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「個人年金保険を契約しているけど、解約したい...」と考えている方は、必見です。この記事では、個人年金保険の解約方法や、個人年金保険を解約するリスクについて解説していきます。これから個人年金保険を契約しようとお考えの方にも、参考になる情報が満載です。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
>> 谷川 昌平の詳細な経歴を見る

この記事の目次

個人年金保険の解約方法

こんにちは。マネーキャリア編集部です。


年金作りに役立つ金融商品や運用方法として、王道なのが個人年金保険


一定の年齢まで保険料としてお金を積み立て、後に積立金を年金として受け取る保険です。

節税効果を狙って、加入されている方もいるでしょう。


しかし、諸事情で個人年金保険を解約しようとお考えの方もいるはず。

「個人年金保険を解約したら損をするのか」

「解約返戻金に税金がかかるのか」

は気にかけていると思います。


今回は個人年金保険の解約について、以下の内容を中心に解説していきます。

  • 個人年金保険を解約するとどうなる?
  • 解約返戻金とは?
  • 個人年金保険の解約を回避するためには?
個人年金保険の解約を検討している方は、解約して後悔しないよう、ぜひ最後までご覧ください。

個人年金保険の解約方法について解説


「解約のデメリットは理解しているので、とにかく個人年金保険を解約したい」


そんな方へ向けて、個人年金保険の解約方法について順に説明します。


保険会社によっても異なりますが、一般的には以下の通りです。

  1. コールセンターへ連絡
  2. 書類が到着
  3. 必要事項を記入し、解約に必要な書類を準備
  4. 書類を提出

まず、コールセンターへ連絡します。

契約番号や解約の理由が聞かれることが多いので確認しておきましょう。


コールセンターに連絡したら、書類が届きます

郵送で送られてくることが多いと思いますが、手渡しのケースもあります。

契約によって、郵送できない場合もあります。


書類が届いたら、必要事項を記入し、必要書類を準備しましょう。

保険会社から送付された解約請求書、運転免許証・パスポートなどの本人確認書類を提出することが多いです。


最後に書類を提出し、保険会社の手続きが終われば完了です。

手続き完了の旨が案内として届くこともあります。


解約にかかる時間・書類・手続き方法は、保険会社や契約内容によっても異なってくるので、保険会社に確認してみましょう。


まだ解約するか検討中の方は、次からの個人年金保険を解約するとどうなるのかを把握したうえで、解約することをおすすめします。

個人年金保険の解約するとどうなる?税金がかかることもあるので注意


個人年金保険の解約をするとどうなるのでしょうか?
結論、途中解約はおすすめできません。
理由としては、元本割れする可能性が高いからです。

ここで言う元本割れとは、支払った保険料に対して、受け取る金額が下回ることを意味します。
保険料を今まで合計200万支払ったのに、受け取り金額が195万円だったら元本割れです。

個人年金保険の解約について、以下の通り解説します。
  • 個人年金保険を解約すると解約返戻金が受け取れる
  • 途中解約で解約返戻金を受け取るのは損
  • 解約返戻金には税金がかかることも

個人年金保険を解約すると解約返戻金が受け取れる

解約返戻金とは、保険契約者から契約を解除した場合や、保険会社から契約を解除された場合に、保険契約者に払い戻されるお金のことです。

個人年金保険に限らず、貯蓄型の保険である終身保険や学資保険等を解約する際にも発生します。

返戻率が100%を超えれば、支払った保険料以上の解約返戻金が戻ってきます。
返戻率が100%未満であれば、支払った保険料より少ない金額が解約返戻金として戻ってきます。

返戻金が受け取れるとは言え、その金額は必ずしも嬉しいものではありません。 むしろ、支払った金額に見合わないことがほとんどです。
次から詳細を説明します。

また、解約するとその時点で契約はなくなるので、将来年金を受け取ることはできません。

途中解約で解約返戻金を受け取るのは損

個人年金保険は途中解約した場合でも解約返戻金を受け取れますが、多くの場合はそれまでに支払った保険料の総額よりも少ない額しか戻ってきません。

特に外貨建ての場合には、手数料により、契約後短期間で解約した場合の解約返戻金はまったくないか、あってもごくわずかです。

個人年金保険の解約で戻ってくる割合は、一般に契約期間が長くなるほど高くなります。
具体的な事例は後でご紹介していますが、短期間で解約すると返戻率はがくっと下がります。

個人年金保険よりも割の良い貯蓄方法があり、早く乗り換えた方が得な場合を除き、解約はできるだけ避けたほうが良いと言えます。

解約する場合でもできるだけ先延ばしにするほうが良いでしょう。

解約返戻金には税金がかかることも

個人年金保険を解約して解約返戻金を受け取った時には、税金がかかる場合があります。

通常、保険料負担者と解約返戻金受取人は同じですが、この場合に解約返戻金で利益が出ると、その利益には所得税がかかります。

この所得税のかかり方には、年金の種類や解約までの年数により2種類あります。

契約した時点で受け取れる年金額が決まっている確定年金を5年以内に解約した場合。
返戻率が100%以上だと、その利益の20%が源泉徴収されます。

ただし、月々保険料を支払っていく個人年金保険であれば5年以内に解約して利益が出ることはありませんので、税金はかかりません。
このケースに該当するのは、契約時に保険料を全額支払う一時払個人年金保険の解約の場合です。

次に、一時所得になる場合。

一時所得には50万円までの特別控除があります。

個人年金保険の解約返戻金以外に一時所得がない場合は、解約返戻金の利益が50万円以内であれば非課税です。

個人年金保険の解約返戻金が100%を超えるケースは稀です。
しかも、利益が発生するとしても1~2%。
一般的な契約内容で他の一時所得がなければ、解約返戻金に所得税がかかることはまずありません。

特殊なケースとして、個人年金保険の保険料負担者と解約返戻金の受取人が別人になっている場合は、受け取った解約返戻金に贈与税がかかります。

この場合、解約返戻金の全額が贈与額と見なされ、課税の対象となります。

贈与税は、他の贈与も含めて1年間に受けた贈与額の合計が110万円までは非課税ですが、110万円を超えると超えた額が課税対象となります。

個人年金保険の解約返戻金、計算シミュレーション


個人年金保険は、将来年金を受け取るためにお金を貯めていく貯蓄型の保険。


保険料払込期間の途中で解約すると、それまでに積み立てられていたお金の一定割合を解約返戻金として受け取ります。


ある年金保険を例に、以下のようなケースで解約返戻金がいくらになるのか見てみましょう。

  • 30歳男性
  • 年金額:年60万円(受取開始年齢60歳)
  • 年金支払期間:10年
  • 保険料:月額15,582円
加入年数支払った保険料の総額解約返戻金
1年186,984円79,200円
5年934,920円782,460円
10年1,869,840円1,705,260円
20年3,739,680円3,615,420円
26年4,861,584円4,870,920円
返戻率としては以下になります。
  • 1年:42.3%
  • 5年:83.6%
  • 10年:91.1%
  • 20年:96.6%
  • 26年:100.1%
この計算では、26年目でようやく返戻率が100%以上になって元が取れる計算です。

年数を経るほど返戻率は上がりますが、途中で解約してしまうと、損になることがほぼ確実。

もし現在、個人年金保険に加入しようか迷われている方がいれば、途中解約を絶対にしないと決めてから加入しましょう。

個人年金保険の解約を避けるためにできること


ここまで、個人年金保険を解約するのはやめた方がいいと説明してきました。


しかし、どうすれば個人年金保険の解約を回避できるのでしょうか?


できれば契約前に、途中解約しないよう準備しておくか、途中解約の可能性があるならば加入しない方が賢明です。


しかし、もう加入してしまった方へ向けて、解約を避ける方法を以下の通り解説していきます。

  • 払い済み保険にする
  • 自動振り替え貸付で保険料の支払いを一時的に止める
  • 契約者貸し付けでお金を借りる

払い済み保険にする

保険料の支払いが一時的に厳しいだけでなく、この先もずっと支払えそうにない...。

そんな場合は、払い済み保険にすることで保険料の支払いをやめて、それまでに支払った保険料の額に応じた年金を将来受け取ることができます。

例えば、先ほどご紹介した30歳男性の解約返戻金のシミュレーションでは、10年後に解約した場合の解約返戻金は、返戻率91.1%の元本割れでした。

しかし、この10年後の時点で払い済み保険にすると、以後の保険料の支払いはなくなります。
60歳から毎年102,400円の年金を10年間受け取ることができ、年金の返戻率は109.5%に。

これなら、保険料の支払いをやめて、金額は少なくても年金が受け取れます。
さらに元本割れを防ぐことも。

ただし、個人年金保険料控除を受けられる税制適格の個人年金保険は、10年以上経ってからでなければ払い済み保険にすることができませんのでご注意ください。

自動振り替え貸付で保険料の支払いを一時的に止める

保険には、保険料が払い込まれなかった場合に、保険会社がその保険の解約返戻金の範囲内で保険料を自動的に立て替えてくれる自動振替貸付という制度があります。

通常は個人年金保険にも、この自動振替貸付がついています。
一時的に保険料の支払いが苦しいのであれば、しばらく保険料の払い込みを止め、自動振替貸付を利用してしのぐという方法がとれます。

ただし、この制度を利用した貸付金には利息がかかります。
貸付額がその時点の解約返戻金額を上回るような場合には、保険が失効または解除されるので注意が必要です。

自動振替貸付ががついていない保険の場合は、保険料払込猶予期間が過ぎると保険が失効または解除されてしまいます。

利用したい場合は事前に制度の有無と解約返戻金がどの程度貯まっているのかを確認しておく必要があります。

契約者貸し付けでお金を借りる

保険には、その時点の解約返戻金の一定割合の範囲内で、契約者が生命保険会社からお金を借りることができる契約者貸付制度があります。


一般的にキャッシングやカードローンなどより利率が低く、原則として契約者の都合にあわせて返済できるため、使い勝手のよい制度です。


一般的には、契約者貸付の利率は約3~5%くらいになっています。

場合によっては、保険会社によっては約6~8%くらいというところもあります。


クレジットカードや消費者金融のキャッシング、銀行のカードローン等と比べると低い場合が多く有利だといえます。

  • 生命保険の契約者貸付:3~5%程度(場合によっては6~8%)
  • 銀行のカードローン:3.5~14.6%
  • クレジットカードのキャッシング:15~18%
  • 消費者金融のキャッシング:4.5~18%
契約者貸付の利息は、通常1年ごとに計算され元本に組み入れられます(複利計算)。
したがって、長期で借りていると元本が毎年増えていき、次の年には増えた元本に利息がつくことになります。

通常は個人年金保険にも、この契約者貸付がついています。

もしまとまったお金が必要で解約したいという場合には、解約せずに保険会社からお金を借りて保険契約を残すことができます。


借りたお金には利息がかかりますが、返済は一括でも分割でも、タイミングもいつでも良いとされています。

契約者貸付を上手に活用すれば、必要なお金を融通できた上に、将来の年金も維持することが可能です。


契約者貸付で借りられる金額は、その時点で保険を解約した場合の解約返戻金を何割か減額した額です。

割合は保険会社ごとに規定があり公表はされていませんが、2~3割ほど減額した金額が目安になります。

また計算の元になる解約返戻金額も、契約している保険や契約内容、加入してからの年月によって額が違っています。


したがって、契約者貸付で借りられる金額は、そのときそのときで契約している保険会社に問い合わせなければ正確な金額は分かりません。


契約者貸付でお金を借りた場合は、一般的なローンのように毎月いくらずつ返済するなどの取り決めはありません。

返済できるときに、一括でも分割でも返済することが可能です。

このように返済に追われずにすむことも、他のローンよりも優れている点です。  

ただし、保険会社により最低いくら以上、いくら単位などと返済する金額についての規定はあります。


また、契約者貸付でお金を借りても、元の保険の保障内容は変わりません。

保険金が支払われなったり削減されたりすることもありません。

ただし、保険金が支払われるときに、借りている金額と利息は差し引かれて支払われることになります。


契約者貸付は個人年金保険に限った話ではありませんが、利用できる保険が保険会社により決められています。

一般的には、終身保険・養老保険などの生命保険や学資保険で利用できます。

実際に利用できるかどうかは、契約している保険会社に問い合わせしてみましょう。

補足:契約者貸し付け制度を利用する際の注意点

使い勝手が良い契約者貸し付けですが、注意点が3つあります。 


①利息で借入金がふくらむことがある点

契約者貸付では、クレジットカードのキャッシング、消費者金融などと比べると低い利率で、返済期日は特に定められていません。 


だからといって、長期間借りたままにしておくと、毎年の利息が元金に組み入れられ、何年か経つと借入額が大きくなっていくことになります。 


借りた場合は、計画的に返済していきましょう。 


②保険金等の支払いがある場合は借りた金額が差し引かれる点

契約者貸付でお金を借りた状態で保険金の支払いがある場合は、保険金から借りた金額とその利息が差し引かれます。 


その時に、必要だと思ってあてにしていた金額に足りないということになる場合があるので、注意が必要です。 


また、契約者貸付でお金を借りた状態で保険を解約する場合は、解約返戻金から借りた金額とその利息が差し引かれます。 


③返済しないでいると保険が失効あるいは解除になる点

契約者貸付でお金を借りたまま返さないでいると、利息がついていき、解約返戻金に対する貸し出し限度額を超えてしまう場合があります。 


その際は、保険会社から返済の案内が届きます。 案内が届いたら、保険会社から提示された期日までに指定の金額を返済しなければなりません。


保険会社からのお知らせがきても返済しない場合は、保険が失効したり解除されたりします。

まとめ:個人年金保険はなるべく途中解約せずに続けよう

今回は、個人年金保険の解約について

  • 個人年金保険を解約すると、解約返戻金が受け取れるが損する可能性が高い
  • できるだけ解約しないのがおすすめ
  • 解約返戻金には税金がかかることもある
  • 個人年金保険の解約を避けるために、 払い済み保険にする・自動振り替え貸付・契約者貸し付けが利用できる
以上の内容を中心に解説しましたが、いかがだったでしょうか?

個人年金保険は、解約してしまうと元本割れの可能性が非常に高いです。

途中解約が不安であれば、個人年金以外にも老後の生活資金を増やす方法はあるので、別の手段を検討してみましょう。

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