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「個人年金保険とiDeCoはどっちがお得なの?」このような疑問を持つ方は多いでしょう。そこで本記事では、iDeCoと個人年金保険の基本情報、iDeCoと個人年金保険のの比較シミュレーション、idecoと個人年金それぞれおススメの人をまとめました。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

個人年金保険とideco、どちらがおすすめ?

こんにちは、マネーキャリア編集部です。 


先日、老後の資金確保を検討されている方からこんな相談がありました。

老後の資金確保の方法には、個人年金保険とidecoがあると友人から聞いた。しかし、どちらを選べば良いかわからないので、それぞれの特徴を詳しく知りたい。

ご自分の退職後、安定的な資金確保を望む方々は多いことでしょう。その際に頼りとなる方法として個人年金保険idecoがあげられます。


しかし、それぞれ特徴は異なり、加入の際に気を付けるべき点があります。個人年金保険とidecoの仕組みはもちろんメリット・デメリットを把握した上で、利用するか否かを判断したいものです。


今回は個人年金保険とidecoの特徴やこの2つの比較等を行い、利点・注意点について解説していきたいと思います。個人年金保険とidecoのどちらを選ぶべきか、悩んでいる方のお手伝いとなれれば幸いです。

個人年金保険とは?idecoとは?基本情報を比較


老後の資金確保手段として頼りになる、個人年金保険とidecoの仕組みは下表の通りです。

項目個人年金保険ideco
販売会社生命保険会社証券会社・銀行
運用方法・日本円
・外貨建
・投信信託
・定期預金
運用期間自由に設定可60歳になるまで
掛金約10,000円~約5,000円~
年金受取開始自由に設定可原則60歳~

個人年金保険を販売している会社は生命保険会社、idecoならば証券会社や銀行となります。いずれも基本的に運用したお金は、年金という形で受け取っていきます。


しかし、年金受取開始は個人年金保険なら自由に設定できますが、idecoは原則60歳からと制約されています。


こちらでは、それぞれの基本的な特徴について解説していきます。

個人年金保険

個人年金保険は公的年金と異なり運用期間が自由に設定でき、契約内容によっては年金受取人が未成年でも年金受取を開始できます。


特徴は主に次の通りです。

  • 個人年金保険の種類:主に有期・確定・終身
  • 運用の種類:円建て定額タイプ・外貨建てタイプ・変額タイプ
  • 契約年齢:0歳~
  • 運用期間:自由に設定可能
  • 年金受取開始:自由に設定可能

個人年金保険の種類は大きく分ければ、一定期間について年金受取人が生存している限り支給される年金「有期年金」、一定期間支給され期間中に年金受取人が亡くなっても残額は遺族へ支払われる「確定年金」、公的年金と同じく年金受取人の亡くなるまで支給される「終身年金」があります。


また、0歳から加入可能な個人年金保険もあります。未成年で加入する場合は、親が子に代わって生命保険会社と契約を結び保険料を負担します。

iDeCo

正確な名称は「個人型確定拠出年金」です。掛金を拠出し、ご自分で運用方法を選び運用していきます。


特徴は主に次の通りです。

  • idecoの種類:有期年金のみ(5年以上20年以下)
  • 運用の種類:投資信託・定期預金・保険
  • 契約年齢:20歳~60歳未満
  • 運用期間:基本的に10年以上
  • 年金受取開始:基本的に60歳以降
idecoは原則として有期年金となります。運用の仕方は株式・債券の「投資信託」がすぐに思い浮かびますが、定期預金・保険でも運用は可能です(元本確保型)。

契約年齢は20歳~60歳未満のどなたでも加入可能です。運用期間は必ず10年以上となるわけでないものの、運用期間によって受取年齢は60歳より遅くなってしまうことがあります。

個人年金保険とidecoのメリット・デメリットを比較


個人年金保険とidecoの特色は下表を参考にしてください。

比較メリットデメリット
個人年金保険・柔軟に契約できる
・保険内容が豊かだ
・中途解約も自由 
・節税効果は低い
・掛金は割と高い
・中途解約で損も
ideco・掛金全額が控除可
・年金受取も控除可
・運用で収益増も 
・中途解約が困難
・運用で大損失も
・職業で掛金違う

個人年金保険とidecoは私的年金ですが、メリット・デメリットは大きく異なります。なお、双方とも年金形式ではなく、一時金でも運用したお金が受け取れる点は同じです。


こちらでは、表に記載した双方のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

個人年金保険のメリット・デメリット

個人年金保険は次のようなメリット・デメリットがあります。


個人年金保険のメリット

個人年金保険は0歳から契約できる商品もあれば、80歳まで加入できる商品と様々です。積立期間も、各生命保険会社の設定した期間の範囲で自由に決められます。


ご自分または家族のニーズに合わせた、柔軟な保険契約が期待できます。


  • 日本円で保険料をコツコツ積み立てる決まった返戻率で年金を受け取る「円建て定額」タイプ
  • 外国通貨で運用する「外貨建て」タイプ
  • 積極的な投資で大きな利益を目指す「変額」タイプ

があります。保険内容も豊かですが、それぞれにリスクがある点は注意しましょう。


保険契約後、何らかの理由で中途解約を余儀なくされても自由に解約は可能です。解約禁止期間のようなものはないので、ご自分や家族の都合に合わせて解約か継続かを決めましょう。


個人年金保険のデメリット

その一方で保険料を積み立てる際、idecoほど節税効果は期待できません。税制上の優遇措置が受けられる、「個人年金保険料控除枠」があるものの上限はあります。


また、掛金は比較的高く毎月1万円前後の商品が多いです。


保険契約の中途解約は自由ですが、解約時に返還されるお金は、払い込んだ掛金の全額が戻るわけではありません。解約期間によってはわずかな返金額となる場合もあり得ます。

idecoのメリット・デメリット

idecoは次のようなメリット・デメリットがあります。


idecoのメリット

拠出した掛金全額が控除対象となります。所得税がそれなりに課されてしまう方々にとって、大きな節税効果が期待できます。


一方、運用したお金を受け取る際も大きな控除が受けられ、年金受取ならば「公的年金等控除」、一時金での受取ならば「退職所得控除」が適用されます。


また、株式や債券による投資信託で運用するなら、運用成績次第で大きな収益も期待できます。


idecoのデメリット

個人年金保険と違い、一度加入したら中途解約は非常に難しいです。


加入者が死亡や高度障害になった、国民年金保険料の納付が免除等の条件に合致しなければ、解約はできません。


また、投資信託で運用した場合は、運用の成果次第で拠出した掛金より、受け取る金額の少ない「元本割れ」も起きるリスクがあります。


なお、掛金は毎月5,000円~と軽い負担で運用できますが、その掛金上限が職業で大きく異なります。


自営業者等なら月額68,000円までですが、公務員等では月額12,000円までと5万円以上の差が出てしまいます。

個人年金保険とideco、どちらがお得?比較シミュレーション


個人年金保険とidecoは特徴の他、どの位の利回り・節税になるかも異なります。こちらでは事例をあげて比較シミュレーションしてみます。


基本的な設定は次の通りです。

  • 加入者:自営業45歳
  • 掛金月額:20,000円
  • 運用期間:15年
  • 加入時期:2021年1月
この内容で個人年金保険とidecoを運用し、受け取る金額や節税金額はどうなるのかを算定します。

想定される利回りと60歳時点での金額を比較

利回りは個人年金保険の場合、概ね0.15%と言われています。idecoの場合、安定して投資運用していけたなら4%には達することが予想されます。それぞれを事例に沿って計算してみます。

  • 個人年金保険:元金360万円(20,000円×180月)・利回り0.15%→約368万円
  • ideco:元金約356万円(19,763円×180月)・利回り4%→約686万円

なお、idecoの積立金が控除されているのは、最低でも毎月237円の運用手数料がかかるからです。それでも、かなり大きさな差が出てきてしまいます。idecoが個人年金保険の受取金額を大きく上回っています。


ただし、idecoは投資運用が上手くいかないと、事例のような利回りも維持できなくなります。また、個人年金保険も月払ではなく、年払一括払等で掛金をまとめて積み立てれば、掛金総額が抑えられる分、受取金額の割合は増加します。

個人年金保険とidecoで節税効果を比較

こちらでは、新たな事例を追加しましょう。

  • 所得税率:10%
  • 住民税率:10%
こちらに沿って計算してみます。

①個人年金保険の場合


  • [所得税]年間40,000円控除→4,000円(所得税率10%)
  • [住民税]年間28,000円控除→2,800円(所得税率10%)
実際の個人年金保険料は上限枠に該当し4万円が控除額となります。

15年分を合計すると

6,800円(4,000円+2,800円)×15年=102,000円

②iDeCoの場合


  • [所得税]年間240,000円控除→24,000円(所得税率10%)
  • [住民税]年間240,000円控除→24,000円(所得税率10%)
15年分を合計すると

48,000円(24,000円+24,000円)×15年=720,000円

節税効果は確かにidecoが圧倒的に高く総額で72万円とお得です。しかし、老後の資金確保手段を選ぶ際は、ご自分のニーズにどれほどあった商品なのかをよく検討して、選んだ方が良いでしょう。

利回りの高さ・節税効果の大きさは選ぶポイントですが、前述したように運用の際、ご自分の経済事情や家庭の事情で運用が難しくなるケースも存在します。

柔軟な資産運用ができるか否かも、十分検討することが大切です。

確実に老後資金を貯金したい人は個人年金保険がおすすめ!


個人年金保険の場合、保険内容がシンプルな商品は数多いです。中には大きな収益が期待できるものの損失のリスクも想定される変額タイプや、契約通貨で運用し利益はその契約通貨発行国の景気次第となる外貨建てタイプがあります。


しかし、商品の大半は円建て・定額タイプと呼ばれる商品となっています。


こちらでは、

  • 確実な貯蓄が目指せる
  • 死亡保障も受けられる
以上を解説します。

確実に老後資金を貯金したい人

個人年金保険のタイプのほとんどは「円建て・定額」と呼ばれる商品となります。このタイプには前述した有期年金もあれば、確定年金・終身年金もあります。


このタイプの商品は、日本円で運用され当然ながら為替変動の影響も受けません。また、定額なので契約時に、どの位の利息が付いてお金が返ってくるのか明白です。


利息が付いて戻るお金の割合(返戻率)は、飛びぬけて高いものとはなりません(102%~108%程度)。しかし、確実な運用を目指し、リスクを回避したいなら個人年金保険がおすすめです。


なお、日本が高齢社会となったことに対応し、後述する死亡保障は制約されるものの、長生きすればするほど、受け取る年金額がお得になる商品も販売されています。


それが「トンチン年金(生存保障重視型年金)」です。商品によっては120%~150%の返戻率が期待できます。

死亡保障も兼ね備えたい人

個人年金保険をコツコツ積み立てても、保険契約者が途中で亡くなってしまうケースもあります。この場合、積み立てたお金が全く戻らないわけではなく、「死亡返還金」という形で、受取人(遺族)に給付されます。


つまり、個人年金保険は死亡保障としての役割もあるのです。そのため、死亡保険・個人年金保険の2つを、無理に契約する必要はありません。


ただし、支払われる死亡返還金の額は各個人年金保険によって様々です。概ね払い込んだ掛金の7割~満額近い金額が支払われることでしょう。

リスクを理解しつつ高い節税効果を期待する人はidecoがおすすめ!


節税効果が高く、運用がうまくいけば多額のお金も受け取れるはidecoの特徴です。ただし、元本確保型と呼ばれる定期預金や保険の運用では、目立った運用成果は得られません。損失も考慮しなければいけない投資信託での運用で大きな成果が期待できます。


こちらでは

  • 多くの老後資金を得たい
  • 大きな老後資金を得たい
以上を解説します。

なるべく多くの老後資金を貯金したい人

idecoで投資信託を選ぶなら、株式や債券で運用していくことになります。国内・国外に積極的な投資を行います。


投資内容をどうするかはご自分次第で、異なる資産・地域の投資信託を組み合わせ分散投資をする、逆に複数の資産・地域に投資ではなく特定の投資信託1本を選ぶ、という方法も可能です。


特定の投資信託商品が目覚ましい運用成果をあげれば、受け取る金額は飛躍的増大します。老後資金は公的年金や退職金の他、idecoからの年金も受け取ることができ、豊かなセカンドライフを謳歌できるはずです。


しかし、経済市場の動向により運用成果が伸び悩む場合は、前述したような最悪「元本割れ」という事態も想定されます。

なるべく多くの節税効果を得たい人

掛金全額が控除対象なのは大きな魅力です。掛金を挙手している限りこの恩恵が受けられます。毎年ある程度の収入があり、それなりの所得税額等が課される方々にはありがたい仕組みです。


特に自営業者等なら月額68,000円が掛金の上限です。受け取る年金額を増やし、大きな節税効果を得たいなら、上限ギリギリまで設定しても良いでしょう。


ただし、その分掛金の負担は大きくなるので、ご自分の経済事情をよく考慮し、ご自分の責任で拠出する額は決めるべきです。

個人年金保険とidecoの併用はできる?


個人年金保険とidecoの併用は、もちろん可能です。「どちらか一方しか加入できない。」という決まりなどありません。


双方の私的年金に一長一短があることは前述した通りです。デメリットを相互に補完することで、より安全かつ目覚ましい運用成果が期待できるはずです。


例えば、個人年金保険は円建て・定額タイプに加入し堅実な運用を行い、idecoは元本確保型をメインにせず、投資信託の比率を上げる等の工夫が考えられます。


ただし、掛金額の負担はその分重くなります。結局どちらも継続できなくなっては意味がありません。ご自分の余裕資金を良く把握し、無理のない負担で長期運用を行いましょう。

個人年金保険やideco以外で老後資金を準備するなら?


老後資金に備えるならば、個人年金保険やideco以外にも頼もしい商品は数多く存在します。お金に余裕があれば、こちらの資金確保手段も検討しておきましょう。


こちらでは

  • 貯蓄型保険商品
  • 預貯金等
  • 投資信託に関する商品
以上を解説します。

貯蓄性のある保険商品

貯蓄向きの保険商品は豊富な種類が販売されています。下表を参考にしてください。

貯蓄型保険内容備考
終身保険一生涯の保障の死亡保険。解約返戻率がかなり高くなる商品もある。
養老保険契約時に定めた年齢で給付金が支給。生存給付金は死亡保険金と同額になる。

終身保険の中でも、低解約返戻金型終身保険は特に貯蓄性が高い商品です。保険料払込期間で解約すれば戻るお金はわずかですが、払込終了後は解約返戻率が急上昇、その後10年程度据え置けば120%程度に達するケースもあります。


一方、養老保険は契約時に定めた年齢となれば、死亡保険金と同額の生存給付金が受け取れます。ただし、解約して返戻金を受け取りたい場合は、払い込んだ保険料全額は戻らない仕組みとなっている場合が多いです。

預貯金

預貯金の場合、大きな利回りは期待できないものの、預金者が損失を出すことはまずありません。こちらも、堅実な運用方法と言えます。


定期預金は金融機関によって様々な商品があるものの、概ね1ヶ月~10年までの運用期間を選択できます。利回りは0.001%~0.01%と幅があります。


また、いっきにお金を預金するのが難しいなら、「積立定期預金」を検討しましょう。毎月自動的に積み立てたお金が、預金者の指定したまとめ日に、一つの定期預金としてまとめながら運用されていきます。


なお、利回りは限りなく0%に近いものの、すぐ引き出せるよう普通預金にも余裕資金の何割かを預けておいた方が無難です。

投資信託

投資信託とは、投資家から集めたお金を大きな資金として扱い、ファンドマネージャーが株式・債券等で投資・運用、その成果で生まれた利益を投資家へ還元する金融商品です。


この運用方法はidecoでも選べます。運用次第で大失敗もあり得ることは既に述べた通りです。


一方、運用失敗のリスクをなるべく軽減できる制度が「つみたてNISA」です。こちらは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税措置です。新規投資額なら毎年40万円を上限として非課税投資枠が認められています。


しかし、こちらは1人1口座、かつ投資可能期間は2037年までと限定されています。

まとめ:メリット・デメリットを理解して使い分けよう

この記事では個人年金保険とidecoに関する特徴、それぞれメリット・デメリット、個人年金保険とidecoの運用へ向く人について解説してきました。


両方とも老後の資金確保のための頼もしい方法ですが、それぞれ加入前に十分把握しておかなければいけない点は多いです。


老後の資金確保のプロセスでアクシデントが発生しては大変です。メリットだけに注目せず、想定されるデメリットも踏まえて、加入するか否かを判断してみましょう。


この記事では次の内容を紹介しました。

  • 個人年金保険は堅実な積立が可能でも、運用成果・節税効果は限定的
  • idecoは大きな運用成果につながる場合があり、節税効果も大きい
  • ただし、idecoは運用に失敗すると元本割れというリスクが起こり得る
  • 余裕資金が十分あるのなら、個人年金保険・idecoの併用も有効
いずれも私的年金ながら特徴が大きく異なります。加入する際、個人年金保険の場合は保険担当者と、idecoの場合は銀行・証券会社の担当者とよく相談することが大切です。不明点・疑問点はしっかり解消しておきましょう。

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