年金は60歳からもらった方が賢い?何歳から年金をもらうとお得か解説のサムネイル画像
▼この記事を読んで欲しい方
  • 年金の繰り上げ受給をするか悩んでいる方
  • 年金制度について知りたい方
  • できるだけお得に年金をもらいたい方

内容をまとめると

  • 60歳からもらえる年金は、国民年金と厚生年金
  • 老齢基礎年金や老齢厚生年金は繰り上げ制度を利用すればもらえる
  • 繰り上げをすると受給額が減額されるため、損益基準点を考慮して判断するべき
  • 繰り上げしなくても65歳より前にもらえる年金もあるので良く調べたほうがいい
  • お金や保険の相談をしたい方はマネーキャリアがおすすめ

年金は60歳からもらった方が賢いのかどうかを60歳からもらえる年金の種類やそのメリット・デメリットを踏まえてご紹介しています。また、老齢基礎・厚生年金の繰り上げ・繰り下げ制度や何歳から年金をもらうのがお得になるのかも解説しています。

この記事の目次

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60歳から年金をもらった方が賢いのかを年金の種類や特徴と共にご紹介!

年金は60歳からもらった方が賢いという意見を聞いて、自分はどうすべきか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。インターネットでも色々な情報があって何を信じれば迷ってしまいますよね。

結論から言うと、年金は60歳からもらった方が賢いとは限りません。年金の制度が複雑なうえ、その人の生活スタイルや経済状況はもちろん、どんな生き方をしたいかによっても大きく左右されるからです。

この記事では、60歳からもらえる年金の種類とそのメリット・デメリットや年金の繰り上げ・繰り下げ制度全般を幅広く説明しています。

毎月保険料を払っているのに、意外と制度全体について知らない方も多いはずです。損をしないためにも、この記事を参考にしながら年金について調べてください。

60歳からもらえる年金の種類

60歳からもらえる年金は国民年金と厚生年金の2種類です。どちらも原則として65歳から受け取れますが、繰り上げ制度を利用すればもらえる年齢を引き下げられます。

国民年金は日本国内に住む20歳から60歳までの全ての人が加入する、全ての年金の基礎となる年金です。加入者は自営業者・学生・主婦の方などです。

厚生年金は会社員や公務員が加入する、国民年金に上乗せされる年金です。保険料は事業主と従業員で折半したうえで、給料から天引きされています。

また、国民年金と厚生年金のどちらも「年金」の代名詞である老齢給付金以外にも、障害や被保険者の死亡などの事由によっても受給できます。

どちらも原則的には65歳までもらえませんが、一定の要件を満たせば60歳から年金を受け取れます。

老齢基礎年金や老齢厚生年金は繰り上げ制度を利用すればもらえる


老齢基礎年金や老齢厚生年金は、65歳からもらえる仕組みになっています。しかし、繰り上げの請求をすれば60歳から受給が可能です。


老齢基礎年金は国民年金や厚生年金保険などに加入していた方がもらえる年金で、加入期間によって年金額が変わります。厚生年金保険に厚生年金に加入していた方が老齢基礎年金に上乗せしてもらえる年金で、給与・賞与や加入期間から年金額が算出されます。


請求できるタイミングは、60歳になった月から65歳になる前月までの間です。繰上げ請求をした月の翌月から年金が受給できるようになります。


ただし、未納分には注意しておきましょう。20歳から60歳までの間で未納の期間があると減額される可能性があるため、受給開始前に追納しておくのがおすすめです。

年金は60歳からもらった方が賢い?


年金は60歳からもらった方が賢いかどうかはその人の状況によって異なります。60歳から年金をもらうと早く受給されるだけお得なように感じられますが、様々な弊害があるため繰り上げ受給するべきかは十分な検討が必要です。


繰り上げ受給最大のデメリットは減額です。60歳から繰り上げ請求をすると年金受給額が24%も少なくなります。


一度繰り上げ受給をすると後から変更できません。転職や臨時収入を得られる可能性なども考慮して決めてください。


国民年金と厚生年金は同時に繰り上げなければならないなど制度的な制約があり、片方だけの受給はできません。


それから繰り上げ請求によって高齢年金を受給していると、60歳から65歳までに遺族年金や障害年金の受給権が生じても請求できないケースもあります。


特別な事情がない限りは、繰り上げ受給をしないほうが賢明です。未納期間分の追納をするなど、受給開始までに十分な準備をしておきましょう。

年金を60歳からもらうメリット

年金を繰上げ受給するメリットは主に2点あります。


  • 65歳までの生活費を捻出できる
  • 健康なうちに年金を受給できる

1点目は、60歳から65歳までの生活費を得られること。65歳までの生活費に不安感がある方や定年後の収入が著しく減る方にとって、早めに経済的な安定を得られるのは嬉しいポイントです。


受給額が減額されてしまうのは事実ですが、当面の収入が必要な方は繰り上げ受給の手続きを進めましょう。


2点目は、健康なうちに年金をもらえること。持病など健康面に不安があり65歳まで待っていては年金がもらえないと感じている方や、元気なうちに趣味などに打ち込みたいと考えている方にとって、健康なうちに収入を増やせるのは魅力的です。


「今」を楽しむ気持ちも人生を豊かにするためには欠かせません。自分の好きなことにお金を多く割いて、充実した老後を過ごすための一助としてください。

年金を60歳からもらうデメリット

年金を60歳からもらうデメリットは主に3点あります。


  • 他の公的年金が受給できなくなる可能性がある
  • 国民年金の任意加入や未納分の追納ができなくなる
  • 老齢年金制度によっては受給額が減額される場合がある

老齢年金を繰上げ受給する場合、65歳になるまで障害年金・遺族年金・寡婦年金など他の年金を受け取れません。


また、受給資格を満たしていない方や納付済期間が満期に達していない方が繰り上げ受給すると、60歳以降に国民年金の任意加入制度の加入資格を失います。未納分の追納もできなくなるため、事前に納付状況などを調べておく必要があります。


それから、在職老齢年金制度にも注意が必要です。60歳以降も厚生年金に加入している場合、賃金と年金額の合計が基準額を上回るとその分だけ年金が減ってしまいます。


繰上げ受給をした結果、賃金との合計額が基準を超えるのであれば60歳から年金をもらうメリットはありません。

何歳から年金をもらうとお得?

いつから年金をもらうのがお得なのかを考える時、繰り上げや繰り下げによる受給額の変更を考慮すると分かりやすいです。繰り上げると受給額が減り、繰り下げると受給額が上がります。


そして、死亡時の年齢を予測すると損益分岐点が算出できるようになり、自分がどのタイミングで年金を受給すればいいのか検討できます。


自分の死亡年齢を予測するのは難しいですが、長生きリスクを回避するためにも平均寿命平均余命などを参考にしながら考えましょう


男性女性
平均寿命81.41歳87.45歳
平均余命19.83年(84.83歳)24.63年(89.63歳)

  • 平均寿命 現在0歳の子どもが何年生きられるかを予測した数値
  • 平均余命 現在65歳の方があと何年生きられるかを予測した数値

年金の繰り上げ・繰り下げ制度とは?

年金は原則として65歳から受け取れます。しかし、希望する場合、60歳から繰り上げ受給できます。


ただし、受給額が減額されるうえに老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ請求をしなければならないなどの制約があるため、慎重な判断が必要です。

  • 昭和37年4月1日以前生まれの場合(ひと月当たりの減額率0.5%)

60歳61歳62歳63歳64歳
0か月30.0%24.0%
18.0%
12.0%6.0%
1か月29.5%23.5%17.5%11.5%5.5%
2か月29.0%23.0%17.0%11.0%5.0%
3か月28.5%22.5%16.5%10.5%4.5%
4か月28.0%22.0%16.0%10.0%4.0%
5か月27.5%21.5%15.5%9.5%3.5%
6か月27.0%21.0%15.0%9.0%3.0%
7か月26.5%20.5%14.5%8.5%2.5%
8か月26.0%20.0%14.0%8.0%2.0%
9か月25.5%19.5%13.5%7.5%1.5%
10か月25.0%19.0%13.0%7.0%1.0%
11か月24.5%18.5%12.5%6.5%0.5%

  • 昭和37年4月2日以降生まれの方(ひと月当たりの減額率0.4%)
60歳61歳62歳63歳64歳
0か月24.0%19.2%14.4%9.6%4.8%
1か月23.6%18.8%14.0%9.2%4.4%
2か月23.2%18.4%13.6%8.8%4.0%
3か月22.8%22.8%13.2%8.4%3.6%
4か月22.4%17.6%12.8%8.0%3.2%
5か月22.0%17.2%12.4%7.6%2.8%
6か月21.6%16.8%12.0%7.2%2.4%
7か月21.2%16.4%11.6%6.8%2.0%
8か月20.8%16.0%11.2%6.4%1.6%
9か月20.4%15.6%10.8%6.0%1.2%
10か月20.0%15.2%10.4%5.6%0.8%
11か月19.6%14.8%10.0%5.2%0.4%


また、繰り下げ請求もできます。66歳から75歳まで受給開始を遅らせ、受給額を増額できます。

  • 繰り下げ増額率早見表
66歳67歳68歳69歳70歳71歳72歳73歳74歳75歳
0か月8.4%16.8%25.2%33.6%42.0%50.4%58.8%67.2%75.6% 84.0%
1か月9.1%17.5%25.9%34.3%42.7%51.1%59.5%67.9%76.3% 84.0%
2か月9.8%18.2%
26.6%35.0%43.4%51.8%60.2%68.6%77.0% 84.0%
3か月10.5%18.9%
27.3%
35.7%
44.1%
52.5%60.9%69.3%77.7% 84.0%
4か月11.2%19.6%
28.0%
36.4%44.8%53.2%
61.6%70.0%78.4% 84.0%
5か月11.9%20.3%
28.7%
37.1%45.5%53.9%
62.3%70.7%79.1% 84.0%
6か月12.6%21.0%
29.4%37.8%46.2%54.6%
63.0%71.4%79.8% 84.0%
7か月13.3%21.7%30.1%38.5%46.9%55.3%
63.7%72.1%80.5% 84.0%
8か月14.0%22.4%30.8%39.2%47.6%56.0%64.4%72.8%81.2% 84.0%
9か月14.7%23.1%31.5%39.9%48.3%56.7%65.1%73.5%81.9% 
 84.0%
10か月15.4%23.8%32.2%40.6%49.0%57.4% 65.8%74.2%82.6% 84.0%
11か月16.1%24.5%32.9%41.3%49.7%58.1%66.5%74.9%
83.3% 84.0%
参考:日本年金機構

損益分岐点をもとに考える

年金の受給年齢を決めるうえで重要なポイントが、損益受給点です。支給開始年齢の異なる2つの受給方法を比較したとき総受取額が等しくなる、つまりどちらのタイミングで受給しても損得の差がない年齢を指す言葉です。


仮に65歳受給の年金額が100万円だった場合、60歳繰り上げ受給時の年金額は70万円になります。この場合、76歳8か月が損益分岐点で、60歳繰り上げ受給でも65歳受給でも総受給額が変わりません。


死亡時の年齢60歳受給時の総受給額65歳受給時の総受給額
70歳700万円
500万円
76歳8か月1,167万円1,167万円
80歳1,400万円1,500万円


76歳8か月より早く亡くなるのであれば、繰り上げ受給したほうがお得です。しかし、もっと遅く亡くなるなら、繰り上げ請求を避けたほうがメリットがあります。

65歳以前にもらえる年金の繰り上げ制度とは?


繰り上げ受給以外の65歳以前に年金をもらえる制度として、一定の年齢以上の方が受け取れる特別支給の老齢厚生年金が挙げられます。

  • 男性 昭和36年4月1日以前
  • 女性 昭和41年4月1日以前


上記の年齢基準以外にも厚生年金保険等への1年以上の加入や、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしているなどの条件が必要です。


特別支給の老齢厚生年金は60歳から受け取れる仕組みになっていましたが、平成6年に年金制度が改正されたため、平成13年度から受給年齢が引き上げられています。なお、特別支給の老齢厚生年金は報酬比例部分・定額部分・加給年金額の3つを合わせたものです。

年金を60歳からもらうことに関するまとめ

年金は60歳からもらった方が賢いのかどうかを年金の種類やそのメリット・デメリットを踏まえて紹介しました。


年金を60歳からもらった方が賢いのかどうかは、人それぞれです。年金を繰り上げ受給すると受給額が減額してしまうため損益分岐点平均寿命などを考慮しながら判断する必要があります。また、例外的に65歳より前に年金が受給できるケースがあるため、年金制度の全体像を知っておかなくてはなりません。


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記事監修者「谷川 昌平」

この記事の監修者谷川 昌平
フィナンシャルプランナー

東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。