人生命保険の変更時の経理処理とは?


ここでは、法人生命保険の変更時の経理処理方法を、「定期保険(養老保険を除く)」「養老保険」「第三分野(医療保険・がん保険等)」に分けて解説します。

契約者の名義を変更する場合、被保険者の保険の種類を変更する場合には、雑収入・雑損失として益金算入または損金算入する必要があります。

定期保険の場合(養老保険は除く)

種類が異なる払済終身保険に変更した場合の経理処理

  1. 変更時の解約返戻金相当額を確認する
  2. いままで資産計上した前払保険料を上回るときは差額を雑収入として益金算入※2
  3. 解約返戻金相当額が前払保険料を下回るときは差額を雑損失として損金算入

同じ種類の払済終身保険に変更した場合の経理処理

払済後も前払保険料を契約消滅時まで据え置き可能です。怪我等の保険事故が発生する、もしくは保険を解約するまでは、資産計上を継続します。

退職時の名義変更をした場合の経理処理

  1. 役員の退職時に、法人契約の生命保険を本人名義に変更し、退職金を支給する
  2. 解約返戻金と現金支給分の合計額を退職金として損金算入
  3. 前払保険料と配当金積立金を取り崩し※1、退職所得に係る源泉徴収税額を預り金として負債計上
  4. 差額は雑収入または雑損失として益金算入※2または損金算入
※1 取り崩しとは、残りの保険契約期間の年数に応じて、均等に分けることを指します。
※2 益金算入は、二重課税などを防ぐために、法人税上の益金として計上されず、企業会計上の収益として計上することです。

養老保険の場合

払済保険変更時の経理処理

保険期間中に養老保険から同種類の払済保険に変更した場合
  • 払済時点での資産計上額を確認する
  • 保険が満期・解約等により契約が消滅するまで資産計上を継続

第三分野(医療保険・がん保険等)の場合

退職時に名義変更する場合の経理処理


  • 【変更前】契約者:法人、被保険者:役員
  • 【変更後】契約者:役員、被保険者:役員

医療保険を上記のように名義変更した場合、経理処理は以下の通りです、
  • 解約返戻金と現金支給額の合計額を退職金として損金算入
  • 保険料を資産計上をしていた場合、前払保険料を取り崩す
  • 退職所得にかかる源泉徴収税額がある場合、預り金として負債計上し、差額は雑収入または雑損失として益金または損金算入

複雑化した法人向け生命保険の経理処理


2019年に通知された国税庁による「損金算入ルール」の変更後、とくに最高解約返戻率85%以上の生命保険の経理処理が非常に複雑化しています。

そのため、節税目的で解約返戻金の多い法人向け生命保険に加入しても、以前より損金算入できる割合が減っているため、実質節税できていないケースもあります。

 一方で、多額の法人税がかかるなか、コストを抑えられている企業は、法人生命保険のプロと相談しつつ事業運営を進めています。経理部門の管理工数も削減できるので、経営者のリスクヘッジはもちろん、従業員にとってもプラスの効果が見込めるのです。

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法人生命保険別の経理処理方法まとめ


ここまで、法人生命保険別の「支払保険料」「配当金」「変更時」の経理処理方法を、「定期保険」「第三分野(医療保険・がん保険等)」「養老保険」別にご紹介しました。


法人保険の支払い保険料は全額損金算入できるものもあれば、全額資産計上しなければならいものまで、幅広い保険商品があります。


被保険者が死亡したり、契約者が保険を解約したりしたときに受け取る配当金は、雑損失・雑収入として益金算入します。また、契約者の名義を変更する場合、被保険者の保険の種類を変更する場合の経理処理は、雑収入・雑損失として益金算入もしくは損金算入する必要があります。


節税目的で解約返戻金の多い法人向け生命保険に加入しても、以前より損金算入できる割合が減っており、なおかつ保険金受取時や解約返戻金受取時には課税対象です。法人生命保険の損金算入を利用した課税繰り越しに実質的な節税効果はないため、保険の見直しは定期的にしなければなりません。


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