「個人年金保険への加入はおすすめしないという人は多いけど、実際どうなの?」このような疑問を持つ方は多いでしょう。そこで本記事では、個人年金保険の加入をおすすめしない人、個人年金保険への加入をおすすめできる人、個人年金保険のメリット・デメリットをまとめました。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
- 個人年金保険の加入はおすすめしない?
- 個人年金保険の加入をおすすめしない人の特徴7つ
- ①公的年金と預貯金や退職金で老後資金を十分にカバーできる人
- ②公的年金以外に収入源を確保できている人
- ③多少のリスクを冒してでも資金を大きく増やしたい人
- ④毎月決まった額の保険料を払い続けることが難しい人
- ⑤加入手続きが面倒に感じる人
- ⑥長期間の継続的な積み立てを避けたい人
- ⑦すでに投資のスキルや知識を持っていてより効率よく資金を増やせる人
- 個人年金保険への加入をおすすめしないと言われるようになった理由はマイナス金利
- 個人年金保険は予定利率が低くても加入するメリットはある
- 個人年金保険で老後資金を準備するメリット
- 個人年金保険料控除とは?算出方法も解説!
- 今は個人年金保険への加入をおすすめしない?6つのデメリットを解説
- ①固定金利なのでインフレに弱い
- ②大きなリターンは望めない
- ③途中で解約すると元本割れする
- ④保険会社が倒産する場合もある
- ⑤景気が良い状態で加入したほうがリターンが大きい
- ⑥受取金は課税対象
- 個人年金保険への加入をおすすめできる人の特徴3選
- ①貯蓄が少ない人・浪費グセがあり貯蓄が苦手な人
- ②老後に備えながら節税のメリットも享受したい人
- ③資金を減らすリスクを回避しながら貯金よりも確実に資産を増やしていきたい人
- そもそも個人年金保険とは
- 受け取り期間で分けると個人年金保険は3種類
- 運用方法で分けると個人年金保険は2種類
- 個人年金保険の必要性について解説!
- 8割以上の人が老後に不安を抱えている
- 個人年金保険の加入率は20%以上
- 年金は何歳からいくら受け取れる?
- 個人年金保険は誰にでもおすすめしないわけではない!【人によって向き不向きがある】
- 個人年金保険以外の老後資金の準備方法①iDeCo
- 個人年金保険以外の老後資金の準備方法②終身保険
- 個人年金保険以外の老後資金の準備方法③預貯金
- 個人年金保険以外の老後資金の準備方法④NISA・積立NISA
- 個人年金保険以外の老後資金の準備方法⑤変動型個人年金
- 参考:個人年金保険とiDeCoの併用もできる!【メリットデメリットを解説】
- 個人年金保険とiDeCoを併用するメリットデメリット
- 個人年金保険とiDeCoの併用をおすすめできる人
- 参考:個人年金保険だけで老後資金を準備するのはおすすめしないという意見について
- 個人年金保険はメインの貯蓄方法ではないことを意識すべき
- 老後資金の対策を何もしないよりは個人年金保険に加入するほうがまし
- 参考:個人年金保険に入るとどうなるのか
- 今後景気が良くなっても大きなリターンはない
- 年金の支給開始時期には注意
- 老後資金の準備方法や資産運用の方法に迷ったらお金のプロに相談すべき理由
- 個人年金保険をおすすめしない人の特徴まとめ
個人年金保険の加入はおすすめしない?
こんにちは。マネーキャリア編集部FPの西田です。
先日、30代後半の男性から次のような相談を受けました。
現在の日本においてほとんどの人たちが定年退職後の生活に不安を感じています。
老後のお金にまつわる不安を解決するため、個人年金保険への加入を検討される方も少なくありません。
個人年金保険とは公的年金とは異なり、自らの意思で加入する保険です。
個人年金保険に加入することで老後資金の貯蓄、節税効果などのメリットがある一方、最近はおすすめしないという意見も少なくありません。
このように言われる背景には、現在の日本がマイナス低金利の時代であることが関係します。
本記事では、個人年金保険をおすすめしないと言われる理由の解説に加えて、個人年金保険の加入をおすすめしない人の特徴、個人年金保険への加入が向いている人の特徴などについて説明していきます。
本記事が、個人年金保険への加入を検討されている方の参考になりますと幸いです。
個人年金保険の加入をおすすめしない人の特徴7つ
「老後2000万円問題」が深刻になっている今日において、多くの人たちが公的年金とは別に老後資金を形成しなければならないと考えています。
老後資金形成のための制度は数多くありますが、個人年金保険は昔から多くの人に利用されている制度の一つです。
しかし、個人年金保険の加入は誰にでもおすすめできるわけではありません。
ここでは、個人年金保険の加入をおすすめしない人の特徴7つを紹介していきます。
①公的年金と預貯金や退職金で老後資金を十分にカバーできる人
定年退職を迎えた夫婦二人の生活費は月額247,701円必要と言われています。(参照:マイライフ協会)
この金額は最低限の生活費ですので、お金のかかる趣味などを持っている方は上記の金額以上の生活費が必要になります。
公的年金、預貯金、退職金で老後資金をカバーできる予定の方には国民年金保険への加入はおすすめしません。
毎月の年金をベースにしながら不足分を預貯金、退職金で補って暮らしていくことをおすすめします。
②公的年金以外に収入源を確保できている人
公的年金以外にも収入源のある方は個人年金保険が必要ないことも多いです。
例えば、不動産投資で毎月家賃収入があったり、定年退職後もスキル・知識などを活かして仕事を続ける方にとって個人年金保険の必要性は低いと言えるでしょう。
個人年金保険は運用益が高いわけではないため、より良い方法で老後の収入源を確保できる方には加入する必要がないことも少なくありません。
③多少のリスクを冒してでも資金を大きく増やしたい人
個人年金保険は原則確実にお金を受け取ることができますが、資金を大きく膨らませることは難しいです。
返戻率は契約内容などによる部分もあるため一概に言えませんが、105.0%前後と言えるでしょう。
実際のところ、お金がどのくらい増えるのか例を見てみましょう。
- 契約者 30歳女性
- 払込期間 65歳まで
- 年金受取開始 65歳から
- 年金種類 確定年金(10年)
- 保険料 月額1万5千円
上記のケースでは、支払った保険料の総額は630万円となり、受取額は662万円となります。
個人年金保険に加入したことで得られる利益は32万円です。
大きな利益を得られるわけではないため、リスクを覚悟しつつ資金を膨らませたい人には向きません。
④毎月決まった額の保険料を払い続けることが難しい人
個人年金保険は毎月決まった額の保険料を支払う必要があります。
保険料を長期間にわたって払い続ける必要があるります。
「今は少し余裕があるけれど、支払えるか不安」と悩まれる方は、入るなら支払額を少なめに設定すると良いでしょう。
⑤加入手続きが面倒に感じる人
個人年金保険は加入時に手続きが必要であるため、手続きを面倒に感じる人にはおすすめしないです。
加入手続きにおいて告知書が必要になることも少なくありません。
告知書には経済状況、健康状況などといった質問項目があり、人によっては回答することがめんどくさく感じてしまうでしょう。
⑥長期間の継続的な積み立てを避けたい人
先行きが不透明な現代社会において、長期間に及ぶ継続的な積み立てを避けたい人は個人年金保険に入らない方がいいでしょう。
収入やライフスタイルが変わることによって老後資金のより良い蓄え方が出てくることもあります。
契約する際、加入したら長期間の継続的な積み立てとなることを今一度思い起こすようにしてください。
⑦すでに投資のスキルや知識を持っていてより効率よく資金を増やせる人
個人年金保険の他にも資金を増やす方法はいくつもあります。
個人年金保険はお金を着実に積み立てられるというメリットがある一方、資金を大きく膨らませることはできません。
投資のスキル・知識をすでに持っている方は、より効率の良い方法でお金を増やすことをおすすめします。
個人年金保険への加入をおすすめしないと言われるようになった理由はマイナス金利
ひと昔前は、元本の保証、満期になると積み立てした金額に加えて運用益も受取れるなどの利点から、個人年金保険は老後資金形成のために最もおすすめされていた制度でした。
しかし、最近では、多くのFPが「個人年金保険への加入をおすすめしない」と言っています。
現在、個人年金保険がおすすめしないと言われる理由は以下の2点です。
- マイナス金利の時代になった
- 予定利率が低いため加入しても意味がない
現在行われているマイナス金利政策は、個人年金保険に大きな影響を与えています。
「経済活性化」、「デフレからの脱却」のため、日銀によるマイナス金利政策が行われています。
マイナス金利政策により、民間の金融機関が日銀に預けているお金には金利が支払われない状況です。
日銀に預けている民間の金融機関のお金に金利が支払われないことで、企業への貸し出し、投資などが活発に行われることになり経済活性化が期待されているのです。
個人年金保険は掛け金を運用し、掛け金に運用益がプラスされて受取りできるる仕組みです。
個人年金保険の運用は安全性の高い国債が多いため、マイナス低金利において運用益が減少します。
現在の個人年金保険は定期預金よりも利率が高いものの、資金を大きく膨らませることはできないためおすすめされないことも多いのです。
個人年金保険は予定利率が低くても加入するメリットはある
予定利率が高い場合、支払う保険料が安くなったり、将来受け取れる金額が多くなったりといったメリットがあります。
現在の個人年金保険は予定利率が低いものの、それでも加入するメリットはあります。
個人年金保険に予定利率が低くても加入するメリットは以下3つです。
- 将来のための貯えができる
- 所得控除を受けられる
- 生命保険としての役割をもつ
個人年金保険に加入することで、所得控除を受けながら将来に向けて着実にお金を貯めることができます。
個人年金保険で老後資金を準備するメリット
多くの人たちから利用されてきた個人年金保険で老後資金を準備するメリットは、現在においてもあります。
個人年金保険で老後資金を準備するメリットとして以下4つを挙げられます。
- 個人年金保険料控除を使える
- 様々な支払い方法の中から自分に最適なものを選べる
- 商品の種類が多い
- 契約内容が柔軟
自分に合ったプランを見付けやすく、かつ税の支払いで優遇を受けられる個人年金保険を活用することによって、老後資金を着実に積み立てることができます。
個人年金保険料控除とは?算出方法も解説!
個人年金保険料控除とはなにかを見た上で、個人年金保険料控除の算出方法を確認していきましょう。
個人年金保険料控除とは
個人年金保険料控除とは、個人年金保険に加入している方が払い込んだ額に応じて所得税、住民税の負担が軽減される制度です。
個人年金保険料控除を受けるにあたって、会社員・公務員の方は年末調整を行い、自営業・フリーランスの方は確定申告を行う必要があります。
確定申告を行わなければ、控除されませんので気を付けてください。
個人年金保険料控除の算出方法
個人年金保険料控除の算出方法は新制度(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る保険料)と旧制度(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料)に分かれます。
個人年金保険料控除の算出方法は以下の通りです。
新制度の計算方法
所得税の控除金額の計算式をまずは見てみましょう。
年間の払込保険料 | 所得税の控除金額の計算式 |
---|---|
20,000円以下の場合 | 払込保険料全額が控除される |
20,000円超~40,000円以下の場合 | 払込保険料÷2+10,000円 |
40,000円超~80,000円以下の場合 | 払込保険料÷4+20,000円 |
80,000円超の場合 | 28,000円 |
住民税は年間の払込保険料が1万2千円以下の場合、払い込んだ保険料の全額が控除されます。
年間払込保険料が高ければ高いほど住民税の控除金額は高くなます。
年間の払込保険料が56,000円以上になると、住民税の控除金額は一律28,000円です。
旧制度の計算方法
所得税の控除額の計算式は以下の通りです。
年間の払込保険料 | 所得税の控除金額の計算式 |
---|---|
25,000円以下の場合 | 払込保険料全額が控除される |
25,000円超~50,000円以下の場合 | 払込保険料÷2+12,500円 |
50,000円超~100,000円以下の場合 | 払込保険料÷4+25,000円 |
100,000円超の場合 | 50,000円 |
所得税は年間払込保険料が2万5千円以下の場合、払込保険料全額控除となります。
続いて、住民税の控除金額の計算式を見てみましょう。
年間の払込保険料 | 住民税の控除金額の計算式 |
---|---|
15,000円以下の場合 | 払込保険料全額が控除される |
12,000円超~40,000円以下の場合 | 払込保険料÷2+7,500円 |
40,000円超~70,000円以下の場合 | 払込保険料÷4+17,500円 |
70,000円超の場合 | 35,000円 |
個人年金保険を加入した時期によって算出方法、及び控除される金額が変わるので気を付けてください。
今は個人年金保険への加入をおすすめしない?6つのデメリットを解説
個人年金保険への加入について「おすすめしない」と言われることが多いですが、加入することでどのようなデメリットがあるのでしょうか。
ここでは、個人年金保険の6つのデメリットについて解説していきます。
①固定金利なのでインフレに弱い
個人年金保険は長期間お金を縛るタイプの保険のため、インフレリスクに弱いです。
インフレリスクとは、物価が上がり、貨幣の価値が下がるリスクのことを言います。
将来年金としてもらえる金額の価値が金額の総額と同額であっても、目減りしてしまう可能性があります。
②大きなリターンは望めない
個人年金保険は定期預金よりも予定利率が高いものの、高い運用率ではないため大きなリターンは望めません。
お金を着実に積み立てたいという方には向きますが、資金を大きく膨らませたい方にはおすすめしないです。
③途中で解約すると元本割れする
個人年金保険の受け取り年齢は60歳以降と決まっています。
それまでに保険金を受け取ることは原則できません。
保険料を長期に及んで払い続ける必要があるため、家計の急変などによって払えなくなってしまう可能性も懸念されます。
また、子供の教育費などのためにまとまったお金が必要になることもあるでしょう。
途中で解約すると元本割れする可能性が高く、マイナスが発生してしまうかもしれません。
長期的なプランを立てた上で加入しましょう。
④保険会社が倒産する場合もある
保険会社が倒産すると、積み立てた金額が全額返ってこない場合もあります。
生命保険契約者保護機構という加入者を守る制度がありますが、この制度によって全額保証されるわけではないのです。
保険会社の倒産は珍しいことでは決してないため気を付けてください。
⑤景気が良い状態で加入したほうがリターンが大きい
マイナス金利政策によって低金利の経済状態です。
個人年金保険は長期固定金利であるため、金利が高い時に加入することをおすすめします。
景気が良い状態で加入したほうが大きなリターンを得られます。
⑥受取金は課税対象
個人年金保険の受取金は課税対象です。
保険会社に支払った保険料分は課税の対象にはなりませんが、増えた分(利益分)のお金は所得税の課税対象となります。
個人年金保険への加入をおすすめできる人の特徴3選
個人年金保険への加入は全ての人におすすめできないわけではありません。
ここでは、個人年金保険への加入をおすすめできる人の特徴を3つ紹介していきます。
①貯蓄が少ない人・浪費グセがあり貯蓄が苦手な人
個人年金保険は着実にお金を積み立てることができるため、貯蓄が少ない人や浪費グセのある方におすすめです。
保険料は指定口座から自動的に引き落とされるため、お金を半強制的に貯めることができます。
また、お金を引き出すためには解約という選択しかないため、うっかり下ろして使ってしまうことも防げます。
②老後に備えながら節税のメリットも享受したい人
個人年金保険は老後資金を貯めることで節税効果があります。
支払った保険料は生命保険料控除の対象となりますので、支払った金額に応じて所得税、住民税の負担を少なくできるのです。
平成24年1月1日以後に締結した保険契約での控除額は以下の表を参照ください。
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超、40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超、80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
(参考:国税庁|No.1140 生命保険料控除)
③資金を減らすリスクを回避しながら貯金よりも確実に資産を増やしていきたい人
個人年金保険はリスクを回避しながら確実に資産を増やしていくことができます。
ハイリスク・ハイリターンと言われる投資と異なり、個人年金保険は運用益は少ないもののリスクを回避できます。
老後のお金を確実に貯めたいという方には個人年金保険は利点の多い制度です。
そもそも個人年金保険とは
個人年金保険とは公的年金とは異なり、保険会社が販売している私的年金です。
契約後は、年金原資の積み立を行い、払い込まれた保険料が運用されて将来の受取額(年金)が用意されます。
年金受取期間の到達後、年金形式で原資と運用益の合計を受け取ることができます。
受け取り期間で分けると個人年金保険は3種類
個人年金保険は受け取り期間ごとに
- 確定年金
- 有期年金
- 終身年金
の3種類に分かれています。
確定年金、有期年金、終身年金について、それぞれ説明していきます。
確定年金
確定年金とは定まった期間にのみ年金を受け取れるタイプです。期間は、「5年」や「10年」などといったように選択できます。
確定年金は年金支給期間中に受取人が亡くなった場合、遺族が受け取れます。
有期年金
有期年金も確定年金と同様に決まった期間だけ年金を受け取ることができます。
しかし、年金支給期間に受取人がなくなった場合、その時点で支給が終わります。
有期年金には保険料が割安であるというメリットが挙げられます。
公的年金が支給されるまでのつなぎの期間の生活費などに充てることをおすすめします。
終身年金
終身年金とは生涯にわたって受け取れる保険です。終身保険の中には遺族に年金が支給される保障期間が付いたものもあります。
保障が手厚い分、確定年金、有期年金よりも保険料は高い傾向にあります。
運用方法で分けると個人年金保険は2種類
個人年金保険は受取り期間だけでなく、運用方法でも分けることができます。
運用方法で分けると個人年金保険は、定額型と変額型の2種類になります。
定額型と変額型について、それそれ詳しく見ていきましょう。
定額型
個人年金保険において定額型が一般的です。
定額型とは予定利率に応じた積立運用を行うことによって、将来受け取れる年金額が決まります。
受取額には最低保証があるので老後の生活設計がしやすいことがメリットです。
しかし、最低保証はデメリットになることもあり、老後に物価が上がってインフレになると受取額が目減りしてしまう可能性もあります。
変額型
変額型は定額型よりもハイリスク・ハイリターンのタイプです。
保険会社の特別勘定で価格変動が大きい金融商品を選択して投資を行います。
受取額が大きく増えることも期待できますが、元本割れのリスクもあります。
個人年金保険の必要性について解説!
公的年金だけでは老後の生活が成り立たないと言われています。
2021年において国民年金給付額は満額78万1,700円/1年、厚生年金の給付額は平均して約14万円/1年です。
厚生年金の場合、納めた保険料によって受取額が変わるので一概には言えませんが、国民年金の満額だけで生計を立てることは難しいです。
定年退職後の生活を考えると、公的年金だけに頼ることは危険であり、公的年金以外にも老後資金を形成する必要があると言えます。
個人年金保険はお金を確実に貯めることができ、かつ定期預金よりも運用益が高いため、老後資金形成における一つの方法として有効と言えるでしょう。
8割以上の人が老後に不安を抱えている
セコム株式会社が「老後の不安に関する意識調査」を行ったところ、8割以上の人たちが老後に不安を抱えていることが明らかになりました。
(セコム株式会社「老後の不安に関する意識調査」調査項目・調査結果 データ集はこちらになります)
多くの人たちが老後について抱える不安は、1位「病気・ケガ」、2位「経済的な負担」、3位「介護」となっています。
老後に経済的な不安を抱えている人が多い一方、老後に備えた対策をしている人は半数に達しませんでした。
対策をしない方たちの理由の多くが「具体的になにをすれば分からない」、「費用がかかる」、「老後の社会が分からない」といった事情を抱えています。
不況や低賃金などの問題によって現在の生活で精一杯の方が多いため、老後の対策をしている方が非常に少ないという現状なのです。
個人年金保険の加入率は20%以上
マネープラザONLINEによると、平成30年度における個人年金保険の加入率は20%以上となっています。
29歳以下の加入率は15%台と少ないものの、30歳から69歳の加入率は20%を大きく超えます。
そして、個人年金保険の加入者が最も多い年代は50歳から54歳の31.9%です。
経済的にも安定しており、定年の近い50代ですが、3割程度の人たちが老後資金を意識して個人年金保険に加入されています。
年金は何歳からいくら受け取れる?
「年金支給開始年齢の引き上げ」について話題になることが多いですが、実際のところ年金は何歳からいくら受け取ることができるのでしょうか。
日本の公的年金には、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金がありますので、それぞれについて解説していきます。
国民年金(老齢基礎年金)
国民年金とは自営業者やフリーランスが加入する年金です。
2021年において国民年金が支給される年齢は65
歳、金額は満額で年間78万900円(月額約6万5,000円)となっています。
満額受け取れるのは20歳~60歳まで保険料を全額納めた人です。
免除制度を利用した場合、支給される金額が78万900円を下まわります。
厚生年金
厚生年金とは会社勤めをしている人が加入している年金です。
2021年において厚生年金が支給される年齢は65歳、金額は支払額によって異なるため一概には言えません。
厚生年金の受給者の平均は年間168万円程度(月額約14万円)と言われています。
個人年金保険は誰にでもおすすめしないわけではない!【人によって向き不向きがある】
何事にも向き・不向きがあるように、個人年金保険においても向き・不向きがあります。
老後資金を形成する方法は個人年金保険以外にもありますので、自分に合った方法で老後資金を貯めることをおすすめします。
個人年金保険以外の老後資金の準備方法①iDeCo
iDeCoとは個人型確定拠出年金の愛称で、老後資金形成を目的とした制度です。
iDeCoと個人年金保険の違いにあわせて、iDeCoのメリット・デメリットを見ていきましょう。
個人年金保険とiDeCoの違い
個人年金保険とiDeCoの大きな違いは税制面と運用面です。
税制面ですが、iDeCoは運用益が60歳になるまで全額非課税であるのに対し、個人年金保険は利益分が課税の対象となります。
運用面については、個人年金保険は保険会社が運用を行うため手軽であるのに対し、iDeCoは自分で運用を行うため手間がかかります。
iDeCoのメリット
iDeCoのメリットは以下の通りです。
- 掛け金の全額が小規模企業共済等掛金控除の対象
- 投資の運用益が60歳まで全額非課税
iDeCoのデメリット
iDeCoのデメリットは以下の通りです。
- 運用商品の選定・運用は全て自分
- 原則として途中解約不可(加入期間が60歳までと固定)
個人年金保険以外の老後資金の準備方法②終身保険
終身保険とは被保険者が死亡、もしくは高度障害者になった時、保険金受取人として設定された遺族に死亡保険金が支払われる保険です。
終身保険と個人年金保険の違いにあわせて、終身保険のメリット・デメリットを見ていきましょう。
終身保険と個人年金保険の違い
個人年金保険は加入者自身の老後資金形成を目的にするのに対し、終身保険は遺族への保障となります。
受取額は葬儀費用、相続対策に使われることが多いです。
終身保険のメリット
終身保険のメリットは以下の通りです。
- 1.保障が一生涯継続
- 保険料が上がらない
- 若いと保険料が割高
- 終身払いは定年後も支払いが継続
個人年金保険以外の老後資金の準備方法③預貯金
預貯金とは銀行にお金を預けておく、お金を貯めておくことを言います。
預貯金と個人年金保険の違いにあわせて、預貯金のメリット・デメリットを見ていきましょう。
預貯金と個人年金保険の違い
途中で引き出すことが難しい個人年金保険と比較して、預貯金は流動性が高いです。
預貯金は自分の都合に合わせて引き出すことも可能ですし、老後資金以外に使用することもできます。
預貯金のメリット
預貯金のメリットは以下の通りです。
- 元本割れしない
- 流動性が高く、引き出しやすい
- 銀行が破綻した場合も一定金額まで保護される
預貯金のデメリット
- 意思が強くないとお金を貯められない
- 利率ではほとんど増えない
- 税金の支払いにおいて優遇がない
個人年金保険以外の老後資金の準備方法④NISA・積立NISA
NISA・積立NISAとは積立投資専用の少額投資非課税制度(NISA)で、投資による利益を非課税で受け取れる制度です。
積立金や利益の使い道は老後資金に限定されず、自分自身で決めることができます。
NISA・積立NISAと個人年金保険の違いにあわせて、NISA・積立NISAのメリット・デメリットを見ていきましょう。
NISA・積立NISAと個人年金保険の違い
個人年金保険はリスクなくお金を貯められる一方、NISA・積立NISAにはある程度のリスクが発生します。
運用面にも違いがあり、NISA・積立NISAでは口座の開設や購入する投資信託の選択の難易度が高いのに対して、個人年金保険は知識などがあまりなくても始めやすいです。
個人年金保険の運用益では物足りなさを感じる方にNISA・積立NISAがおすすめです。
NISA・積立NISAのメリット
NISA・積立NISAのメリットは以下の通りです。
- お金が大きく膨らむ可能性がある
- 利益に税金がかからない
- 受け取る時期を自分で決められる
NISA・積立NISAのデメリット
NISA・積立NISAのデメリットは以下の通りです。- ハイリスク・ハイリターン
- マイナスにならないか常に不安がある
- お金を膨らませるには知識が必要
個人年金保険以外の老後資金の準備方法⑤変動型個人年金
変動型個人年金とは原資を株式などで運用し、運用の結果しだいで受け取れる年金額が変動する制度です。
変動型個人年金と個人年金保険の違いにあわせて、変動型個人年金のメリット・デメリットを見ていきましょう。
変動型個人年金と個人年金保険の違い
変動型個人年金は個人年金よりもハイリスク・ハイリターンの運用となります。
保険料の運用実績によって、年金や解約返戻金の額が決まります。
お金を大きく膨らませられることのできる可能性がある一方、元本の保証はありません。
変動型個人年金のメリット
変動型個人年金のメリットは以下の通りです。
- 上手くいけばお金を増やせる
- インフレリスクに比較的強い
変動型個人年金のデメリット
変動型個人年金のデメリットは以下の通りです。
- 元本割れの可能性がある
- 上手くやるには知識が必要
- 手間がかかる
参考:個人年金保険とiDeCoの併用もできる!【メリットデメリットを解説】
個人年金保険とiDeCoは併用することもできるため、ご自身の状況に合わせて併用するという選択もあります。
ここでは、個人年金保険とiDeCoを併用するメリット・デメリットに加えて、個人年金保険とiDeCoの併用をおすすめできる人の特徴を紹介していきます。
個人年金保険とiDeCoを併用するメリットデメリット
個人年金保険とiDeCoを併用することで、それぞれの短所を補えるというメリットがあります。
個人年金保険ではリスクがほぼない円建て・定額タイプの商品を選択し、iDeCoではリスクはあるが大きな利益を期待できる投資信託を中心に運用を行います。
iDeCoで元本割れしても個人年金保険で積み立てたお金があるため、老後資金は確実に貯まるでしょう。
デメリットとしては、個人年金保険、iDeCoの運用にはお金がかかるため、毎月の支払いが大変であることを挙げられます。
また、ある程度の手間がかかることもデメリットと言えるでしょう。
個人年金保険とiDeCoの併用をおすすめできる人
個人年金保険とiDeCoの併用をおすすめできる人は自営業者です。自営業者には国民年金しかなく、退職金もありません。
そのため、会社員以上に老後の備えをする必要があるのです。
単身者の方にも個人年金保険とiDeCoの併用をおすすめできます。
単身者は金銭的に比較的余裕がありますので、余剰資金を併用にまわすことでゆたかな老後を送れるはずです。
参考:個人年金保険だけで老後資金を準備するのはおすすめしないという意見について
現在は個人年金保険だけで老後資金を準備することはおすすめしないと言われています。
個人年金保険は老後資金の足しにはなるものの、公的年金の不足分を全て補える額に達しないことが多いです。
個人年金保険だけで老後資金を準備される方がおさえておくべき2つのポイントを紹介していきます。
個人年金保険はメインの貯蓄方法ではないことを意識すべき
投資の基本は分散投資です。
お金を一生懸命積み立てていても保険会社が倒産した場合、元本割れしてしまいます。
「個人年金保険に加入しているから安心」ではなく、個人年金保険以外にも資産を形成しておくことをおすすめします。
老後資金の対策を何もしないよりは個人年金保険に加入するほうがまし
個人年金保険は普通預金、定期預金よりも運用益は高いものの、お金を大きく膨らませることは難しいです。
浪費しがちで貯金できない方、投資はリスクがあるからイヤだという方にはおすすめできるものの、老後資金を個人年金保険にのみ頼ることは難しいです。
参考:個人年金保険に入るとどうなるのか
個人年金保険に加入することで老後資金を着実に積み立てていくことができます。
しかし、途中解約すると元本割れしてしまうため、満期まで解約しないことが損をしないための基本です。
個人年金保険加入後におさえておくべき2つのポイントを見ていきましょう。。
今後景気が良くなっても大きなリターンはない
個人年金保険は加入後に景気がよくなったからといって、利率を上昇させることができません。
加入後、景気がよくなってもリターンはあまりないため、景気の良い時に加入することをおすすめします。
年金の支給開始時期には注意
個人年金保険は支給開始時期が70歳になってからというプランもあります。
個人年金保険を厚生年金が支給されるまでの足しにしたいと考えている方にとっては、非常に困ることです。
加入前に支給時期をしっかり確認しておきましょう。
老後資金の準備方法や資産運用の方法に迷ったらお金のプロに相談すべき理由
お金に関する問題には法律や各種制度が絡むため、一般の方が自力で解決に辿り着くことが難しい場合も多いです。
お金のプロであるFPは相談者の資産状況、家計状況、ライフプランに合わせて最適なプランの提案を行うことができます。
無料FPサービスは数多く存在しますが、そのなかでもマネーキャリアの無料保険相談サービスがおすすめです。
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個人年金保険をおすすめしない人の特徴まとめ
個人年金保険は老後資金形成の方法として昔からメジャーな制度でした。
個人年金保険に加入することで、税金の支払い面で優遇される他、運用益も期待できるためメリットが多くあったからです。
現在はマイナス金利の時代であり、個人年金保険で資金を大きく膨らませることはほぼ不可能でしょう。
また、将来的に景気がよくなってもリターンは少ないと言われています。
そのため、個人年金保険は退職金や貯蓄などで公的年金の不足分を補える方、投資に詳しい方にはおすすめできません。
一方、老後に備えながら節税したい方、リスクを回避しながら確実に老後資金を貯めたい方には個人年金保険をおすすめできます。
ご自身の経済状況、ライフスタイルに合った方法で、老後資金を形成していくことが大切です。