

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー、証券外務員を取得。メディア実績:<テレビ出演>テレビ東京-テレ東「WBS」・テレビ朝日「林修の今知りたいでしょ!」
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この記事の目次
- 変額保険はやめたほうがいいと言われる理由4選
- 市場変動により元本割れする可能性がある
- 管理費等のコストが高くなる場合がある
- すぐに現金化しづらい場合がある
- 商品構造が複雑でわかりにくい場合がある
- 変額保険はやめたほうがいい?と不安に感じる場合はFPの無料相談を活用しよう
- 変額保険が向いている人の特徴
- 相続税対策として死亡保険金の非課税枠を活用したい人
- 保険と投資を一つにまとめたい人
- リスク許容度が高い人
- 変額保険が向いていない人の特徴
- 管理費等のコストが気になる人
- 商品構造が複雑なため投資経験が浅い人
- 短期間での資金利用を考えている人
- 変額保険はやめたほうがいいと感じた場合におすすめの資産形成方法
- 【まとめ】変額保険はやめがほうがいいと言われる理由とは?迷った場合は専門家に相談しよう
変額保険はやめたほうがいいと言われる理由4選

変額保険が「やめたほうがいい」と言われる主な理由には、元本割れの可能性、コスト負担の大きさ、すぐ現金化できない、商品の仕組みが複雑でわかりにくい点などが挙げられます。
以下では、代表的な4つの理由それぞれについて詳しく解説します。
市場変動により元本割れする可能性がある
変額保険は、運用実績によって将来受け取れる金額が増減する仕組みの保険です。保険料の一部は保険会社の「特別勘定」で株式や投資信託などに運用され、成果が保険金や解約返戻金に反映されます。
市場の値動きによって、受取額が増えることもあれば減ることもあるのです。そのため、景気の動向や市場変動によっては、払い込んだ保険料総額より受取額が少なくなる「元本割れ」を起こす可能性があります。
通常の定額型の保険では保険会社が運用リスクを負うため、契約時に決まった金額を受け取れます。しかし、変額保険では契約者自身が運用リスクを負うため、運用成績次第で解約返戻金や満期保険金が増減し、場合によっては元本割れしてしまうのです。
例えば、景気低迷で運用がマイナスに振れた場合、100万円払い込んだのに解約返戻金が80万円程度に減ってしまうこともありえます。
管理費等のコストが高くなる場合がある
変額保険は他の投資商品に比べて各種コスト(手数料)が割高になりやすい点もデメリットです。
主な費用として、以下のようなものがあります。
- 保険関係費:死亡保障など保険契約を維持するための費用
- 資産運用関係費:特別勘定での運用にかかる信託報酬や売買委託手数料
- 解約控除:一定期間内に解約した場合に差し引かれる手数料
すぐに現金化しづらい場合がある
変額保険は、流動性(現金化のしやすさ)が低いこともデメリットです。つまり、急にお金が必要になったときに、変額保険に積み立てたお金をすぐ引き出すことが難しい場合があるのです。
例えば、銀行預金であればATMですぐに現金を引き出せますし、一般的な投資信託でも売却すれば数日で資金化できます。これに対して、変額保険で積み立てた資金を取り出すには、基本的に保険を「解約」して解約返戻金を受け取る必要があります。
解約する際には所定の手続きを経なければならず、支払いまでに一定の時間がかかるのです。保険会社に解約書類を請求して必要事項を記入・返送するといった手間が発生します。必要書類を提出して手続きが完了してから解約返戻金が支払われるまで約1週間程度かかるとされています。
手続きに不備があったり追加の確認が必要な場合、さらに時間を要することもあるのです。
商品構造が複雑でわかりにくい場合がある
変額保険は商品の構造が複雑でわかりにくいため、十分に理解しづらいという欠点があります。簡単に言えば、生命保険と投資信託を組み合わせたような仕組みで、保険でありながら投資商品としての性質も持ち合わせているのです。
通常の生命保険であれば契約者は運用に関与せず決まった保険金を受け取れますが、変額保険では契約者自身が運用リスクを負い、運用次第で保険金や解約返戻金が増減します。さらに、商品によっては複数の特別勘定(運用先となる投資ファンド)から運用先を選択する必要があるなど、投資の知識が求められる場面もあります。
一般的な保険より投資性が高いため、金融や投資の知識があまりない方にとっては仕組みが難しく感じられるでしょう。専門用語も多く「特別勘定」「解約控除」「基準価格」など聞き慣れない概念を理解しなければならない点もハードルと言えます。
変額保険はやめたほうがいい?と不安に感じる場合はFPの無料相談を活用しよう

変額保険に加入したものの「このまま続けて大丈夫だろうか?」と不安に感じている場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)への相談を検討してみましょう。プロの第三者に状況を見てもらうことで、自分では気付けなかった課題や改善策が明確になります。
FPは保険だけでなく家計全体の専門家でもあるため、変額保険がご自身のライフプランに合っているかどうかも含めて中立的なアドバイスをもらえます。変額保険の仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく説明してくれるので、漠然とした不安が解消し、続けるかやめるかの判断材料が増えるはずです。
最近ではFPへの無料相談サービスも充実しているため、一人で悩み続けるより専門家に頼った方が納得のいく答えを得やすいでしょう。

変額保険が向いている人の特徴

変額保険にはさまざまなメリット・デメリットがあるため、万人にとって最適な商品というわけではありません。
では、どのような人であれば変額保険が向いているのでしょうか。以下に変額保険が適している人の主な特徴を解説します。
相続税対策として死亡保険金の非課税枠を活用したい人
変額保険を含む生命保険の死亡保険金には、相続税の非課税枠が設けられています。死亡保険金には「500万円×法定相続人の数※」の非課税限度額が認められています(受取人が法定相続人である場合に限る)。
例えば、法定相続人が5人なら非課税枠は2,500万円となり、その金額までの保険金には相続税がかかりません。保険金がそれを超える場合でも、超過分のみが課税対象です。
非課税枠を活用すると、相続税の負担を大きく軽減することが可能です。相続人が妻と子1人のケースで、現金5,000万円の遺産を残すと相続税の課税対象になる可能性があります。
しかし、生前に1,000万円の生命保険金を用意しておけば、その1,000万円は非課税枠内に収まり、相続税の課税対象から外すことができます。変額保険も死亡保険金が支払われる生命保険の一種なので、非課税枠の恩恵を同様に受けることが可能です。
保険と投資を一つにまとめたい人
変額保険は、死亡保障を備えながら資産形成もできる保険商品です。一つの契約で「万一の保障」と「将来の資産づくり」の両方を同時に備えられるため、保険と運用をまとめて行いたい人に適しています。
実際、死亡保障を十分に確保しつつ資産形成も行いたいと考える人は、変額保険の利用を検討する価値があるでしょう。変額保険では支払った保険料の一部が投資信託などで運用に回され、運用成果によって解約返戻金や満期保険金が増減します。
長期にわたり毎月保険料を払い込むことで、時間分散による積立投資と同様の効果が得られ、継続期間が長いほど安定したリターンを期待できます。
保険に加入しながら計画的に資産形成ができる点は、他の金融商品にはない変額保険の特徴といえるでしょう。
リスク許容度が高い人
変額保険は、市場の値動きによって資産額が変動する投資性の高い商品です。元本保証がないぶんリスク許容度が求められ、運用結果によっては払込保険料の総額を下回る元本割れが起こる可能性があります。
運用が好調な場合は、終身保険や養老保険などの定額保険より高いリターンを得られる可能性もあります。変額保険の仕組み上、価格変動に対する耐性が低い人にはあまり向いていません。実際、日々の値動きを見て不安になってしまう人には変額保険はおすすめできないとされています。
逆に、市場変動による一時的な損失にも冷静に対処できるリスク許容度の高い人であれば、変額保険のメリットを活かしやすいでしょう。期待されるリターンとリスクのバランスを理解し、長期的な視野で運用を継続できることが大切です。
実際に株式や投資信託などで運用経験があり、市場の値動きに慣れている方なら変額保険のリスクも無理なく受け入れられるでしょう。
変額保険が向いていない人の特徴

管理費等のコストが気になる人
変額保険は、運用のための管理費や保険の維持費など各種コストが割高な商品です。そのため、手数料などのコストに敏感な人には向いていません。変額保険では、販売手数料が5~7%と高水準になるケースが多く、一般的な投資信託の購入時手数料(最大約3%)よりも割高です。
高コストゆえに運用効率が低下し、思うように資産が増えにくい点がデメリットです。コスト重視の方は、負担の大きい商品よりも低コストで運用できる方法を選ぶべきでしょう。変額保険は保険商品であるものの、一般的な生命保険とは異なり運用益にも期待して契約する商品です。しかし、その運用益に対して税制上の優遇が特にあるわけではありません。
つみたてNISAや新NISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)といった制度を利用すれば、投資で得た利益が非課税になるといった大きなメリットがあります。通常、投資利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を通じた運用では税金がかかりません。
iDeCoでは掛金が全額所得控除になるうえ運用益も非課税と、拠出時・運用時ともに大きな節税効果があります。税優遇制度を活用していない人が変額保険で運用を始めてしまうと、本来受けられたはずの税メリットを逃し、結果的にコスト高の運用を選んでしまうことになりかねません。
商品構造が複雑なため投資経験が浅い人
変額保険は仕組みが非常に複雑で、投資初心者には理解が難しい商品です。保険と資産運用の二つの機能を兼ね備えた商品であり、一般的な定額の保険と比べて投資性が高くなっています。そのため、投資の知識がない場合はわかりにくく感じられることもあるでしょう。
具体的に複雑なポイントとして、変額保険には解約控除や保険関係費用など各種手数料が多く発生する点が挙げられます。運用期間中も、死亡保障に必要な費用や運用管理費用が定期的に差し引かれるなど、保険料の全額が運用に回るわけではありません。その仕組みを理解するには保険と投資の両面の知識が必要です。
また、運用については複数の特別勘定(投資先ファンド)を自分で選択し、資産配分を決める必要があります。
どのファンドを選ぶか、運用状況に応じてスイッチング(乗り換え)するかといった判断も契約者自身で行うため、投資経験が浅い人にはハードルが高い仕組みです。
短期間での資金利用を考えている人
近い将来に使う予定のあるお金を、変額保険で運用するのは不向きです。変額保険は中長期的な運用を前提とした商品であり、短期間で解約すると大きなデメリットがあります。契約後まもない解約では元本割れのリスクが高いため、数年以内に資金を使う可能性がある人には適していません。
知っておきたいのが、解約控除(解約ペナルティ)の存在です。変額保険では契約から一定期間内(多くの場合10年以内)に解約した場合、積立金から所定の解約控除費用が差し引かれます。
その結果、早期解約時の解約返戻金(払いもどし金額)は大きく目減りしてしまいます。特に契約後すぐに解約した場合、解約控除が非常に大きく差し引かれるため返戻金が全く受け取れない場合すらあります。
つまり、短期間で解約すると元本割れどころか払込保険料に対して大幅な損失が発生するのです。
変額保険はやめたほうがいいと感じた場合におすすめの資産形成方法

「変額保険は自分には合わないかも」と感じた場合でも、将来に向けた資産形成を諦める必要はありません。変額保険の代わりに活用できるおすすめの資産形成方法をいくつかご紹介します。
いずれもコスト面や柔軟性に優れ、初心者でも取り組みやすい方法です。
- 保険と運用を分ける:掛け捨て保険+投資信託
- 税制優遇をフル活用する:NISA(少額投資非課税制度)
- 老後資金作りに最適:iDeCo(個人型確定拠出年金)
- インデックス投資の活用
【まとめ】変額保険はやめがほうがいいと言われる理由とは?迷った場合は専門家に相談しよう

変額保険は高い運用コストや複雑な仕組み、元本割れリスクなどの理由から「やめたほうがいい」と言われることが少なくありません。本記事で解説したように、管理費用が多く他の有利な制度を活用できていない人や、商品内容を理解しきれない投資初心者、短期で資金を引き出す可能性がある人には特に不向きな商品です。
デメリットを踏まえ、自分に変額保険が必要かどうか慎重に判断することが大切です。変額保険以外にもNISAやiDeCo、インデックス投資など優れた資産形成手段があります。無理に変額保険にこだわらず、自分に合った方法で着実に資産形成を行うことを検討してみましょう。
それでも「自分にはどの方法が合っているのだろう?」と迷う場合は、お金のプロに相談するのがおすすめです。マネーキャリアは、プロに無料で何度でも相談できる資産運用の相談窓口です。オンラインで気軽に相談でき、もちろん相談料は何度でも0円です。
変額保険にすべきか他の方法にすべきか判断に迷ったら、ぜひこうした専門家の力を借りてみましょう。マネーキャリアを活用すれば、将来への備えと資産形成について納得のいくプランを一緒に考えてもらえます。自分だけで悩まず、信頼できるプロに相談して賢い選択をすることで、後悔のない資産形成を目指しましょう。
