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新しく賃貸物件を契約する場合、敷金や礼金は消費税の課税対象となるのでしょうか。この記事では、敷金や礼金と消費税の関係について解説しています。とくにオフィスや事務所、店舗や倉庫など事業用賃貸を契約しようと考えている方は必見です。

記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

この記事の目次

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敷金や礼金の消費税を解説!課税や非課税になるのはどんなとき?

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こんにちは。マネーキャリア編集部の大石です。


今回のテーマは不動産物件を借りる時に必要な敷金礼金は課税、非課税どちらなのかについてです。


敷金、礼金は消費税区分のどれに相当するのでしょう?

(消費税区分には、課税、非課税、不課税、免税の4つの区分があります)


最近、20代の同僚からこんな質問がありました。

敷金や礼金には消費税がかかるのでしょうか?

2019年10月から消費税の税率が8%から10%へ引き上げられました。


税率10%は大きいですよね。


もし、不動産を借りるときの敷金と礼金に消費税がかかるのであれば、なんとか、非課税になる方法はないか、と思う方がたくさんいると思います。


結論から言うと、敷金、礼金にかかる消費税は、


  • 居住用住宅を契約する場合・・・非課税
  • オフィスや事業所、店舗や倉庫などの事業省賃貸を契約する場合・・・課税


となります。


賃貸物件の使用用途によっては消費税の課税非課税は決まるのです。


基本的に、消費税の課税の対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供になります。


ちなみに、住宅を何年か借りると、どんなに綺麗に使用しても、住宅のほころびが出てしまう場合があります。オーナーは原状回復するための修繕費を入居時に預かった敷金から差し引き、「余れば返金」「不足なら請求」として清算するのが一般的な流れです。


その修繕費としての敷金も居住用であれば、非課税となるということです。


この記事では、敷金と礼金の課税非課税の仕組み、また敷金礼金以外に賃貸を契約する場合に発生する費用に対して、消費税は課税されるかをまとめてみました。


皆さんの疑問の解消に役立つことが出来れば幸いです。

敷金や礼金に税金がかかるのはオフィスや倉庫など事業用賃貸の場合


敷金や礼金に税金がかかるのは、オフィスや倉庫、事業所などの事業用賃貸の場合です。

なぜ、事業用などの事業用賃貸の場合のみ、消費税が課税されるのでしょう。

本来、消費税はすべてに対してかかるものなのですが、住居費は国民が生活する上で、一番大切なお金なので、社会政策上、特別に非課税となっているからです。

つまり、本来なら課税対象とされるべきところを、住宅なら非課税とするという考え方です。 よって、敷金も礼金も、それが居住のためのものであるなら、消費税はかかりません。 

住宅の貸付けは非課税取引であることが消費税法第六条で定められています。 

反対に、事業用賃貸の場合は、居住用のように特別に非課税という考え方は適用されないため、普通に消費税がかかります。

ちなみに、事業用賃貸であっても、契約の終了により返金される敷金は、資産の譲渡等の対価に該当しないので、課税の対象にはなりません。


また、国税庁によると、土地の譲渡や貸付けは、非課税取引ですが、土地の貸付けのうち、貸付けに係る期間が1か月に満たない場合及び駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合は課税とされています。

①返却されない敷金償却費には消費税が課税される

返却されない敷金償却費には消費税が課税されます。


敷金償却とは、入居時に支払った敷金のうち一定額が借主に返金されない特約のことです。


本来、敷金は退去後に返金されます。しかし「敷金1ヶ月分を償却する」などの特約が付いている場合は、どれだけ綺麗にお部屋を明け渡しても貸主は敷金1ヶ月分を借主へ返金しない特約です。 償却されたお金は償却金と呼ばれ、物件の退去費用などに充てられます。


その敷金償却費は、賃貸住宅を借りていた人に対する「役務提供」という扱い、つまり建物を賃貸したことの対価を得るということなので、貸主が返金しない敷金償却費には、消費税がかかります。

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②礼金は事業の対価とみなされ消費税の課税対象となる

礼金は事業用賃貸では課税されます。


礼金は敷金と違い、退去時に返却の必要のないの費用です。


礼金は、賃貸物件を借りて事業を行う上で“対価”として見なされるため、 賃貸物件を事業用として契約した場合には、課税対象となります。


ちなみに、敷金の場合は、それが事業用で借りるためのものだとしても、契約の終了により貸主から借主へ返還される場合は、資産の譲渡等の対価に該当しないので、課税の対象にはならないので留意しておきましょう。


礼金は基本的に返還されないものなので、家賃と同じように事業用では課税されます。

参考:社宅は居住用賃貸とみなされ非課税となる

会社が借りた社宅を従業員に貸しても、消費税は課税されないことになっています。


 人が居住する家屋は「住宅」としてみなされます。 社宅も居住用として契約することになるため、消費税が課税されることはないのです。


住宅の貸付けは非課税取引であることが消費税法第六条で定められています。 


では、会社が役員や従業員から受け取る家賃に消費税はかかるのでしょうか?


役員や従業員から受け取る家賃に消費税は課税されません。


なぜなら、前述したとおり住宅の貸付けは原則として非課税だからです。


ここで問題になるのは、会社が法人として借りた住居をさらに役員や従業員に貸す又貸し(転貸)しても、非課税のままでいいのかということです。 


社宅は基本的に法人名義で、役員・従業員に居住させることを前提に賃貸契約を締結することになりますが、この場合においても非課税として取り扱うことに問題はありません。

参考:居住用住居でも仲介手数料は消費税の課税対象となる

ここまで、住宅用の賃貸であれば非課税、事業用の賃貸であれば、課税されることを述べてきましたが、仲介手数料は、消費税の課税対象となるのでしょうか?


結論から言うと、仲介手数料は居住用・事業用いずれの場合でも消費税の課税対象になります。


なぜなら、仲介手数料は不動産会社に仲介業務の対価として支払う費用だからです。


よって、居住用であっても、事業用であっても、消費税がかかります。

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敷金や礼金以外に消費税がかかる項目を解説!


次は敷金や礼金以外に消費税がかかかる項目についてです。 


居住用、事業用によって異なりますが、事業用の場合は以下が課税されます。 

  • 仲介手数料 
  • 家賃 
  • 駐車場代 
  • 更新料 

賃貸借契約書の内容をよく確認してみましょう

①仲介手数料は課税される

仲介手数料は居住用・事業用いずれの場合でも消費税の課税対象になります。


仲介手数料は、消費税法に準じた不動産会社(事業者)が提供するサービスへの対価のため、消費税の課税対象となり、非課税にすることはできません。


しかし、仲介手数料自体を無料にできれば消費税はゼロです。


 仲介手数料を非課税にするには、仲介手数料のかからない不動産会社を選択するのが一つの手段となるでしょう。結果、消費税を含めて出費を抑えることができます。 

②家賃は課税対象として消費税が課せられる

事務所や店舗などの家賃は課税対象ですが、居住用の物件の家賃には消費税がかかりません。

国税庁では、以下のように解説しています。

 “事務所などの建物を貸し付ける場合の家賃は課税の対象となります。
この場合、家賃を土地部分と建物部分とに区分している場合でも、その総額が建物の貸付けの対価として取り扱われます。 
なお、住宅用としての建物の貸し付けは、貸付期間が1ヶ月に満たない場合などを除き非課税となります。ただし、契約において住宅用であることが明らかにされているものに限ります。”

(出典:国税庁)

③駐車場代は消費税が課税される

駐車場代に消費税は、一般的にはかかるとされていますが、かからない場合もあります。


例えば、整備された駐車場は消費税の課税対象となります。 


整備とは、 駐車スペースが明確に区切られている ・フェンスで囲われている ・地面をアスファルトや砂利で舗装している といった特徴を指します。


この場合、駐車場という施設を貸し付けることになり、駐車場の使用料には消費税がかかります。 


 一方で、駐車場として貸し付ける土地が、駐車場としての体をなしていない場合は消費税はかかりません。


「体をなしていない」とはどういうことかというと、区画が整理されていない、雑草が生えているなどの状態の土地のことです。そういった場合、駐車場という施設の貸し付けではなく「ただの土地の貸し付け」となるため、非課税の取引とみなされます。

④賃貸契約の更新料は課税される

更新料も、居住用として借りている場合は非課税、 店舗・事務所や駐車場などの場合は課税対象となります。


ところで、更新料とは何でしょう。


注意しなければならないのは、賃貸契約時の契約書です。


契約書に支払うという記載があれば、支払わなければいけません。


法人で賃貸を借りる場合は、家賃の額が大きい場合が多い上に、消費税もかかります。


事前に、契約書の内容を確認しておくことをおすすめします。

賃貸契約を中途解約したときの違約金は消費税の課税対象となる?


では、賃貸契約を中途解約した場合の違約金は消費税の課税対象になるのでしょうか。


建物などの賃貸借に係る契約期間の途中で解約する場合、違約金として数ヵ月分の家賃相当額を支払う必要がある場合があります。


それはあくまで逸失利益を補てんのために貸主がけ取るもので、資産の貸付けの対価に該当しないため、損害賠償金として不課税取引となります。

消費税の課税を避けるために居住用賃貸を事業に使うのは契約違反


居住用であれば、消費税が免除されるケースが多いことがわかりました。

「居住用として借りておいて、誰にも言わずに事業用として使えばいいのでは」

などとつい思ってしまうかもしれません。

しかし、それはれっきとした契約違反となります。契約書でそれを禁じているものがほとんどだからです。

そもそも、一戸建てを居住用に貸すのと、事業用に貸すのでは、オーナーが納めなければいけない固定資産税の額が全然違います。

課税・非課税となっている背景をよく理解し、契約時のルールを守るようにしましょう。

まとめ:事業用賃貸のみ敷金や礼金に消費税が課税される

日本の法律では、事業用賃貸のみ敷金や礼金に消費税が課税されるのが基本です。


例外として事業用賃貸の場合でも、契約の終了により借主に返還される敷金については、資産の譲渡等の対価に該当しないため、非課税となります。


しかし、退去時に原状回復を目的として、借主に返還されない敷金については、権利の設定の対価となり、資産の譲渡等の対価として、課税対象となる仕組みです。


借主に返還されるかされないかが判断の分かれ目となります。

この部分を押さえた上で、居住用か事業用かを目安として課税か非課税かを理解するようにしましょう。