iDeCoの運用指図者って何?iDeCo加入者との違いや該当者について解説のサムネイル画像

▼この記事を読んでほしい人

  • iDeCoの運用指図者になった方
  • iDeCoの加入者と運用指図者の違いについて知りたい人
  • iDeCo運用指図者の必要な手続きについて知りたい人

▼この記事を読んでわかること

  • iDeCoの加入者と運用指図者の違いについて
  • iDeCoの運用指図者になってしまった場合のデメリットについて
  • iDeCo運用指図者の必要な手続きについて

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内容をまとめると


  • iDeCo運用指図者が手続きが必要な際の方法と必要書類について解説
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監修者「井村 那奈」

監修者 井村 那奈 フィナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー。1989年生まれ。大学卒業後、金融機関にて資産形成の相談業務に従事。投資信託や債券・保険・相続・信託等幅広い販売経験を武器に、より多くのお客様の「お金のかかりつけ医を目指したい」との思いから2022年に株式会社Wizleapに参画。
>> 井村 那奈の詳細な経歴を見る

この記事の目次

iDeCoの運用指図者とは?

こんにちは。マネーキャリア編集部です。

「iDeCoの運用指図者とは何か知りたい」

「運用指図者に必要な手続きについて教えて欲しい」

「運用指図者のデメリットが知りたい」

とお悩みの方いませんか?


高齢化が進展する中で、iDeCoに対する関心は高まっており、令和3年3月のiDeCo加入者数は193万人と5年前と比べて4.4倍も増えています(「確定拠出の年金の統計」:企業年金連合会より)。


加入者にとってiDeCoのルールについて理解を深めることはとても重要です。この記事では

  1. iDeCoの運用指図者とは何か?
  2. 運用指図者になった人に必要な手続き
  3. 運用指図者になってしまった場合のデメリット

について解説します。


この記事を読めば、iDeCoの運用指図者のことや気をつけるべき点がよくわかるようになります。

iDeCoの運用指図者は掛金の拠出はできないが運用だけ行っている人

iDeCoの「運用指図者」とは掛金を拠出せず、それまで積み上げた資産の運用のみを行なっている人のことを言います。


これに対し、毎月掛金を出して積立金を運用している人は「加入者」と呼ばれます。

iDeCoの加入者からiDeCo運用指図者に変わる条件について解説

通常、iDeCoに加入した場合は、毎月掛金を出して受け取り時にまで運用をする「加入者」となります。


ところが、ある事情で掛金を拠出せずに運用を続ける「運用指図者」となることがあります。

どのような場合にiDeCoの加入者から運用指図者となるのでしょうか?


①60歳以降に会社を定年退職した場合

現状、iDeCoの掛金の拠出は60歳までとなっていますが、


受け取り時期は60歳から70歳までで選択できるようになっています。


例えば、60歳で会社を定年退職するなどの理由で掛金を拠出をやめたが、受け取りは70歳からとした場合、掛金ストップから受取開始までの空白の期間が生じます。


この期間が、掛金を拠出せずに積立金の運用を行なっている状態であり、「運用指図者」と呼ばれます。


ちなみに2022年から制度が改正され、掛金の拠出は65歳まで、受け取り期間は75歳までに延長されました。


加入年齢上限や受け取り開始年齢が延長になろうと、掛金の拠出停止から受け取り時期までのタイムラグがあれば「運用指図者」となります。

②失業等の理由で掛金の拠出ができなくなってしまった場合

また60歳未満であっても、失業などの理由で、掛金の拠出ができなくなれば、運用指図者となります。


事情により掛金の支払いができなくなった場合は「資格喪失届」を提出し、掛金の支払いを止めることが必要です。

③国外に居住することになった場合

次に国外に居住することになった場合も、国内での掛金拠出ができなくなるため、運用指図者になります


iDeCoに加入するには現状以下の3つの要件を満たす必要があります。

  1. 国民年金保険料を払っている
  2. 日本国内に居住している
  3. 20歳以上60歳未満である

国外に居住すると「日本国内に居住している」という要件を満たさなくなります。そのため、日本に居住していない期間は掛金の拠出ができず運用だけを行うことになります。


このように海外に居住している限り原則は運用指図者となるわけですが、国内金業から海外赴任を命じられた場合などで、海外赴任中も勤務先の厚生年金に継続して加入している場合は、掛金の拠出・運用ともに継続できるケースもあります。


尚、2022年のiDeCoのルール改正により、海外居住者でも国民年金に任意加入していれば

iDeCoに加入できるようになっています。

iDeCoの運用指図者はiDeCo運用に手数料は支払うの?

次にiDeCoの運用指図者が支払うコストについてみていきます。


運用指図者が負担する手数料にはどのようなものがあり、どのくらいの金額なのでしょうか?


運用指図者の手数料としては大きく分けて

  1. 口座管理手数料
  2. 投資信託運用にかかる手数料

の2種類があります。


口座管理手数料について

口座管理手数料としては

  • 国民年金連合会に支払う手数料:月105円
  • 事務委託先金融機関業務に関する手数料:月額66円
  • 運営管理手数料:運営管理機関によって異なる

があります。


運営管理手数料については、運用指図者に対しては加入者よりも安い手数料を適用しているケースが多いです。運営機関によって手数料率が違い月200円前後から月600円前後まで開きがあります。


非営利法人の確定拠出年金教育協会が運営する「個人型確定拠出年金ナビ」で各運営機関の口座管理手数料水準を確認できます。

投資信託運用にかかる手数料について

口座管理手数料以外に投資信託の運用にかかる手数料もあります。


投資信託の手数料は一般的に

  • 購入時にかかる「販売手数料」
  • 保有機関中かかる「信託報酬」
  • 解約時にかかる「信託財産留保額」

の3種類が存在していますが、iDeCoではこの中の「信託報酬」のみ負担があります。


「信託報酬」の水準も投資信託によってまちまちなので、希望する運用商品に合わせて十分検討することをおすすめします。

運用指図者の3つのデメリットについて解説

運用指図者のデメリットを解説します。


  • 積立期間中に、掛金の所得控除が受けられないこと
  • 運用期間中に手数料がかかること
  • 退職所得の控除の算定上不利になること

の3つがあります。

デメリット①|受け取り時の税制優遇の金額が小さくなる

まず運用指図者のデメリットとして、税制優遇の恩恵が小さくなることがあげられます。


掛金の拠出をしていませんので、掛金の所得控除という節税効果もありません。


さらに受け取り時の税制優遇が小さくなります。運用指図期間は、退職金控除を算定する際の「勤続年数」に含まれません。


そのため、退職金控除の金額が小さくなるのです。



デメリット②|手数料によって資産は減っていくことになる恐れがある

2番目は手数料の問題です。


運用指図期間中も口座管理手数料などの手数料を支払わなければなりません。


月数百円程度のものですが、期間中ずっとかかってきますので、手数料によって資産が目減りしていくことも考えられます。


特に元本確保型の定期預金をプランの中から選択していた場合、現在の金利水準では確実に運用収入よりコストが上回ることになります。

デメリット③|運用指図者は退職所得控除の勤続年数にカウントされない

退職所得には退職所得控除という大きな税制上のメリットがあります。


退職所得控除は以下のように算出されます。

勤続年数退職所得控除の算式
20年以下40万円x勤続年数
20年超800万円+70万円x(勤続年数ー20年)


このように勤続年数が多いほど、退職所得控除の金額は大きくなり、節税メリットも大きくなります。


ところが、運用指図期間は勤続年数に含まれないことになっているため、運用指図期間が増えれば、退職所得控除額も小さくなり税務上のメリットも小さくなるわけです。


このように運用指図者になるとコスト上のデメリットが増えます。 運営機関によって口座管理手数料や、運用プランによって投資信託の信託報酬はまちまちです。


加入者から運用指図者に切り替わったら、早いうちに運営機関や運用プランを見直してみることをおすすめします。手続きが面倒だと言って後回しにしていると、手続きが遅れた分手数料等で資産が目減りしてしまうからです。

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iDeCo運用指図者の掛金納付再開手続きついて解説

今まで見てきたように、iDeCoの運用指図者には色々なデメリットがあります。

失業などで掛金の支払いが困難になり、資格喪失書を提出し運用指図者になった人

が、その後再就職してiDeCoの加入者になれるのであれば、加入者に復帰したほうがいいです。



そのような場合に、iDeCoの運用指図者が掛金納付の再開を行う場合の手続きについて解説いたします。


「個人型年金加入申出書(K-001)」を提出が必要である

掛金の拠出を停止する場合は「加入者資格喪失届(K-015)」を運用管理機関に提出して、拠出を停止して運用だけができるようになりました。


掛金の拠出を再開する場合には、「個人型年金加入申出書(K-001)」を提出することにより、改めて加入者となることができます。


iDeCo掛金納付についての基礎知識を解説

iDeCo の加入者は毎月の掛金を翌月26日(休業日の場合は翌営業日)に銀行などの口座から振替で納付することになっています。


残高不足等で引き落としができなかった場合は追納ができないので注意しましょう。


なお、平成30年より、毎月の掛金拠出ではなく、年1回以上任意に定めた月にまとめて拠出できるようにもなりました。


これは「年単位拠出」と呼ばれるものです。「年単位拠出」には詳細なルールがありますので、検討の際にはiDeCoの公式サイトなどで確認しましょう。


いずれにしても、月払いだけではなく、自分が望ましい支払いパターンに応じた方法が選択できるようになったわけです。

iDeCo運用指図者が氏名・住所を変更した場合の手続きについて解説

次にiDeCo運用指図者が手続きを行わなければならない変更事項の手続きについて解説します。

「加入者等氏名・住所変更届(K-005)」の提出が必要である

運用指図者が氏名や住所を変更した際には、「加入者等氏名・住所変更届(K-005)」を運営管理機関に提出することが必要です。

手続きをしなかった場合のデメリットについて解説

この手続きを怠ると、国民年金基金連合会からの「掛金払込証明書」や運営管理機関からの運営実績などの通知が届きません。


特に「掛金払込証明書」は掛金の所得控除を受けるために年末調整の際に提出する書類ですので、住所や名前変更の際は忘れずに手続きをしましょう。


そのほかでiDeCo運用指図者が必要な手続きについて解説

その他にも運用指図者にとって必要な手続きが各種ありますので解説します。

運営管理機関変更には「加入者等運営管理機関変更届(Kー004」が必要

商品のラインアップ・手数料水準・アフターフォローの体制など、何を重視して運営機関を選ぶかは人によって様々ですが、iDeCoの運営機関をどこにするかはとても重要です


途中で、運営管理機関を変更したいという場合は新しく加入を希望する運営管理機関に「加入者等運営管理機関変更届(K-004)」を提出してください。


運営管理機関を変更には、およそ2ヶ月から3ヶ月の期間がかかります。


届け出を出してもすぐに新しい運営期間で取引ができるわけではないので注意が必要です。


また、運営機関を変更する際は年金資産を一度現金化してから移管する手順となるため、現金化にかかるコストが発生します。


商品によっては元本割れとなる懸念もあるため、この現金化コストも含めて十分に運営管理機関に確認してから検討するようにしてください。

死亡時の受け取りには「加入者等死亡届 (Kー014)」が必要

加入者・運用指図者が死亡した際は遺族が年金資産を一時金として受け取れます。


また、年金受け取り中の途中で死亡した場合でも遺族が残額を受けとることができます。


死亡時の受け取りには「加入者等死亡届(K-014)」を遺族の方が提出しなければなりません。

iDeCo運用指図者の給付金の受け取りについて解説

最後にiDeCoの運用指図者の給付金の受け取り方法について見ていきましょう。

老齢給付金の受け取り方法は年金か一時金かその両方の組み合わせ

iDeCoの老齢給付金は原則60歳以降に受け取ることができます。

ただし、60歳時点で加入していた期間(「通算加入期間」=加入者であった期間と運用指図者であった期間の合計)が10年に満たない場合は受給開始年齢が以下の通り繰り下げられます。

通算加入期間

受給開始可能年齢
8年以上10年未満61歳
6年以上8年未満62歳
4年以上6年未満63歳
2年以上4年以下64歳
1年以上2年以下65歳


老齢給付金の受け取りには、

  1. 年金として受け取る
  2. 一時金として一括で受け取る
  3. 一時金と年金を組み合わせて受け取る

の3つの方法があります。


給付金を受け取ることができる年齢は60歳以降70歳までの間で選択できるようになっていますが、2022年からは受給開始年齢を75歳まで繰り下げることが可能になります。

これは公的年金の給付開始年齢も75歳までの繰り下げが可能になったことに合わせたものです。


なお給付金を請求される場合の手続きや必要な書類については、それぞれ運営管理機関にお問い合わせください。

障害給付金について

病気や怪我などで一定以上の障害の状態になった時には障害給付金を受け取ることができます。


一定の障害の状態とは、国民年金法の障害等級1級または2級に該当する程度の障害であることをいいます。


ただし、それ以外のケースであっても運営管理機関の判断で受給できることもあります。


怪我や病気の初診日から一定期間(1年6ヶ月)経過後でも所定の障害の状態である場合に障害給付金を受給することが可能です。

死亡給付金について

加入者・運用指図者が死亡した場合は、遺族が一時金を受け取ることができます。

また、年金受給中に死亡した場合も遺族が残額を受け取ることができます。

給付金は5年から20年以内での受け取りになる

iDeCoを年金で受け取る場合は有期年金として取り扱われます。


受給開始年齢に到達したら、5年以上20年以下の期間で運営管理期間の定める方法によって支給されます。

老齢給付金と障害給付金は運営管理機関の提示する形式での受け取り

なお、老齢給付金と障害給付金の受け取りについて、運営管理機関によっては年金受給として開始し5年後に一括して受給する方法などを選択することも可能です。


詳細については、運営管理機関にお問い合わせください。


iDeCoや資産運用に関する悩みはFPに相談すべき理由

ここでは、iDeCoの運用指図者が直面する課題と、その解決策について紹介します。

運用指図者は、商品選択や資産配分の決定、市場変動への対応など、複雑な判断を継続的に行う必要があるため、長期的な視点でのリスク管理と運用戦略の構築が不可欠です。

しかし、運用指図者個人の知識や経験だけでは、急激な市場変動や制度変更、さらには個人のライフステージの変化に伴うリスクに適切に対応することが困難な場合があるため、専門家のサポートを受けられるサービスを選ぶべきです。

このような運用指図者の悩みを解消できるサービスとして、資産形成のプロによる相談が「無料で何度でも」受けられるマネーキャリアを活用する人が急増しています。

丸紅グループが運営するマネーキャリアは「相談実績100,000件以上の実績」「相談満足度98.6%の安心感」があるため、iDeCoの運用指図に関する複雑な課題を包括的に解決することができ、多くの運用指図者から高い評価を得ています。

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まとめ:運用指図者は掛金拠出をせず運用のみを行っている人

この記事ではiDeCoの運営指図者についてお伝えしてきました。


最後にポイントをまとめておきましょう。 iDeCoの運営指図者とは掛金の拠出をせずに、運用だけを行っている人のことで、

  • 60歳以降退職して年金等の受け取りを開始していない人
  • 失業などの理由で掛金の支払いを中止している人

などが当てはまります。


運営指図者のデメリットとしては、

  • 掛金の所得控除のメリットを受けられないこと
  • 口座管理手数料・投資信託の信託報酬などがかかり、その分資産が目減りすること
  • 運用指図者としての期間があると、退職所得控除の算定上不利になること

などがあげられます。


運用指図者の掛金納付再開や住所や名前の変更には届け出手続きが必要になります。


iDeCoのは、年金方式だけではなく一括や年金と一括を合わせた格好での受け取りも可能です。みなさんそれぞれの老後の生活資金設計にあわせた利用方法を考えましょう。


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