iDeCoの特別法人税って何?iDeCoを利用する上で知っておきたい知識のサムネイル画像

▼この記事を読んでほしい人

  • iDeCoにかかる特別法人税について知りたい人
  • 現在の特別法人税の凍結と再会予定について知りたい人
  • iDeCoのメリット・デメリットについて知りたい人


内容をまとめると

  • iDeCoには積立金に対して課税される特別法人税という税金がある
  • 資産運用や積み立てに関する相談はお金のプロであるFPに相談すべき
  • マネーキャリア満足度93%で何度でも相談無料!予約から相談までオンラインで完結!

iDeCoを利用する上で「特別法人税」の存在は知っておかなければなりません。本記事では、特別法人税のデメリットとこれから特別法人税が復活してしまった場合に予想されることについて詳しくまとめています。ぜひ最後までお読みください。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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iDeCoの特別法人税について解説【iDeCoのメリット・デメリットを解説】

こんにちは。マネーキャリア編集部です。

先日友人からこんな相談がありました。


「iDeCoには特別法人税がかかると聞いたけど、どうなの?」

「特別法人税を支払ってまで、iDeCoを利用する価値はある?」


令和元年度「生活保障に関する調査」によると、老後生活に不安がある人は84%以上と高い結果となりました。


そこで、足りない年金分をiDeCoで貯めようと考えている人が増加中です。

iDeCoの公式ホームページによると、2021年7月現在、iDeCoに加入している人は210万人と多くの人が利用しています。


ただ、確かに課税されてまでわざわざiDeCoを利用する必要があるのか、悩まれる方も多いです。


この記事では特別法人税についてや、iDeCoのメリット・デメリットについて解説していきます。


最後まで読んでいただくと、iDeCoについての疑問がなくなります。

是非最後まで読んでください。

特別法人税は企業年金の積立金に対して法人税法上課税される税金のこと

まず特別法人税とは何なのかを解説していきます。


企業年金連合会によると、特別法人税とは「企業年金の年金積立金に対し、法人税法上課税される税金」のことを指します。


iDeCoに置き換えてわかりやすく説明すると、iDeCoの運用額が400万円なら、この資産残高(=400万円)に税金がかかるという仕組みです。


税率は年1.173%と決められているので、

400万円×1.173%=46,920

46,920円の特別法人税が発生するということです。


企業年金には個人年金制度や厚生年金、確定給付企業年金、確定拠出年金などが含まれます。

iDeCoは確定拠出年金としてみなされ、特別法人の対象となっています。

iDeCoにかかる特別法人税は現在払わなければならないの?

結論から言うと、iDeCoの特別法人税は、現在払う必要はありません。


特別法人税はiDeCoも対象とお伝えした通りですが、1999年に凍結されました。


その後凍結期間は繰り返し延長され続け、2020年3月までとなっていました。


そして2020年の3月参議院で、iDeCoの特別法人税の凍結期限が3年延長されました。

つまり2023年までは、iDeCoの積み立てにかかる特別法人税を払う必要はありません。

特別法人税ができた理由について解説【いつからあるの?】

税制は、その時々の経済状況に応じて見直しされたり、創設されたりします。


特別法人税が創設された1962年、財務省の税制調査会はこのように述べています。


『年金について従業員の受給時まで課税しないこととするときは、企業拠出部分及び運用益部分について非課税 の「たまり」ができることとなる。この点で他の投資形態に対する 課税とのバランス及び社内引当ての退職給与引当金の課税とのバランス等の点に注目すると、企業拠出部分と運用益部分についてなんらかの課税を行うべきことが結論として導き出される』

(一部抜粋:時事解説)


そんな経緯で創設された特別法人税ですが、現状はどうなっているのかを見ていきます。

iDeCoへの特別法人税は現在課税が凍結されている

前述ですが2021年現在、iDeCoへの特別法人税の課税は凍結されています。


凍結された理由としては、2つ挙げられます。

  • バブルが崩壊し、景気が悪くなったため
  • 低金利になり運用が難しくなったため 

以上の理由から1999年に初めて2年間の課税凍結措置が取られました。

長引く景気低迷に合わせて、現在まで課税凍結措置は取られており、2023年3月末までの延長が決定しています。

特別法人税の凍結が無くなったら積立金が課税対象になる

特別法人税の凍結が解除されれば、もちろん課税されることになるわけですが、特別法人が課税されることで、手元に残る金額がどのくらい変わるのでしょうか?


具体例を挙げてみていきましょう。

  • Aさん会社員
  • iDeCoに毎月1万円拠出
  • 25年間の積み立て
  • 運用利回り2,5%

特別法人税がない場合とある場合を比較した表がこちら。

特別法人税無し特別法人税あり
25年後の残高415万円355万円

25年後の残高の差は約60万円と大きいものとなりました。

特別法人税はいつまで凍結されるの?

2021年現在は、2023年3月31日まで、特別法人税の凍結が決まっています。


ただ、特別法人税の凍結はこれまでに2005年、2008年、2011年、2014年、2017年と凍結期限を延ばしています。


長引く景気の低迷や、超低金利による運用難が続いていることからも、また期間が延びる可能性が高いでしょう。

なぜ特別法人税は撤廃されないの?

「何度も凍結を繰り返しているので、いっそ特別法人税なんて廃止にしたら?」

と思いますよね。


実は税当局から公式の見解は発表されていません。

厚生労働省が発表した、厚生年金の被保険者数と、iDeCo等の企業年金制度に加入している人を比較した表がこちらです。 


厚生年金基金57万人
確定給付企業年金901万人
企業型確定拠出年金648万人
厚生年金保険4,358万人

(一部抜粋:厚生労働省「平成29年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」 )


上から3つが企業年金で、特別法人税がかかる制度のものです。

加入者を合計すると、1,606万人となります。


厚生年金保険の4,358万人比べると圧倒的に少なく、影響も限定的と言っても良いことから、早急に撤廃の考えはないと思われます。

特別法人税の問題点について解説

実は特別法人税自体にも問題があるとされています。


問題点の内容としては、iDeCo等の企業年金制度に加入している人と加入していない人との間で、税負担の公平性です。


ここでは特別法人税の問題について、確定給付企業年金の面と、確定拠出年金の面から、それぞれ影響を見ていきます。


今後特別法人税が復活した時に備えておきましょう。

確定給付企業年金における影響について

まず確定給付企業年金とは、将来の年金給付額を設定し、その金額をもとに企業が掛金を拠出していく制度です。

掛金の運用は年金運用期間が行い、運用商品の変更はできません。


従業員が受け取る年金給付額があらかじめ設定されているため、会社の運用責任は重大です。

さらに運用成果が悪い場合は、企業が補てんする必要があります。


運用成績の有無にかかわらず、特別法人税は課税されます。

そのため運用成績が悪い時に、特別法人税が課されるとなると、積立金額にさらに1,173%の税率がかかるということになります。


その結果、積立金額が減少し、積立状況の悪化にも繋がりかねません。

さらに積み立て状況の悪化により、拠出金額を上げるなどの金銭的負担だけでなく、運用利回りの利率をあげるなど、ハイリスクになることも考えられます。


2021年現在、超低金利な状況が続く中での特別法人税の課税は、制度の維持や存続にかかわる影響があります。

確定拠出年金における影響について

一方確定拠出年金とは、運用成果によって年金給付額が決まります。


拠出は加入した従業員本人(=企業)が行い、加入した従業員自身で運用を行います。

加入者は所得控除のメリットもあることから、利用したいと考えている人も多いのではないでしょうか?


では、確定拠出年金に特別法人税が課税されるとどうなるのか、例を挙げてシミュレーションしてみましょう。


  • 毎月1万円の積み立て
  • 積立期間25年
  • 運用利回り2,5%

特別法人税が課税された場合と、課税されていない場合を比較した表がこちら。

特別法人税なし特別法人税あり
25年後の金額415万円355万円

たった1,173%と思うかもしれませんが、金額にして60万円も差が開きました。

加入者への影響が大きいことはもちろん、制度自体の普及も難しくなると言えるでしょう。

iDeCoへの特別法人税の凍結が無くなったら利回りはどうする?

特別法人税の税率はお伝えしている通り、年1.173%です。


現在は凍結されているので関係ありませんが、もし特別法人税の凍結が解除された場合、利回りを最低でも1,173%超える設定にしないと、マイナスになってしまいます。


つまり、ハイリスクハイリターンな運用が必要です。

大きく増やせるメリットもある一方で、元本割れのリスクも伴います。


「元本割れせずに安心して老後資金を貯めたい」という人には不向きになってしまいます。

特別法人税があってもiDeCoを利用すべきメリットを解説

特別法人税が復活した場合のことをお伝えしましたが、たとえ特別法人税があったとしても、iDeCoを利用すべきです。


理由は、iDeCoには節税効果があるからです。

iDeCoの利用によって、受けられるメリットは以下の3点になります。

  • iDeCoは掛金が控除の対象になる
  • iDeCoは運用益が非課税になる
  • iDeCoは受け取り時に控除を受けられる
それぞれ見ていきます。

iDeCoは掛金が所得税全額控除になる

iDeCoを利用すると、毎月一定額を積み立てていきます。

この積立金額、つまりiDeCoへの掛け金が全額所得控除の対象になります。


掛金全額が所得控除になることで、税金をかけられる課税所得が減ります。

その結果所得税や住民税の負担が軽くなるという仕組みです。


例を挙げて説明しましょう。

  • Aさん:年間所得650万円、銀行で通常預金年間50万円
  • Bさん:年間所得650万円、iDeCoへの年間拠出額50万円
Aさんは650万円の年間所得があるとみなされ、650万円分の所得税がかかります。

一方Bさんは同じ年間所得が650万円でも、50万円はiDeCoに拠出しています。
この50万円は非課税となり、Bさんには年間600万円分の所得税がかかることになります。

つまり、同じ所得金額でも課税所得の減少することで、所得額の減税につながるという仕組みです。

iDeCoは運用益が非課税である

通常、投資など金融商品で運用益が出ると、20.315%の税金がかかります。

かなり大きな税率ですよね。


iDeCoの場合、運用益の税率が非課税になります。

例えば、100万円分の掛け金で、10万円の運用益が出たとしましょう。


通常、この10万円に20,315%の税金がかかりますが、iDeCoの場合は税金がかかりません。


利益を減らさずにそのまま再投資することも可能で、さらに利益が見込めます。

iDeCoは受け取り時に一定額までの控除がある

iDeCoは原則として60歳から受け取れますが、受け取りの際にも控除があります。


iDeCoの受け取り方は2種類あって、それぞれ受けられる控除が異なります。

iDeCoの受け取り方と、受けられる控除はこちら。

  • 一括で受け取る:退職所得控除
  • 年金方式で受け取る:公的年金控除
  • 一括と年金方式と併用酢する:退職所得控除と公的年金控除
どの受け取り方がいいかは、人によって違います。

詳しくは、『iDeCoの利回りや控除額の計算シミュレーションについて解説』にて計算していますので、見てください。

特別法人税はないがiDeCoにはどんなデメリットがある?

特別法人税があってもiDeCoには説明メリットがあるとお伝えしましたが、特別法人税がない現在でも、iDeCoにはデメリットもあります。


iDeCoのデメリットはこちら。

  • iDeCoは原則60歳まで引き出せない
  • iDeCoは掛金の上限額が決まっている
  • iDeCoは元本割れのリスクがある
  • iDeCoは金融商品や銀行を自分で選択する必要がある
  • iDeCoは手数料、管理料がかかる
  • iDeCoは加入条件がある
  • iDeCoは受け取り方によっては損をしてしまう可能性がある

それぞれ解説していきます。

iDeCoは原則60歳まで引き出すことができない

iDeCoの目的は、「老後資金の確保」となっています。

つまり、原則60歳までは積立金を引き出すことができません。


「予定外の出費があって引き出したい」

となっても、簡単に解約できないので注意しましょう。


原則なので、加入者が死亡した、障がい者になったなど例外的に解約できるケースはありますが、よほどのことがない限り、解約は不可能と考えておいた方が良いです。


したがって、iDeCo以外にもある程度の貯金がない人は、iDeCo以外の方法で貯めていくことをおすすめします。

iDeCoは投資の上限金額が加入区分によって決められている

iDeCoへの投資額には上限があります。

この上限額は、職業によって異なります。


加入区分と対象となる人、それぞれの上限額をまとめました。

加入区分対象となる人上限額
国民年金保険の第1号被保険者
20歳~60歳未満の自営業者
 フリーランス、学生など
月額6.8万円
(年間81.6万円)
国民年金保険の第2号被保険者60歳未満の厚生年金の被保険者
(会社員、公務員)
月額2.3万円
(年額27.6万円)
国民年金保険の第2号被保険者公務員
企業型DCとDBに加入済みの会社員
  DBのみに加入の会社員
月額1.2万円
(年額14.4万円)
国民年金保険の第3号被保険者専業主婦(夫)月額2.3万円
(年額27.6万円)

(参考:iDeCo公式ホームページ


iDeCoへの年間の掛金が多ければ多いほど、優遇される税金の額も大きくなりますが、加入区分よっては、そこまでお金を拠出できないことがあります。


また、同じ課税所得でも、加入区分よって控除額に大きな違いが出るので、少々不公平に感じてしまう部分もあります。


第1号被保険者と、第2号被保険者を例に計算していますので、詳しくは『iDeCoの利回りや控除額の計算シミュレーションについて解説』を見てください。

iDeCoは元本割れのリスクがある

iDeCoは元本確保型の定期預金・保険と、元本変動型の投資信託のどちらかで運用していきますが、選ぶのは自分です。


元本確保型を選ぶと元本は保証してもらえますが、大きな利益は見込めません。

逆に元本変動型は運用益が見込めますが、元本割れになるリスクもあります。


どの商品を選ぶかで、将来確保できる金額が違ってきます。

ある程度の投資の知識は身に着けておきたいですね。

iDeCoは運用商品や金融機関を自分で選ばなければならない

運用商品の選択は先ほど説明した通りですが、iDeCoを利用する金融機関もまた、自分で選びます。


もちろんiDeCoによる運用コストや、商品ラインナップについては、金融機関によって様々です。


厚生年金や企業年金は、給与から天引きされるため、自分で行う手続きはありませんよね。

一方でiDeCoの場合、自分でしっかり情報収集することから始まり、手続きも自分自身で行う必要があります。

iDeCoは手数料や維持費がかかってしまう

iDeCoと言えば、節税ができてお得!

というイメージが強いと思いますが、iDeCoにも利用の際の手数料や維持費がかかってきます。


まず、iDeCoを利用するにあたって口座開設する必要がありますが、この口座開設の際に2,829円(税込)の手数料が発生します。


この手数料はiDeCoを管理している国民年金基金連合会に支払うものです。

どこの金融機関で口座を開設しても必ず発生する金額です。


あとは金融機関ごとに異なりますが口座管理手数料、加入時手数料などがかかってきます。

大体の目安として、iDeCoを開始した初年度に5,000円程度から1万円、2年目以降は年間2,000円から7,000円程度と思っておくといいでしょう。


元本確保型の安全な金融商品だけで運用していると、思ったより運用益が上がらず、手数料が運用利回りを上回ってしまうこともあるので、注意しましょう。

iDeCoには加入条件があるから誰でも入れるわけではない

iDeCoは誰でも加入できるわけではありません。


iDeCoの加入条件はこちらです。

加入区分対象となる人
国民年金保険の第1号被保険者20歳~60歳未満の自営業者 フリーランス、学生など
国民年金保険の第2号被保険者60歳未満の厚生年金の被保険者 (会社員、公務員)
国民年金保険の第3号被保険者20歳~60歳未満の厚生年金に加入している方の被扶養配偶者 (専業主婦、扶養範囲内のパートタイマーの主婦)

(参考:iDeCo公式ホームページ


加入対象に含まれていても、iDeCoに加入できない場合があります。

以下に加入できない人を加入区分別にまとめました。

加入区分iDeCoに加入できない方
国民年金保険の第一号被保険者・農業者年金の被保険者
・国民年金の支払いを免除されている方
(障碍者年金はOK)
国民年金保険の第二号被保険者勤め先で企業型DC(=企業型確定拠出年金)に加入している方
(規約によっては同時加入も可能な場合もある)
国民年金保険の第三号被保険者

(参考:iDeCo公式ホームページ


上記に当てはまる人は加入できません。

iDeCoは受け取り方法によって課税対象になってしまう

iDeCoの受け取り時には控除が受けられることはお話しした通りですが、受け取り方法に行っては課税されてしまうケースがあります。


iDeCoには3種類の受け取り方があります。

  • 一括方式
  • 年金方式
  • 一時金+年金方式

では、どの受け取り方で課税対象になる場合があるのでしょうか。
結論から言うと、「一括方式」と「年金方式」になります。

課税対象になるケース1.一括方式

iDeCoを一括で受け取る場合に、退職所得控除があります。

退職所得控除の計算式は勤続年数が20年以下、あるいは20年以上かの2種類です。

勤続年数が20年以下の場合の計算式はこちら。

40万円×勤続(拠出)年数

続いて勤続年数が20年以上の場合の計算式はこちらです。

800万+70万×(勤続年数-20年)

勤続年数とは、ここではiDeCoの拠出期間のことを指します。


実際に計算してみましょう。
勤続年数が20年の場合は、以下のようになります。

40万円×20年=800万円

勤続年数が30年の場合はこちら。

800万円+70万円×10年(30ー20)=1,500万円

つまり、拠出期間が20年の場合は800万円、30年の場合は1,500万円以下なら、控除されて、税金はかからないということです。

ここで注意したいのは、退職金がある場合です。
退職金がある場合、退職所得控除は退職金とiDeCoの受取金額の合算した額で適用されます。

Aさんを例に見ていきましょう。
  • iDeCo拠出期間30年
  • iDeCo受取金額1,000万円
  • 退職金1,000万円

勤続年数が30年の場合、控除額は1,500万円でしたね。
AさんはiDeCoと退職金を合わせると2,000万円になります。

控除額を500万円超えていますね。
この500万円は、課税対象になります。

退職金がある人は注意しましょう。

課税対象になるケース2.年金方式

年金方式で受け取る場合にも、気を付けたい点があります。

年金形式でiDeCoを受け取る場合には、他の公的年金(国民保険、厚生年金など)と合算して税額が計算され、雑所得として扱われます。

雑所得の計算方法はこちらです。

雑所得=収入ー公的年金控除額

公的年金は、年金の収入金額から公的年金控除額を差し引いて所得金額を計算します。 
公的年金控除額の算出方法は、60歳未満か、65歳以上かによって変わってきます。

国税庁のホームページ『3 公的年金等に係る雑所得の金額の計算方法』によると、年金方式で受け取る場合は、公的年金の受給額と合算して65歳未満の場合は年間70万円65歳以上なら年間120万円までなら課税されません。

つまり、厚生年金の支給額が高い場合、iDeCoを受け取る際にも課税対象になってしまう可能性があるということです。

このような事態を避けるためには、公的年金の受給開始前である60歳から64歳の間にiDeCoを年金として受け取るなどすると良いでしょう。

また、一時金と年金を併用して受け取ることで、額を調整する方法もありますが、金融機関によっては併用で受け取れないことがあります。

いずれの方法にしても、実際にiDeCoを受け取ることになった時は、専門家に相談することをおすすめします。

iDeCoの節税シミュレーションを利用してみよう

ここではiDeCoに拠出することで、どれだけの節税が出来るのかをシミュレーションしてみましょう。


会社員で年収300万円、iDeCoへの年間拠出額は、上限の276,000円だった場合の税負担軽減額をまとめました。

なお、住民税は10%とし、手数料は含まれないものとします。


金額
iDeCoへの掛金月23,000円
年276,000円
1年間の税負担軽減額55,200円
10年間の税負担軽減額552,000円
20年間の税負担軽減額1,104,00円


税負担軽減額の計算方法は、iDeCoの年間の掛金に、適用される税率をかけていきます。


つまりこの会社員の方の場合、年収300万円だと所得税が10%になるので、適用される税率は20%です。


計算式はこちら。

276,000円(iDeCoへの年間の掛金)×20%(所得税10%+住民税10%)=55,200円

1年間に5万円以上の節税になり、10年、20年と続けていくと優遇される税金も大きくなることがわかりますね。


今回はあくまでも例でしたが、気になっている金融機関でシミュレーションをすると、手数料を考慮したより詳細な金額が出てきます。


イメージがわきやすいのでおすすめですよ。

まとめ:iDeCoの特別法人税について詳しく解説

この記事ではiDeCoの特別法人税が現在凍結されていることと、iDeCoを利用するメリットについて解説していきました。


iDeCoに関する重要点はこちらです。

  • iDeCoの特別法人税の凍結期間は2023年3月末まで
  • 例え特別法人税が復活してもiDeCoには利用するメリットがある
  • iDeCoの受け取り方に注意する

iDeCoにはメリットはもちろん、デメリットも存在します。
上手に活用して、老後に備えましょう。

マネーキャリアでは他にも読んでいただきたい、お金に関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。

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