今後NISAが大幅に変わる?「非課税枠の拡大」と「恒久化」が検討へのサムネイル画像

株式投資や投資信託の運用益が非課税になるNISA制度の大幅変更が検討されており、今回5つの論点について詳しく解説します。さらに、大幅に変更された場合に、実際の運用シミュレーションも行いました。NISAを利用している人やこれから始めようと検討中の人は最後まで読んでください。

監修者「谷川 昌平」

監修者 谷川 昌平 フィナンシャルプランナー

株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。
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この記事の目次

NISAが大幅に変わる?

個人の金融資産を「貯蓄」から「投資」に向かわせる政策として、2014年1月にスタートした、少額からの投資を行う方のための非課税制度であるNISAが大幅変更されるかもしれません。


2022年8月に令和5年度税制改正要望を金融庁発表し、NISAなど株式投資の優遇措置の拡大に向け、税制改正を要望することがわかりました。


大幅変更の論点は5点です。

  • 非課税限度額の拡大
  • 制度の恒久化
  • 非課税期間の無期限
  • つみたてNISAの対象年齢の拡大
  • 成長投資枠の新設

それぞれについて、詳しく説明します。

非課税限度額の拡大

現在のNISA制度は、

  • 一般NISAの年間投資枠は120万円、非課税限度額は120万円×5年=600万円
  • つみたてNISAの年間投資枠は40万円、非課税限度額は40万円×20年=800万円
  • 一般NISAとつみたてNISAの併用不可

となっています。


新たに要望している内容は、

  • 一般NISAの年間投資枠を120万円から240万円へ
  • つみたてNISAの年間積立額を40万円から60万円へ
  • 二つの制度を併用可能とし、年間投資枠の合計を300万円へ

となっています。


一般NISAでは年間120万円の非課税枠の増加つみたてNISAでは年間20万円の非課税枠の増加となっていて、この上限の引き上げは個人の資産形成に大きな影響があるでしょう。


制度の恒久化

NISAは時限付き制度としてリリースされ、現行のNISAは2023年末で終了予定となっております。非課税期間は2027年までとなっています。

2024年から新NISAがスタートするため、NISA制度への新規申し込みは2028年まで延長されることになりました。


NISAを始めるタイミングによって利用期間などに差がでてしまいます。

「貯蓄」から「投資」に向かわせ、長期での資産形成を後押しする上でNISA制度の恒久化は非常に重要になってきます。


非課税期間の無期限

非課税期間の無制限化の要望に盛り込まれています。

現状の一般NISAでは、非課税期間の5年が終了すると、課税対象の口座に資産を移管します。


非課税期間を延長するには「ロールオーバー」と呼ばれる、翌年の枠を使用しした資産移動の手続きが必要になり、煩雑な手続きをする必要がありますが、非課税期間が無期限となれば手続きをする必要がありません。


また、ロールオーバーの制度がないつみたてNISAにとっても非課税期間の無期限化は追い風になるでしょう。

つみたてNISAの対象年齢の拡大

現行の「つみたてNISA」の対象年齢は20歳(2023年1月1日以降は18歳)以上です。


未成年者の資産形成には、①毎年80万円が上限②最長5年間③18歳までは払出し制限ありという「ジュニアNISA」制度がありました。

しかし、2023年末に廃止されることが決まっています。


これをうけ、つみたてNISAの対象年齢を未成年者まで拡大するという案も要望に盛り込まれています。


成長投資枠の新設

一言でいうと「投資対象の商品が増えますよ」ということです。


現行のつみたてNISAの投資対象は厳選された一部の投資信託に限定されていますが、「成長投資枠」は株式にも投資できるようにするという案です。


現時点で採用されるかわかっていませんが、あくまで「投資信託による積み立て」という土台部分は変わらず残るものと思われます。

もし実現したらどうなる?

要望している「非課税限度額の拡大」「非課税期間の無期限」が実現した場合のシュミレーションをしてみます。


運用利回りは現行の場合も要望中の場合の4%、運用益は再投資とします。

現行制度が月々3万円の積み立て(年間36万円)で20年間の運用。

要望中の制度は月々5万円の積み立て(年間60万円)で30年間の運用。


つみたてNISAは複利の効果を活かすことで雪だるま式に資産が増えていきます。

運用期間が長くなれば長くなった分だけ複利の恩恵を享受でき、資産額も大幅に増加します。

月々の積立額の単月では2万円しか変わりませんが、長期投資でみたら大きな差になります。


いつ始めるのが良い?

まず結論をお伝えすると「思い立ったらすぐに始める」べきです。


金融庁がNISAなど株式投資の優遇措置の拡大に向け、税制改正を要望中で今後NISA制度がどうなるかわからないので、制度の内容が決まってから始めようと考える人は多いと思います。


しかし、今年のNISAの非課税枠を無駄にしたいためにも早くは始めることをおススメします。

NISAの年間の非課税枠は上限が決まられており、非課税枠を使い切らなかったとしても、翌年に繰り越すことはできません。


せっかく非課税枠をつかえる権利があるのに使わないのは非常にもったいないです。

思い立った時にNISAをスタートすることで、今年の非課税枠も有効に活用できるため、始めるタイミングは「思い立ったとき」が一番です。