

この記事の監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 収入保障保険は団信の代わりになる?比較して考えよう
- 団信(団体信用生命保険)の目的や仕組み
- 収入保障保険の目的や仕組み
- 団信と収入保障保険の両方に加入する選択肢もある
- 【結論】収入保障保険は団信の代わりになるが保険料はケースバイケース
- 迷ったら無料FP相談!プロと一緒に最適な保障バランスを見つけよう
- 収入保障保険を団信の代わりにするメリット
- 若くて健康な人は保険料を抑えられる場合がある
- 生活費・教育費などローン以外の使い道も選べる
- 生命保険料控除が利用できる
- 住宅ローンの見直しや借り換えに影響されない
- あなたにぴったりの保険は?FPと一緒に最適な保障プランを考えよう
- 収入保障保険を団信の代わりにするデメリット
- 保険金がローン残高と一致しない場合がある
- 年齢や健康状態によって保険料が高くなる
- 収入保障保険の保険金は税金がかかる場合がある
- 【まとめ】収入保障保険を団信の代わりにする際は保険料や保障をよく確認しよう
収入保障保険は団信の代わりになる?比較して考えよう
収入保障保険と団信の違いについて見てみましょう。
<保険に加入するときの違い>
保険加入時 | 収入保障保険 | 団信 |
---|---|---|
主な目的 | 被保険者の収入減少のリスクに備える | 住宅ローンを支払えなくなった時 の保障のみ |
保険金額 | 任意で設定できる | 住宅ローンの契約額 |
保障期間 | 任意で設定できる | 住宅ローンの返済期間 |
保険料の支払い方法 | 月払い、年払いなど | 住宅ローンの返済金に上乗せして支払う |
加入のタイミング | 子供が生まれたとき 住宅ローンを組んだとき ライフプランに大きな変化があったとき | 住宅ローン契約時のみ |
大きな違いは団信の場合、契約時期や金額、期間、保障内容が決まっており、変更ができません。収入保障保険は契約時期、保障金額、保障期間などは任意で設定できます。
<実際に保険を受け取るときの違い>
保険受取時 | 収入保障保険 | 団 信 |
---|---|---|
保険金支払条件 | 死亡、高度障害状態など | 死亡、高度障害状態など |
保険金の受取人 | 相続人など | 住宅ローンを貸した金融機関 |
保険金の受取方法 | 一括受け取り、分割受け取りの選択が可能 | 金融機関が直接受け取る |
保険金の使途 | 自由 | 住宅ローンの残高を完済 |
※保険金の支払い条件は保険契約の内容によります。
大きな違いは団信の場合、契約者や相続人が保険金を直接受け取ることができないことです。収入保障保険は契約者や相続人が受け取りでき、受け取ったお金の使い道は自由です。
団信(団体信用生命保険)の目的や仕組み
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの返済中に万が一のことがあった場合、残りのローンを完済してくれる保険です。
ローン契約者が死亡または高度障害になった際、保険金で住宅ローンの残債が支払われるため、遺された家族にローン返済の負担が残りません。保障額はローン残高に応じて減っていき、保険期間は借入から完済までに限定されます。
ただし、団信は生命保険の一種なので、健康状態によっては加入できないケースもあります。団信の加入が必須かどうかは、金融機関やローン商品によって異なります。団信が加入必須の商品では、加入できないと住宅ローン審査に通らない可能性があります。
なお「フラット35」のように団信加入が任意の商品も存在します。団信に加入しない場合は、収入保障保険などの別の手段で死亡リスクに備える必要があります。
収入保障保険の目的や仕組み
収入保障保険は生命保険の1種ですが、普通の生命保険と違うところは、保障の金額が毎月少しずつ減っていくことです。保障金額が少しずつ減っていくことで、普通の生命保険と比べて保険料が安くなります。
<収入保障保険の特徴>
- 掛け捨ての生命保険
- 満期金や解約返戻金なし
- 定期保険で期間が決められている。終身保障ではない
- 保険金額が毎月減っていく
- 普通の生保より保険料が安い
団信と収入保障保険の両方に加入する選択肢もある
団信は住宅ローンを支払っている人が、亡くなったり、高度障害状態になって働けなくなった時、住宅ローンの残債を完済する保険です。
団信は住宅ローンを支払えなくなるリスクに備えるもので、それ以外のリスクには備えることができません。契約者は金融機関、被保険者は住宅ローンを借りている人、保険金は金融機関が受け取ることになります。
死亡などの場合団信の保険金は相続人には入らず、すべて住宅ローンの残債にあてられます。遺族の生活費については別に備えることが必要です。
【結論】収入保障保険は団信の代わりになるが保険料はケースバイケース
団信が強制加入でない場合は、代わりに収入保障保険を検討する選択肢もあります。団信の保険料が一律であることを考えると、若い世代には割高になる可能性があります。
通常の生命保険では年齢に応じて保険料が異なり、年齢が上がるほど保険料は高くなります。そのため、20代と40代では、40代の方が保険料は高くなるのが一般的です。
団信は年齢にかかわらず保険料が一定であるため、若い人が年齢の高い人のリスクを肩代わりしている側面も否定できません。「何歳までが若いか」は一概には言えませんが、20代〜30代前半であれば、団信より収入保障保険の方が保険料を抑えられるケースが多く見られます。
迷ったら無料FP相談!プロと一緒に最適な保障バランスを見つけよう

団信がいいか収入保障保険がよいか迷ったら、FPに相談しましょう。保険を考える時には将来のライフプランをもとに考えた方が適切な選択ができます。
将来のことを考えるとだれでも不安はあって当然です。ですが、不安が大きいからと言って保険を多くかけると保険料とのバランスが悪くなり家計に負担がかかります。
万が一のとき遺族年金や片親に関するさまざまな支援もあります。保険をかけすぎて貯蓄ができないことは避けた方が賢明です。

収入保障保険を団信の代わりにするメリット

<団信を契約せず、代わりに収入保障保険を契約するメリット>
- 若くて健康な人は保険料を抑えられる場合がある
- 生活費・教育費などローン以外の使い道も選べる
- 生命保険料控除が利用できる
- 住宅ローンの見直しや借り換えに影響されない
団信が強制ではない場合は、自分で団信にするか、別な生命保険にするかを選べます。
若くて健康な人は保険料を抑えられる場合がある
普通の生命保険は年齢ごとに保険料が違います。25歳と45歳では45歳の人の方が保険料が高くなるでしょう。しかし、団信は年齢のくくりがなく全年齢で保険料が同じなので、若い年代では団信以外の保険の方が安い場合があります。
団信は保険の一種なので、健康告知事項があります。若くても告知に該当してしまう場合もあるかもしれません。もし、告知事項に該当しそうなときはしっかり確認し、正確に記入しましょう。
万が一の事態が起こった時、病歴などはしっかり調べられます。保険金が出なければ家族が困ってしまうことにもつながりかねません。
生活費・教育費などローン以外の使い道も選べる
保険事故が起こった時、団信は住宅ローンの完済にしか使えません。収入保障保険は保険金が十分にあれば、住宅ローンにあてるだけではなく、いろいろな使い道があります。
収入保障保険は生活費や教育費にあてることもできます。時間がたつにつれ優先順位が変わってくることも考えられるでしょう。
子供が小さい時は家が必要でもいずれは夫婦だけになる、ひとりだけになると大きな家は維持費がかかり、必要性が低くなる場合があるかもしれません。住宅は売却してローンを返済し、保険金は教育費や老後の資金にすることも可能でしょう。
生命保険料控除が利用できる
団信は生命保険料控除の対象にはなりません。なぜなら、契約者が金融機関になるからです。
収入保障保険は生命保険料控除の「一般生命保険料控除」の対象になります。新制度では最大所得税4万円、住民税28,000円が課税所得から控除されます。
控除額は支払っている保険料によります。自分が実際いくら節税になるかは、計算しないとわかりません。気になる方は専門家に計算してもらいましょう。
住宅ローンの見直しや借り換えに影響されない
あなたにぴったりの保険は?FPと一緒に最適な保障プランを考えよう

保険選びにはライフプランを考えながら選択することをおすすめします。ご自身のライフプランや家族構成などを考慮し、最適な保険を選びましょう。
保険選びのポイント
- どのような目的で保険金が必要か
- 一括で受け取るか、分割で受け取るか
- 必要な保障期間はいつまでか
- 家計に無理のない範囲で保険料を支払えるか
メリット、デメリットを確認しても適正な保険を選ぶことは難しいです。最適な保険を選ぶためには社会保障制度や税金対策なども含めて検討した方がよいでしょう。

収入保障保険を団信の代わりにするデメリット

団信を契約せずに、収入保障保険を契約した場合のデメリットをしっかり確認しましょう。
- 保険金がローン残高と一致しない場合がある
- 年齢や健康状態によって保険料が高くなる
- 収入保障保険の保険金受取時に税金がかかる場合がある
デメリットをしっかり確認し、理解してから契約すれば後悔が少ないでしょう。
保険金がローン残高と一致しない場合がある
団信は「住宅ローンの残高を完済する事」に特化している保険です。違う言い方をすれば、住宅ローンの残高にしか使えない保険です。
保障額は契約時に一番高く、ローンの残高が減っていくにつれ、保障額も減っていきます。途中で一部繰り上げ返済した時も、残高と保障額は常に一致するはずです。
団信がかかっている限りは、住宅ローンが返済できないリスクは保障されています。
年齢や健康状態によって保険料が高くなる
収入保障保険は若くて健康な人は、保険料を抑えられる場合がある、というメリットがありました。逆に加入時に年齢が高く、健康状態があまりよくない場合は、団信よりも保険料が割高になってしまうかもしれません。
団信は保険料が一律なので、若い世代には不利になることがあります。40代後半以降に契約する場合は告知に該当がなければ、お得かもしれません。
しかし、収入保障保険は保険料だけでなく、他の要素も検討する必要があります。
収入保障保険の保険金は税金がかかる場合がある
団信は保険金が手元に入るわけではないので、税金はかかりません。
収入保障保険は、一括で受け取る場合は相続税の対象になります。相続税には非課税限度額があり、非課税の枠内であれば税金はかかりません。
分割で受け取る場合は初年度が相続税、2年目以降は所得税、雑所得扱いになります。所得税に関しては個別で違いがあるので、詳しく知りたい方は専門家への相談をおすすめします。
【まとめ】収入保障保険を団信の代わりにする際は保険料や保障をよく確認しよう

団信にするか収入保障保険がいいか、どちらにするかは迷うかもしれません。保険料がお得な方を選びたいと思うかもしれませんが、保障内容の確認も必要です。
収入保障保険を団信の代わりにする際は、メリットとデメリットをしっかり把握しましょう。
保険選びはライフプランを考慮することも必要です。ライフプランニングはお金のプロであるFPに相談すれば、適切なアドバイスをもらえるでしょう。マネーキャリアでは相談員の全員がFP資格を持っています。
マネーキャリアのFP相談で、リスクに備えた最適な保険選びをしましょう。
