
内容をまとめると
- 離婚後の生活費は現実的な数値でシミュレーションすることが大切
- 収入が減少するリスクもあるためこれまで以上に家計管理が重要
- FPに相談すれば家計の見直しや将来設計についてアドバイスが得られる
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この記事の監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
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この記事の目次
- 離婚後の生活費をシミュレーションする前に押さえておくべき情報
- 生活費の相場
- 養育費の目安
- 児童手当などの公的支援制度
- ひとり親世帯の収入状況
- ひとり親世帯が活用できる控除などの税金対策
- 離婚後に想定される働き方や就労環境
- 家計の見直し方や節約・節税の具体策
- 離婚後の生活費をシミュレーションする手順
- 1.収入・支出・養育費などの情報を整理する
- 2.生活スタイルや家族構成を想定して計算する
- 3.手元資金や貯金額も確認する
- 4.利用できる支援制度や手当を調べて反映する
- 5.シミュレーション結果をもとに家計の改善策を検討する
- 離婚後の生活費をシミュレーション例
- 単身で暮らす場合
- 子どもがいる場合
- 離婚後の生活費をシミュレーションする際の注意点
- 支出を楽観的に見積もりすぎない
- 子どもの成長による支出増も見込んでおく
- 急な出費にも対応できるよう余裕を持たせる
- 離婚後の生活費をシミュレーションして将来に備えよう【まとめ】
離婚後の生活費をシミュレーションする前に押さえておくべき情報
離婚後の生活費をシミュレーションする前に、次のような情報を把握しておくことが大切です。
- 生活費の相場
- 養育費の目安
- 児童手当などの公的支援制度
- ひとり親世帯の収入状況
- ひとり親世帯が活用できる控除などの税金対策
- 離婚後に想定される働き方や就労環境
- 家計の見直し方や節約・節税の具体策
生活費の相場
離婚後の生活費をシミュレーションする前に、一般的な生活費の目安を把握しておくことが大切です。
総務省統計局の調査によれば、1ヶ月あたりの平均的な生活費は、単身世帯と2人以上の世帯で次のようになっています。
世帯 | 生活費 |
---|---|
単身世帯 | 16万9,547円 |
2人以上世帯 | 30万243円 |
こうした生活費の相場を把握しておくことで、離婚後の暮らしのイメージが湧きやすくなります。
また、多角的な視点でシミュレーションを行うことができます。
養育費の目安
養育費の金額を考える際には、裁判所が公開している「養育費・婚姻費用算定表」が参考になります。
算定表では、子どもの人数や年齢、親の年収などをもとに、おおよその金額が示されています。
主なケースは、次のとおりです。
世帯構成 | 夫の年収 | 妻の年収 | 養育費の目安 |
---|---|---|---|
子ども1人(0〜14歳) | 500万円 | 200万円 | 4万〜6万円 |
700万円 | 300万円 | 6万〜8万円 | |
1,000万円 | 専業主婦 | 12万〜14万円 | |
子ども2人(15歳以上、0〜14歳) | 500万円 | 200万円 | 6万〜8万円 |
700万円 | 300万円 | 8万〜10万円 | |
1,000万円 | 専業主婦 | 18万〜20万円 |
※給与所得者の場合
※義務者(払う方)が夫、権利者(もらう方)が妻の場合
養育費・婚姻費用算定表を活用して、実際にどれくらいの養育費を受け取れるのか(または支払うことになるのか)をシミュレーションしてみましょう。
※参照:養育費・婚姻費用算定表|裁判所
児童手当などの公的支援制度
児童手当をはじめとする公的支援制度を把握しておくことは、生活費のシミュレーションを行う上で重要なポイントです。
公的支援制度は、生活を支える大切な収入源の一つとなります。
例えば、児童手当は18歳までの子どもを対象としており、月額1万〜1万5,000円(第3子以降は3万円)を受け取ることができる制度です。
そのほかにも「児童扶養手当」「特別児童扶養手当」「障害児福祉手当」など、状況に応じた支援制度が多数用意されています。
ひとり親世帯の収入状況
厚生労働省の調査によれば、ひとり親世帯の年間平均収入は次のようになっています。
世帯状況 | 母子世帯 | 父子世帯 |
---|---|---|
母または父自身の収入 | 272万円 | 518万円 |
母または父自身の就労収入 | 236万円 | 496万円 |
世帯全員の収入 | 373万円 | 606万円 |
ひとり親世帯の平均収入を把握しておくことで、離婚後の生活費をシミュレーションする際の参考になります。
なお、国税庁の調査によると、給与所得者全体の平均年収は459万5,000円です。
ひとり親世帯が活用できる控除などの税金対策
離婚後の生活費をシミュレーションする上で、税金対策に役立つ情報も得ておきましょう。
例えば「ひとり親控除」は、一定の条件を満たすひとり親に対して適用され、所得から35万円が控除される制度です。
課税譲渡所得額を減らせるため、税負担を軽減できます。
そのほかにも、医療費控除、生命保険料控除、寄附金控除など、さまざまな控除制度があります。
控除制度を活用して税金対策を行うことで、手元に残るお金を増やすことができ、離婚後の暮らしに余裕を持たせることが可能です。
※参照:ひとり親控除|国税庁
離婚後に想定される働き方や就労環境
離婚後の生活費をシミュレーションする際は、自分がどのような働き方を選ぶか、就労状況を具体的に想定することも大切です。
厚生労働省の調査によると、ひとり親世帯の就業率は、母子世帯が86.3%、父子世帯が88.1%となっています。
また、就業者の働き方は、次のとおりです。
世帯状況 | 母子世帯 | 父子世帯 |
---|---|---|
正規の職員・従業員 | 48.8% | 69.9% |
自営業 | 5.0% | 14.8% |
パート・アルバイト | 38.8% | 4.9% |
このように、父子世帯では正社員として働いている割合が高い一方で、母子世帯では約4割がパートやアルバイトといった非正規雇用で働いているのが現状です。
家計の見直し方や節約・節税の具体策
離婚後の生活費をシミュレーションする前に、家計をどう見直すか、また節約や節税の具体的な方法についても把握しておくことが大事です。
離婚をきっかけに収入が減少して家計が圧迫されるケースも多いため、支出の見直しが重要になります。
例えば、現在の保険内容を見直すことで、年間数万円の支出削減につながることもあります。
家計改善の取り組みに不安がある場合は、FPに相談して、状況に合ったアドバイスを受けると安心です。
離婚後の生活費をシミュレーションする手順
離婚後の生活費をシミュレーションする際の手順は、次のとおりです。
- 収入・支出・養育費などの情報を整理する
- 生活スタイルや家族構成を想定して計算する
- 手元資金や貯金額も確認する
- 利用できる支援制度や手当を調べて反映する
- シミュレーション結果をもとに家計の改善策を検討する
1.収入・支出・養育費などの情報を整理する
離婚後の生活費をシミュレーションする際は、収入・支出・養育費などの情報をできるだけ正確に整理することが大切です。
収入については、離婚後の働き方(雇用形態や勤務時間など)を想定して、現実的な金額を見積もりましょう。
支出に関しては、家族構成の変化により減る項目もありますが、収入の減少リスクも考慮する必要があります。
そのため、家計全体を見直し、実情に合った金額をシミュレーションに反映させることが重要です。
2.生活スタイルや家族構成を想定して計算する
離婚後の生活スタイルや家族構成の変化を想定して計算しましょう。
例えば、子どもと同居するのか、単身で生活するのかによって必要な住居費や食費、水道光熱費などが大きく異なります。
また、住む地域によっても家賃や物価が異なるため、希望する地域の賃貸相場や生活コストを事前に調べ、シミュレーションに反映させましょう。
現実に即した想定をすることで、無理のない家計管理や将来への備えにつながります。
3.手元資金や貯金額も確認する
手元にある資金や貯金額を正確に把握しましょう。
また、資産運用をしている場合は、投資信託や株式、国債などの最新の評価額も確認しておくことが大切です。
保険の積立金やiDeCoの残高、将来の年金受給見込み額など、すぐに使えない資産も含めて全体像を把握します。
これらの情報を反映させることで、老後資金や教育資金といった長期的なライフプランを考慮に入れた、より現実的なシミュレーションが可能です。
離婚後は収入が減るケースも少なくないため、資産状況をあらかじめ整理しておくことが、安心した生活設計につながります。
4.利用できる支援制度や手当を調べて反映する
離婚後に利用できる支援制度や手当を調べて、シミュレーションに反映させます。
児童手当やひとり親控除といった公的制度だけでなく、現在の勤務先で利用できる手当や福利厚生がないかも確認しましょう。
また、医療費助成や住宅支援など、自治体が独自に実施している支援制度もあわせて調べておくことが大事です。
支援制度や手当は離婚後の家計を大きく支える要素となるため、シミュレーションのためだけでなく、今後の生活のためにもしっかり把握しておきましょう。
5.シミュレーション結果をもとに家計の改善策を検討する
生活費のシミュレーション結果が出た後は、結果を踏まえて家計の改善策を検討することが大切です。
例えば、予想以上に生活が厳しくなる見込みであれば、副業や働き方の見直しによる収入アップを目指すか、保険や固定費を見直して支出を抑えるなどの対策が必要になります。
また、短期的な節約だけでなく、長期的なライフプランにもとづいた改善策を考えることも大切です。
シミュレーションを現状の把握で終わらせず、さらに対策を講じることで、離婚後の生活をより安定させることができます。
離婚後の生活費をシミュレーション例
ここでは、総務省統計局のデータをもとに、離婚後の生活費シミュレーション例を紹介します。
- 単身で暮らす場合
- 子どもがいる場合
単身で暮らす場合
単身世帯における1ヶ月あたりの平均生活費は16万9,547円です。
主な内訳は、次のとおりです。
項目 | 金額 |
---|---|
食料 | 4万3,941円 |
電気代 | 6,756円 |
ガス代 | 3,056円 |
上下水道料 | 2,282円 |
被服及び履物 | 4,881円 |
保健医療 | 8,394円 |
通信 | 6,379円 |
交際費 | 1万3,897円 |
生活費に加えて養育費の支払いが必要になることもあります。
そのため、養育費を継続的に払えるように、日々の生活費は無理のない範囲で抑えることが大切です。
子どもがいる場合
母子世帯で18歳未満の子どもがいる場合の1ヶ月あたりの平均生活費は24万2,017円です。
主な内訳は、次のとおりです。
項目 | 金額 |
---|---|
食料 | 6万3,464円 |
電気代 | 9,456円 |
ガス代 | 5,383円 |
上下水道料 | 3,991円 |
被服及び履物 | 9,819円 |
保健医療 | 6,393円 |
通信 | 9,706円 |
交際費 | 8,061円 |
子どもがまだ小さい場合は、今後必要になる教育費や成長に伴う支出も考慮して生活費をシミュレーションし、資金計画を立てておくことが大事です。
離婚後の生活費をシミュレーションする際の注意点
離婚後の生活費をシミュレーションする際には、次のような注意点があります。
- 支出を楽観的に見積もりすぎない
- 子どもの成長による支出増も見込んでおく
- 急な出費にも対応できるよう余裕を持たせる
支出を楽観的に見積もりすぎない
離婚後の生活費をシミュレーションする際には、支出を甘く見積もらないことが大切です。
シミュレーションと実際の支出に大きなズレがあると、想定よりも早く貯金が底をつくなどして、家計が赤字になるリスクがあります。
離婚後は、住まいや働き方など生活スタイルが大きく変わり、収入も不安定になりがちです。
ひとり親世帯であれば育児や家事の負担が増え、外部サービスを利用する必要が出てくることもあります。
また、外食や買い物などでストレスを発散してしまうこともあります。
楽観的な見積もりではなく、現実的なシミュレーションを行うことが重要です。
子どもの成長による支出増も見込んでおく
子どもがいる場合、成長とともに教育費や習い事、食費、衣類などの支出が増えていきます。
特に高校や大学進学時にはまとまった費用が必要になるため、将来を見越して積立や学資保険などを活用した準備も必要です。
現在の支出状況だけを基準にするのではなく、数年先のライフイベントも視野に入れて、生活費をシミュレーションしておくことが大切です。
急な出費にも対応できるよう余裕を持たせる
離婚後の生活費をシミュレーションする際の注意点の一つは、急な出費にも対応できるよう、生活費に余裕を持たせておくことです。
子どもの体調不良や家電の故障、引っ越し費用や冠婚葬祭など、予期せぬ支出は誰にでも起こり得ます。
特にひとり親世帯では、このような出費をカバーする手段が限られるため、事前に想定して備えておくことが大切です。
生活費をギリギリで組んでいると、急な出費に対応できず、借金や生活苦につながるリスクが高まります。
シミュレーションの段階から、急な出費を考慮に入れて、余裕を持たせた家計設計を心がけることが離婚後の安定した生活につながります。
離婚後の生活費をシミュレーションして将来に備えよう【まとめ】
離婚後は収入の減少や生活スタイルが変わる可能性が高いため、事前に生活費をシミュレーションしておくことが大切です。
シミュレーションを行う際は、子どもの成長に伴う教育費や生活費が増えることも見越して、現実的な数値で計画を立てましょう。
また、離婚後の暮らしを安定させるためには、これまで以上に家計管理に力を入れることも大事です。
「家計管理に自信がない」という場合は、FPなどの専門家に相談することもおすすめです。
早速、離婚後の生活費をシミュレーションして今後の生活や将来に向けた備えを始めましょう。