▼この記事を読んでほしい人
- 子供の教育費用について悩んでいる人
- 子育てに必要な費用が知りたい人
- 子育てに必要な費用を準備するための年収額を知りたい人
▼この記事を読んでわかること
- 「子育て費用」と世帯年収の関係
- 平均的な子育て家庭の年収や貯蓄額はどれくらいか
- 子育てには実際にはいくら掛かるか
内容をまとめると
- 子育て家庭の平均所得金額は745.9万円で、平均貯蓄額は723.8万円。
- 「子育て費用」は、未就園児から大学までで相当な金額に上り、国公立大学でも入学費用が77.0万円、在学費用が460.0万円になる
- 子供の大学のための費用は、入学金や下宿代などを含む場合があり、そのための準備としてできれば世帯年収を400万円以上にしておきたい
- 「子育て費用」に役立つ助成金制度として、児童手当、幼児教育・保育の無償化、子ども医療費助成、高等学校等就学支援金などがある
- マネーキャリアには子供の教育資金に詳しいFPが多数在籍
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子育てにどれくらいの費用が必要で、年収はどれくらいを維持すればいいのか、親御さんにとってはかなり気になるところです。そこで、「子育て費用」に必要な年収や貯蓄額などについて詳しく解説します。また、子育てのために役立つ助成金制度についても触れます。
この記事の目次
目次を閉じる「子育て費用」のために世帯年収はいくらあればいいの?
こんにちは。マネーキャリア編集部です。
先日、20代の女性から次のような相談を受けました。
確かに子育てに掛かる費用は馬鹿になりません。
ある程度の年収と貯蓄がないと、十分に育てる余裕ができないでしょう。
そこで今回は、子育てにいくらかかるのかやそのための理想的な世帯年収などについて解説します。
この記事が子育て費用についていろいろな心配をされている親御さんのお手伝いになれば幸いです。
子育て家庭の平均年収や貯蓄額の現状!「子育て費用」にいくら必要?
まずは、子育て家庭の平均年収や貯蓄額の現状を把握しておきましょう。
公的なデータをもとにこれらの数値がどうなっているかを見ることで、今後各ご家庭でどのような将来設計をすればいいのかも分かるようになります。
また、「子育て費用」と平均年収と貯蓄額の関係も明らかになるでしょう。
子育て家庭の平均所得金額
最初に子育て家庭の平均所得金額の推移を見てみます。
厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査の概況」というページに載っている「II 各種世帯の所得等の状況」の表8 「各種世帯の所得の種類別1世帯当たり平均所得金額及び構成割合 」というデータから確認してみましょう。
年度 | 児童のいる世帯 | 母子世帯 |
---|---|---|
2015年(平成27年) | 707.6万円 | 270.1万円 |
2018年(平成30年) | 745.9万円 | 306.0万円 |
子育て家庭の平均所得は時代とともに増える傾向にあります。
ただ、年収が増えたから子育てがしやすくなったのかどうかについては、このデータを見ても分かりません。
子育て家庭の平均貯蓄額
子育て世帯の平均貯蓄額の参照データも平均所得金額と同じです。
同じデータの「表9 各種世帯の貯蓄額階級別・借入金額階級別世帯数の構成割合」という部分を見てみましょう。
また、少し前のデータについては、平成28年版データに示されています。
詳細は以下の通りです。
年度 | 児童のいる世帯 | 母子世帯 |
---|---|---|
2019年(平成31年/令和元年) | 723.8万円 | 389.8万円 |
2016年(平成28年) | 679.9万円 | 327.3万円 |
「子育て費用」は実際いくらかかるの?
子育て家庭の平均所得金額や平均貯蓄額を見てみましたが、実際の子育てにはいくらかかるのでしょうか。
各家庭の所得や貯蓄で十分賄うことができるのでしょうか。
非常に気になる点です。
そこで子供の成長段階(ライフステージ)ごとに掛かる学校教育費や養育費の内訳と金額を示します。
これで大まかな必要費用が把握できるようになり、今後の計画を立てやすくなるでしょう。
未就学児
未就学児とは、小学校に入学する前までのお子さんのことですが、大体5歳くらいまでが該当します。
この未就学児のうち、ここでは保育園・幼稚園に入学しない未就園児の場合に掛かる費用を見ておきましょう。
この場合は、教育費はほとんど掛からないものの、養育費はかなり大きな金額になります。
少し古いデータになりますが、2010年(平成22年)3月に内閣府政策統括官(共生社会政策担当)が発表した「インターネットによる子育て費用に関する調査 報 告 書」というものがあります。
このデータによると、未就園児の年間に必要な養育費は843,225円でした。
内訳は、衣類・服飾雑貨費、食費、生活用品費、医療費などです。
保育所・幼稚園
続いて、保育所・幼稚園に通っている子供の学校教育費や養育費の内訳と金額を確認しましょう。
今度は文部科学省の統計である「子供の学習費調査」の中の「統計表一覧」のExcelデータをもとに表を作成し、内容をチェックしてみます。学習費総額の金額です。
年齢 | 公立幼稚園 | 私立幼稚園 |
---|---|---|
3歳 | 188,342円 | 551,652円 |
4歳 | 217,121円 | 491,275円 |
5歳 | 243,625円 | 541,850円 |
費用項目 | 金額 |
---|---|
保育費 | 379,407円 |
食費 | 224,627円 |
子供のための預貯金・保険 | 187,212円 |
レジャー・旅行費 | 136,383円 |
生活用品費 | 92,522円 |
衣類・服飾雑貨費 | 68,462円 |
学校外活動費 | 43,179円 |
お祝い行事関係費 | 41,066円 |
学校外教育費 | 30,784円 |
医療費 | 13,462円 |
お小遣い | 1,318円 |
子供の懈怠電話料金 | 127円 |
小学校
小学校の場合の学校教育費や養育費は以下のようになっています。
まず学校教育費のほうですが、保育所・幼稚園と同じように文部科学省の「子供の学習費調査」のExcelデータをもとに確認しておきましょう。
学年 | 公立小学校 | 私立小学校 |
---|---|---|
第1学年 | 350,860円 | 1,892,002円 |
第2学年 | 263,310円 | 1,336,148円 |
第3学年 | 292,950円 | 1,415,910円 |
第4学年 | 309,617円 | 1,497,087円 |
第5学年 | 339,132円 | 1,630,648円 |
第6学年 | 370,940円 | 1,790,314円 |
費用項目 | 金額 |
---|---|
食費 | 278,294円 |
レジャー・旅行費 | 167,044円 |
子供ための預貯金・保険 | 163,037円 |
学校外教育費 | 106,089円 |
学校教育費 | 105,242円 |
学校外活動費 | 94,985円 |
生活用品費 | 83,419円 |
衣類・服飾雑貨費 | 68,970円 |
お祝い行事関連費 | 31,974円 |
医療費 | 21,791円 |
保育費 | 19,268円 |
お小遣い | 9,605円 |
子供の携帯電話料金 | 3,823円 |
中学校
次は中学校の学校教育費と養育費です。
ここでも文部科学省の「子供の学習費調査」から数値を引用しましょう。
学年 | 公立中学校 | 私立中学校 |
---|---|---|
第1学年 | 456,582円 | 1,624,661円 |
第2学年 | 436,183円 | 1,230,122円 |
第3学年 | 569,348円 | 1,362,389円 |
費用項目 | 金額 |
---|---|
食費 | 356,663円 |
学校教育費 | 274,109円 |
学校外教育費 | 248,556円 |
子供のための預貯金・保険 | 179,910円 |
レジャー・旅行費 | 146,710円 |
生活用品費 | 97,139円 |
衣類・服飾雑貨費 | 76,507円 |
学校外活動費 | 57,337円 |
お小遣い | 39,022円 |
お祝い行事関連費 | 33,539円 |
子供の携帯電話料金 | 23,453円 |
医療費 | 22,624円 |
学校教育費以外では、学校外教育費の額も高くなっていますが、これは塾などに通う中学生が多いためであると思われます。
高校
高校の学校教育費と養育費です。
出典元は上記のものと同じで、全日制の高校のケースを表しています。
学年 | 公立高校 | 私立高校 |
---|---|---|
第1学年 | 507,980円 | 1,160,016円 |
第2学年 | 460,470円 | 893,127円 |
第3学年 | 403,622円 | 851,087円 |
大学
大学の学校教育費については、日本政策金融公庫の『令和2年度「教育費負担の実態調査結果」』に表示されています。
「(3)高校入学から大学卒業までにかける教育費用 -子供1人当たり965万円-」という項目です。
入学費用 | 在学費用 | |
---|---|---|
国公立大学 | 77.0万円 | 460.0万円 |
私立大学文系 | 96.1万円 | 608.4万円 |
私立大学理系 | 94.2万円 | 768.8万円 |
「子育て費用」のために理想的な世帯年収は?共働きの場合は?
文部科学省が発表した「国公私立大学の授業料等の推移」のデータから、国公私立大学の授業料と入学料を見てみましょう。
国立大学の場合 | 授業料 | 入学料 |
---|---|---|
平成28年 | 535,800円 | 282,000円 |
平成29年 | 上記に同じ | 上記に同じ |
国立大学の4年間の在学費用は2,425,200円となります。
次は、公立大学の場合です。
公立大学の場合 | 授業料 | 入学料 |
---|---|---|
平成28年 | 537,809円 | 393,426円 |
平成29年 | 538,249円 | 394,225円 |
私立大学の場合 | 授業料 | 入学料 |
---|---|---|
平成28年 | 877,735円 | 253,461円 |
平成29年 | ー | ー |
費用の内訳 | 額 |
---|---|
家賃 | 64,200円 |
敷金・礼金 | 225,300円 |
生活用品費 | 320,700円 |
(64,200円×12)+225,300円+320,700円=1,316,400円
年収の何割貯金できるかは、各家庭の状況によっても変わってきますが、共働き子持ち世帯で2~3割くらいは目指したいものです。
そうなると、年間20万円の貯金なら、年収100万円でもいいということになりますが、大学に必要な費用だけ貯金するわけではありません。
そのほかの生活や老後の資金、大学以外の子供の教育費も必要です。
また、大学の教育資金400万円も20年間で貯めるというよりも、もっと短期間で貯金したいでしょう。
仮に5年で400万円貯金するとして、年間80万円の貯金をしなければいけません。
とすると、年収は400万円ほど必要になります。
ただ、年収の2~3割の貯金が難しい場合も多いです。
特に子育てをしている親御さんの場合は、常々掛かる費用も大きくなりますから、思うように貯金できないこともあるでしょう。
「子育て費用」で使える助成金を紹介!子育てのお金はなんとかなる?
「子育てにいくら必要なのかはわかった。けれど収入が足りない…」
こんな不安を抱える方もいらっしゃると思います。
解決策として、国や自治体の助成金を活用する方法があります。
以下で実際にどんな助成金があるのか、それぞれの支給対象や金額などをご紹介していきます。
児童手当
児童手当は、中学校卒業までの児童を養育している方が対象です。
6月・10月・2月と年に3回に分けて、年齢に応じた額が支給されます。
前月までの期間分がまとめて支給されるため、6月の支給額は2月〜5月の4ヶ月分です。
ただし、前年の所得が所得制限限度額を超えている場合は、特例給付により、1人につき一律5,000円が支給となります。
支給額は以下のとおりです。
年齢 | 金額 |
---|---|
3歳未満 | 15,000 |
3歳以上〜小学生 | 10,000 |
中学生 | 10,000 |
幼児教育・保育の無償化
幼児教育・保育の無償化は、令和元年10月より開始されました。
3〜5歳の子どもを対象に、幼稚園や保育園にかかる費用が実質無料になる制度です。0〜2歳児は住民税非課税世帯を対象に、毎月の利用料が無償となります。
しかし、利用料のすべてが無償化されるというわけではありません。
世帯年収や子どもの年齢、利用する対象の施設によって無償化される内容は異なります。
限度額を超えた分は自己負担となる場合や、無償化の対象とならない場合もあります。
施設を選ぶ際には事前に条件を調べる必要があるでしょう。
子ども医療費助成
子ども医療費助成は、病院等の診察にかかった医療費のうち、一部負担金を助成する制度です。公的医療保険の対象となる医療費のみが助成されます。
すべての都道府県と市区町村で助成制度が導入されており、各自治体によって内容が異なります。
お住まいの地域によって、所得制限の有無や支援内容に差があるといえます。
たとえば東京都の場合だと、対象年齢によって制度が分かれており、乳幼児〜未就学児を対象とした「マル乳」、小学生〜中学生を対象とした「マル子」があります。
申請により交付される医療証を、医療機関などに健康保険証とあわせて提示することにより、自己負担分を支払わずに診察できるという内容です。
高等学校等就学支援金
高校生等奨学給付金は、低所得世帯を対象とした、授業料以外の教育費負担を軽減するための返済不要の給付金です。授業料以外とは、教材費、通学用品費、PTA会費などのこと。
条件は、非課税世帯もしくは生活保護世帯であること、保護者がその自治体内の住所に在住していること、生徒が高等学校に在学していること、などがあります。
一人あたりの支給額は「第一子」「非課税世帯」「全日制の私立高等学校に在学」の場合で、年額12万9,600円となります。
なお、実際の支給要件や支給額は各都道府県によって異なります。
「子育て費用」に必要な世帯年収まとめ
この記事では、「子育て費用」のために必要な世帯年収がどれくらいかということについてお伝えしてきました。
内容は以下の通りです。
- 子育て家庭の平均年収や貯蓄額から見る実態や子育てに必要な費用
- 「子育て費用」を貯蓄するのに必要な年収
- 「子育て費用」に役立つ助成金のあれこれ