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学校に通うため奨学金を受け取っている方もいらっしゃると思います。では、奨学金継続の可否はいつ分かるのでしょうか。この記事では、奨学金継続がいつわかるのか、確認方法からスカラネットへ継続願を提出する方法まで詳しく解説しています。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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奨学金継続の可否はいつわかる?確認する方法を解説!

こんにちは、マネーキャリア編集部です。


先日、大学に通っている学生からこんな相談がありました。

奨学金を受給しているけど、継続の可否がいつわかるか教えてほしいです。

ここ数年、大学や専門学校に通う学生・保護者からの奨学金の受給や継続、返還についてのご相談が増えています。


奨学金継続願を出したけど、受給の可否がいつわかるのか知りたい


学生にとって奨学金が継続できるかどうかは、学校生活の維持にも影響する重要な問題です。


日本学生支援機構の学生生活調査結果によると、「経済的に勉強を続けることが難しい」という質問に対し、約13%の学生は「大いにある・少しある」と回答しています。


大学生の不安や悩み

大学生の不安や悩み


さらに「大いにある」と回答した学生のうち約50%は、「奨学金の経済的支援に対する情報提供」について「不満・やや不満」と回答していました。


このアンケート結果からも、一部の学生は奨学金の受給や継続について不安を抱えていることがわかりますね。


以上の点もふまえて、今回は奨学金継続の可否はいつわかるのかや、審査の基準、継続できないのはどんなケースかなどを解説します。


この記事が、奨学金継続の可否がいつわかるのか悩んでいる人や、継続する方法を知りたい人の参考になれば幸いです。


奨学金の継続の可否は新年度最初の振込まで待とう

結論からいうと、奨学金継続の可否を判断できるのは、新年度の最初に振込がされるタイミングです。


このタイミングで振込が確認できれば、引き続き奨学金を受給できます。


実は継続可能と判断された学生については、基本的にスカラネットや学校から連絡をすることはありません。


なんの連絡も来ないなら問題はないので、初回の振込タイミングまで待ちましょう。


ただ、奨学金が廃止・もしくは停止になる学生に関しては、振込前に学校から知らせが届きます。この場合、奨学金の継続はできずに止まるため、注意しておきましょう。 

奨学金継続のカギを握る適格認定の仕組みとは?


奨学金継続の可否は、適格認定と呼ばれる審査を基準に決まります。 


適格認定では、まず学生が提出した奨学金継続願をもとに、奨学金の継続が認められるかどうかを学校側が審査します。 


 継続の可否が認定されると、そのあと学校がスカイネットに報告し、正式な認定がおりる、という仕組みです。


継続の可否は、以下3項目の基準をもとに厳格な審査が行われます。

  • 人物について
  • 学業について
  • 経済状況について


では的確認定で、廃止・停止・渓谷のいずれかの処置が決まった場合はどうすればいいのか、それぞれの具体的な内容と対応方法を見ていきましょう。 

「廃止」「停止」「警告」の処置の内容は?

廃止・停止・警告処置の内容は、以下の通りです。
処置奨学金の振込処置の内容
停止止まる

・学校長が定める一定の期間(最長1年間)、奨学金の交付が止まる ・成績が回復するなど一定の条件を満たせば、奨学金の交付が復活することもある

停止止まる奨学生としての資格を失う
警告継続・成績の向上に期待
・成績が向上されない場合、奨学金の交付が停止、もしくは廃止になることがある

廃止、もしくは停止の処置を受けた場合、奨学金の交付は止まりますが、警告の処置を受けた場合は奨学金の交付は止まらず、そのまま振込が継続されます。


ただし、警告は「このままだと奨学金が停止・廃止になる可能性がある」という通知です。


学業の成績向上が見込めないと判断されると、奨学金の交付が止まることもあるので、注意しておく必要があります。

「廃止」「停止」「警告」の処置を受けたら次にすることは?



続いて、奨学金の継続願に対して廃止・停止・警告の処置を受けた場合、次になにをすればいいのかを解説します。

廃止処置を受けた際にすること

廃止処置を受けた場合、金融機関の窓口で振替口座の加入手続きを行う必要があります。

ここでいう振替口座はリレー口座とも呼ばれ、交付された奨学金を返済していくための口座です。

用紙に必要な情報を記入し、その口座のある銀行窓口に行って手続きを行いましょう。

なお、学校に引き続き在学する場合は、在学猶予願を提出することで返済期限が猶予されます。2020年4月以降からの在学猶予の期間は、最長で10年です。

停止処置を受けた際にすること

停止処置を受けた場合、奨学金は一時的に止まっていますが、停止となった問題を解決して届出を提出すれば復活させられます。

ただし、定められた期間内に停止となった問題が解決しないと、停止から廃止へと処置が変わるので、注意しなければなりません。

警告処置を受けた場合にすること

警告処置は、修得単位数が足りなかったり、卒業延期の可能性があったりなどの理由で通知されます。

警告の段階ではまだ奨学金は止められていないので、学業の向上や問題の改善をすることで、引き続き奨学金の交付を受けられます。

警告処置の段階なら、届出の提出や口座振替の手続きなどは必要ありません。

奨学金継続ができないのはどんな場合?



奨学金は、なんらかの理由により継続が認められず、停止・廃止になることがあります。

では、奨学金の継続ができないのはどのようなケースなのか見てきましょう。

①奨学金継続願の提出を忘れた場合

奨学金の継続ができない理由としてまず挙げられるのは、奨学金継続願の提出を忘れた場合です。


当然ながら、奨学金をもらうためには所定の届出に必要事項を記入し、学校に提出する必要があります。このときに提出するのが、奨学金継続願です


奨学金継続願は原則として年に1回の提出が必要で、学校の指示に従いスカラネットというインターネットシステムで手続きを行います。


もし決められた期限までに奨学金継続願を提出しなかった場合、奨学金は停止・もしくは廃止になることがあるので、注意が必要です。

②学校の説明会に出なかった場合


次に考えられるのは、学校の説明会に参加しなかったケースです。


奨学金を次年度も継続するためには、学校が行う「奨学金の説明会」に出席し、決められた期限までに所定の書類を提出しなければなりません。


説明会に参加せず、書類も提出しなかった場合、奨学金の継続が取り消しになることがあります。


そのため、学校の奨学金説明会には必ず出席し、必要な書類もしっかり提出しましょう。


なお、最終学年の学生は、学校が行う奨学金の変換説明会に参加して、奨学金の終了手続きを行う必要があります。

③修了単位が少ない場合

終了単位が少ないことも、奨学金の継続ができない理由として挙げられます。


奨学金の適格認定では、審査基準のなかに「学業の成績」に関する項目が含まれているので、極端に学校の終了単位数が少ないと継続できないケースがあるのです。


ただ、単位を1つ2つ落としただけですぐに奨学金が停止や廃止になるわけではありません。


たとえば、大学2年次で単位数が2単位しか取れていない、単位数が少なすぎて卒業が見込めないなど、極端に終了単位が足りていないことにより、継続が打ち切りとなる場合が多いです。


もちろん、奨学金が継続できる範囲の単位数だからといって、学業を怠っていいわけではありません。


単位数が少ないと奨学金の継続に関わるだけでなく、学業の遅れや卒業後の進路に影響することもあるので、自分のためにも真面目に勉強することが必要です。

④重要な問題を起こした場合

在学中に学生自身が重要な問題を起こした場合も、学校側から「奨学生としてふさわしくない」と判断され、奨学金の継続ができないことがあります。


代表的な問題の事例は、以下の通りです。


  • 犯罪行為
  • 飲酒運転、無免許運転
  • 試験中のカンニング、迷惑行為
  • 暴力行為、セクハラ

ただし、問題行動についての基準は日本学生支援機構で定められているわけではなく、学校によって異なります。

心配な場合は、どのような問題を起こすと奨学金の継続が取り消されるのか、事前に学校側に確認しておくといいでしょう。

⑤書類に不備・うその情報がある場合

奨学金の申請時、書類に不備や嘘の情報があることが発覚すると、継続はできません。


これには名前や住所といった基本情報だけでなく、本人と両親の所得証明、家庭の収支状況なども含まれます。


なかにはどうしても奨学金の審査に通りたくて、嘘の申告をしてしまう学生もいますが、後々嘘が発覚すると奨学金は取消しになり、二度と申請できなくなってしまうことも。


そのため、嘘はもちろんオーバーな表現も避け、正確な情報を記入するよう注意が必要です。

⑥親の収入・資産が基準値をオーバーしている場合

親の収入や資産が基準値をオーバーしている場合も、奨学金の継続ができないことがあります。


日本学生支援機構の奨学金は、給付型と貸与型で種類が分かれており、貸与型はさらに第一種・第二種に分かれています。


給付型の場合、収入基準は以下の通り。


支援区分収入基準
第一区分学生と生計維持者の市町村民税所得割が非課税であること
第二区分学生と生計維持者の支給額算定基準額の合計が100円以上25,600円未満であること
第三区分学生と生計維持者の支給額算定基準額の合計が25,600円以上51,300円未満であること


資産の基準は、学生と生計維持者の資産額の合計が2,000万円未満であることです。


上記の収入や資産の基準を超えてしまうと、奨学金は停止となります。


一方で貸与型の場合、収入額の基準は各学校により細かく決められているので、以下のリンクからご確認ください。


(参考:日本学生支援機構:申込資格・申込基準)

奨学金の継続手続きをする3ステップを解説



ここからは、奨学金の継続低続きをする方法を3つのステップに分けて解説します。

  1. スカラネット・パーソナルに登録する
  2. 学校の説明会に参加し必要書類を手に入れる
  3. 期限内にスカラネット・パーソナルから奨学金継続願を提出する

①「スカラネット・パーソナル」に登録する


奨学金の継続願をするためには、まずスカラネット・パーソナルへの登録をします。


スカラネット・パーソナルとは、奨学金の貸与や給付を希望する学生が、自身の情報や申請を管理するためのインターネットシステムのことです。


登録をすることで、奨学金継続願の提出だけでなく、奨学金の貸与・給付期間や月額、返還の総額や振込口座の確認ができます。


ただ、スカラネット・パーソナルに登録しただけでは奨学金継続願を提出したことにはならない点には注意しておきましょう。

②学校の説明会に参加し必要書類を手に入れる

スカラネット・パーソナルへの登録を済ませたら、次は学校の奨学金説明会に参加し、必要書類を手に入れます。


説明会のあとで交付されるのは、以下のような書類です。


  • 奨学金選択表
  • 返還契約書
  • スカラネット入力下書き用紙
  • 保護者の所得証明書類

必要な書類は、毎年12月から2月頃に学校から交付されます。

③期限内にスカラネット・パーソナルから奨学金継続願を提出する

必要書類を入手したら、次はスカラネット・パーソナルから奨学金継続願を提出します。


このとき、提出するまでの期限が決められているので、期限内に必要種類をすべて提出しなければなりません。


提出期限は学校により異なるため、期限はいつまでなのか事前に確認しておきましょう。

奨学金継続願を書くときの注意点



奨学金の継続願は決められた提出方法があり、間違った方法で提出すると、継続ができない場合もあるので注意が必要です。

ではどんな点に注意すればいいのか、詳しく解説します。

①併用の場合は第一種用・第二種用の2つの継続願を提出する

まず気を付けておくべきは、第一種と第二種の奨学金を併用する場合です。


スカラネットにログインすると、最初に奨学生番号を選択するページが表示されます。


このとき、併用貸与で奨学金を申請する場合は、第一種と第二種の2つの継続願を提出しなければなりません。


それぞれで入力する内容は同じですが、両方を提出しないと不備があると判断されてしまうので、必ず2つの継続願を提出しましょう。

②家庭の収支の差は30万円以内にする



次に気を付けておくべきポイントは、家庭の収支の差を規定の金額以内にすること。


奨学金の継続願を提出する際、家庭の収入と支出の差額を入力する欄があります。


学生部なら36万円以上、大学院生なら45万円の収支差になると、必要以上の奨学金を借りていると判断され、減額対象となる場合があるので要注意。


また、記入漏れや計算間違いにより、収支差の数字がマイナスになると先のページに進めなくなるので、正しい情報を記入する必要があります。

③学校生活の状況を書く欄があることを知っておく

もうひとつの注意点は、学校生活の状況を書く欄があることを知っておくこと。


こちらは、奨学金を申請する学生が学校内でどのような生活を送っているかを知り、奨学金の交付をしても問題ないかどうかを判断するために設けられている欄です。


学校生活の状況は記述式で、サークル活動やボランティアの実績、学修の状況などを記入します。


学校に対して「これだけ頑張っています」とアピールする欄でもあるので、他の項目と同様、しっかりと記入する必要があります。

まとめ:振り込みをされていれば奨学金は継続されている!

今回の記事のポイントは、


  • 新年度の最初に奨学金の振込がされていれば継続されている
  • 奨学金継続願の審査で否認されると、奨学金が停止・廃止になる場合がある
  • 必要書類の提出忘れ・不備・問題行動などがあると、継続できない場合がある
でした。

奨学金が継続される場合は特に通知はなく、そのまま口座に奨学金が振込まれます。

ただ、もし何か問題があって奨学金の継続ができない場合、学校から奨学金の停止・廃止・警告通知がくるので、注意が必要です。

また、奨学金継続願を申請する際、併用貸与なら2つの継続願を提出しなければならないことや、収支の差額を一定額以内に収めるといった注意点もあります。

安心して奨学金を継続するためにも、ここで紹介した継続可否がわかるタイミングや注意点などをぜひ参考にしてみてください。