「個人年金保険にはどんなメリット、デメリットがある?」このような疑問を持つ方は多いでしょうそこで本記事では、個人年金保険のメリット・デメリット、個人年金保険に入るべきでない人の特徴、おすすめの個人年金保険について解説しました。
監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。
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この記事の目次
- 個人年金保険のメリット・デメリットをわかりやすく紹介
- 個人年金保険のメリット!個人年金保険は必要?
- 確実に老後資金を形成することができる
- 保険料に対し所得控除が受けられる
- 受取人が死亡しても死亡給付金が受けられる
- 個人年金保険のデメリット!「入るな」とも言われるのは税金のせい?
- 途中解約すると元本割れするリスクがある
- インフレに弱い
- 受け取り方によって税金負担額が変わる
- 個人年金保険がおすすめできる人!入るべき人の特徴は?
- 貯蓄が苦手だが老後資金を貯めたい人
- 老後の資金を形成しながら節税したい人
- 個人年金保険がおすすめできない人!入らない方がいい人の特徴は?
- リスクをとって大きくお金を増やしたい人
- 現在の生活資金に余裕がない人
- 個人年金保険の選び方
- 個人年金保険に関して悩みがあるならお金のプロに相談すべき理由
- 個人年金保険のメリット・デメリットまとめ
個人年金保険のメリット・デメリットをわかりやすく紹介
こんにちは。
マネーキャリア編集部です。
と悩んでいませんか?
「老後2000万円問題」が話題になり、どのようにして老後資金を準備しようか 悩んでいる方も多いでしょう。
老後にいくらお金が必要かは人によってまちまちですが、
いずれにせよ多額のお金が必要になることは確かです。
公的年金だけでは心配ですよね。
個人年金保険は、自助努力で老後に備える方法の一つです。
この記事を読めば、
個人年金保険の
- 仕組み
- メリット・デメリット
- どういう人におすすめか
を理解することができます。
将来の資金に備え、個人年金を検討する際のお手伝いになれば幸いです。
個人年金保険のメリット!個人年金保険は必要?
個人年金保険の仕組みについて簡単に説明します。
個人年金保険とは、自分の年金を準備するための保険で、契約者が保険料を支払い、それを保険会社に年金原資として運用してもらうことで、将来年金として受け取ることができる仕組みです。
それでは老後資金の形成に個人年金保険は必要なのか?
まず個人年金保険のメリットについてみていきましょう。
個人年金保険のメリットとしては
- 確実に老後の資金を形成することができる
- 所得控除を受けられる
- 受取人が死亡しても保険金を受け取ることができる
といったものがあります。
確実に老後資金を形成することができる
第一のメリットとして、老後資金を確実に貯められることがあげられます。
個人年金保険の保険料の支払いは、口座引き落としやカード決済が一般的です。
決められた日に強制的に保険料が引き落としされるので、自分の意志で貯金をする自信がない人でも知らず知らずのうちに資産を形成することができます。
また、保険積立金を途中で解約しようとすると、元本割れする可能性が高いので、解約を我慢して積立を続けるインセンティブが働きます。
保険料に対し所得控除が受けられる
個人年金保険料は所得控除ができるので、所得税や住民税が安くなる節税メリットもあります。
生命保険には「生命保険料控除」という制度があり、
- 「一般生命保険料控除」
- 「介護医療保険控除」
- 「個人年金保険控除」
の3項目合算で最大12万円まで、所得から控除することができます
個人年金保険を契約した場合、このうちの「個人年金保険控除」を利用することができます。
仮に所得税率5%の方の場合、毎月1万円の個人年金保険料を支払えば、年間で控除最大額である12万円の所得控除が受けられるので、
12万円x5%=6万円
の節税メリットが得られるのです。
所得税は累進税率で所得が高くなればなるほど税率もあがります。
したがって、個人年金保険料控除も所得が高いほどメリットがあることになります。
なお、個人年金保険料控除を受けることができる個人年金保険は以下の条件を満たすものに限られますのでご注意ください。
- 個人年金保険料の税制適格特約がつけられた商品であること
- 年金受取人が契約者または配偶者であること
- 年金受取人が被保険者と同一であること
- 保険料の支払期間が10年以上であること
- 年金の受け取り開始が60歳以降で10年以上あること
受取人が死亡しても死亡給付金が受けられる
個人年金保険は「保険」の一種ですので、年金受取人が死亡した場合、死亡保険金受取人が保険金を受け取ることができます。
預金やその他の金融資産の形でお金を持っていると、契約者が死亡した場合、相続の手続きを行わなければならないので、時間と手間がかかります。
個人年金保険は、わずらわしい手続きなしで、指定した死亡保険金受取人に資産を移転することができるのです。
これも個人年金保険のメリットの一つです。
なお、被保険者死亡時には払込保険金額とほぼ同額の金額を受け取ることができるのが一般的ですが、契約内容によって受給できる金額は異なりますので個別に契約内容をご確認ください。
個人年金保険のデメリット!「入るな」とも言われるのは税金のせい?
次に個人年金保険のデメリットについて解説します。
個人年金保険のデメリットとしては
- 途中解約をすると元本割れするリスクがあること
- インフレに弱いこと
- 受け取り方によって税金負担額が変わること
があります。
特に税金負担の件については、老後資金の代表的な準備方法であるiDeCoやNISAが非課税であるのと比較すれば大きなデメリットであるため十分理解しておく必要があります。
途中解約すると元本割れするリスクがある
まず大きなデメリットとして、途中解約をすると元本割れをするリスクがあることがあげられます。
今は超低金利の状況下なので、払込金額を上回り元本割れとならない金額になるまで運用するには、10年程度以上の長い期間を待つ必要があります。
その途中でどうしてもお金が必要となって解約をすると、元本割れしてしまうことには
注意が必要です。
インフレに弱い
個人年金保険の多くは、契約時に将来受け取ることのできる年金の金額が決まっています。
もしインフレが進行して物価が大幅に上がると、将来受け取る年金の価値は相対的に下がることになります。
将来5万円の年金を受け取ることができるプランに入っていたとしても、もし年金受取り時期に物価が上昇していたら、今5万円で買えているものが買えなくなってしまうということです。
今は超低金利の状況ですので、個人年金保険の運用利回りは過去と比べれば決して高いものではありません。
また、デフレの状況でもありますので、将来のインフレが起こるかもしれないリスクは十分に考えておくべきです。
なお、個人年金保険には「定額年金」と「変額年金」とがあります。
「定額年金」は将来受け取る年金額が決まっているものでインフレリスクは大きいのですが、「変額年金」は運用成果次第で将来受け取る年金額が変わってきます。
運用がうまくいけば将来の年金額が増えてインフレリスクをカバーできますが、運用がうまくいかなければ将来の年金が払込金額を下回るリスクがあります。
受け取り方によって税金負担額が変わる
個人年金保険は契約の仕方や年金の受け取り方で税金の負担が変わってきますので注意が必要です。
保険料の負担者が受取人と同一の時は、受け取り年金は「所得税」の対象となります。
負担者が受取人と異なる場合は「贈与税」の対象になります。
「贈与税」の場合は「所得税」よりもかかる税金が大きくなることがあります。
保険料の負担者と受取人はできるだけ同じにしておくのが望ましいです。
所得税の場合は、さらに年金の受け取り方法が「年金形式」か「一括形式」かで
課税方法が変わります。
年金形式で受け取る場合は「雑所得」扱いとなります。
「雑所得」は次のように算定されます。
「雑所得」=「総収入金額」ー「必要経費」
「必要経費」は次のような算式で成り立っています。
「必要経費」=「年間受取額」x「払込保険総額」÷「年金の総支給見込額」
例えば、年間50万円を10年間受け取ることができる保険で、
払込期間が30年、年間保険料が10万円であった場合、
「必要経費」は、
50万円x(10万円x30年)÷(50万円x10年)=30万円
となり、
「雑所得」は
50万円−30万円=20万円
となります。
一括で保険料を受け取る場合は、「一時所得」扱いとなります。
一時所得の算出式は以下の通りです。
「総収入額」ー「必要経費」ー「特別控除(50万円)」)÷2
先ほどのケースで一括受取り金額が500万円の場合、一時所得金額は
(500万円ー10万円x30年ー50万円)÷2=75万円
となります。
総収入額と必要経費額との差額が特別控除の50万円を超えない限り課税されることは
ありません。
個人年金保険がおすすめできる人!入るべき人の特徴は?
老後資金の準備方法にはいろいろありますが、個人年金保険がおすすめできる人はどんな人でしょうか?
個人年金保険がおすすめできる人の特徴は以下の通りです。
- 貯蓄が苦手だが老後資金を貯めたい人
- 老後の資金を形成しながら節税したい人
貯蓄が苦手だが老後資金を貯めたい人
個人年金保険は、貯金が必要だとわかっているけどなかなかできない人に適しています。
わかっているけど貯蓄ができない人は、自分の意志で貯金をすることが苦手であることが多いです。
個人年金保険は、保険料の支払いを通常口座引き落としかカード決済で行います。
つまり自分の意志に頼らず、知らず知らずのうちに貯金ができるわけです。
また、個人年金保険には途中解約すると元本割れをするというデメリットがありますが、貯金の苦手な人にとっては、これが保険を途中で解約するブレーキとなります。
途中でお金を使いたくなっても、解約をしたら損をするのなら「今回は解約するのをやめておこう」ということになり、結果的に解約をせずに老後資金が貯待って行くわけです。
自分は貯金をするのが苦手だと自覚している人にこそおすすめです。
老後の資金を形成しながら節税したい人
個人年金保険料の所得控除を活用したい人にとってもおすすめです。
iDeCoやNISAなど老後資金形成に使える節税の方法はいろいろありますが、
個人年金保険料の所得控除もその一つです。
老後の資金形成を行いながら、節税もしたい人は個人年金保険の利用をおすすめします。
個人年金保険がおすすめできない人!入らない方がいい人の特徴は?
逆に個人年金保険をおすすめできない人はどんな人でしょうか?
- リスクをとって大きくお金を増やしたい人
- 現在の生活資金に余裕がない人
リスクをとって大きくお金を増やしたい人
リスクをとってでも大きく資産を増やしたい人には個人年金保険は向いていません。
個人年金保険の運用利回りは1%前後で、一般の定期預金金利が0.01%程度であるのと比較すれば高いのですが、超低金利の状況ではもっと高い利回りを追求したい人もいるはずです。
低金利の状況で、高い利回りを求めようとすればリスクを取る必要がありますが、そのリスクをとってでも運用利回りを上げたい人・上げる自信がある人は株式や投資信託などでの運用を行うべきであり、個人年金保険は適していません。
ただし、個人年金保険の中には、変額保険のように投資信託と同じくリスクをとって高い運用収益を追求するものもあります。
リスクをとって大きく資金を増やしたい人について変額保険を検討してみるといいでしょう。
現在の生活資金に余裕がない人
また、現在の生活資金に余裕がない人も無理して個人年金保険を契約するべきではありません。
生活資金に余裕がないと途中で個人年金保険を解約しなければならない可能性が高いです。
個人年金保険は途中で解約すると元本割れする可能性が高い商品なので、長期間途中解約をしなくても大丈夫だという余裕がなければ、あまりおすすめできません。
個人年金保険の選び方
数多くある個人年金保険の中から、自分にあった商品を見つけるためのポイントについて
解説します。
個人年金保険の選択のポイントとしては
- 個人年金の種類:「定額年金」か「変額年金」か?
- 年金の受取り方法:「終身型」か「有期型」か?
- 返戻率:リターンはいくらあるのか?
があげられます。
- 個人年金の種類:「定額年金」か「変額年金」か?
個人年金保険を選ぶポイントの1つ目は、払い込んだ保険料の運用方法の違いです。
これは将来自分が受け取ることができる年金金額に大きくかかわってきます。
個人年金保険は、運用方法の違いによって「定額年金」と「変額年金」に分類することができます。
「定額年金」とは、契約時点で将来受け取る年金額が決まっている商品です。
払い込んだ保険料に対して将来どれだけの年金を受け取れるかが最初から決まっているので、将来の計画が立てやすいのが大きなメリットです。
反面、大きなリターンは望めません。将来大幅に物価が上がっても、受け取る年金額は変わらないので、インフレに弱いというデメリットもあります。
大きなリターンは期待できなくても安全に年金を準備したいという人向けのローリスク・ローリターンの商品です。
これに対し「変額年金」というのは、将来受け取る年金額が変動する商品です。
払い込んだ保険料を保険会社が運用して、運用結果に基づいて将来受け取ることができる金額が変わります。
運用成績がよければ、受取年金額が増えて高い収益を得ることができますが、悪ければ元本割れとなる可能性もあります。
貯蓄というよりも投資信託などの投資に近いものでハイリスクハイリターンの商品です。
具体的な運用方法としては、保険会社が指定する投資信託のファンドから、契約者が運用スタイルを決めることになります。
ファンドの種類は保険会社・保険商品によってまちまちですが、国内株式、海外株式、国内債券、海外債権など色々なものが用意されており、その中から契約者が自由に組み合わせて決定することになります。
また、「変額年金」の中には「外貨建て」の商品もあります。
「円建て」のものと比べて利回りが高いのが魅力ですが、為替リスクがあり変動率がさらに大きくなることには注意が必要です。
- 年金の受取り方法:「終身型」か「有期型」か?
年金の受取り期間も重要な選択ポイントです。
自分の将来のライフプランにあった受け取り方法を選びましょう。
個人年金保険は、受取り方法の違いによって「終身型」と「有期型」に分類されます。
「終身型」は被保険者が生きている限り、生涯年金を受け取ることができるものです。
長生きしても保障が続くので安心感があるというのが大きなメリットです。
一方で、早く亡くなった場合支払った保険料よりも受取り額が少なくなる、支払い保険料が高いなどのデメリットがあります。
終身型の中には、被保険者が死亡しても、夫婦のどちらか一方が生きている限り年金が支払われるタイプのものがあります。
また、例えば年金支払い時から10年間などの保障期間を設定し、保障期間内に被保険者が死亡した場合、残りの保障期間の未払い年金を遺族が受け取ることができる商品もあります。
このような商品を選ぶことによって、想定外に早く死亡した時に受け取れなくなるお金を遺族に残すことが可能になります。
「有期型」は、「終身型」と違い、5年・10年など年金を受け取ることができる期間が決まっている商品です。
支払い期間の途中で被保険者が死亡した時の年金支給の取扱によって、「確定年金」と「有期年金」に分類されます。
「確定年金」とは、被保険者の生死に関係なく、決められた期間は年金が支給されるものです。被保険者が途中で死亡した場合は遺族に残りの期間に対応する年金または一時金の形で支払われることになります。
「有期年金」とは、支払い期間の途中で被保険者が死亡した場合には年金の支払いは中止されるものです。
ただし、終身型のように保障期間が設定されているものもあります。保障期間が付いていれば、被保険者が亡くなった場合も、残りの保障期間の未払い分を遺族が受けとることができます。
- 返戻率:リターンはどれくらいあるか?
ここまで、個人年金保険のポイントとして、年金の種類・受取り方法について見てきましたが、同じ種類・受取り方法の中にもさまざまな商品があります。
そんな時にチェックしていただきたいのが、返戻率というポイントです。
返戻率とは個人年金保険のリターンを表したものです。
受け取り年金の総額÷支払った保険料の総額 × 100
で算出され、支払った保険料に対してどれだけの利益が得られるかがわかります。
つまり、保険商品のパフォーマンスを表したもので、
ほかが同条件ならこの数字が高い方がお得な商品だということになります。
個人年金保険に関して悩みがあるならお金のプロに相談すべき理由
ここまで個人年金保険のメリット・デメリットや、おすすめの個人年金保険について詳細に解説してきました。
とはいえ、
このような悩みを抱える方は多いでしょう。
結論から言うと、そのような方はお金のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談することをおすすめします。
FPは、個人年金保険だけではなく、様々な金融商品を比較検討しながら、相談者の資産状況や、家計の状況に合わせて最適な提案をすることができます。
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個人年金保険のメリット・デメリットまとめ
この記事では個人年金保険についてお伝えしてきました。
最後にポイントをまとめておきましょう。
個人年金保険は老後の資金を準備するための方法の一つです。
個人年金保険のメリットとしては
- 確実に老後の資金を準備できること
- 所得控除が受けられること
- 途中で死亡しても保険金を受け取ることができること
があり、デメリットとしては
- 途中解約時の元本割れリスクがあること
- インフレに弱いこと
- 受け取り方によって税金が変わること
があります
個人年金保険が向いているタイプは
- 貯金が苦手なので強制的にでも老後資金をためたい人
- 節税しながら資金を貯めたい人
で、逆に向いていないタイプは
- リスクをとってでも大きく老後資金を増やしたい人
- 現在の生活に経済的な余裕がない人
があげられます。
個人年金保険を選ぶ際には、
- 個人年金の種類
- 年金受取方法
- 返戻率
をチェックするといいです。
以上ご説明しました内容をもとに、あなたのライフプランにあった個人年金保険を選びましょう。
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