無職だけど医療費控除の対象?いくら戻る?無職でも医療費控除は受け取れる場合があります!医療費控除の仕組み・医療費控除を受け取る場合に必要な確定申告のメリットや書類・時期・方法について解説中!医療費が10万円以下の場合の医療費控除の受け取り方も紹介!
監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 無職の場合でも医療費控除は受けられるの?
- 無職の場合によって医療費控除を受けられる場合がある!
- ①「生計を一にする」家族の医療費が10万円を超える
- ②不動産所得・株の配当のような高額の不労所得がある
- ③年度の途中で無職になってしまった
- ④年金を受給している
- 医療費控除でいくら戻る?医療費控除の仕組みを解説!
- 医療費控除の正体は「支払った所得税の還付金」のこと
- 医療費控除はかかった医療費と10万円との差額が受け取れる
- 保険金などで補填される金額は医療費控除の対象とならない
- 無職が医療費控除を受けるには確定申告を行う必要がある
- 無職でも確定申告は行ったほうがいい!メリットを解説
- ①所得税の還付金を受け取れる
- ②住民税や国民健康保険料が安くなる
- 確定申告の方法・期間・書類について紹介!
- 【確定申告で必要な書類】について
- 【確定申告の申請期間】について
- 【確定申告の申請方法】について
- 【参考】医療費控除は医療費が10万円以下でも受け取れる!
- 【まとめ】無職で医療費控除を受け取るには確定申告を必ずしよう
無職の場合でも医療費控除は受けられるの?
こんにちは。マネーキャリア編集部・FPの西田です。
先日、50代の男性から次のような質問をされました。
医療費控除とは所得税、及び個人住民税を計算するための課税所得において、自分や家族のために医療費を支払った分のお金が控除される制度です。
結論からいうと、無職の場合でも医療費控除を受けられます。
そこで、本記事では、無職で医療費控除を受けられるのはどのような場合なのか説明していきます。
あわせて、無職の方が確定申告を行うメリット、確定申告のやり方についても解説していきます。
本記事が、医療費控除を受けたいと考えている方の参考になりますと幸いです。
無職の場合によって医療費控除を受けられる場合がある!
無職の場合でも医療費控除を受けることは可能です。
しかし、無職の方が医療費控除を認めてもらうためには、これから紹介する4つのケースのいずれかに該当している必要があります。
無職の方で医療費控除を受けたい方は、自分が以下に挙げる4つのケースに該当しているか確認してみてください。
①「生計を一にする」家族の医療費が10万円を超える
「生計を一にする」とは、同一の生活単位に属し、共同生活を営み、日常生活の糧を共有していることをいいます。
「生活を一にする」かどうかの具体的な判断材料は次の通りです。
- 生活費の状況
- 水道光熱費、通信費の支払状況
- 建物の構造
- 不動産登記の記入内容
- 住民票や社会保険における世帯の状況
②不動産所得・株の配当のような高額の不労所得がある
無職の方が医療費控除を受ける場合、不労所得の有無も鍵になります。
たとえば、不動産所得、株の配当といった収入がある場合、これらは所得税の対象となるので医療費控除を受けることができます。
不労所得で得た収入も医療費控除の対象になることを覚えておくと、税負担が軽くなります。
③年度の途中で無職になってしまった
医療費控除を受けられるかどうかは、現在の就労状況だけでなく、無職になった時期もポイントになります。
たとえば、年度の途中で無職になった場合、その年度は所得税をいくらか支払っていたというケースが多いです。
年度の途中で無職になった場合は、無職になる前に納めていた所得を医療費控除の対象にできます。
④年金を受給している
年金を受給している方も医療費控除を受けられます。
年金は所得税の対象になるので、医療費控除が適用されます。
年金受給者のなかには、病院に頻繁に通われている方も少なくありません。
限られた予算のなかで医療費を捻出することは非常に大変ですので、医療費控除をしっかりと受けましょう。
医療費控除でいくら戻る?医療費控除の仕組みを解説!
医療費控除を受けるためには、申請方法を調べたり、必要書類を集めたりするなどの手間がかかります。
それゆえに、「大きな金額が控除されたら良い」と思われる方も少なくないでしょう。
また、1年間で高額な医療費がかかった方にとって、医療費控除でどのくらい税負担が軽くなるかは非常に重要な問題です。
そこで、医療費控除の仕組みにあわせて、医療費控除ではいくら戻るのかを解説していきます。
医療費控除の正体は「支払った所得税の還付金」のこと
医療費控除とは支払った所得税の還付金です。
還付金とは、徴収された税金を納め過ぎていたり、減免があったりした場合、納税者に返されるお金のことをいいます。
「無職(無収入)だと医療費控除が受けられないのでは?」という疑問を持つ方が多い背景には、医療費控除が還付金であることも関係しています。
1年間の収入がない人、換言すると所得税がかからない人の場合は、医療費控除の仕組み上、この制度の恩恵を受けることができません。
しかし、現在無収入であっても、年度の途中で無職になった場合は支払い分が還付されます。
医療費控除の対象となる医療費は次の通りです。(一部のみ記載)
- 医師による診察費
- 医薬品代
- (治療に行くために)公共交通機関の利用にかかった費用
- 公共交通機関を利用できない場合のタクシー代
- 入院中の食事代
- 検診で疾病が発見されて治療に入った時にかかる人間ドックの費用
- 不妊治療費、出産費
- 歯列矯正費(対象外になる歯列矯正もある)
医療費控除はかかった医療費と10万円との差額が受け取れる
医療費控除とは、年間の医療費が10万円を超えた金額が控除の対象です。
1年間でかかった医療費と10万円の差額が控除となります。
医療費控除額は、以下の計算式で求めます。
医療費控除額(上限200万円) =[1年間の医療費の合計額]-[保険金などの補てん金額]-10万円(※)
(※)総所得金額200万円未満の人はその5%
保険金などで補填される金額は医療費控除の対象とならない
医療費控除を受ける際、保険金・給付金などで補填される金額は医療費控除の対象となりません。
入院、治療を行うにあたって保険がおりた場合は、治療などにかかった費用から医療保険の保険金などで支払われた金額を差し引きます。
医療費控除を受けるにあたって、医療費の負担額だけでなく、受け取った保険金、給付金を加味することを忘れないようにしましょう。
無職が医療費控除を受けるには確定申告を行う必要がある
医療費控除は年度調整の対象外ですので、医療費控除を受けるには無職の方は自分で確定申告を行う必要があります。
確定申告時に、年間でかかった医療費の申請をあわせて行います。
確定申告を行わなかった場合、医療費控除を受けることができませんので注意しましょう。
確定申告とは、1月1日~12月31日までの所得を計算して確定し、税務署に所得を申告する制度です。
無職の方が確定申告をしなかった場合、住民税、国民健康保険料が本来の金額よりも高めに請求されることもあります。
無職でも確定申告は行ったほうがいい!メリットを解説
無職の方のなかには「確定申告」という言葉を聞くと、「今は収入がないから関係ない」「個人事業主やフリーランスがやるものでしょ?」と思われる方もいらっしゃいます。
しかし、無職の方が確定申告を行うことによって、受けられるメリットがいくつもあります。
確定申告は、書類を記入したり、書類を郵送したりとなにかと手間がかかります。
しかし、確定申告を行うことで得られる利点もありますので、無職の方も確定申告をすることをおすすめします。
①所得税の還付金を受け取れる
年度の途中で退職した場合、確定申告によって所得税と復興特別所得税が還付されるケースがあります。
所得税と復興特別所得税の還付を受ける条件は、退職前にこれらの税金を支払っており、確定申告によって税金の払い過ぎが分かった場合になります。
確定申告をしなかった場合、過払い分の所得税、復興特別所得税は戻ってきません。
②住民税や国民健康保険料が安くなる
一年間無職だったら、確定申告によって国民保険料が安くなるケースもあります。
住民税とは自分が住んでいる地域で課される税金ですが、住民税は所得割に税額を計算する方法と、所得に関係なくその地域に住んでいる誰もが支払う方法によって成り立っています。
住民税は一定の所得がない方、収入がない方は非課税になりますので、確定申告によって所得がないことが分かれば、住民税の負担がかからなくなることもあります。
確定申告の方法・期間・書類について紹介!
確定申告の経験のない方にとって、「確定申告は難しそう」と先入観をもたれる方も多いです。
しかし、確定申告の方法はシンプルですし、税務署に出向かなくても手続きが完了します。
確定申告を行うにあたって分からないことがある方は、税務署、市役所でも相談にのってもらえます。
また、最近では、確定申告をサポートするパソコンソフト、スマホアプリもありますので、こうしたものも利用してみてください。
【確定申告で必要な書類】について
確定申告を行うにあたって必要となる書類をまずは確認しましょう。
確定申告で必要な書類は以下の通りです。
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、公的医療保険の被保険証、身体障碍者手帳、パスポート、在留カードなど)
- 印鑑(朱肉を使った印鑑が必要)
- 確定申告書
- 銀行の口座番号がわかるもの
- 所得を明らかにできる書類
【確定申告の申請期間】について
確定申告は1年間に一度行います。
確定申告で、1月1日から12月31日までに得た収入を税務署に報告します。
確定申告の申請期間は、収入があった年の翌年の2月16日から3月15日頃となります。
申請期間は年によって異なるため、確定申告をされる方は1月下旬頃には「確定申告の今年度の申請期間はいつなのか」を確認してください。
2020年は、新型コロナウイルスの影響で申告・納税の期限が2020年4月16日までと1ヶ月ほど順延されました。
【確定申告の申請方法】について
確定申告の申請方法は3つあります。
- e-Taxで申告する
- 郵便で税務署に送付する
- 税務署に行って提出(窓口の担当者、もしくは時間外収受箱に提出)
【参考】医療費控除は医療費が10万円以下でも受け取れる!
医療費控除は一年間にかかった医療費が10万円以下でも受けられるケースがあります。
医療費控除の適用は、以下に該当する場合に認められます。
- 年間の医療費が10万円以上
- 総所得金額の5%を超える医療費がかかった場合
総所得が200万円未満の人は、支払った医療費が10万円に満たなくても医療費控除を受けられます。
しかし、受け取った保険金が多い場合、自費診療の治療、美容整形などの費用は適用外となるので注意してください。
【まとめ】無職で医療費控除を受け取るには確定申告を必ずしよう
医療費控除とは、年間の医療費が10万円以上、もしくは総所得金額の5%を超える医療費がかかった場合に受けられる控除です。
医療費控除は支払った所得税の還付金ですので、所得税の支払いを行っていない人は受けられません。
言い換えれば、所得税の支払いを年内に行っていれば、無職の方でも医療費控除を受けることができます。
また、本人が所得税を払っていない場合でも、生計を一にする家族が所得税を払っている場合は医療費控除の適用を受けられます。
年金受給中の方、不労所得のある方も医療費控除の対象になりますので、この制度を活用してみてください。
医療費控除を受けるには確定申告を行う必要があります。
無職の方が確定申告を行うことによって、医療費控除以外にも、所得税の還付金を受け取れる、住民税や国民健康保険料が安くなるといったメリットがあります。
マネーキャリアでは、他にも読んでおきたいお金に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。